147話
わたくしの母様が冥府で、こき使われているかも知れない。
とっても気になります。
「働いてはいる…。だが別に余が強要した訳では無いぞ。リア殿から申し出があったのだ」
ほぁ~!母様、亡くなってからも働くなんて凄いですね~!
わたくし、母様は天国で、のんびり暮らして居るのだとばかり思ってましたよ―☆
先程の話といい死者を働かせるなんて、冥府って一体どんな世界なんですかね??
「リアが?う~ん……彼女の性格なら、確かに自分から働きそうだね。じっとしてるの苦手だしね」
父様、普通に母様の話してます。
(あれれ?禁句じゃあなかったんですか??)
「父様、あの父様は…、母様のお話は嫌いじゃないの?」
「え?なんで???」
「だってー。今まで父様、母様の事なんにも話してくれないから…」
「あ!!まぁ確かにね。でもセリもリアの事を一度も僕に聞いて来なかったじゃないか。だから話す機会がなんとなく無かったね」
「それはね。父様は亡くなった母様の事が嫌いなのかなって思ってて、母様の事を聞いて、わたくしまで嫌われたら、どうしようって思ってて……、父様に聞けなかったの」
「リアは今でも僕にとって大切な人だよ」
「じゃあ、どうして母様は、わたくしを1人で生んだの?どうして王宮を去ったの?」
「それは…色々事情があって……でも別れたとか、そう言う訳では無いよ」
そこは詳しく話せ無いんですね~。
「それからね。リアは亡くなっていないし」
「え??」
父様が訳のわからない事を言い出しましたよ…。
「地上では、リアは死んだ事になっているし、魂は冥府に居るけど、リアは転生しないで冥府で待っていてくれてるし、リアの肉体は天界で眠っている。だから正式には死んで無い」
「母様が、天界に眠っている?天界にお墓があるの?」
「いや、そうじゃ無くて、本当に眠ってるんだよ。セリも夜は眠るでしょ。その眠ってるって意味、僕が作った不老不死の薬は、肉体に作用するから、魂が抜けてしまっても肉体は生き返らせられたんだ。けど魂が抜けてるから意識は無くて眠った状態のままなんだ」
「えー?!ホントに母様は生きてるの??」
「うん。本当は完全に生き返らせてから、セリと会わせ様と思ってたんだけどね…」
「完全に生き返らせるとか、そんな事が出来るの??」
「勿論、僕に不可能は無いって言いたいとこだけど、今回ばかりは薬では、なかなか難しくてね…。時間が凄く掛かるのは間違いない。これ薬よりも呪術の分野だと思うんだけど…」
そう言うとエンマ様の方をチラッと見ます。
エンマ様は、その視線に気が付いて返事を返します。
「何とかしてやりたいが、余には呪術の研究をしている暇は無い。呪術を得意とする神は複数おる。他を当たれ」
「う~ん。これは相当高等な呪術にあたるだろうからね。そう簡単に出来る神はいないよ」
「確かにな…。まあリア殿の魂は冥府で責任を持って預かっておる。これが余に出来る精一杯の事だ。後は自力で頑張るんだな」
エンマ様に言われて少しスネた様に父様は返事を返します。
「わかってるよ」
「いつか母様に会えるだよね!一緒に暮らせるんだよね?」
「うん。約束するよ。……ってセリなんで泣いて」
ふぇ~。何故か分からないど、涙が目から溢れて止まりません。
「わかんない。でも涙が止まんないだもん~」
嬉し泣きってホントにあるんですね~☆
父様は、ずっとわたくしを頭を優しく撫でてくれました。
普段だったら、お子ちゃま扱いお断り!!なんですが、今回はホント父様の優しい手がとても心地良から、ずっと撫でてて欲しいって思えて、赤ちゃんに戻ったみたいに涙が止まりません。
そんな、わたくし達の様子を見てエンマ様が言いす。
「双方なにやら行き違いがあった様だな。例え親子でも口にしなければ分からぬ事もあろう。何でも話すがよいぞ」
エンマ様の言う通りですね~。
わたくしも、もっと色々父様とお話しないとですね~。
「うん。そうだね」
父様も少し反省してるみたい。
父様、失恋説と、母様とは遊びだった説はちょっと違ってたみたいですね。
わたくしも思い込んでばかりで色々反省です。
今週も読んで頂きありがとうございました。
10月は少し休みが取れたので以前からやりたかった『神の娘』の改稿の作業を進める予定です。
改稿作業は少しずつ始まっていますが、大きなストーリーの流れに変更はありません。
書き直した作品を、再びお読みいただけば嬉しいです。
また外伝の方も、本日更新しました。こちらも合わせてよろしくお願いします。
来週も日曜日夜9時に更新予定です。
それでは、また来週もよろしくお願いします。