209話
ー翌日ー
今朝は、少し寝坊してしまいましたが、父様とユジンと一緒に朝食を食べる事が出来ましたよ。
朝食を食べていると、ユジンが、これからの予定を尋ねてきます。
「陛下。姫様。これから地上へお戻りですか?」
わたくしは、その言葉に慌てます。
(いつ帰るか考えてませんでしたよ。大会も終わったし、今日、帰ると思いますよね…)
「あ!?ごめん、ユジン。今日はムクロさんと一緒に、父様が作ったの木から、お薬を取って来る予定なの。帰るのは明日でもいい?」
そう伝えると、ユジンは、あっさりと了承してくれます。
「はい。かしこまりました。では本日は、薬をムクロと一緒に取りに行くのですね?」
そして、今日のわたくしの予定を確認します。
「うん。そうなの。昨日の宴の時に約束したんだよ」
そう答えるとユジンは、わたくしと一緒に温室に行く事を提案します。
「では、私が姫様の護衛として、お供を致しますね」
わたくしとしては、ユジンには、ゆっくり休んで欲しいのですが…。
「え?大丈夫だよ。ユジンは普段から忙しいんだから、竜宮でゆっくり休んでて良いんだよ」
そう伝えると、ユジンは、不満そうな表情になります。
「姫様が心配で休んでなんて居られません。もし、姫様が木の根に足を取られて転んだり、温室の入口の段差で躓いたり、それに薬は木なのでしょう?姫様の頭に木の枝が落ちて来たりしたら大変です!!」
そうユジンは力説します。
ユジンの中で、わたくしは、どれだけドジッ子にされているんですかね?
「それに…。陛下の造られる、しょ植物は、少し変わっているので、何が起きるか分かりませ……し…」
(えっと…。ユジンの言いたい事は分かりますが、父様の前で言うのは不味いと思いますよ)
静かに食事をしていた、父様がユジンの言葉に反応します。
そして、ニコニコ笑いながら、ユジンに尋ねます。
「それは詰まり、僕の造った植物が危険って事かな?」
(まあ、父様の植物は、動くし、変な奇声をあげるしで、わたくしは、ちょっと怖いのですが、それは父様には言えません…)
ユジンは、慌てて言い直しますが、どうやら遅かった様です。
「いえ。そ、その、私が言いたいのは、姫様がお一人で出歩くのは危険だと思いまして……」
父様は、ニコニコ笑顔であっさりとユジンのお供を却下します。
「竜宮には、人魚達が居るからセリは大丈夫だよ。ユジンは、暇見たいだね?なら今日は、僕の仕事を手伝貰おうかな?」
「か、畏まりました…」
わたくしは、ユジンにゆっくり休んで欲しかったのですが……。仕方ありません。
父様達との、朝食を食べ終え、わたくしはキヌと一緒に温室へと向かいます。
美肌の薬は液体で木の汁だと、事前に父様から教えて貰ったので、その液体を入れる瓶を、キヌに頼んで事前に用意し貰いましたよ。
準備万端で、ムクロさんを待っていると、ムクロさんの声がします。
「ふむ。待たせたの……」
ムクロさんが来た方を振り向けば、お供の方達が、大きいなバケツ両手に持ってます!
それには、わたくし、ビックリですよ!
「ふぁ!大きいなバケツ?!そんな大きいなバケツを、どうするんですか?!」
わたくしの質問にムクロさんは答えます。
「ああ。これか?無論、美肌の薬を入れる為に、竜宮の者に頼んで用意して貰ったのよ!セト殿が好きなだけ持ち帰っても良いと言ってからの。遠慮なく貰う事にした。本当は、もっと大きい入れ物が有れば良かったんだが……仕方ないの…」
それでも納得して無い無いんですね。
そんなムクロさんの様子に、お供の方達は呆れています。
「はぁ~。やれやれ貴女の貪欲さには、些か迷惑しますよ」
「冥界には、温泉有るんだから良いじゃねーのか?」
そうやる気の無い答えを、ムクロさんは一喝します。
「うるさい!!妾の美を極める為には、一切の妥協等無い。薬を使っていて気づいたのだ。あの薬を温泉に入れると、より肌が輝くと!故に薬は、絶体に手に入れて見せる!」
ふぁ!温泉と薬を合わせてたんですか?
それはわたくしにも思い付きませんでしたよ!
それなら、わたくしも竜宮のお風呂にお花と薬を交ぜ合わせれば、凄い効果になりそうですね。
早速、今夜の竜宮のお風呂で試してみましょうかね?
「それに妾は箸より重い物は持てぬ」
その一喝と言葉は正に女王様ですね~。
「では、皆の者、行くぞ!」
もうその言葉にお供方は逆らえません。
こうして、わたくし達は美肌の薬を求めて温室の中に入るのです。
今週もお読み頂きありがとうございました。
気が付けば、ユニークも1800人を超えていました。
沢山の方にお読み頂きありがとうございます。
これからも頑張って書きますので、どうぞよろお願い致します。