213話
わたくしが困っていたら、突然、更に別の人が現れましたよ。
「ちょっと!!この天然たらし男いい加減にしなさい。相手が困ってるでしょう?」
そう言って何処から持って来たのかわかりませが、ハリセンで男の人の頭を叩き、わたくしは解放されましたよ。
(ふぅ~。取りあえず助かりましたよ~)
ハリセンで頭を叩かれて正気に戻ったのか、日月星と名乗る男の人は、わたくしの手を放して謝りってくれましたよ。
「これは失礼した。貴女の力に驚き、貴女の気持ちも考えず、一方的に申し訳無い。だが先程の話しに嘘は無い。考えて頂けるとありがたいのだが……」
でも、わたくしは、その言葉よりもハリセンを持って突然、現れた白梅さんの姿に驚きます。
「ふぁーー!!白梅さん!!」
わたくしは思わず叫んでしまいましたよ!
そうすると男の人も立ち上がって白梅さんに、わたくしの事を興味深げに尋ねます。
「おや?白梅殿のお知り合いでしたか?」
だけど白梅さんは、まだ父様に『ギャフン』と言わせる復讐の最中なのか、わたくしを知らないと答えます。
「え??私は貴女の事なんて知らないわよ?」
竜宮に帰りたい、わたくしは白梅さんの説得を試みます。
「えー?!まだダメなの?父様も、わたくしが消えてきっと白梅さんの気持ちも分かったと思うし……。いくら復讐でも、わたくしが長時間ずっと消えたままだと、父様が、とても怒ると思うの?
だから、もう竜宮に返して欲しいんだけど?今ならまだ父様も笑って許してくれると思うし、わたくしも父様に怒らないでって!お願いするから…」
そう説得します。
でも白梅さんには全く話しが通じません。
「ちょっと待って、さっきから何を言ってるの?私は本当に貴女みたいなおチビちゃん知らないわよ…。復讐や…父様って、誰のこと?」
そう答えます。
「ええー?!」
そんな、わたくし困った様子を見て男の人は相談に乗ると言ってくれます。
「何やら事情が有りそうだ。良ければ詳しい話を屋敷でもお聞きしよう。場合によっては、私が力になれるかも知れない」
すると白梅さんは素っ気ない態度を取ります。
「私は遠慮するわ。なんか面倒くさそうだし。日月星。最近の貴方ちょっと様子が変だったから心配してたのよ。でも、まあ戻ったなら良かったわ」
そう言って『スッー』と消えてしまいましたよ。
「ふぁー!消えた!」
「白梅殿の、あの姿は分身だ。呪術を解いて梅の木に戻ったのだろう。あれが白梅殿の本体だ」
そうして、庭の真ん中にある大きなくて立派な木を指差します。
そこには、竜宮の温室で見た小さな梅の木ではなく、立派な梅の木があったのです。
わたくしが、大きな梅の木に驚いて見て居たら、優しく声が掛かります。
「ではセリ殿。詳しい話を聞こう。こちらへ」
「あ!はい」
そうして、わたくしは屋敷の中に案内されて、今までの経緯を話しましたよ。
「う~ん。つまり白梅の呪術に当たって気が付たら、私の屋敷の庭に居たと……」
「うん。大体は、そんな感じですよ…」
説明が終わると、暫く沈黙の後に結論が出たのか、わたくしに話してくれます。
「ふむ。結論から言えば、セリ殿は白梅殿の呪術で、どこかに飛ばされたと言う事になる。そして多分、ここは貴女から見て過去の世界の地上だ。私が知る限り、エンマ殿にもセト殿にも子供が居るとは聞いたことが無い。貴女が嘘を言っていないなら、これから貴女方は生まれて来るのだろう。まあ正直エンマ殿やセト殿が子供を持つとは少々信じられないが……」
(何となく、ここは過去かなって思ってましたが…。わたくしの話を本当に信じてくれたんですかね?)
「あの…。わたくしの話を信じてくれるの?」
「無論だ。貴女はセト殿と良く似た面差しをしているし、髪の色も目の色も同じ。赤の他人とは思えない。話の内容からエンマ殿は時を操る呪術を得意とするからな…。これはあくまでも私の推測だが、そのエンマ殿のご子息が、白梅の呪術を返す時に使った呪術返しの力と白梅の呪術が混ざりあって、セリ殿に当たった結果、過去の世界に飛ばされたと、私は推測している」
「じゃあ。さっきの白梅さんは、わたくしと一緒に過去の世界に来たんじゃ無いの?」
あの白梅は、過去の白梅さんでしたか…。
それは話が通じませんよね。
「うむ。過去に飛ばされたのは、多分セリ殿。貴女一人だろう」
はぁ~。わたくしドジってしましたね…。
「そうですか…。その貴方のお名前が日月星様だって聞いて…。だから、もしかしたら、ここは過去の世界なのかな思ってたの…。貴方は消えた神様だから…。わたくし、これからどうしたら……」
わたくしは、これからどうしたらいいか途方にくれてしまいましたよ…。
途方にくれて何も考えずに言った、わたくしの何気ない言葉に日月星様は反応します。
「ほう。私は貴女の居る未来では、私は消えていないのか?」
あ!!今の話しは言ったら不味かったですよね……。
良く考えれば父様と日月星様は敵対していたんだし、そして未来で父様にやられるだから…。
わたくしは敵の娘……。
わたくし更に大ピンチです!!
「あ!あの……えっと」
わたくしの怯えてる様子が日月星様にも伝わったのか、優しい笑顔で穏やかに言います。
「そう怯えずともよい。無理に話を取り繕う必要はも無い。確かにセト殿と敵対しているし、そして未来で私を葬ったのがセト殿でも、私は貴女を害するつもりは無い。であるならセト殿には、申し訳の無い事をしてしまったと思う」
「えっ?!」
そう言われ、わたくしは、とても驚いてしまいましたよ。
それはどういう意味なのでしょうか?
今週もありがとうございました
さて先週市販のキットで、陰性と出ましたが、その後に病院で検査したら陽性でした。
病は気からと申しますが、陽性と判明した途端に体調が悪く感じ会社の出勤を控え今週の前半は寝込んでました。
また喉の痛みが未だに取れません。
皆様も、流行りの風邪にはお気をつけてください。
ではまた来週の日曜日に更新予定です。
よろしくお願い致します。