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神の娘  作者: アイ氏
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179話

わたくし達が神器を錬成が終わったのを見計らって、アシア様が声を掛けます。


「準備はよろしいか?ほな、いきましょか。萬福の所へ」


そう言うとアシア様も庭に出て来ます。


「東天光。西天光。神器錬成や」



「……」「……」



二頭の虎は体か光り、そして合わさって一つの道具に変化します。


二頭居るので、父様の神器の様に、それぞれ変化すると思っていたので、一つに纏まるとは以外でしたよ。



「鈴が沢山付いた道具??楽器??」


てっきり武器に変わるのかと思っていたので、ちょっとびっくりですね。


「神楽鈴や。自分の神器は武器ちゃいますのや。自分戦闘はからっきしで呪術専門やからな。この神器は、その呪術の威力を上げたり長い呪文の詠唱が必要な高等な呪術でも詠唱無しで発動させれる呪術具や。ほな初めますわ」



アシア様が舞でも舞う様に神器を天に掲げます。



「呪術式陣形展開」


わたくし達の地面が光り円形の陣が描かれ中に鈴の絵が浮かび上がります。


「空間移動呪術発動」



アシア様がそれを合図に神器を振ると鈴が『シャリーン』となり、一瞬、真っ暗になり再び明るくなると、見知らぬ森にいたのです。


◇◇


屋敷には、白桃と幸福が残された。


「皆さん無事に帰って来ますよね…?お兄ちゃんは、きっと正気に戻りますよね……」



「ああ、大丈夫だ!きっとうまくいく。オレ達は、それを信じて待とう。幸福」


「はい。白桃様」



◇◇



森に着いた途端に腐敗した様な、嫌な臭いが立ち込めます。



草木も、黒いカビに覆われて枯れていますし、土や池も黒く濁り澱んでいます。


酷く荒れた場所です。


「ふぁー?!臭ーい!これが穢れなんですか?」


初めて、わたくしも穢れを実感しましたよ。


わたくしは、余りの臭いに片手で鼻や口を押さえます。


もう片方の手で枯れた木に触れようとしたら父様が止めます。


「セリ!迂闊に枯れた木々に障ってはダメだ!穢れを貰って、また疫病になってしまうよ!」


「ふぁ!」


「僕の想像以上に酷い状態だね。アシア、冬厳、君達は大丈夫かい?」


父様も臭いの為に袖で、鼻や口を覆っていますが顔色はいつも通りで平気そうです。


「気分最悪ですが……。まっ、なんとか大丈夫ですわ……。今、結界でも張って穢れを少し遮りましょか…」



「セト殿もセリ殿も凄な。この穢れに満ちた場所でも平気とは」



アシア様も冬厳様も顔色が良く無いので、大丈夫と答えてすが、明らかに気分が悪そうです。



アシア様は、再び神器を天に掲げます。



「呪術式展開」



「残念だど、萬福は結界を張ってくれるまで待ってくれそうに無いね」



周りを見れば赤い着物を着た沢山の子供達に囲まれていたのです。


わたくしは、その姿に見覚えがあり、思わず声に出してしまいます。


「あ!わたくしの庭にいた迷子の子!」


「セリは、これを見た事があるの?」


「うん。わたくしの宮殿の庭で…。泣いてたか迷子かなと思って、わたくしが声を掛けたら、いきなり消えちゃったの…」



「なるほど、だから疫病に掛かったんだね。これは、萬福の憎悪と邪気が作り出した彼の分身さ。地上に散らばって疫病を撒き散らした者達だ」


「ふぁー!」


まさかそんな事があるなんて思いませんでしたよ!


『みんな苦しめー』『許さないー』


『消えちゃえー』そんな言葉を口にしながら襲いかかって来ます。



父様は、わたくしを抱き抱えて攻撃を紙一重でかわしてから襲いかかってきた分身達を蹴散らしていきます。


「ふぉー!ひゃー!」



紙一重で躱すのは凄いと思いますが、出来れば余裕を持って躱して欲しいですね。




目の前に攻撃が飛んできて、めちゃくちゃ怖いですよー!



父様も冬厳様も分身を切って消し去りますが、消しても消しても、分身は次々現れます。


すぐそこなのに萬福さんの封印の場所まで行けそうありませんし、浄化の技を放つ余裕もありません。。


「ここは私が引き受けよう。アシア達は、萬福の封印場所に行って浄化をしてくれ」


冬厳様は一人立ち止まり厳し顔でそう言います。


「危険ですよー!皆で!」


「心配はいらない。目的は萬福の浄化だ。それが成功すれば、この分身達も消え全て解決するのだから。その時間位は私1人でもなんとかなる!」


冬厳様は、子供の前に立ち塞がります。



『旋風刃』


冬厳様の神器から、強い風が吹いたと思ったら、それが刃となって邪気を切り刻みます。


『よくも!』『許さない』


そう叫びながら、冬厳様に襲いかかって行きます。



「こっちだ!!」


冬厳様は、大きな声で叫び1人囮になって子供達を、わたくし達から遠ざける様に離れて行きます。


「冬厳すまん。頼みますわ」


そうして分身の姿がわたくし達の前からいなく無くなります。


封印場所に付くと、父様に、おろしてもらって帯に差していた賢妙連を抜きます。


(お願い。浄化が出来ます様うに…)


そう神器に願いながら、刀を鞘から抜くと、あの時と同じ様に力が溢れて来ます。


アシア様から貰った腕輪のバラの色も青く変わります。


そして、わたくしは、あの時と同じ様に雨を降らせたのです。


『慈雨』


その言葉と共に光輝く柔らかな雨が降ります。



「やったー!成功ですよー!」



雨が穢れで覆われた森にも降り注ぎ、枯れていた草木も、再び、青々として生命力を取り戻していきます。


浄化成功ですが、これで無事に解決にはならなかったのです。

今週もありがとうございました。


また来週の日曜日の夜9時に更新を致します。


広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援いただけると書くモチベーションに繋がります。


よろしくお願いいたします

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