139話
戦いは終わり。潜水艇は再び、竜宮に向けて進みます。
氷の大地は役目を終えて消えてしまいましたよ。
「お疲れ様で、ございました。ただいま、お飲み物をご用意いたします」
そう言って、ジェノが、冷たい飲み物を用意してくれましたよ。
わたくしは、果汁で父様達はお酒の様ですね。
「ちょうど動いて暑くて喉が、渇いてたのありがとう♡」
「セリ、ちょっと貸してごらん。僕が、力を使ってもっと冷たくてしてあげるよ」
そう言うと父様、わたくしの飲み物のコップを、手渡します。
父様が、コップを、もっとコップのガラスに霜が!
「はい。とても冷たくて美味しよ」
「本当だ。冷たくて美味し~♡」
渡してくれたのは、果汁が、氷る直前まで冷えた物。
小さな氷のつぶつぶ感がいいですね。
「父様、凄い♡」
「セト、我らの酒も頼む」
「うん。いいよ」
「今回は、色々迷惑かけたな。後で詫びの品を届けさせよう」
「そうだね。セナが、きっと怒っているから、セナの好きそうな物で頼むよ。着物とか、宝飾品とか」
(父様、遠慮なく高価な物をもらう気満々ですね~)
そうして、船は竜宮に戻ったのです。
船が竜宮に着いて、ほっとしたのか、わたくしは眠くなって来ましたよ。
(むにゃむにゃ)
「セリは、眠いみたいだね」
そう言うと父様は、いきなりお姫様抱っこしてくれます。
まあでも眠いので、このまま寝床運んでくださーい♡
◇◇◇◇◇
「セリが目覚めてから天界に戻るよ。アマテルとエンマは先に天界へ戻ってて」
「ああ。そうだな」
「わざわざ竜宮の外にでなくても、竜宮の屋敷と天界屋敷は繋がってるから、屋敷の門を使うといいよ」
「そなた、勝手にまた次元を繋いだのだな……」
「ははは。わざわざ屋敷から出るが面倒でね。それに天界の屋敷から竜宮の僕の屋敷だから天界の者や地上の者は、簡単に行き来出来ないし問題ないだろ?」
「天界、地上、冥界。三界は、全く別の世界よ。不用意に繋げて、世の理を乱すのは良くない」
「エンマ。君は本当融通が利かないよね。天界は少し勝手をしているけど、冥界を繋ぐ竜宮にも門は一つしか作ってないから。その門も、君の許可が無い限り誰も冥府に入れない。そして君は誰も冥界に入る事を許可しない……。お陰て僕は、冥界に行く事も出来ないから、リアとも会えないし……」
「世の理を曲げ、死者を生き返らせ様としている、そなたを見逃しているのだ。十分融通を利かせているつもりだがな。それにしても未だ薬は出来ぬのか?
冥界は、時の流れが、地上より速い。余り待たせ過ぎて、愛想を尽かされても余は知らんぞ」
「ううっ……。いくつか試作品は有るけど、本当に死者が生き返るかは、わからないし…。ぶっつけ本番で、リアに飲ませて失敗だったら困るし…。試しに、他の死者に飲ませて見ていいかい?」
「「ダメだ!」」
アマテルとエンラは口を揃えて反対する。
「まあ、こればかりは、仕方あるまい。気長にやるが良い弟よ」
アマテルは、慰める様に言った。
「うん。そうだね」
「ああ、それから、この手形を娘に渡すがよい」
そうして投げて寄越したのは、小さな黒い色の付いた板。
「これは??」
「1度だけ冥府に入れる手形だ」
「え?それはセリに冥府入りを許すってこと?」
エンマは、少し笑みを、浮かべながら返事をする。
「これで、いつかの借は返したぞ。母親に会いたい時は、いつでも訪ねて来るがいい。リア殿も娘の事を心配しているし、会えれば喜ぶだろう」
「うん。ありがとう。セリも喜ぶと思うよ。でも今はまだ小さいから、1人で冥府にやるのは心配だから、もう少し大きくなってから行かせるよ」
「その手形が使えるのは1度だけだ。好きな時に使うとよい。 まあ母親と暮らしたくて冥府に住むと言い出したら、そなたは潔く諦めろ。娘の面倒は責任を、持って見よう」
「ちょ!それは困るんだけど!!」
セトは珍しく声を荒げる。
「こらこら、弟達よ。喧嘩はならんぞ」
アマテルの仲裁で、セトとエンマは、お互いに笑って流した。
「では、我々は先に天界に戻っておる」
かくして、兄弟の話し合いは終わった。
ユニーク4000人越えました。
最近は体調不良で更新もマチマチにも関わらず沢山の方に読んで頂いて本当にうれしいです。
これからも頑張って更新していきます。
よろしくお願いいたします。