228話
冬厳の言った通り日月星の所には、確かに僕と良く似た子供のがいた。
ダメ元で、竜宮に来る様に誘ったら、あっさりと竜宮へやって来た。
竜宮へ来ても驚く事も無く、その上、何故か妙に馴れ馴れしく僕に話し掛けてくる。
一応、日月星とは敵対関係なので普通ならどうかと思うのだけど…。
その上、図々しくお茶やお菓子まで要求した。
一応ここに呼んだのは僕だし言われるままにジェノの命じてお菓子やお茶を用意させたけど、それを遠慮も無く良く食べる。
(普通に食べているだけなのに、『モキュモキュ』って擬音が聴こえてくるから不思議だ…)
取り敢えず、食べて終るのを待ってから話し掛けた。
「それで僕に話しってなに?」
そう聞けば、真面目な表情になって話しだした。
◇◇◇◇
わたくしが、お菓子を食べ終わると、父様が話し掛けてきましたよ。
「うん。…あのね。日月星様と和解して欲しいの!」
無理だ言う事は、わたくしにも分かっているんですが、何かせずには居られないですよ。
だけど予想通り、あっささりと断られます。
「無理だね」
わたくしは諦めきれずにもう一度言います。
「どうしても無理なの?」
「無理だと思うよ。仮の話しだけど、こちらが、その気でも日月星の方はどうなの?」
「ウッ!それは……」
そういえば日月星様も無理って言ってましたね…。
「…分かりました。じゃあ、わたくしの用事はもう無くなったので、これで帰りますね」
そう言うと父様が慌てます。
「え?ちょっと待って…。日月星の近くは危険だから、ここに居てもらわないと…。その為に君をここに呼んだんだから!」
「でも、わたくし遠い所から来たの。それでね。日月星様が、わたくしをおウチに帰してくれるって約束してくれたの。だから日月星様のところに帰らないと…わたくし帰れないの」
そう言うと父様は真面目な顔で答えます。
「君の家が何処か分からないけど、僕が帰してあげるよ」
「無理なの…。日月星様じゃ無いと…。だって呪術を使うから…」
父様は呪術が使えないですよね。
そう言うと分かってくれた見たいです。
「分かった。君が日月星の所に長く居るつもりが無いのなら地上に帰えそう」
「本当?うん。ありがとう」
「その代わり早く帰るんだよ」
そうして、帰ろうとした時、わたくしはフッと父様に相談したくなりましたよ。
「あの!最後に一つだけ…。あのね。わたく、無力で何にも出来ないの…。過去を変えたいのに、過去は変えられ無い、変えたらダメって言われたの…。どうしたら良いと思う?」
正直、自分でも滅茶苦茶な事を言っている自覚は有るんですが、父様なら答えてくれると思ったですよ。
そして父様は、ちゃんと答えてくれましたよ。
「言っている事が良く分からないけど、過去は変えられ無くても、未来を変えるならいいんじゃないかな?未来なら変えられるでしょ?」
ああ。そうですよね。
わたくしの生きてる時代だって色々と問題だらけですよね。
この時代で何も出来なくても、元の時代に帰ったら、わたくしに出来る事をやれば良いんですよね
「そっか〜。ありがとう。わたくしに出来る事が何も無くて落ち込ん出たの」
「そう??元気になれたのなら良かった。屋敷の庭に地上への扉を用意したから、帰るといいよ。ジェノ案内を頼む」
ジェノは父様に命令されて、部屋の扉を開けます。
着いてこいって事ですよね?
だから、わたくしは父様に挨拶をします。
「色々とありがとう。帰えるね。後、お菓子ご馳走様でした。やっぱり竜宮のお菓子が一番美味しいね」
「口にあったのなら、何よりだ」
わたくしが、そう言うと父様は苦笑します。
そうして、わたくしは屋敷を出て、再び地上の日月星様の屋敷に戻ったのです。
◇◇
地上に戻ると、日月星様が、慌ててわたくしの所にやって来ましたよ。
「セリ殿!無事か?!」
「ふぁー!うん。無事ですよ」
「突然、庭から強い呪術の力を感じたが…。まさかセリ殿に接触してくるとは」
とても心配しているのが分かります。
「黙って竜宮へ言ってごめんなさい。でもね。わたくし父様とお話して見たかったの」
そう言うと、日月星様は心配した様に尋ねます。
「もしや、セリ殿が未来の娘だと言って?!」
「ううん。それは言って無いよ。名前も言って無いし」
わたくし、約束は守りましたよ。
「そうか。それならば大丈夫だろう」
「あのね。わたくし父様に日月星様と和解が出来ないか父様に聞きたくて行ったの。でも父様も無理だって…」
「…そうか。まぁ当然だな」
「それでね。父様は過去は変えられ無くても未来は変えられるって!だから、わたくし元の時代に帰ったら、穢に苦しむ皆の為に頑張る事にしたの…。本当は日月星様を救いたかった。でも過去は変えられ無い見たい…。ごめんなさい。何も出来なくて…。わたくしを許して…」
「許すもなにも、セリ殿が未来から来てくれなかったら、私は今こうしてはいられない。それだけで、十分、私を救ってくれた。礼を言う」
(日月星様は何時だって、わたくしに優しいから、わたくし苦しいんですよね…)
「それにな。セリ殿を未来に帰す算段も、もうすぐ付く予定だ」
そして日月星様はそう寂しそうに告げたのです。
今週もありがとうございました。
来週9日は仕事が入ってしまいましたので、大変申し訳ありませんが、お休みさせて頂きます。
次の更新は、再来週の16日の日曜日に更新予定です。よろしくお願い致します。