183話
父様が、思い出した様に驚きの爆弾発言を投下したのです!!
「あっ!そう言えば、セリの宮殿の人間は、全員、誘拐を防げなかった罪で牢に入れたんだった」
「ふぁー!!父様、なにしてるんですかー!!今すぐに皆を牢屋から出してー!」
わたくしは必死に訴えます。
父様はちょっと困った顔になりながら答えます。
「えっと…。あー、今日はもう無理かな…。もう夜だし。行政機関も止まってるから…」
「わたくしが誘拐されたのは事実だけど、カヤメ達では、アシア様に抵抗するなんて無理だから!不可抗力ですよ!カヤメ達は、何も悪く無いよ!それなのに牢屋に入れるなんて酷いー!」
「ごめん。ごめん。明日には全員釈放するから、取りあえず今日は、僕の宮殿に…」
「もうー!!明日、朝一番で絶対に全員釈放ですよー!約束ですからね」
「わかってる。約束する。だからご機嫌を直して……」
父様とわたくしの話を聞いて、けんちゃんは窓から外に出ようします。
「にゃー。主、あたいが、カヤメ達の様子を、見て来てあげるにゃ!安心するにゃ」
けんちゃんは、そう言って去り、わたくしと父様が部屋に残ります。
「えっと…」
わたくしが、とても怒っているので、気まずいのか、話題を変える様に父様が別の話をします。
「それにしても、セリの着物姿は可愛いね。そんな格好をしているとリアを思い出すよ」
そう言ってご機嫌を取ろうとします。
正直、この仮装の様な格好を可愛いと言われても複雑です…。
でも、それ以上に母様、見たいと言われたのが、びっくりなのですが…!!
「はい?? か、母様みたいって。母様は仮装が、趣味なの?」
(まさかの白桃様と同じ趣味?!
しかも自ら仮装して楽しむ派ですかー?!)
「うん。よく、お仕着せ着て王宮の中を好きに歩いていたよ」
そう笑顔で答える父様。
わたくしは、その衝撃に、まともに返事が出来ません。
「そ、そ、そ、そうなんだ……!ち、ちょっとびっくりですよー!母様ってお姫様だったて聞いてたから…」
お姫様が仮装趣味とか聞いたことありませんよー!
「あー。まあ、そうだね。リアも一応は、小さな国のお姫様だったね。リアは、お仕着せ着て自由にしているのが、生き生きしていて一番似合っていたかな?」
「ふぁ!!似合ってたって…!」
『あ、でも所作はとても綺麗で、そんな所は、お姫様ぽかったね//』
わたくしは、父様の言葉に衝撃を受け、最後まで父様の言葉が耳に入りません。
(仮装して、王宮を……!そして父様はそれを公認たなんて…!両親のとんでもない趣味を知ってしまいましたよ!これは驚きですね!)
父様は、お子ちゃまで暴君で、母様には、仮装の趣味が……。
そんなハチャメチャな両親から、どうして、わたくしの様な、まともな子が生まれたか不思議ですね…。
この話が、わたくしの誤解と分かるのは、もう少し先の事になるです。
◇◇◇
そして暖かい春になり、わたくしは無事に6歳になりましたよ。
疫病は父様の言った通り、少しづつ消えて、いつもの日常が徐々に戻ってきました。
そんな、ある日、わたくしが1人で部屋でのんびりしていたら、突然『リーン』と鈴の音がして、萬福さんと幸福さん、そしてアシア様の神器が現れたのです。
「セリさん。突然、お邪魔して申し訳ありません。改めて兄と一緒にお礼に来ました」
幸福さん達と一緒に現れたアシア様の神器の虎さん達が、風呂敷にくるまれた大きな木箱を一つずつ咥えてます。
「幸福さん!萬福さん!いらっしゃい」
突然の登場にびっくりですが2人に、また会えるなんて嬉しいですよ。
幸福さんは、虎さんから、箱を受け取ると、机に置いて、木箱を、開けると中には、一つ一つ丁寧に紙に包まれた桃が沢山入っていたのです。
「これは、お礼もかねたお土産です。白桃様の桃ですよ」
「ふぁ!!沢山の桃。ありがとうございます」
白桃様の桃とても美味しんですよね。
わたくし、父様、ユジンでお腹一杯食べて数日はおやつに困らなそうです。
「いえ。お礼を言うのは、あたし達の方ですから。
それから、あたし達また地上で暮らす事になったので、よろしくお願いいたしますね」
「え?また地上で暮らすの?」
萬福さんが申し訳なさそうに口を開きます。
「うん。あれから幸福や桃源郷の皆と色々と話しあったんだ。そして、おいら達は、やっぱり福の神である以上、人々に幸せをもたらすが使命。
だけど前の様に直接人間と関わり合うのは混乱や人間の堕落を招くから辞めてただ見守る事にしたんだよ。それに時々は桃源郷にも帰ってアシア達にも近情を伝えて安心させるし」
「はい。今度は、あたしも兄に付いて行くことにしました。兄妹で一緒に人々の幸せを見守ります」
「見守るってどうやって」
「ああ、それならアシアが『物体造化』で作ってくれた姿を消す指輪があるんだ」
「姿を消す!?それは凄いですね!」
「この指輪を嵌めると…」
『ほら姿が、消えただろ?』
確かに声は聞こえますが、萬福さんの姿は見えません。
「ほんとだー!」
そうして指輪を外したのか姿が現れます。
(これなら本当に見守れそうですね…。でも声は聞こえるので、ちょっと怖い気もしますが…)
こうして、福神の兄妹は人々の幸せを見守る旅に出たのです。
そして裕福な商家や、幸せで笑いが絶えないお家では、不思議と誰も居ない部屋から、何故か子供の笑い声が聞こえると云う怪談の様な噂が広まり、神様が怪談になるなんて、わたくしも、びっくりしましたよ。
◇◇
更に、その日、来客が続くとえいば続くもので、今度はハフサが訪ねて来たのです。
ハフサは、わたくしと会うなり、とても喜びます。
「おお。姫様お元気そうで何より。疫病を患ったと聞いた時は大変、心配致しておりましたが、お元気な顔を見て安心致しました。主様もさぞ安堵された事でょう」
「うん。わたくしはもうすっかり元気だよ。心配を掛けてごめんね。それで今日はどうしたの?」
「はい。主様より依頼された。天国の桃が手に入りましたのでお届けに。姫様の回復に必要と聞いておりましたので、急ぎ姫様の元に」
「はぇ?!」
( そ、そう言えば、病気が治った後に父様が天国の桃を分けて貰うって話してましたね…すっかり忘れてましたよ)
「冥府のエンマ様も姫様が疫病を患った事を、とても心配され、そういう事情ならと有るだけの天国の桃を竜宮に送ってくださいました」
そこには、桃源郷でもらった量と同じ、いえ、それ以上に沢山の黄桃が入った箱があったのです…。
「あ、ありがとう。冥府の皆様にも、お礼とわたくしはすっかり回復して元気です。って伝えてね」
こちらから、天国の桃を頼んでおいて、今さら桃源郷で白桃を沢山貰ったから、やっぱり要りませんとは言えません…。
こうして、再び困った事態に陥ったのです。
今週もありがとうございました。
また来週日曜日の夜9時に更新予定です。
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