158話
一部の上位貴族や役人しか入れ無い場所。
宮殿に入ると直ぐに警備の兵がやって来ます。
「おい!ここはお前の様な小さな子供が入っていい場所では無い!今すぐ出て行きなさい!」
そう言って怒ります。
ですが、ここで素直に出て行く訳には行きません。
「あの、わたくし王女のセリです。父様に、じゃ無くて陛下にどうしても緊急の用事があって会いに来たんです。取り次いでください」
「嘘をつくな。姫様がいきなり、ここにお見えになるはず無いだろ!それにもし陛下に御用があられるなら使いを、よこされるはず自らお見えになる事はない」
ごもっともな意見ですが、今日は緊急なんですよー!
わたくし正真正銘本物なんですが…。
「それにな姫様は、それは愛らしいお顔で、清楚で可憐で、振る舞いもしとやかで、性格はお優しく慈悲深い、そして大変利発なお子様と聞いているぞ!どう見てもただのガキのお前とは違う!!」
(ハイ???ソレハダレノコトデスカ???)
この方、わたくしを完全に脳内で美化してますね~。
今のわたくしは庶民の着物を着ているし、転んだり泥が付いてたり、枝に引っ掛かったりして頭に葉っぱとか付いてて、結構ボロボロです。
脳内美化されてる上に、これじゃ確かに姫様には見えませんよね…。
髪も天界の不思議な紐で結んでいるから真っ黒だし
(でも今から戻って着替える時間がもったいないし)
「下働き子が、何の子供の遊か知らないが、こっちは暇じゃ無いんだ。今すぐ出て行きなさい!出て行かないなら牢屋にぶちこむぞ!」
こうなったら仕方ありません!!隙を狙って強硬突破です!
わたくしは、逃げ回りながら再び走り父様を探します。
「コ、コラー!まてー!」
(父様はどこに?)
ちょこまかと必死に逃げ回りますが所詮はお子ちゃま。
また捕まってしまいます。
その上、今度は腕を捕まれてそのまま、体を持ち上げられます。
「きゃー!イタい!放してー!」
「このまま、つまみ出してくれる!」
わたくしは、なんとか逃れようと必死に暴れますが、大人の男の人が本気で捕まえているので逃げられません。
そんな騒ぎを、聞きつけて沢山の人が集まって来ます。
その中には聞き覚えのある声が…
「一体、何の騒ぎ?」
(ふぁー!父様、発見です)
「父様!」
「セリ!何をしている!娘を放せ!」
あらら、父様、本気で怒ってますねー。
わたくしを捕まえいた警備兵さん顔が真っ青に。
「えっ?!陛下!ではこの汚い格好をしたガキが、いえお子様は本当に姫様で?!」
(ええ。そうなんですよ。本物なんです。せっかくの脳内美化してくださっていたのに美化を壊して申し訳ありませんが…)
「失礼致しました。大変申し訳ありません」
今度は、いきなり手を放されて尻もちを付いてしまいましたよ!
(イタタ)
う~ん。この警備兵さん恐ろしいさで完全に固まってますね。
「誰が汚い格好をしたガキ??君は死刑が希望な?」
世の中に死刑を、自ら希望する人はそうはいないと思いますよー!
「いえ、滅相ありません。お慈悲を。大変申し訳ありません。ご無礼お許しください~」
土下座して必死に謝ってますが残念ながら手遅れのようです。
「誰が、この者を捕らえよ!牢に入れておけ」
「ひー!お許しくださいー!!」
他の警備兵に囲まれてなお、必死に謝りますが容赦なく父様の命令で牢屋に連れていかれます。
(ごめんなさい。今は緊急事態だから無理だけど、後で必ず助けるからねー!)
わたくしは心の中で、そうお詫びして父様の方に顔を向けます。
父様も、心配そうにわたくしを見ます。
まあ、こんなボロボロ姿で娘が戻って来たら心配しますよね~。
「ユジン達と出掛けたんじゃないのかい?1人で来たのか??それにその姿は、一体何があったの?」
父様は、わたくしの髪から葉っぱを取ってくれたり泥を払いながら聞いて来ます。
「父様!!みんなが大変なの!呪いの星が現れて、沢山の咎人に囲まれてピンチなの!!だから、わたくし父様を呼びに戻って来たの!」
「なんだって!!そんな?!確かにそろそろ復活の時期だけどこんなに早く『死星』が」
「半神半人の女の子に憑いて、女の子の強い霊力を、取り込んだから普通より早く復活出来たって言ってた。お願い!!今すぐユジン達を助けて」
「わかった。ユジン達の所に行こう」
こうして、わたくしは父様を、無事に呼ぶ事が出来たのです。
(みんな無事でいてね!)
今すぐ父様と戻るから。
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また来週も日曜日の夜9時に更新予定です。
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