162話
『業鏡』ではキャラさんは、村で豪華な屋敷に暮らしてた様ですが、ここは深い森の中ですよね??
「あのエンラ様、キャラさんの村ってどこに?」
森の中に、村なんて見当たりません。
それに、村は『死星』が村人ごと焼いてましたよね?
それなのにキャラさんはお母様と村で暮らしていた明らかに矛盾します。
「さあ。『死星』が彼女に見せた夢でしょう。実際は、山奥でひっそりと隠れて、眠っていたのだと思います。『業鏡』は、死者の記憶している過去を写しますから、正確な出来事とは限りません」
「この森は自殺の名所で負の力が強い。沢山の彷徨える魂がいる。彼を咎人に変えこの森に自殺で訪れた者を襲わせ、更に穢れを増幅させる。『死星』が、力を蓄えてるのには持ってこいの場所です」
「自殺の名所!!」
(ひぇ~なんて恐ろしい場所!!)
「私は現世には余り詳しくありませんが。キャラさんの様な親を無くした孤児は、どうしても村の厄介者扱いになってしまいます。最悪は、人買に売られたりするそうです」
「そんな…酷い、お母様がないなら、わたくしの様にお父様と暮らすとか……」
「キャラさんは人間ですから、天界に入る事は無理です。それに普通の神は地上での生活の基盤なんて作れません。お金も稼げなければ、土地も家もありません。時々、地上に降りて来て娘さんの様子を、見るのが関の山でしょう」
「え?そうなの?」
父様は地上暮らしを満喫してますが…。
「はい。叔父上の方が例外です。それに叔父上には、穢れが、体に影響しない体質をお持ちの方ですから、地上での生活には支障はありませんが、全ての神が穢れに強い訳ではありません。現に、叔父上の妹のセナ叔母……いえセナお姉さまは穢れに弱く天界でしか暮らせ無い」
「今、明らかに叔母上って言おうしましたよね?」
わたくし、つい話を脱線させて、突っ込みを入れてしまいましたよー☆
「……この事はご内密に…」
「………そっか、わたくしが恵まれてただけなんですね」
「セリさん。貴方と同じ半神半人故に興味を持ったり同情する気持ちも分かりますが、『死星』は倒さねばなりません」
「それで『死星』を倒すって事はキャラさんはどうなるの?」
「……地獄に墜ちます。叔父上の神器の飾りには、父が作った地獄の転移させる呪法が組み込まれていて、頃合いを、見計らって、叔父上が死星や咎人達を、地獄の最下層に直接送り込みます」
父様もエンマ様の『便利道具』持ってたんですね~。
「でも『死星』は、消えないんでしょ??」
「はい。残念ですが……。ただ『死星』は
取り憑いた対象者がいなくなれば暫くは妖力を失い。活動が出来なくなります」
う~ん。それってつまりキャラさんだけが地獄に墜ちるんですよね?
可哀想です。
なんとか助けてあげられ無いですかね??
「取り憑いた『死星』だけを消すとかできないの??」
「出来ません。それほどに強力な呪いです」
(わたくしは、ただ黙って見ているしかないなんて……)
その時、結界を張る為に地面に差した、けんちゃんが光った気がします。
『主なら助けてあげられるにゃ。あたいが、力を貸すにゃ!』って言われた気がしたのです。
父様が、キャラさん、じゃなくて『死星』を追い詰めます。
「まあ、なかなか楽しかったけど、これで終わりにしょうか?」
「ふん★★この人間を地獄に送っても、アタシは消えないよ★★再び甦って、次こそは、アンタを葬るってやる★★」
「本当にしつこいね。まあ今回は終わりだね」
父様が、『死星』にトドメを射そうと構えます。
「ダメー!待って父様!」
わたくしは、咄嗟に地面に差して結界を張ってくれていた、賢妙連を地面から抜きます。
地面から抜けたと同時に結界は消えてしまいました!!
「セリさん!何を!?」
「ニャロメ!?」
「ギャーでありますよー!?」
戦いに集中していた父様も、わたくしのやった事に気づいて動きが止まります。
「セリ!!ダメだ!結界を解いては!」
(お願い!賢妙連、わたくしの神器、キャラさんを助ける為に、わたくしに力を貸して!)
賢妙連の刀身は強い光帯びたのです。
閲覧ありがとうございました。
また来週も日曜日の夜9時に更新予定です。
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