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神の娘  作者: アイ氏
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161話

わたくしが、『業鏡』から見た過去は、小さな山の麓の村で生まれたキャラの幼い頃の姿でした。


小さい頃から、野原を走り回る元気な女の子で、ちょっと、わたくしと似てますね。


だけど、お母様が亡くなった辺りから、キャラさんは精神的なショックにより喋れなくなり、そして生活は、一辺に変わってしまったです。



◇◇◇


村人は、ひそひそ話をしている。


「母親なくして可哀想だから仕方なく村に置いてやってるが……父親もどこの誰かもわかんねぇ子供だ」


「ああ、その上、ちょと器量はいいが、緑色の目に薄紫の髪で、その上母親が死んでから、まともに口も聞かなくて全く気味が悪り」


キャラの容姿は、ちょっと人間離れしているせいか、村人からは心良く思われてなかった。


元々母親と暮らしていた家を追い出され、今は村の外れの壊れそうな小さな小屋でキャラは生活していた。


キャラは、朝早くから夜襲まで、畑の手伝をして、僅かな食料を手に入れ、日々生きて行くのがやっとだった。


そんなある日、村近くの池が赤い色に変わると云う出来事があった。


村人達は、すぐさま集まって合議をした。


「池の主様が生け贄を欲しておられる」


「いつもなら、どこの家の子を差し出すかで揉めるが、村にはキャラがいる。助かったな」


「ああ」


そうして村人達は、キャラの家へと押し掛けてきた。



「キャラ、お前が生け贄に決まった。昔からの言い伝えだ。池が赤く染まった時、池の主様に生け贄を差し出さねば村は大いなる災いが起こり村の者は死んじまう。だから、生け贄に捧げて池の主様を鎮めにやいかん」


「………」


喋れないキャラは、顔を横に振り必死に抵抗の様子を見せた。


だが、それで村人は引き下がるはずも無い。



「今まで、可哀想だと思って情けで村に置いてやったんだ。少しは村に恩返しするのが筋ってもんだろがー!」


キャラは、村人に殴られ狭い土蔵にずっと閉じ込められた。

食事もまともに与えられず、土蔵で数日過ごした後、池に小舟で連れ出され、体を縛られたまま、足には重しをつけられ赤く染まった池に沈められた。


薄れゆく意識の中で、声を掛けて来たのが『死星』だった。


「ふふふ★★また人間達が、生け贄を捧げて来た★★人間ってのはどうしょうない生き物だね★★自分達が、助かる為には、平然と他の人間を犠牲にするんだから★★まっ!★★そのお陰で、憎悪、恨み嘆き、様々な負の力が穢れとなって、アタシの復活を助けてくれるから良いけどね★★」


湖の底にある黒い塊が、キャラを包み込む様にまとわり付く。


「おや★★神の混血の人間が手に入るなんてね★★アタシついてる★★」


そうして黒い塊は、キャラの意識へと入り込む。


(貴方が池の主様…?私をどうするつもり……?)


心の中でキャラは『死星』に話かける。


「さあ、どうしようかな★★で、アンタは、このままおとなしく死んでいいの★★」


(え?)思っても見ない問いにキャラは戸惑った。


「父親は、アンタが、こんな状態になっても助けに来ない★★村人からは、邪魔者扱いされて、日々貧し暮ら★★

最後は村の犠牲にされて★★良いことなんて一つもない★★

ねぇ~★★アタシが助けてあげようか?★★アタシと契約を交わすなら、アンタはこれからもずっと生きられるし、アンタを捨てた父親にも、アンタを犠牲にして楽しく生きてる村の連中にも復讐できるよ★★」


(復讐……)


「そう★★アンタを、こんな目に合わせた者達に復讐だよ★★アンタは何も悪く無い★★ミンナ神や他の人間達が悪い★★アンタは被害者なんだ★★それに、母親とまた一緒に暮らせるよ★★」



(お母様と?)


「そうだよ★★ずっと冥府に逝かずにアンタの側に霊となって憑いているよ★★」


そう言う、うっすらとした影の様な者が、段々と人の形に変わって行く。


母親の霊魂は、『死星』の力によって再び人の姿を取り戻した。


だがその表情はどこか冷たくて人の温もりを感じない。


「キャラ。復讐しておくれ。村人や私達を見捨てたお父様に」


「お、お母様?!そうよ……ね。私は悪く無いわ。みんなが悪い、この世を、正しい世界にしないと……」

キャラは、母親に会い再び言葉を取り戻す。



「そうそう★★じゃあ★★契約成立だね★★」


そう言うと、キャラの手の平に黒い刻印が刻まれて行く。


それと同時に、キャラの髪は真っ黒に染まり、表情は、邪悪なになりまるで別人の様に変わった。


「ふふふ★★ついに手に入れた、強い霊力を、持つ体を★★」


そうして、キャラは、『死星』へと変貌を遂げたのだった。


「大丈夫★★キャラ、約束はちゃんと守ってあげるから村人や父親にはアタシが、しっかり復讐してあげる★★」


そうして『死星』はキャラの村を焼き、村人達を次々と咎人へと変えた。


そうして村は、死人の村になりそんな事情を知らない、神の父親は村へとやってきた。



「待ってたよ★★まあ雑魚神だけど、神は神。消えてもらうよ★★でもアンタの娘のお陰で、こうして早期に復活できたし、特別に楽に消してあげる★★」


だが強い父親の抵抗に合い、父親は天界へと逃げ帰った。


「残念★★まだまだ、力を蓄えないと★★アタシは、少し眠るよ★★キャラ、その間、村はアンタの好きにして良いよ★★」


そう言うと『死星』は、村で一番立派な屋敷を用意した。


村人達は今までとは態度が代わりキャラに召し使いの様に侍る。



そして何より母親の姿が村にはあった。


「キャラ。会いたかった。また一緒にここで暮らしましょ」


「お母様……うれしい」



母親はキャラに優しく微笑む。


そうしてキャラは、豪華な屋敷で母親のと共に暮らしていた。


キャラは皮肉にも死星によって言葉を取り戻し、幸せな生活を送るのだった。






明けましておめでとうございます。


連載を再開致しました。今月は、お正月休みを頂いたので、その分を今日と明日の連続で合計2話の更新を予定しています。


明日も引き続きよろしくお願いいたします。


広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援いただけると書くモチベーションに繋がります。


今年もまた沢山の方に読んで頂ける様に頑張ります。


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