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神の娘  作者: アイ氏
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155話

見渡す限り深い森。


人影は全然、見当たりません。


「探している女の子は、本当にこの森の中にいるんですか?」


縞獅子さんが、わたくしの疑問に答えます。


「いますニャロメ。ただ『どこでも繋がる扉』は大まかな場所にしか繋がらないニャロメ。ここからは、これで詳しい場所を特定するニャロメ」


そう言うと、お道具鞄から新たな道具を取り出します。


出て来たのは小さな猫の、ぬいぐるみですね~。


どことなく、縞獅子さんを小さくした感じで可愛いですね~。


「『霊魂探索装置』ニャロメ」


縞獅子さんはぬいぐるみを手に握ったままの状態で、探る様に多方向に向けます。


そして、ぬいぐるみは一つの方向に反応します。


『ニャロメ!ニャロメ!』



その反応で縞獅子さんは、わたくし達を先導します。


「こっちにいるニャロメ」


黒雲に乗った縞獅子さんの後にわたくし達は付いて歩きます。


「この後は玉獅子(たまじし)も探さないといけないニャロメ」


「玉獅子??」


「後輩ですニャロメ。最初に派遣されたお迎え課の官吏ニャロメ」


縞獅子さんは、心配するように耳が下がります。


縞獅子さんに合わせる様にエンラ様も喋ります。


「そうですね。それにユキさんの行方も気になります」


(はい??何故ここでユキちゃんの名前が?!)


「あのエンラ様。ユキちゃんは冥府でお留守番しているんじゃないんですか?」


「いいえ。最初に使わした使者は、お迎え課の玉獅子さんです。ただ新人で今回が初仕事と言う事で緊張していたので、ユキさんに同行をお願いしました」



そしてエンラ様は、冥府での出来事を詳しく話してくれたのです。


◇◇◇◇


―冥府


時を遡る事、天界の新年の宴後。


「エンラ、地上にいる神の娘を冥府に連れてくる手配をいたせ…」

天界から、父の分身が戻ってすぐに仕事の話が初まる。


エンラは、その命令を聞きセリの事を思い浮かべる。


「父上。セリさんを冥府に連れて来るおつもりですか?今度こそ、叔父上との関係が取り返しのつかない事になりますよ」


「違う。セリでは無い。余が天界で会った別の神の娘だ」


異種族間に生まれたの子供は確かに存在するが、数少ないのでエンラは半信半疑で聞き返す。


「別の神の娘ですか?!」


「ああ。天界の宴で知ったのだが、人間を妻に迎え、子を儲け神が他にもいたのだ。詳しくは知らぬが、娘は人として生まれ亡くなったらしいのだ。今だ地上に魂が、さ迷っているなら冥府に連れてくる必要がある」


「なるほど…分かりました。鬼籍課に命じて詳しく調査いたします」


「うむ。頼んだぞ」


それから暫くして、鬼籍課の鬼がエンラに報告を上げて来た。


「エンラ様。お探しの半神半人の娘は、2ヶ月前に亡くなっています。名前はキャラ様とおっしゃって享年14歳。死因は、その…不明です。また、母親は、病気で娘が亡くなる一年以上前に亡くなっているのですが、こちらも冥府には来ていません」


「死因不明ですか……」


死因不明とされる事案は、大抵、人外の者が関わっている事が多い。


しかも詳細は本人に聞く以外、冥府で知る事はできない。


「取りあえず放置は出来ません。お迎え課の火車族を地上へ派遣します。手の空いている者を呼んでください」


そうして、エンラの元にやって来たのは、火車族は縞獅子より少し体が小さい白茶模様の猫だった。


「エンラ様お呼びですか?ニャロメ~」


「貴方は?」


お迎え課、火車族は鬼程、数は多くない、その為エンラはお迎え課の官吏の顔と名前はほぼ把握している。


だが、今回やって来た火車族は初めて見る猫だった。


「新たにお迎え課の官吏見習いに採用された。玉獅子(たまじし)ですニャロメ。今、先輩方は仕事で冥府を離れていますニャロメ。玉しかいないニャロメ」


玉獅子は、とても緊張していて耳を下げプルプルと震えている。


「そうですか……。では玉獅子さん採用になったばかりで申し訳ありませんがお仕事です。地上に行って、半神半人の娘をお迎えに行ってください」


「ニャロメ?!この初仕事は、玉には少々荷が重いですニャロメ。無理ですニャロメ」


玉獅子は、更にプルプル震え、丸い目から涙が溢れウルウルしだした。


「ふむ。では私の側近のユキさんも同行させましょう。ユキさんは地上生まれのウサギですので、地上に詳しい、見た目も可愛いので、二頭で行けば、半神半人のお嬢さんも喜んで冥府に来る気になるかもしれません。こちらとしては、なるべく手荒な事は控えたい。今回は、お道具鞄の便利道具の使用は極力控えて説得で冥府に連れて来てください」


「分かりましたニャロメ。頑張ますニャロメ」


「承知したであります」


「玉獅子殿。我輩ユキであります。よろしくお願いしますであります」


こうして、2頭は地上に行ったまま行方不明になってしまったのだった。


◇◇◇


「えっと?じゃあ、ユキちゃんも行方不明なの??」


「はい。猫とウサギのお迎えを喜んでくださると思ったんですが…」



いやいや、可愛い動物に釣られて冥府に逝く人はそういませんよー!


わたくしだって逝きませんし…。


エンラ様、時々考えがなんか斜め上ですよね~。


春眠様じゃ無いけど、ちょっと天然浮世離れしてて、冥府の坊っちゃんって感じがしますよね~。

閲覧ありがとうございます。


最近は仕事が忙しく、他の作品の更新が出来ず申し訳ありません。


神の娘は、来週も日曜日の夜9時に更新予定です。


よろしくお願いいたします。


またちょっとした小ネタですが、『神の娘』に登場する猫の名前に『獅子』が付けられていますが、私の大好きな観葉植物の『万年青(おもと)』の品種に獅子と呼ばれる品種があり、それが名前の由来です。


私は観葉植物が大好きで少しですが育ています。

万年青は、日本に古来からある観葉植物で私のお気に入りの観葉植物です。


万年青には様々な品種があるのですが、私は獅子系の万年青が大好きで、この獅子の万年青を見ると何故か猫をイメージしてしまい、それが作品の猫の名前の由来になっています。


獅子系の万年青は葉がクルっとカールしていてとても可愛いです。


興味のがある方は、おもと獅子で検索すると写真等も沢山出て来ると思うので調べて見てくださいね。



広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援いただけると書くモチベーションに繋がります。


また来週もよろしくお願いいたします。

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