219話
わたくしが、お食事を食べ終へると、日月星様も食事を終わりにしましたよ。
そしてお食事の感想を楽しそうに呟きます。
「ふむ。食事とは実に良いものだな。今まで食べないでいたとは、神生かなり損した気分だ」
凄い沢山食べていましたので満足した見たいですね…。
そんな日月星様の様子に、赤兎ちゃんは呆れたように言います。
「旦那。食いすぎだぜ…」
「ははは。赤兎。すまん。すまん」
お茶や、お菓子で、お腹を満たそうと思ってましたが、本格的なお食事や、夕方には、お風呂を用意やお布団の用意もして貰ったりと、まさに至れり尽くせりでありがたいですね。
知らない場所どころか、時代さえ違う所に来てしまった、わたくしには、本当に助けて頂いて感謝ですよ。
そして夜になって、わたくしは就寝につきます。
部屋の中は、『し〜ん』していますが、外のお庭の物音が気になって眠れません。
そこで、わたくしはその音の出どころを確かめるべく、夜の暗い庭を音がする方へと歩きます。
そこには日月星様の姿があったのです。
目を凝らして見れば、大きな石を前に置いて、何か呪文を唱えているように聞こえますね。
そして、呪文を言い終わると、石が何処かへと消えてしまいます。
わたくしは消えた石にビックリして、思わず驚きの声が漏れます。
「ふぁ!!」
その声に気が付いたのか、日月星様がわたくしの方に、向いて声を掛けます。
「そこに居るのは誰だ!」
見っかってしまったので、わたくしは慌てて覗き見ていた事を謝ります。
「あ、ごめんなさい。わたくしです。セリですよ」
「ああ。セリ殿か。いや、こちらこそ失礼した」
「覗くつもりは無かったの、庭から声が聞こえきたから、何かかな?って思って」
「ああ。それはすまなかった。今、セリ殿を元の時代に帰す為に呪術を試していたところだ」
「じゃあ。さっき消えた石は、わたくしの変わり?」
「ああ。セリ殿の変わりに石で試していた。時空を超えて取りあえず数分後、この場所に戻る呪術を考え試してみたのだが…。残念ながら石は戻ってこないな。…失敗だ」
そう結論付けます。
「ふぁ!?そうなんですか?じゃあ、あの石が、わたくしだったら、また、何処かに行ったまま行方不明になるって事ですか?」
「残念ながらそうなる…」
「ひぇ~。それは怖いですね!」
「心配しなくていい。確実に呪術が成功すると云う確証が持てるまでは、セリ殿に使うつもりは無い。早く帰りたいだろうが、もう少し我慢して欲しい」
「うん。大丈夫ですよ!」
その時、ふと夜空から星が流れ落ちたのです。
わたくし初めて流れ星を見たので、びっくりしましたよ!
「あ!流れ星!」
わたくしの言葉に日月星様もわたくしが、指差した方向に向き直して夜空を見上げますが、すでに流れ星は消えてしまいます。
わたくしは少しの間ずっと夜空を眺めていましたが、もう流れ星は見つかりません。
そして、わたくしはある事を思い出します。
「ふぁ!せっかくだから流れ星にお願いをすれば良かった」
わたくしが、そう言うと、日月星様は不思議そうに聞いてきます。
「お願いとは??」
だから、わたくしは侍女から以前に聞いた話を教えます。
「はい。侍女に聞いたんです。流れ星が落ちるまでに、三回お願い事を唱えれば叶うって!だから…」
「そうなのか?それは知らなかったな。ならば、あちらの方から間もなく星が流れてるぞ」
そう言って指を差して教えてくれます。
そうすると本当に、その方角から星が流れ落ちたのです。
「本当だ!」
わたくしは、またもビックリして、お願い事をしそびれます。
「凄い!日月星様はどうして、流れ星が落ちるのが分かったの?」
「私は天体の神だからな。それくらいはわかる。だが、またセリ殿は願いを言いそびれてしまったな…」
「あ!ごめんなさい!せっかく教えてくれたのに…」
「いや。責めていのでは無い。私の言い方が悪かったな。願いを唱えるのに、流れ星一つでは厳しかろう。こういうのはどうだ?」
日月星様が、手上げて指を鳴らせば、空から無数の流れ星が流れ初めたのです!!
「ふぁ!凄いビックリですよ!流れ星が沢山!!」
「私の力で流星群を出現させた。これだけ沢山の星が流れているのだ。一つ位は流れ落ちる前に願いを言えるだろ。さぁセリ殿。今度こそ願いを唱えるがいい」
そう言われて、わたくしは目的を思い出します。
「ふぁ!そ、そうですよね!」
目を瞑り、両手を合わせて大きな声で願い事を3回言います。
「元の時代に帰れますよに!元の時代に帰れますよに!元の時代に帰れますよに!」
わたくしは、必死で三回お願いしましたよ。
(こんなに沢山の流れ星が流れているんだから、きっと日月星様の言う通り落ちるまでには、唱えられましたよね?)
お願いを唱え終わり、目を開き、わたくしの横に立っている日月星様の方を見て見れば、静かに目閉じて、わたくしの様に何かお願い事をしているようにも見えます…。
その姿は、何処か真剣で声が掛けづらいですよ。
だから、わたくしは、もう一度、目を閉じて両手を合わせてて心の中で流れ星に願いを言う事にしましたよ。
『日月星様の願いも叶います様に』って。
こんなに沢山の流れ星が在るんだから、わたくしの願い事が二つになっても、きっと叶いますよね?
それらから、わたくし達は縁側に座って、この素敵な星空を眺めます。
そして、どうやら、わたくしは日月星様と話している内に、いつの間にか眠ってしまって、その後の記憶がありません。
目覚めた時には用意してくれた部屋の寝所で眠っていたのです。
今週もありがとうございました。
また来週、日曜日夜9時に更新予定です。
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