128話
急いで、ご飯を食べて、昨日の着物から新しい着物に着替えて再び父様の部屋へ戻ります。
「お待たせ。父様」
「おかえり。セリ。じゃあ、天界に出発しようか」
「うん」
大人の父様は、まだ寝てますね~。
「父様。わたくし天界にいってくるね」
まあ、寝ているから、当然お返事は帰って来ませんが、ちゃんと挨拶してからいきましょう。
「あ!!カヤメに何も言わないで来ちゃった。どうしよう?」
「大丈夫。本物の僕が、ちゃんとカヤメ達に話すから」
「そっか。なら心配ないね」
(大人の父様は、王宮でお仕事、頑張ってね♡)
父様とお出かけ、されど父様はお留守番。
ちょっと不思議な感じですね。
庭には、すでに父様の天馬が待っています。
「じゃあ、出発しよう」
そう言うと、天馬はしゃがみ込みます。
あれ?いつもは、父様が抱っこして、わたくしを乗せてくれるんですが……。
(あっ!そうか、父様も子供だから無理なんですね~)
主人に合わせて、ちゃんと乗り易い体勢にしてくれる、天馬は、とても賢くていい馬ですね。
わたくしと父様が、乗ると天馬は、自力で立ち上がって空へ飛びます。
わたくしが、空に飛ぶと同時に、神器けんちゃんが、木を伝って天馬に飛び乗ってきましたよ。
「主、ひどいにゃ~。あたいを忘れるにゃんて!!」
けんちゃん、今日は平然とわたくしの膝に乗ってきましたよ。
「けんちゃんは、父様が怖くないの?」
「にゃー。こいつは弱いにゃ~。平気にゃ」
そう言って強気に猫パンチを父様に食らわせてます。
「僕は分身だからね。本物の僕と比べると、やはり神通力が、下がってしまうんだ」
「ふ~ん」
「だにゃん」
「父様の神器は?」
「本物の僕と一緒に地上でお留守番だよ。天界は安全だし」
「そっか」
天馬は、いつもより更に高飛んでます。
「父様どこまで高く飛ぶの?」
「もう少し上がると天界へと繋がる門があるんだ」
そう言うと雲の中に、なんと門が見えて来ましたよ!!
「あれが、天界の門?!」
「そう、門が開くと強い光を放つからね。顔を背けていた方がいいよ」
「うん。わかった…」
父様の言う通り、門が、開くと強い光が、わたくしは、眩しくて目を閉じてしまいましたよ!
光は大きく膨らみ、わたくし達を覆います。
「セリ。もう大丈夫だよ」
「ほんと?」
目を開くと、そこは別世界、清んだ空気に、美しい自然豊かな景色、地上とは印象が、違う石造りの建物が立ってます。
そして良く見れば、小さな光の塊が無数に漂っていますね~。
「ふぁ~!!すご~い!ここが天界?!父様、このきれいな、小さな光はなあーに?」
「生命の源みたいな物かな。冥府から浄化されて、生命は、1度、天界に戻って、ただの生命力に戻るんだ、この光はその生命力。新た行き場を見つけるまで天界を漂ってるんだ」
「生命力?」
「そう。そして自然に生命力が無数に集っまって、大きな命になったら、今度は魂魄なって天界や地上で生き物に生ま変わるんだ」
「へえ~」
一応そう返事を返しますが、父様の話は難しくてよく分かりませね…。
「取りあえず、僕の屋敷に行こう」
「あ、わたくし、どっかに寄り道してみたい♡」
「寄り道って言ってもね。ここは竜宮じゃあ無いから、娯楽施設は何も無いよ。竜宮は、ハフサやジェノが、交易で食糧調達や生活費を異界から調達するために、商業施設を作ったり、そして観光地にと、どんどん魔改造していって、今の竜宮になってしまったんだよ」
が~ん~そんな~!!
「ええーっ!じゃあ、どこで遊べばいいの?」
「う~ん~そうだな。天界は、自然豊かで綺麗な場所が、多いから景色を楽しむとか??」
「景色?それならお花畑とかある?」
「多分ある思うよ。屋敷に着いたら、屋敷の精霊達に聞いてみるよ」
「うん。約束ね」
「ああ、それから天界では肉や魚料理は一切ないからね……」
「ええー!!なんで?!」
「そんにゃ~バカにゃ」
父様、今のサラッと驚きの発言をしましたよ!!