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神の娘  作者: アイ氏
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226話


わたくしは、目覚めると既に部屋は真っ暗で夜になっていましたよ。


「う〜ん。わたくし、どうしたんだったけ??」

 

確か、白梅さんの特製果実水を飲んでいて、その後の記憶がありません。


取り敢えず、寝ていた部屋を出て赤兎ちゃんを探します。


(夕飯をお願いしたいですよね)


そう思っていたら、丁度良く廊下に赤兎ちゃんが現れます。


「起きたか、小娘!」


「うん。おはよう。赤兎ちゃん」


「今は夜だ。それより飯食うんだろ?用意出来てるぞ。日月星の旦那も話があるって言ってた」


「本当?お腹が空いてたの!ありがとう」


「小娘、お前な。酔って日月星の旦那に迷惑かけんじゃねよ」


「ふぇ?わたくし酔っぱらってたの??」


おかしいですね?お酒を飲んだ記憶は無いのですが…。


「覚えてねぇのか?呆れた奴だな」


「えっと…ごめんね〜」


まぁここは笑って流します。


部屋に行くと、日月星様も食べずに待っていてくれましたよ。


今日の夕食も、美味しそうですね。


わたくしは、酔って日月星様迷惑を掛けたようなので謝ります。


「日月星様。色々と迷惑を掛けた見たいで、ごめんなさい」


「いや。大丈夫だ。それよりも、セリ殿に話さねばならない事がある」


「何ですか?」


「地上にセト殿が現れた」


「ふぁ!父様が?どうして?!」


「私を倒す為だろう」

そう言われて、わたくしは、父様と日月星様が対立していたのを思い出しましたよ。


「あ?!あ、あの父様と仲直りは無理なんですか?」


「…無理だな。それに、この時代は、セリ殿の生まれる以前、言わば過去なのだ。未来から来たセリ殿が過去に関わる必要は無いし、過去の事で心を痛める必要も無い」


そう突き放される様に言われますが、それは日月星様が、わたくしに気を使ってくれているんだと分かります。


「でも……」

わたくしの話しを聞く前に、日月星様が話し出します。


「そう言う理由だから、1日でも早くセリ殿が未来に帰れる様にする。だが、もしセト殿と会う事があっても、セリ殿が未来から来た娘だとセト殿には言わぬ方が良い。セリ殿の発言一つで未来が変わってしまうかも知れないからな。過去を変えては駄目なのだ。セリ殿、どうかその事を分かって欲しい」


「……はい」


もし、わたくしの時代だったら、父様を説得して、皆で仲良く暮らすとか出来たんでしょうか?

 

(過去は変えてはダメです……か)


この時代に来た時は、こんな事になるとは思って無かったですよ。


(せめてこんな時、けんちゃんが側に居てくれたら…相談出来たのに…)


1人では何にも、出来ない事に、わたくしは落ち込んでしまいましたよ。


◇◇◇


久しぶりに竜宮から地上へとやって来た。



ここは、日月星の居る場所よりも少し離れたところだ。


僕が地上に初めて降りた頃とは大分変わってしまったが、それも仕方が無い事なのかもしれない。


アマテルの『生命造化』の力で沢山の新たな種が生まれた。


それは三界に大きな影響を及ぼした。


その中でも人間は三界の世界を一番大きく変えた種族だと言える。


彼らは、神に似せて作られた。だが、それが恐らく失敗だったのかも知れない。


人間は増長しやがて、力の無い神々を蔑ろにして神々との間に軋轢を生んた。


そして、その軋轢が憎しみや嫉妬と言った負の気となり穢が生まれた。


その穢が、神も人間も蝕みはじめたのだから、始末が悪い。


天界で穢を払える神は、アマテルだけだった。アマテルは人間や神達の為に、懸命に穢を払ったが、残念ながら穢は消える事は無かった。

そして段々と神々に疎まれた人間達は天界に居場所を無くして、地上へと降りて暮しはじめてたし、堕ちた神々も地上へと降りてきた。


地上は三界で最も穢た場所になった。


穢が増しても払らわれない地上で穢は増え続け負の連鎖は止まらなくなった。


弱い人間の体は穢に蝕まれ、不老不死を失った。


そんな場所になった地上に目を付けたのが、日月星だ。


元々穢を吸うと云う力を持っていたが、神通力を高めようと穢を吸いすぎて、負の気に囚われて沢山の神々を傷付けて危険な存在となっていった。


このまま放置すれば、やがては奴に全てが滅ぼされるだろう。


その前に、日月星を倒すしかない。


その手立てを探す為に、地上にきた。


そんな僕に声を掛けて来たのは、冬の神·冬厳だった。


「セト殿。お久しぶりです。実はお耳に入れたい事がありまして探していました…」


「なんだい?僕は日月星を何とかする為に地上に来たんだけど…」



「その日月星の事です。ここ数日。子供の神が奴の近くに居る様なのです」


「子供の神だって?」


日月星に味方する神なんてどこにも居ない。近づけば最悪その身に危険が及ぶからだ。


日月星に味方するのは神格を失い、天界から追放された神獣ばかりだ。


「はい。それで、その、何と言っていいか…。アシアの話しでは、その子供神が、セト殿。貴方に良く似ていると…失礼ながらその…セト殿の子供ではと」


「は?僕の子供???」


突然の冬厳の話しに僕は困惑するが、冬厳は話しを続ける。


「はい。そ、そのセト殿に似ているので、失礼ながら、セト殿に心当たりが無いかとアシアが言いまして…私に聞いて来る様に頼まれたのです」


大陸の神アシア。彼からの情報なら間違いは無いと思うが、容姿が似ているからと勝手に僕の子供とか決めつけられても困るし、まったく心当たりは無かった。


「いや。心当たりはまったく無い!」


少し怒った様に言えば、冬厳もそれ以上は聞いて来なかった。


「そうですか…。あと、それから、どうもその子供は日月星が特別に大切にしている様なのです。その子供の為に人間から食料を調達したりして居るとか…」


そして僕の興味をそそる情報をくれた。


「へぇ~面白ろいね。その子供、僕が捕らえて見るよ。もしかしたら日月星の弱点かも知れないし」


日月星が、その子供にどんな利用価値があって側に置いて居るかは分からないけど、特別扱いして居るのなら、人質に使えるかも知れない。


僕がそう考えると、冬厳は心配して居るようだ。


「それは危険では?」


「まぁ。危険だけど試して見る価値はある。アシアには情報の礼を言っておいくれ」


「分かりました。ご武運御祈り申し上げる」


そう言って、冬厳は帰って言った。

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