142話
精霊さんが馬車の扉らを開けてくれましたよ。
馬車には屋根はありませんが、美しい装飾の施された、美しい長椅子があります。
早速、馬車に乗って椅子に座ると、座布団が、ふかふかで座り心地もサイコですね。
「馬車って素敵♡座布団もすごくふかふか♡」
「セリちゃん。すっかり馬車が、気に入ったみたいね」
「はい。すごく素敵です」
「よかった。じゃあ出発しょうか」
そうして、アマテル様のお屋敷へ。
天馬の馬車は雲の上を、ひたすら走ってます。
普段は見上げる雲の青空ですが、雲が下にあるんですから不思議です。
雲の隙間から見えるのは、青い海と緑溢れる美しく大地。
「セリ。結界が張っては、あるけど余り身を、乗り出すと危ないよ」
やれやれ、父様はほんと心配性ですね~。
「大丈夫、だって景色がすごーく綺麗なんだもん」
空を飛ぶってきっとこんな感じなんですね~♡
景色に見とれたら、あっという間に、宴の場所に着いてしまいましたよ。
「さあ、もうすぐ、アマテルの屋敷につくよ」
父様の言う通り、大きなお屋敷が段々と見えて来ましたよ。
馬車を停める場所は、屋敷よりも下の場所で、ここからは歩いて階段を登ります。
(階段登るの大変そ~)
ここは、父様に頼むしかないですね。
「父様。抱っこして♡」
ふふふ。お願いすれば、ちゃんと抱っこしてくれる、父様、もうわたくしに絶対メロメロですよね~♡
(階段も、楽ちんですよー)
こうして、やっと宴の会場へ
もう既に沢山の神様達が集まっていますね。
セナお姉さまは、到着するなり他の女神様達と仲良く会話を初め、あっという間に、皆とお茶に行ってしまいましたよ。
(天界に住んでいるから、お友達が沢山いるんですね~)
父様は、わたくしを抱っこしたまま、ポツンと残されて宴の会場で寂しく立ってます。
(父様、自称、友達必要ないですもんね~こういう時、寂しいですよね~。カワイソニ)
でも、その時、誰か、こちらに近づいて来る方が、いらっしゃいましたよ。
「セト殿。明けましておめでとうございます。お久しぶりでござる」
「……セト様。明けましておめでとうございます。お久しぶりですわ……」
赤い髪、青い瞳の爽やかな青年の神様と彩な朱色の髪をした可愛らし少女の神様ですね~。
でも、少女の方の神様は、余り元気がありませんね。どうしたのでしょう?
「やあ、明けましておめでとう。夏炎、秋風、久しぶりだね。君たち2人が天界に居るという事は、地上は冬から、春に変わる時期かな?……えっと」
父様も、少女の神様の様子を察して夏炎様という神様とヒソヒソ小声で話を初めます。
『なんか、秋風、機嫌悪くない?』
『すこぶる悪いでござる。それと言うのも、春兄が、竜宮のちょうちん草大会から、帰って来てからも、ちょうちん草に夢中で秋風の遊びに付き合わぬが故』
『春兄』。その呼び名は以前会った春眠様の弟、冬厳様も使っていましたね。
こちらのお二人は春眠様の弟と妹で、夏の神様と秋の神様ですよね?
それにしても春眠様、大会か終わってから、喋るちょうちん草を探すのに夢中なんですね~。
父様のヒソヒソ話は、まだまだ続きます。
『それは困ったね』
『地上の秋の季節は、やや荒れるかも知れませぬが、許されよ。早めに台風にお備えくだされ』
父様に抱っこされてる、わたくし、父様達の話が全部聞こえてくるんですが…。
台風が来る!!それは大変ですね!!
それにしても父様、わたくしを抱っこしたまま、ほったらかしですかー??
いつお二人を紹介してくれるのでしょう?
もう、わたくしから、父様に催促しちゃいますよ。
「父様、四季の神様に、わたくしも、ご挨拶させてくださいな」
「ああ、ごめん。セリ紹介が遅れたね。こちらは夏の神、夏炎と秋の神、秋風だよ。
紹介するよ。この子は僕の娘でセリだよ」
「明けましておめでとうございます。初めましてセリです。よろしくお願いしますね」
「これは、セト殿との話に夢中で挨拶が遅れて失礼いたした。明けましておめでとうでござる。其は、夏の神、夏炎と申す。よろしくお願い申し上げる」
おや?秋風様、わたくしを見てなにやら少し表情が変わりましたよ。
どうしたのでしょう???