207話
宴は続き、夜も遅くなって、わたくしはもう寝る時間です。
仕方なく部屋に帰ろとしたら、丁度宴の会場に父様がやって来ましたよ。
そして、わたくしの姿を見つけるなり声を掛けてきます。
「セリ。迎えに来たよ」
そして、わたくしを抱き上げます。
このまま、今すぐに地上に帰りそうな雰囲気に、わたくしは慌てて父様を止めます。
「父様!夜も遅いし…。わたくし疲れているから、今日は竜宮に泊まりたい」
わたくしの言葉を聞いて、父様は、ちょっと間が空いてから返事をします。
「……そうだね。分かってるよ。竜宮に泊まろう」
わたくしが止めなかったら、今すぐに王宮に連れて帰るつもりでしたかね?!
「もう、セリは寝る時間でしょ?ずっと一人だったけど大丈夫だった?今夜は、僕と一緒に休もうか?」
そして、わたくしに離れていた間の事を聞いてきます。
(わたくしは大丈夫ですし、寂しくなかったですけど、父様は、もしかして寂かったんですかね?)
そういう事なら、ここは仕方ありません。
今夜は父様と一緒に休みましょうかね。
「父様が居なくて、ちょっと寂しかったけど大丈夫だよ。じゃあ今夜は父様と一緒ね」
そして、気が付けば、わたくし達の様子を皆さんが生暖かい目で見てますよ///
そんな、わたくし達親子の様子を見て遠慮しながらもムクロさんが父様に声を掛けて来ましたよ。
「………セト殿。この度は、妾と妾の配下の者達が、本当に迷惑をかけた。謝罪する。この通りだ。すまなかった…」
そう言って父様に謝罪します。
「事情はある程度エンマから聞いているし。こうして直接、謝罪して貰った以上は過去の事だよ」
「そう言って頂き。ありがたい。また火傷の薬の事も感謝する。お陰で再び、このように元の姿に戻れた」
「ああ。薬が効いて何よりだよ」
「……それでだな…。その、またあの火傷の薬を少し妾に分けて頂けまいか?」
ムクロさんは父様に頼みます。
そうすると父様は、何故?って感じで不思議がりながらも答えます。
「うん?良いけど?火傷が治ったのなら、もう必要は無いんじゃない?」
(また火傷した時に使うんですかね?)
「使っていて気が付いたのだが、この薬は、ただ火傷を治すだけでは無くて、美肌効果があるのようでのぅ~。それ故、火傷が治っても使い続けたいのじゃ」
ムクロさんの話に、わたくしも驚きですよ!
「ふぁ!美肌効果が有るの薬ですか?!」
それは良い事を聞きましたよ!それなら、わたくしも父様におねだりですね。
「父様。わたくしも、その薬かを欲しい~」
そう言うと父様は困った顔をします。
「えっと…。薬は滅多に使わないから、在庫は無いんだけど…」
「え~。そんな…」
わたくし達ががっかりしたので、父様は困って別な提案をしてくれましたよ。
「2人共に、そんなに薬が欲しいなら、明日、屋敷にある温室に行って薬を取って来るといいよ。キヌに案内させるから」
「温室に薬があるの?」
「うん。薬の元になる薬草。まあ木なんだけど温室にあるよ。その木から薬が取れるから、好きなだけ取ったらいいよ」
「ふぁ!良いの?父様ありがとう~♡」
「好きなだけ?良いのか?それはありがたい」
ムクロさんも喜んでます。
わたくしも嬉しいですよ!
「では、妾は、今宵も竜宮に泊まり、明日は、薬草を取りを楽しませて貰おう。今日のちょうちん草大会も初めての出場であったが、なかなか楽しかったぞ。明日も楽しみだ」
その会話で、わたくしはちょうちん草大会の事を思い出して、父様に詳しく話します。
「そうそう。今回のちょうちん草大会はね、凄かったんだよ父様。ファイのちょうちん草の実はとても大きくて、エンラ様のちょうちん草は、すごく綺麗で、春眠様のちょうちん草は一瞬で育って、皆同点優勝だったんだよ!」
「へぇ~」
父様は大会には興味が無くて、素っ気ない返事です。
ファイは、父様に使えている精霊だし、春眠様は、父様の親友で、エンラ様は、甥なんだから、優勝を喜んでも良いと思いますけどね。
そしてさりげなく、大会の話題から逃げようします。
「さてセリ。もう寝る時間だよ。このまま部屋に行こう」
「まだ眠たく無いですよ!」
「ダメ。明日は薬草を取りに行くんだから早く寝ないと……」
そう言われると、わたくしは逆らえません。
「は~い。じゃあ。わたくしはこれで失礼します。ね。ムクロさん。明日はよろしくお願いします」
そう挨拶すれば、ムクロさん挨拶します。
「こちらこそ、よろしく頼む」
こうして、父様に抱っこされたまま、わたくしは、部屋へと戻ります。
明日は、美肌の薬草取りが楽しみですね。
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明けましておめでとうございます。
仕事が忙しく更新が出来なくて申し訳ありませんでした。
少しづつですが、仕事も落ち着いて来ましたので、期間を開けずに更新頑張ます。
今年も、よろしくお願い致します。
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