196話
さて父様やユジンとのんびりお茶の時間です。
ユジンと食堂に行くと、そこには沢山のお菓子が並べられています。
「ふぁ!凄い!こんなに沢山の、お菓子を食べも大丈夫なの?」
いつもなら、カヤメが、
『姫様。そんなにお菓子ばかり食べは、体に良くありません』とか、
『お夕食が食べられ無くてなってしまいますよ!』とか怒られるのですが…。
「うん。好きなだけ食べてもいいよ。セリが疫病になった時に約束したでしょ?地上だと色々と周りが、うるさいしね。初めから竜宮で用意させるつもりでいたんだ」
(ふぁ!父様は約束を覚えていてくれたんですね~)
「わぁ~い♡ありがとう父様」
「後ね。セリいい加減、賢妙連を元に戻してあげないと可哀想だよ」
「あ!そうだ。えっと、けんちゃんは??」
確かに、冥界までは、一緒だった記憶があるのですが…。
「はい。これ僕が預かってるよ」
そう言って、刀のけんちゃんを渡してくれます。
「ありがとう。父様」
わたくしは、父様から受けとると元に戻します。
元に戻るとけんちゃんは当たり前ですか怒ってます?!
「にゃんー!主、酷いにゃ!!」
「えへへ…。ごめん。けんちゃん……」
わたくしは、いつもの様に笑って誤魔化し作戦です。
「にゃ…。あたい。主の笑顔に弱いにゃ…。可愛いから許してあげるにゃ」
「ありがとう。けんちゃん」
では改めてお茶にしましょうかね。
そうして落ち着いて注がれたお茶を見れば、いつもと違うお茶のようです。
そして少し赤味のある茶色のお茶からは、わたくしの大好きなバラの香りが微かに漂ってきます。
お菓子に合う感じはしますが、何のお茶かジェノに尋ねます。
「ジェノ。いつものお茶と違うんだね。このお茶は?」
「はい。姫様の病を癒した薬草から作った、お茶でござます」
「えー?あの苦くて不味い薬草から作ったお茶ですか~?本当に飲めるの~?」
一度飲んだ事が、ある身としては二度と飲みたく無いのですが…。
「ご安心下さい。実は奥様が冥府では主様の薬草を飲み易いくする改良方法が考案されて実用化していると教えて下さいました」
「へぇそんな方法があるんだね。竜宮では薬草を飲み易く改良とかして無かったの?」
「はい。残念ながら考えもしませんでした」
それはちょっと意外ですね。
「それで早速、冥府に改良方法を問合わせました。
この薬草も、その改良方法に乗っ取り、葉を蒸してから発酵させれると苦みが無くなり変わりに渋みや、とほんのりとした甘みがある薬草茶が出来ました。更に効能は、そのままで体内の穢れを浄化する薬効があります」
「ふぁ!それは凄いですね」
「上手く行けば、竜宮の新たな名産品になると皆が期待しております」
「皆に飲んで貰えると良いですね~」
「はい。左様でございますね。今回、竜宮は、あちらこちら爆発して建物が消し飛びましたから、どんどん稼いで修理しませんと」
「え?そんなに、鬼さん達が暴れ回ったんですか?!怪我人とかも沢山いるんですか!?」
確かに、わたくしが屋敷を脱出した時は街のあちらこちらから煙が上がっていまし…。
「いえ。私達、人魚の被害はありませんでした。ただ今回、鬼の撃退に私達が主様から頂いた爆薬を武器に使用した為に、建物に甚大な被害が出まして…」
「え?爆薬?!それってつまり爆薬で建物が壊れたって事ですか?ある意味自爆ですか?!」
「はい。まあ、そうとも言えますね…」
それは仕方ありませんね……。
「でも人魚の皆さんに怪我がなくて安心しましたよ」
「ありがとうございます。さぁ。どうぞお茶をごゆっくりお楽しみ下さい。お嬢様のお好きなバラの香りを付けたお茶でございます」
では早速飲んでみましょう。
「ふぁ~♡バラの香りが良い香りですよ♡」
口元近くまで湯飲みを運べば『ふんわり』とバラの香りが、わたくしを優雅な気分にさせてくれます。
そうして味の心配をしながら1口飲みます。
口の中は、あの強烈な苦味は無く微かな甘味と渋みが程よい相性で美味しいお茶です。
「うん。美味し~い♡」
「お口に合った様で安心致しました。それで、このお茶の名前ですが。お嬢様の名前を頂きセリ茶と名付けたく思います」
「はぇ?何で、そこでわたくしの名前が…?」
薬草を造ったのは父様ですし、父様の名前でも付ける方が良いと思うんですが……。
「はい。こちらは、主様が、お嬢様の為に造られた、特別な薬草ですから、これ程、相応しい名前は他に無いと考えます。また薬草の名前もセリ草と付けたいと考えております」
こういう時、自分の造った動植物が一般に広まるのを嫌がる父様が反対してくれるか、もしかして『消す』って言ってくれるかもと期待して、父様を見ますが反対する様子は全然ありません。
それどこらか、ご機嫌でジェノの命名に賛成します。
「うん、うん。良い名前だね。僕もセリ茶が良いと思うよ。この薬草は、僕にとっても特別大切な薬草だから、沢山増やして、そして絶対に枯らしたりしないように注意して管理してくれ」
その上、念を押して大切に管理する様に命令まで……。
一体どうなってるんですかー?!
わたくし当てが外れて、びっくりですよー!
静かに話を聞いていたユジンも賛成します。
「私も良い名前だと思います」
「にゃ。主の名前のお茶なんて最高にゃ!」
人魚の皆さんや、ユジン、けんちゃんにも賛成されると、わたくしだけ反対はしずらいんですよね~。
まあ仕方ありません。
ここは、わたくしが大人になって譲りましょう。
(本当は、恥ずかしいので止めて欲しいのですが//…)
「皆さんが賛成なら…。わたくしは、別に…。じゃあ。この薬草はセリ草で、このお茶はセリ茶ですね」
「はい。お嬢様」
この、わたくしの名前が付いた、お茶が後に『トホホ』な事になるとは、わたくしは、この時はまだ知らなかったのです。
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