210話
わたくし達が、温室に入ると、突然部屋の照明が消え真っ暗になって仕舞いましたよ!
「ふぁ!!?キヌどうなっての?!」
わたくしはキヌに慌てて確かめます。
しかし、キヌの返事も一緒に入ったムクロさん達の返事もありません。
「キヌー?!」
そこへ突然、悲鳴が聞こえて来ます。
皆の悲鳴です。
「皆!!どうしたの?!」
辺りは真っ暗何が起こったのかも分かりません。
そして、いきなり腕を捕まれます。
「ふぁ!!」
そしていつの間にか、見知らぬ場所に居たのです……。
わたくしは慌てて、腕を掴んだ方を見れば、見知らぬ女の人と目が合いましたよ。
「ふふ。やっと捕まえたわ…。ちょっと、私と来て貰うわよ」
そう言って強引に、わたくしを引っ張って歩きます。
「あ、貴方は?!どこに連れていくの?!」
「私は梅の神木、白梅よ!私の木の側に来てもうわ!」
「梅?」
回りを見渡しても、梅の木なんて無いんですが……。
そう思っていたら、小さな梅の木が、ありましたよ。
「えっと?これが、梅の木?!貴方は、わたくしにどんなご用があるの?えっともしかして穢れとかで調子が悪いから?それなら、わたくし頑張って浄化しますよ…」
見ればとても小さな梅木です。神は穢れで病気になると言いますし、小さい木なのは、その為ですかね?
だけど、あっさりと否定します…。
「違うわよ!私は霊験新たかな神木よ!浄化位、自分で出来るわ!馬鹿にしないで頂戴!」
ひぇ~。綺麗な人、じゃ無くて神様が怒ると怖いですよ!
「じぁ……なんで…?」
「私が、貴方を拐ったのは、あの男にギャフンと言わせるためよ!!」
「あの…男??」
なんだか嫌な予感がします。
「貴方本当に、鈍言わね!あの男ってのは、大海の神
セト!」
あーやっぱりですか?
今度は父様、この梅の木さんに何をしたんですかね?
(それにしても父様にギャフン?!って…)
「えっと……。それは難しいと思いますよ…」
「先程の、私の力を見たでしょう?私には、呪術が使えるの!」
真っ暗になったり、知らない場所に連れ去られたのは、呪術でしたか。
(ふあ~。わたくしまた拐われたてしまったんですね~)
わたくしは、取りあえず理由を聞いてみます。
アシア様の時の様に、何か、わたくしに出来るかも知れませし。
「そもそも何で父様をやっけたいの?」
「あの男が、私の大切な友を奪ったからよ…」
「日月星。彼は私の大切な神友だったわ」
「えっとその神様なら、とても悪い神様だって……」
「お黙りなさい!他の誰が、彼を悪く言ったって、私は、彼が好きだったわ。彼が消滅してしまって悲しの。だから、あの男にギャフンと言わせるのよ!これが私の復讐よ!」
「はい…」
(う~ん。これはもう、わたくしには、どうする
事もできません)
まあ、父様は来てくれるでしょうから、ここは大人しく父様を待ちますかね?
◇◇◇
ー竜宮執務室ー
「主様!!」
普段から、沈着冷静なジェノが、慌てて、部屋に入って来た。
「どうした?!」
「お嬢様が、拐われたました」
その言葉を聞いて、セトとユジンが驚く。
「姫様が?!」
「誰にだ!!」
ジェノの後ろには、キヌ、ムクロ達が控えていた。
キヌは泣きながら頭を下げて、犯人を告げる。
「梅の御神木様でございます」
更にムクロ達が詳し状況を話した。
「うむ。なにやら、突然部屋の明かり消えての。何に襲われる錯角を見せられた。再び明かりが付いた時には、セリ殿だけがいなかった……」
ユジンは、ムクロの話を聞いて、男達2人を責める。
「ゼンキ!シドウ!貴方達が付いていながらに、姫様をみすみす拐われたるなんて!!」
「そう責めらましても…」
「俺達の神器は昆虫。皆、その姿を好まぬ者もいるし連れて来なかったからな」
そう言い訳をする。
だが、ユジンは納得が出来ないのか更に責める。
「神器を冥界に置いてきた?!…貴方達はそれでも神ですか?!神器は、己の分身も同じ。昆虫でダメなら私の様に武器の姿で所持していればいいしでしょう!」
「我々は、謝罪もかねて竜宮に来たのですよ。ユジン。戦う意志は無いと示す為にも、神器は伴わない方が良いと判断したました。」
そう言われ、ユジンは何も答えられない。
「……」
「まあ。ここで言い争って居ても仕方がない。セリは無事だろう。白梅には、セリを傷付ける力なんて無いし。セリには、白梅の呪術は効かないと思うし…。それに狙いは僕だろう…」
そう言ってセトが立ち上がる。
「ジェノ。後の事は頼むよ」
そう言うと部屋を出て行った。
その後の慌ててユジンが追うのだった。
今週もありがとうございました。
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