205話
「これはこれは、セリお嬢様。この度は、私の株を高く評価して頂きありがとうございました」
「ふぇ?」
聞き覚えのある声に振り返れば、春眠様が立っていたのです。
わたくしは驚き立ち上がり春眠様の方に駆け寄ります。
「春眠様、どうしてここに!?」
「ふふ。大会が気になり来てしまいました」
そう笑顔で『しれっ』と答えます。
(そこまでちょうちん草大会に情熱を注いでいるんだから凄いですね~)
その後ろには、冬厳様が呆れた表情で頭を抱えて立ってます。
「はぁ~。結果もわかったし、そろそろ地上に戻ってくれないか?春兄」
冬厳様にも、春眠様を完全に止めるのは無理でしたか…。
更には、もう一人聞き覚えのある声が、別の方からしましたよ。
「おや、春眠さん貴方も来て居たのですか?地上の季節は春ですから、不参加かと思っていました」
今度はエンラさまの声です。
そう言いながら、こちらのにやって来ます。
「え?エンラ様どうしてここに?!お仕事は大丈夫なの?」
わたくしは、エンラ様の登場にも驚きましたよ。
「はい。結果が気になり、少しだけ休みを貰って来てしまいました」
更にファイもやって来ます。
「あ、少しいいか?」
戸惑いながらも、わたくしに声を掛けて来ます。
「あ、うん。ファイ、どうしたの?」
「ああ。今回の事で改めて礼を言いにな。あんたかの助言のお陰で、オレは覚悟を決められた。この優勝はあんたがオレの背中を押してくれたお陰だ!本当にありがとう。そのこれはつまり礼だ」
そう言って、強引に、わたくしに箱を渡します。
箱を開けるとそこには、素敵な髪飾りが入っていたのです。
「わぁ!素敵な髪飾!これを、わたくしにくれるの?」
突然の事に驚いて、わたくしはファイに確かめる様に聞きます。
「///お、おう。つまらない物だが貰ってくれ//」
「ありがとう。ファイ」
そんな、わたくしとファイのやり取りは、春眠様とエンラ様にバッチリ見られてしまいます。
「おや、セリお嬢様はファイ殿に助言を?」
いや〜それはファイの完全な勘違いなんですけどね…。
もしかして、春眠様やエンラ様、わたくしがファイを贔屓したとか思ってしまったんでしょうか!?
(まあ。多少の贔屓はあるかもですが……。なんとなくファイって放って置けないんですよね~)
気まずい雰囲気に困っていたら、エンラ様がとんでも無い提案を、わたくしにして来ます。
「セリさん。冥界にいらした時は是非、私のちょうちん草を見学していって下さい。そしてお母様のリアさんと一緒に私のちょうちん草料理を是非、召し上がっりなが楽し一時を過ごして下さいね」
(ふぁ!わたくしの母様と一緒に?それは楽しみですね。でもそれって、明らかに下心ある接待って感じですよね~。エンラ様。悪い大人ですね!)
更に春眠様までもが、わたくしを甘い言葉で誘惑します。
「な、ずりぃー!いや、セリお嬢様、天界に来た時は、是非、我が家にもお越し下さいね。その時には、私の自慢のちょうちん草を見て頂いたいものです。我がやの精霊達が手塩に掛けて作った美味しい、お菓子も沢山御用意して、お待ちしてますね」
2人共、笑顔ですが、ものすごい真剣さと圧が伝わって来ます。
もうこうなると、もうエンラ様のお誘いも春眠様のお誘いも簡単にはお断り出来ません。
わたくしちょうちん草に関しては本当になんの役にも立たないんですけどね…。
「えっと……ありがとうございます。機会がありましたら見せて貰いますね。ちょうちん草…」
そう無難に返事をします。
そうして、2人は表彰式の前に帰ってしまいましたよ。
(ふぅ一時はどうなるかと思いましたが、本当に、結果だけ見に来たげなんですね)
こうして、ちょうちん草大会は無事に終わったのです。
今週もありがとうございました。
現在、仕事が大変忙しく書く時間が取れませんので、来年1月半位まで、不定更新になります。
申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。