133話
黒い塊が地上に消えても、混乱はおさまりません。
「セナ。大丈夫かい?」
父様は、セナお姉さんに声を掛けますが、セナお姉さんの顔は、真っ青で、明らかに会った時、見たいに具合が悪そうです。
けんちゃんは、今だに、刀のまま、父様が腰に差しています。
「ええ。でもあの塊から放たれた穢れに当てられて気分が悪いわ…」
セナお姉さんは、うずくまって動けそうにありません。
「屋敷に戻ろ…。精霊達を呼んで来るから、待ってて」
そう言って父様が、わたくし達に背を向けたその時です。
近くに残っていた黒い塊の残骸か、わたくし達、目掛けて襲いかかります!!
「きゃぁー!」
「セリ!!」
父様は、わたくしを庇って代わりに黒い塊に体を貫かれて、しまったのです!!
「と、父様…?!!」
父様は、塊をキッと睨み、けんちゃんを抜いて薙ぎ払います。
「くっ…… 油断したな…。分身が…壊れる…」
その後、父様は、その場で倒れてしまいした。
「父様、しっかりして!!」
父様の体は、どんどん塵になって行きます。
「大丈夫。本物の僕が今こっちに向かってるから、セナと一緒にここで待ってて……」
そう言って、わたくしの頭を、優しく撫でてから、父様の分身は、完全な塵となって消えてしまいました。
「父様!!」
父様が消えてしまって、心細いですし、みんなあの黒い塊から、逃げた為、周囲には誰もいません。
けんちゃんは、刀の姿のままだし。
そうして、少したった頃、誰かがやって来ます。
「はて?不思議よな、この辺で穢れが途絶えしまうとは…」
知らない人ならぬ知らない神様ですね!
黒い髪、黒い瞳、がっちりとした体型とかなりの長身。
ちょっと見た目が大きくて怖いので、隠れた方がいいでしょうか?
しかし、その方と思いきり目が会ってしまいました!
「おや。逃げ遅れたか?それとも共の者とはぐれてしまっのか?」
優しく、微笑み、どうやら怖い方ではなさそうです。
「あ、あの」
「むっ!娘、我と何処で会ったおうた事はないか?」
「え?あの、初対面だと、思いますけど………」
「う~ん。おおそうだ!そなた、セトの娘ではないか!」
「え?あの父様を、知って居るんですか?」
「おおー やはりか!髪の色や目、それに容姿が良く似ているので、すぐわかったぞ。ははは、我は、天界の統治する主神アマテルだ。そなたもの父の兄でもある。1人か?セトとはぐれてしまったのか?」
「いえ。突然、黒い塊に襲われて、セナお姉さん倒れてしまって、父様が来るのを待ってるんです」
「やや。なんと」
そう言うとセナお姉さんの方に行って心配そうに、声を、かけます。
「セナしっかりいたせ。邪気にあてられたか……すぐに、精霊達に屋敷に運ばせよう」
そうして、アマテル様の命令で精霊さん達が、セナお姉さんを、運びます。
「娘、そなたも、我の屋敷へ来るがよい」
「え?でも父様を待って無いと…」
「セリ!!」
父様の声がします。
「父様!」
「セリ無事か?どこか怪我とかしてないかい?」
わたくしを、見るなりいきなり抱っこで、怪我とかを確認してます。
子供の父様が、庇ってくれたおかげで、わたくしは、怪我をせずに済みましたし、心配無いんですけどね…。
「大丈夫だよ。父様は、怪我とかしてないの?」
何せ分身の父様は、お腹に穴が空いてしまいましたし…。
「分身は分身。僕は僕。なんとも無いよ」
本物の父様は無事なんで安心しましたよ。
「良かった♡」
「おお!弟よ!久しいな。100年ぶり位か?」
「少し前に会ったばかりだろう。あれから100年もたってない。アマテル。なぜ君がここに?!」
「あー……実は……あの黒い塊な、あれを追って来たのよ…」
アマテル様も天界に現れた。あの危険な黒い塊を、倒す為に動いているんでしょうか?!