138話
アマテル様が、黒い塊、目掛けて体当たりして行きます。
そして手当たり次第に掴んでは引き千切ります。
「うわぁ~凄い!豪快ですね~」
「本当に、流石は天主様」
まさに肉弾戦ですね~。
回りを見渡せば、船に乗ってた人魚さん達が、興味津々に集まっていました。
「お嬢様。お久しぶりです」「お久しぶりです。お嬢様」
「シスカ、キヌ。久しぶり~」
シスカやキヌがシノエも乗ってるのかな?
「シノエは?」
「シノエさんは、竜宮でお留守番です、精霊は戦闘力がありませんし、危険ですから」
「えっ?そうなの?」
「はい。神族の方々以外の種族で一番強いのは、冥府の大鬼族、その次が小鬼族、霊獣、人魚、人間そして精霊ですから……」
精霊が最下位ですか?
確かにシノエが、戦う姿なんて想像つきませんね。
「シスカもキヌもなんか、カッコいい姿ですね」
「はい。万が一に備えて戦闘装束に着替えて来ましたのです」
「二人共戦うの?!」
「もしもの時はです。こう見えても、私達、昔は戦闘艦で働いていたんですよ。お嬢様の事は、私達がお守りしますから安心ください」
「うん。ありがとう」
その話を聞いて、ちょっと驚きましたが頼もしいですね。
引き千切った、黒い塊は、父様やエンマ様によって浄化されて消えていきます。
そして、ドンドン小さくなっていきますね~。
あっ!、でも小さくなった塊が、船の方にもやって来ます。
「お嬢様、お下がりください」
そう言うと、シスカとキヌが弓を構えます。
塊、目掛けて矢を放ちます。
しかし、黒い塊は、小さくなれど消える事はありません。
そこへ、ジェノが、なにやら札の様な物を、黒い塊に向かって放ちます。
「主も、あの小さな塊を、浄化するんだにゃん。主なら出来るにゃ」
「えっ?わたくしが?!」
「そうにゃ。あたいが、武器になるにゃ」
けんちゃんはそう言うと、見る見る体が、光り刀に変わっていきます。
「う~ん。とりあえずやって見ますか」
刀身に振れると、黒い塊は塵になって消えていきます。
「シスカ、キヌ。弓で塊を、小さくして、わたくしもジェノの一緒に浄化するね」
(でたらめに刀を、振り回すだけで倒せるんだから、楽チンですね~)
こうして、全ての黒い塊が消えてなくなりました。
父様達も船に戻って来ます。
「ははは。セリが、ずいぶんと大活躍した見たいだね」
「見てたの?!」
「うん。最初は、助けに行こうと思ったけど、楽しそうだったからね」
「////うん。頑張ったんだよ//」
刀振り回してた所を、父様にバッチリ見られて恥ずかしいですね。
でもこうして、黒い塊騒動は、無事に解決したのです。