216話
冥界の事件の事を詳しく話して欲しいと頼まれたので、わたくしの知っている事を、色々と話しましたよ。
そうすると日月星様は、少し考えてから、わたくしに話します。
「ふむ。成る程な。『蠱毒』か…。『蠱毒』とは、寄生した宿主を体の内側喰らい体を弱らせ、そして精神を蝕む呪い。その『蠱毒』憑かれていたなら、確かにムクロ殿を統治神の座から下ろす為に陥れられた可能性もある。考えられる犯人としては、天界のアマテル殿か、もしくはムクロ殿に良からぬ感情を持つ冥界の神の誰か…か」
「ふぁー!アマテル様ですかー?」
「セリ殿こんな事は言いたく無いが、エンマ殿は、
アマテル殿と兄弟の契りを結んでいる。言い方を変えれば、アマテル殿に取っては最も信頼出来る腹心部下と言っても良い。
そして天界と冥界は揉めて、結果的にムクロ殿を排除してエンマ殿が冥界の統治神になった。
そうなれば冥界は、ムクロ殿が統治神の時よりも天界の意のままに動かす事が可能となる。
その為に、ムクロ殿を陥れても別に不思議では無い。実際、ムクロ殿が火傷をおった時はセト殿がムクロ殿の側に居たのだろう?
そしてセト殿には『蠱毒』が作れずとも、エンマ殿なら作れる。
冥界を手に入れる為に協力して、ムクロ殿を排除した可能性は否定できない。
セリ殿の生まれた時代は既に冥界がエンマ殿の支配下にあるから違和感を感じるかも知れないが、この時代は、神々が覇権を争う乱世なのだ。少しの油断が命取りになる」
乱世と言われても、正直、平和な時代から来た、わたくしには実感がありません。
「乱世ですか…?」
そんな、わたくしの思いを感じたのか、日月星様は少し厳しい表情で話します。
「そう神々が皆、争う乱世だ。
セリ殿は、何故、私がアマテル殿と『敵対したのか?』と問われたな…。
神器の力で狂ってしまったのも確かだが、私には『三界最強と』言う矜持があるからとも言える。
私の神通力、戦闘能力は、アマテル殿よりも上だと自負している。
そして自分よりも弱い者に頭を垂れる事は屈辱でしかない。それ故に、アマテル殿と対立した。敵対していく内に私の行動は段々と危険な方向に行ってしまった。
そして、今更、争いを止める事は不可能だ。
現在アマテル殿達も同じだろう。私を倒すまで戦いはやめられない。アマテル殿達は『生命』を造ると言う、特殊な神通力を持っている。
この三界に『三神』しか持たない特別な力。
貴重な力だ。
その中でも群を抜いて優れているのが、アマテル殿だ。
実際にアマテル殿が神に似せて造った『人間』を初め、様々な『生命』が三界の世界を大きく変え事は間違いない。
そして『生命造化の力』を持たない神々も、その恩恵を受け暮らしが豊かになったのも確かだ。
他の神々に『恩恵』を与え豊かにし、世界を変えた自分こそ神々の頂点に立つのが相応しい。
そう思っていよう。
そして同じ『生命造化の力』と言う特別な力を持つエンマ殿とセト殿も、そう考えているからこそ、アマテル殿を支持し、兄弟の契りを交わして色々と協力し合っている」
父様が『生命造化の力』に誇りを持っている???
