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神の娘  作者: アイ氏
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193話

ー竜宮ー


冥界の神や鬼達の襲撃を全て片付けて、セトは冥界の門から屋敷に戻っていた。


「ジェノ。冥府から何か連絡は?」


「未だに御座いません…」


竜宮の襲撃は、あっさりと解決したが冥界の神々の争いは、そう簡単には解決は出来ないようだ。


荒神シドウから、リアを取り戻すも、未だに、リアを冥界に帰す手段は無く焦りだけがつのる。


かつて、地上を穢れで満たす為に、日月星の呪いは未だに、地上を蝕んでいる。


この竜宮は異界だが、日月星が統治していた頃、地上と竜宮は敵対していた事もあり、その呪いは竜宮にも強く影響しているからだ。


同じ異界でも、冥界や桃源郷は、神木の桃達によって守られ穢れの影響はほぼ受けて無い。


また天界は、天主アマテルの強い神通力によって守りていた。

竜宮だけが、地上に最も近い環境なのだ。


「どうやら手こずって居るみたいだね…。、このままでは穢れに当てられてリアが『咎落ち』してしまう……。非常に不味いな…」


「はい。ですが、我々には冥界の門を開ける事が出来ませんし……。遥か昔に掛けられた邪神の呪いをはね除ける事も出来ません…」


「せめて何か出来る事は、冥府に戻れるまで、時間を稼がないと…。あ、そうだ!セリの疫病を治した薬!竜宮に送った薬草があったはずだ」


「お嬢様、お気に入りの薬草でございますか?

あれでしたら竜宮で大切に管理しております」


「神が放った強力な邪気や呪いを浄化する。あれなら、効く可能性がある」


「直ちに用意致します」


そう言うと、ジェノは慌てて部屋を出るのだった。


◇◇◇


部屋で眠っていたリアは目を覚ました。


「う~ん……。えっと、ここは?」


ぼんやりとしていたら、不意に聞き覚えが声がする。


「目覚めたかい?」


声の方を見れば、そこにはセトの姿があった。


「え?!……夢よね……。私、寝ぼけているのかしら」


そう、考えて頬をつねるも痛みを感じる。


「あはは。夢じゃないよ」


そう言って、リアの手にセトは、手を重ねてくる。

その温もりが伝わり現実である事をリアは理解した。


「どうして冥府に?!まさか、陛下も亡くなられたんですか?!」


だがリアは、今自分が置かれている状況がまるで分かっていなかった。


「神である僕に死はないよ…。ここは竜宮だよ」


「え?り、竜宮?!竜宮なんですか?私どうして竜宮に?」


「君は荒神や鬼達に無理やりここに連れてこられたんだよ」


リア落ち着いて、冥府に居た時の事を思い出す。


「そういえば甘い香りがした途端に、そこで記憶が無いんです……」


他にも、リアは色々と思い出そうと考え込んでいた。


「無理して、怖い記憶を思い出さなくてもいいよ…」


そう言って優しく手を伸ばしたが、リアの顔色は恐ろしい程に青白い事に気が付いた。


「再開の余韻に浸っている場合じゃなかったね!リア。用意した薬を直ぐに飲んで。このままでは、君の体は穢れに蝕まれて、どんどん妖化してしまう」


リアの体は変調を来している為か、肌の色が酷く青白い。


そして体からは邪気が感じられた。




「はい。分かりました」


差し出された薬をリアは、素直に飲んだが、薬を飲みだすと、突然リアが苦しみだす。


「大丈夫か?!」


その様に、今度はセトが慌てる。


リアは飲み終わると、すまなそうな表情で話す。


「…申し訳ありません。その薬が、とても苦くて……。でも、もう大丈夫ですわ」


明るい笑顔で、そう答え、肌の色も段々と血の気が戻る。

その様子に薬が効いた事がわかる。


「それなら良かった…!薬が効いた見たいだ」


そう言うと、力が抜けた様に隣に座ってリアにより掛かる。


「あの//ご気分でも悪いのですか……」


「うん…」


「まぁ!それは大変ですわ!今すぐに誰か呼んで参りますね」


「いや、リアが抱きしめてくれたら治るよ」


「まあ//それはどういう病気ですか//」


「リア不足病かな?」


「もう!陛下は、そうやって直ぐに私をからかってばかり…」


苦情を言えば、反省の様も見せ無い上に抱きしめられる。

そんな出来事にリアは、少し慌ててながらも、そっと抱きしめ返した。


それから、セトがポッりと呟く。


「それにしても、この薬で妖化一時的にでも抑えられるなら、竜宮で親子3人で暮らしたいな…」


その呟きは、リアには驚きの言葉で、慌てて聞き返してしまう。


「3人って、もしかしてセリも、ここに居るのですか?」


ずっとどうして居るか、心配だった娘に会えるかも知れないリアの胸は、その期待で一杯になったが、


「あ!いや。セリは竜宮と冥府とのゴタゴタに巻き込みたく無いから、安全な王宮に帰したんだ…」


そう聞いて、リア、少しがっかりした表情を浮かべたが、直ぐに気を取り直し納得する様に答えた。


「そうですよね…。あの子が危険な目に合ったら、大変ですもの」



「でもこの問題が解決して、冥府と連絡が取れたら交渉するよ。そうすればセリにも毎日でも会えるよ」


「はい。楽しみですわ。あ、あの子が病気になった聞きました。今は元気にしていますか?」



「うん、大丈夫だよ。ただね。その病気の後に、あの子は誘拐されてね。その上、その疫病を撒き散らした神を助け様と危険を承知で助けを求めて来た別の神に協力したりと、ちょっとムチャをするから困るよ」


「まあ、でも、誰かを助け様とするなんてセリは優しい子に成長してくれて安心しましたわ」


リアは娘の成長を喜ぶ様な優しい表情を見せる。



そうして色々な話をしている内に楽し時間は過ぎていった。


そして部屋の外からジェノの声が掛かる。


「……失礼致します、冥府より連絡がありました。こちらにエンマ様が直々にお目見えになるそうです」


「わかった」



そうして冥府の一行が竜宮へやって来た。





今週もありがとうございました。


セリの暑さに弱い設定は、そのまま私の体質でして、今年の夏は暑くて不眠も重なりバテバテです……。


未だ暑い日が続きます。


皆様も、ご自愛下さいませ。


また来週も、よろしくお願い致します。


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