204話
さて、ムクロさんの次は秋風様だから驚きです!!
「お待たせいたしました。こちらも優勝候補、春の神春眠様の代理で参加される、秋の神 秋風様の登場です」
そう紹介が終わると柔らかな風と共に、秋風様が登場します。
秋風様が、一歩、また一歩と歩く度に、紅葉の葉が舞い散り、舞い落ちた紅葉の葉で道が出来ます。
以前、春眠様が歩く度に、植物が芽吹きましたが、それと似た現象で、とても神秘的です。
(ふぁ~。綺麗ですね~)
ちょうちん草は配下の精霊さんによって運ばれて来ます。
秋風様は艶やかな、赤い紅葉柄の着物に、髪を結い上げて、大きな菊の花の簪をさして登場です。
そして会場からは夏炎様の応援の声かを響きます。
「秋風!!頑張るでござるよ!!」
その声援に秋風様は、ちょっと顔が赤くなり恥ずかしそうですね。
でも直ぐに、いつもの優しい表情に戻り秋風様は、ちょうちん草にかけられて布を取る様に指示を出します。
「兄のちょうちん草を皆さまにお披露目してください」
精霊さん達は指示の元、ちょうちん草にかけられていた布が、そっと取り払われると、現れたのはただの緑の葉の普通のちょうちん草です。
そして何より驚いたのは、小さな実しか付いていない事です。
間違いなく未熟な実で残念ながら高得点は狙えそうにありません。
それは素人の、わたくしでも何となく理解が出来ます。
皆が、その出品された、ちょうちん草に困惑していると、秋風様は動揺する事も無く笑顔で言います。
「今回、大会の開催が遅れた事で春兄様が選んだちょうちん草は、わたくし達、神の神通力を養分にして育ち、一瞬で成長する新たな品種のちょうちん草ですわ」
そう言うと秋風様の手から赤い光が現れます。
あの赤い光は、秋風様の神通力でしょうか?
その光がちょうちん草、全体を包むと小さかった、ちょうちん草の実は一気に大きく膨らみます。
そして実も葉も紅く色付き、それは見事なちょうちん草が目のに現れたのです!
「改めてお披露目致しますわ。こちらが春兄様の作った、ちょうちん草。名を『ちょうちん草、秋風』ですわ」
秋風様の手によって、紅く美しいく実の大きなちょうちん草が、たった今、目の前で作られたのです。
(秋風ってことは、春風とか夏風とか冬風とかも有るんですかね!?あるなら見て見たいですね~)
この目の前で、いきなり変化して完成した、ちょうちん草の登場に会場は驚きに包まれます!
前回の春眠様もの演出も凄いですが、今回もこんな演出が出来るとは本当に凄いですよ。
(秋風様もちょうちん草に合わせて、赤い着物。ムクロさんといい秋風様といい、皆さん本当に今日は気合いが入っていますね…)
「そ、それでは、審査員の皆さま得点をお願い致します」
「10点、10点、10点、10点」
「出ました!再び最高得点!!」
ですよね~。
この結果には、やはり納得です。
「では、審査員の皆さま一言お願いします」
「ファイの保存技術も素晴らしいが、こちらの成長を自在に操っる神の力とそれに対応出来る株を産み出したのには感服いたしました。改めて神の偉大な力を畏敬の念を感じざるおえない」
キシルの言葉からは尊敬の念が感じられます。
「自然の力さえも操る力、そしてその力で唯一無二のちょうちん草が目の前で誕生した事にとても驚かされました」
「目の前で、ちょうちん草が変化したのに驚きました」
「今回、未完成の株を持って来て、目の前で完成させる。その演出力、そして株の完璧な完成度、神通力を養分にして育つ、新しい品種の発表。とても素晴らしかったです」
満場一致ですね。
「ありがとうございました。ちょうちん草を完全に成長させる為に、必死で練習したかいが有りましたわ」
そう秋風様は嬉しそうに言い一礼して舞台を去っていきます。
春眠様も努力家ですが、秋風様も努力家ですね。
今回の得点は、春眠様と秋風様2人で力を合わせて頑張った努力の結果ですね。
それにしても高得点が3人も出て仕舞いましたね。
この場合、3人が同点優勝になるんですかね?
今回は大会開催前から色々と有りましたが、大会の結果は凄かったですね。
その後は残念ながら大会は盛りがに掛けたまま終わってしまいます。
そして大会が終わり表彰式の準備が進みます。
わたくしは、また表彰式で授与をやる事になってしまいましたよ。
その表彰式がはじまるまで、少しお休みを頂きます。
会場に設けられた休憩室で休んでいれば、そこへ聞き覚えの有る声しましたよ。