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神の娘  作者: アイ氏
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203話

以前と同じ様に、まずは、キシルから答えて行きます。


「ちょうちん草のそもそもの原点は食料だ。その実を長期縮まない状態で保存、巨大化させる技術は、大変素晴らしい。また実の状態も良い。目の張り、鱗の艶、鳴き声、どれも素晴らしい出来だから、この点数は、その評価だ」


ふぁ、あの無口なお兄さんが沢山喋ってますよ。


これは凄いですね。


次はキヌの番ですね。


(キヌは、なんて言うのかな?)


「キシルさんの、お答えと同じですが、やはりちょうちん草は食料ですから、この様に、大きな実、そして長期保存技術は、素晴らしいと思います」



ふぁ!キヌも同じですか……。


(まあ、ここはわたくしも同じ様に答えしか無いですよねー!)


次はわたくしの番です。


ドキドキして来ましたよ。


「えっと、ちょうちん草の実がとても大きくて凄いと思います」


う~ん。わたくしは、やっぱりこんな事しか言えませんね。


そして最後にユジンが喋ります。


「ちょうちん草の実の大きさ、出来の良さ、そして大会開催延期と言う、予想外の出来事にも関わらず、それを見事に利用して、新しい技術を生み出し成果を上げたこと、全てが素晴らしいと思います…」


ユジンが最後にまとめてくれます。


もう本当に、ユジンが解説すれば、わたくしの感想とかは、必要が無いんじゃないですかね?


そう思いますが、まあ良しとしましょう…。


そうして最初から最高得点が出てしまったのです。


この最初から最高得点は、当然他の出品者に、重くのしかります。


次の人は可哀想な位、元気がありません。


そして大会延期の影響なのか、ジェノの言った通り、ちょっと小さな実のちょうちん草や、縮んでしまった張りの無い実のちょうちん草もちらほら出てきます。


キシルもキヌもユジンも、厳しく審査をする為か、得点が全体的に辛めで、大体わたくしだけが高い得点を出して浮いてしまいます。


そしてドンドン審査が進んで行きます。


いよいよ7番でムクロさんの登場です。


エンラ様のちょうちん草が楽しみですね。


そう思って、ワクワクして待って居たら、どこからともなく舞台に輝く様な光が射し込み、そして地獄で香ったあの甘い香りが会場全体に漂います。


輝く様な光を身に纏い、白、一色の着物に美しく金で作られた装飾品で着飾ったムクロさんの登場に会場の目は釘付けです。


(ふぁー!あの輝く光もムクロさんの技なんですかね?)


舞台の真ん中まで来ると、美しくお辞儀をします。


司会者も大会の進行も忘れて、すっかりムクロさんに見惚れてポーとしてますよ。


この司会者の様子に、わたくしは、またユジンが操れて無いか心配でユジンをチラ見します。


ユジンは至って冷静な感じで安心しましたよ。


ユジンも、わたくしの視線に気が付いて小さな声で話してくれます。


『大丈夫です。姫様。あれはムクロの技ですが、操つる技では無くて演出の様なものですから…』


そう言ってわたくしを安心させてくれます。


ユジンは冷静ですが、司会者は完全にムクロさんに魅力されてしまった様です。


(司会者は、人魚さんなので神器の影響は無い筈なんですが…)


未だに大会の進行も忘れてポーして立っていますよ。


そんな司会者にムクロさんが一言、声を掛けます。


「審査をよろしく頼むぞ」


すると司会者は思い出した様に、ムクロさんの紹介をします。


「あ//大変失礼致しました。それでは改めて、冥界出身、鬼神エンラの代理として参加となりました。冥界神ムクロの登場です」


改めてて司会者の紹介が終わると、ムクロさんは、ちょうちん草を運んで来た部下に命令します。


「うむ。それではちょうちん草の布を上げよ」


そう言って、ムクロさんは軽く腕を上げるます。


御披露目された、ちょうちん草は、以前エンラ様が出品した白子(アルビノ)のちょうちん草ですが、今回は尾ひれも長く美しく、葉も白い斑が入りちょうちん草自体の統一感と優雅さがあります。


まさに完成された芸術品を見せられている感じかします。


更にムクロさん着物とちょうちん草の色も一体感も、あり全てが計算された演出なのか本当に凄いですね。


「ここれは素晴らしい。それでは、水をお願い致します」


ムクロさんは、部下から水の入ったバケツと柄杓を受け取ります。


「自参した。地獄の水を撒かせて貰うぞ」


そう言うと、やはりあの赤い水が入っています。

前のわたくしは、その水の色に驚きましたが、今回は、温泉の水だと分かっているので平気ですよ。


そして柄杓から、優雅に水が撒かれると、ちょうちん草は、いき良い良く不気味な声を上げます。


その鳴き声にムクロさんは、満足そうな表情を浮かべ、ちょうちん草を見ます。


全てをやりきった感じが伝わってきますね。


そして司会者が、わたくし達に点数の表示を促します。


「ありがとうございます。それでは、審査員の皆さま得点をお願いします」


「10点、10点、10点、10点」


「再び出ました!満点です!」


(ふあー!満点!やはりこのエンラ様のちょうちん草も凄いですよね!)


その点数にわたくしも納得ですよ。


「それでは、審査員皆さま一言お願いします」


「今回の大会延期の影響にも関わらず、これ程素晴らしい株を出品してきた、エンラ様の技量は素晴らしいとの一言だ」


とキシルが褒め称えます。


「これまで発表されて来た品種を掛け合わせて、その全ての良い部分を集合させた、ちょうちん草は素晴らしい出来だと思います」


キヌも好印象ですね。


「エンラ様のちょうちん草は、綺麗で良いと思います」


わたくしは、もう開き直って思った事をただ言います。


そして最後にユジンがいい感じに纏めてくれましたよ。


「今まで作出された品種を使って、新たな品種を作り出した技術。そして、この株の完成度、温故知新の言葉がぴったり当てはまる見事な株です」


この結果にムクロさんも納得の表情を浮かべて、最後に、わたくし達に向かって一言返します。


「ふむ。審査員の方々には、高評価を頂き感謝する。妾も代理としての責任を果たせて安堵した。ではこれにて失礼する」


そう言ってから一礼してヒラリと身を翻し華麗に舞台を下りて行きます。


いや~。ムクロさんに最後まで、皆が釘付けにされましたね。



今週もありがとうございました。


最近になって夏の疲れが出たのか、体がダルくて何と無く調子が悪い日々が続いてます。



皆さまもご自愛下さいませ。


ではまた来週もよろしくお願い致します。


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