そこは、わたくしにはちょっと疑問なんですが…。
それにアマテル様やエンマ様、父様がムクロさんに酷い事をしたとか信じたくありません…。
「あのアマテル様や父様が犯人って決まった訳じゃないですよね?」
「無論だ。仮にアマテル殿が犯人でも、ムクロ殿が冥界の統治神として復権しなければ問題にはならないだろう。
その場合は、セリ殿の時代の冥界に混乱は無い。
ただ、もしも犯人の目的が冥界の覇権では無く、別にあり目的がありムクロ殿を狙ったなら、セリ殿の時代でも冥界は争いの火種が燻っている事になるな」
「それはムクロさん個神を狙った犯行の可能も有るって事ですか?そして、わたくしの時代でも、またムクロさんが狙われるんですか?」
わたくしが質問します。
「例えば、セリ殿の嫌いな者がいる。一旦は何処に居なくなった。だが再びセリ殿の目の前に現れたらどう思う?」
「それは嫌ですし。正直困ります…」
「そうだな。だから、再びムクロ殿の排除する行動に出でも不思議では無い。何せ一度はムクロ殿に『蠱毒』を使ってまでも排除を企んだ者だ」
「確かに……」
「私にも、アマテル殿達なのか、別の者なのか、はっきりとは分からぬが、別の者だった場合、セリ殿は身辺を注意した方か良い」
突然そう言われて、びっくりですよ。
「…わたくしですか?!」
わたくしが聞き返せば頷いて質問に答えてくれます。
「そうだ。セリ殿の『浄化』や『解呪』の力は、恐ろしく強力だ。再びムクロ殿を狙っても、セリ殿なら、ムクロ殿を助けられる。セリ殿が居る限り目的の達成は不可能。私がその者なら、まず先にセリ殿を拉致監禁する。そしてからムクロ殿を陥れる」
ふぁ!わたくし、冥界へ、いずれ行く事になってますが、もし狙われるなら不安ですよ。
(でも母様に会いたいし、危険でも行きたいですよね。父様かユジンは一緒に冥界へ行けませんかね?それなら安心なんですが…)
そんな事を考えていると、日月星様が冗談半に『クス』って笑っいながら言います。
「でも、まぁ。セリ殿なら大丈夫なのかな?」
言っている意味が分からず聞き返します。
「はい?」
そうすると日月星様は、とんでもない事を言いましたよ!
「セリ殿は、セト殿の娘だ。セト殿に似て相当にお強いのだろ?セリ殿ならどんな強敵でも簡単に倒せよう」
ふぁー!!いくら父様に似て居るからって、皆さん、どうして、わたくしが強いとか、狂暴な子とか思うんですかね?!
わたくし、見た目通りに『か弱い乙女』なので落ち込みますよ!
「わたくし見た目通りの、『か弱い乙女』なんですよ!!お子ちゃまですよ!その辺は、全然、父様似じゃ無いですし!性格だって、わたくしの方がずっと大人なんですよ。だから喧嘩とかもしませんし…」
わたくしが強いとか、狂暴とかは断固否定しますよ!!
そうムキになって否定すると、日月星様は少し驚いた表情になってから、少し困った表情になります。
「そうなのか?それは大変失礼した。これは失言だったな…。この通り誤る故。機嫌を直して欲しい」
(分かって頂けてましたかね?一応念を押しときましょうかね?)
「嘘じゃ無いですよ!本当に、わたくし全然、戦え無いんですよ!」
「うむ。良く分かった。であるなら、この時代は危険が沢山がある。セリ殿は決して私の側から離れられられるな。この時代に居る限り、セリ殿は何があろうと私が守りぬくから安心して欲しい」
今度は、そう真剣な眼差しでいいます。
そう面と向かって言われると、何だか、わたくしは、少し照れちゃいますよ//
「///はい。ありがとうございます。日月星様」
それにしても色々とお話して喉も渇いたし、少しお腹も減りましたね。
ちょっと端たないし、恥ずかしいのですが、日月星様にお茶と何かお菓子を貰え無いか、お願いしてみましょうかね?
今週もありがとうございました。
先週は、更新日時を間違えて申し訳ありませんでした。
私は残念ながら『おっちょこちょいな性格』で、それが災いて誤字も多く、本当に読み難くて、こちらも申し訳ありません。
時間が有る時に見直して修正はしていますが、更新を優先の為に修正作業が中々、追い付きません。
それでも沢山の方に読んで頂き本当に感謝です。
また来週も更新の予定です。
よろしくお願い致します。