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神の娘  作者: アイ氏
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224話

ー冥界ー


地上の様子を知る為に放っていた密偵から、エンマが日月星と戦いかなり深手を負わされて、撤退したと報告を受けた僕は冥界へと見舞いにやってきた。


正直、冥界は暗くて閉塞感があるから、好んで行きたいとは思わないが仕方が無い。


配下の鬼の案内で、治療を受けて居る部屋へと案内されて声を掛けた。


「随分と派手に殺られたって聞いてね。お見舞いに来たよ」


そう気楽に声を掛けて部屋と遠慮なく部屋に入り様子を見る。  


僕も医術の心得があるから、その傷の深さを見て暫く動け無いと悟る。


声掛けてから少して、エンマが悔しそに呟いた。


「………不覚を取った…」


その通りだと思うけど、一応は慰める。


「まぁ。相手はあの日月星だからね。仕方ないよ。これは僕からの見舞い。僕の造った傷薬だよ」


そして持って来た傷薬を渡す。これを使えば、多少は早く傷が治るだろう。



戦いはかなり激しく起なわれく為に、僕が放った密偵は戦いの場に近寄れず、詳しい状況までは分らなかったので気になっていた。これ程の深手を負ったのだから色々と直接話しを聞きたい。


「それで日月星との戦いはどうだったんだい?」


「一度は日月星を捕らえたものの、『黒月』を使われあっけなく余の攻撃は破られた。それに配下の鬼達も随分と失った。当面、余が地上に介入するのは難しいだろう」

 

『黒月』日月星が持つわざの一つ。エンマはかなり強いけど、やはり『黒月』を発動されて、戦闘力を強化されると手も足も出ないらしい。


(さて、どうやって日月星を押さえればいいか?)


正直頭が痛かった。


そんな僕の気持を察してか、エンマがとんでもない提案をして来た。


「セトよ。日月星は、そなたに任せて良いか?変わりに、余が人の魂を冥界で受け入れ日月星の力を削ろう」


「え?」


「口惜しいが、余には、これ以上、日月星の相手は無理だ。ならばせめて余が出来る限りの事をしたいと、ユジンと相談して決めた。地上で無くなった人間の魂を冥府で引き取り、更正させて、天界に送り込む。そして天界から再び、新たな命となって地上で生まれ変わらせるのだ。『転生』と言う仕組みを作ろう思う。さすれば、地上の穢を、そして日月星の力を削ると思うのだ」



「転生か。それは面白い考えだね。地上で彷徨う魂を引き取れば確かに日月星の力は削らる。魂を失った肉体は腐敗して穢れが発生するし、魂は地上を彷徨い続け、肉体を持つ生きた人間に悪さをして殺め仲間を増やす。そしてその増幅した穢れを吸って日月星は神通力を高める。その連鎖を絶てるならありがたいよ。まぁ神々の間では、人間を滅ぼすべきだと言う意見も有るし、それが一番簡単だけど、僕としては反対なんだよね」


僕の配下は今は、人魚が多いが次に多いのが人間達だ。


そして正直、配下として重宝していた。


エンマの生命造化は以外と便利で、気に入らなければ、1人だけを消す事も可能なので、種全てが滅ぶ事は無いが、アマテルの生命造化は違う。


種を全てが丸ごと消えすしか方法がない。


だから人間を消したら、僕の配下の者達も消える。それはかなりの痛手だ。



「天界へと送られた新たな命を地上に送り込む役目は天界の産神達が担当する事で話しも付いた。その準備もある程度、出来ている。故に余はこれから人間の魂の裁きに専念し、日月星は、そなたに任せたいのだ。良いか?」


どうやら、エンマは本気のようだ。天界の為に地上の為に。

 

「分かったよ」


僕は、その思いと覚悟を理解して返事をした。そして僕も腹を括らねばならない。


「うむ。では頼む。そしてこれから冥界を閉ざす。冥界へ来た魂は地上へ帰りたがるからな。それは許さない。また、神々であろうと異界から来た者を今までの様に気易く通せば抜け道になりかねぬ故、冥界に入らさせぬ。そなた共、もう直接は会うことも無いかも知れんが、必要な時は分身をだそう。そしてこれをそなたに渡す」


そう言って配下に合図を出して配下が持って来たのは刀の飾りだ。


「これは?」


「冥界に繋がる呪術具た。それを神器に付けるが良い。そうすれば神器を使いとして連絡が取れるし、また地上で捕らえた魂を冥界に送る事も出来る」


「成る程。随分と、僕をこき使うね。分かった。有り難く貰っていくよ。じゃあ僕も地上に行く準備をするから、これで失礼するよ」


こうして僕は冥界を後にした。


そして冥界は、これ以後、人間の魂しか入れない世界になった。



◇◇◇◇


ー地上ー



冥界からの襲撃から数日が過ぎた。 


冥界のエンマ殿やその配下には、かなりの深手を負わた。


暫くは、戦闘は起きないと思う。


だから、私は、もう少し先の未来を知らねばと、セリ殿と話す時間を持つ事にした。


彼女の知っていると過去を詳しく把握しなければ、またセリ殿が生まれない未来へ移行し掛けて、セリ殿が消えてしまう。


それだけは、絶対に避けなければならないからだ。




今週もありがとうございました。


今回は、外伝の方を必死に書いていた関係で、本編の話しが短くなってしまいました。申し訳ありません。


来週はもう少し気合を入れて書きたい思います。


そして『外伝』も更新しました。


外伝の話しの内容は、本編でセリが冥界に誘拐されそになった話の冥府側の動きを書いたものです。


こちらも合わせて読んで頂ければ嬉しいです。


よろしくお願い致します。

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