157話
ここで結界を張って身を守っているだけでは、みんなの役にはたちません。
(何か作戦を考え無いと…)
「そうだ!『お道具鞄』!!玉ちゃんの『お道具鞄』に『どこでも繋がる扉』があるよね?」
「ニャロメ??玉の『お道具鞄』に『どこでも繋がる扉』はあるニャロメ…でも玉の鞄はどっかに捨てられて、今は手元に無いニャロメ~」
「玉ちゃんの『お道具鞄』は向こうに落ちてたの。わたくし見たわ」
「ほんとニャロメ~?!良かったニャロメ~。玉、『お道具鞄』無くしたら始末書と減給ニャロメ~」
それは以外と厳しですね。
「わたくし『お道具鞄』取って来るね。『お道具鞄』の『どこでも繋がる扉』を、使って父様を呼んで来る!父様なら、みんなを助けてくれるはず」
「セト様なら確かに『死星』を倒せると思うニャロメ~。昔、『死星』を倒した方ニャロメ~」
「父様が?!」
「はい。先輩達から、そう聞いるニャロメ~。ただ『死星』は呪いで、生き物では無く、咎人の様に、地上から冥府に送って封印することは出来ないニャロメ。そしてエンマ様にもセト様にも解呪は出来なかった強力な呪いでニャロメ~。
ただ取り憑た者を倒し、宿主の力が弱まると一時的に呪いも力が弱まるニャロメ~。だけど『死星』は、また時が立つと力を蓄えて甦るニャロメ~。そろそろ甦る時期とずっといられてニャロメ。」
「そうなんだ。じゃあやっぱり父様を呼んで来るのが一番いいよね」
「結界の外に出るのは危険ニャロメ」
確かに危険だけどそれ以外方法が……。
「でも……他に方法がないし…」
わたくしが結界から外に出様としたその時です。
「姫様!待つであります!それならば我輩が逝くであります!!我輩、走る事には自信があるでありますよ!」
(逝くの字なんか違うような??)
ユキちゃんは、わたくしが止めるのも効かずに結界の外へと走り出してしまったのです。
「いざ突撃であります!!」
ユキちゃんは凄い速さで走ります。
(速い、流石うさぎさんです!!)
咎人達の攻撃を避け、追って来る咎人は全くユキちゃんの速さに追い付けません。
わたくし、ちょっと興奮して玉ちゃんと一緒に本気で応援しちゃいますよー!
「ユキちゃんがんばれー!!」
「ニャロメ~!」
そうしてユキちゃんは、見事『お道具鞄』までたどり着く事が出来たのです。
「今持ち帰るであります。ふぉぉー!」
ユキちゃんは、物凄い勢いで結界へ突撃して来ました。
「うぁぁー!我輩やったであります。怖かったでありますよー!」
「うん、うん。ユキちゃん頑張ってくれてありがとう!これで、父様を呼びに行けます。玉ちゃん扉を出して」
「はいニャロメ。?!…扉が無いニャロメ?!無いニャロメ?!」
そう言って、玉ちゃんは、次から次へと色々な道具を出して行きます。
扉もそうですが、小さな鞄に、こんなに沢山のお道具がどうやって入っているんでしょうか?
不思議です。
「!!あったニャロメ!!」
こうして、『お道具鞄』から扉がてで来ます。
わたくしは、扉を使って父様の所に向かいます。
「姫様、我輩達が人間に見られると、色々厄介なので、お供は出来無いのであります。後は託しましたでありますよ」
「よろしくお願いいたしますニャロメ~。エンラ様や縞先輩を助けて欲しいニャロメ~」
「うん。直ぐに父様を呼んで戻って来るから!」
そう言って扉を潜ると、そこは王宮の外れの庭だったのです!
(ウソ~!父様の居る宮殿まで凄く遠い!!)
『どこでも繋がる扉』は、大まかな場所にしか繋がらないって聞いてたけど、これは予想外です。
でも今はそんな事を言ってる場合ではありません。
急いで父様を呼んで来ないと大変です。
わたくしは一生懸命に走ります。
「きゃぁーー!」
急いでたので、足元よく見てませんでしたね……。
(イタタ。足擦りむいたちゃった)
再び転んだり、髪が木の枝に引っ掛かったり、ちょっとボロボロになりましたが、ようやく父様の居る執務室のある宮殿にたどり着いたのです。
(ここ、わたくし初めて来たんですよね…)
本来なら、姫とは言え、わたくしの様なお子ちゃまには入っていい場所では無い政治の場所です。
今はそんな事を言っている場合ではありません。
そうして、わたくしは緊張しながら宮殿の門をくぐったのです。
今週も閲覧ありがとうございました。
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