118話
どんどん大会は進みます。
今も、春眠様のちょうちん草を越える点数は出ていません。
そしていよいよ、エンラ様の出番です。
エンラ様は、どんなちょうちん草を出品するんでしょうか?
「皆様、お待たせいたしました。出品番号15番、前回優勝!!冥界出身、鬼神、エンラ様の登場です!!」
おお、エンラ様も、黒い生地に赤い炎の様な模様が入った派手なお着物に、いつもより装飾品2割増しの素敵な格好です。
春眠様は、中性的で美しい美形、エンラ様は、凛々しくて男性的な美形。
まさに美しさでも対極の存在ですね~。
会場の女性陣は、春眠様派とエンラ様派とかに分かれてそうですねー☆
そんな、エンラ様のちょうちん草も黒い布が、掛けられていて見えない様になっています。
運んで来たのは、冥府の強面の大鬼さん達。
こちらも、冥府感があってエンラ様が引き立てられて中々の演出ですね。
「私のちょうちん草を発表いたします。布を外してください。お願いします」
エンラ様の、よく通る、はっきりした低い声は、男らしくて格好いいので、こちらも春眠様の『指パッチン』並み目を惹きます。
布が、外され姿を見せたのは、なんと真っ白い魚の実がやはり3つ付いた、ちょうちん草。
「私のちょうちん草は、魚の実が白子のちょうちん草です」
(白子?またなんか難しい言葉が、出て来ましてね。ここはそっとユジンに聞いて見ましょう)
『ユジン、白子って何??』
『はい、姫様。白子と言うのは、色素を持たない個体の事で生き物に現れる変異です」
生き物に!!
ホント、ちょうちん草は、植物の変異が現れたり、動物の変異が現れたり、まさに動植物ですね~。
(ホント父様の造った物は訳が分かりませんね~)
「それでは、お水をお願いいたします」
「はい。私も本日は水を持参しております。こちらは八大地獄の血の池地獄の水です」
そう言うと、真っ赤なお水がバケツに入れられています!!
(ひぇ~!!あれもしかして血ですか!?)
わたくしは、気になりユジンに聞きます。
『ユジン、あれ本物の血なの!?』
ユジンは冷静に答えます。
『いえ。あれは地獄に湧く温泉水を冷やした物です。ご安心ください。
地獄は地底に造られた異界ですから、地熱や温泉の資源が豊富でして色の付いた温泉が湧く場所もあるのです』
(そうですか…。いや~びっくりしましたよ)
しかしあの世に温泉があるとは思っても見ませんでしたよ…。
エンラ様が、ちょうちん草に水をやれば、不気味な声が響き渡ります。
更に、こちらは真っ赤な水の色の演出と相まって、不気味さ割り増しですね!!
そうしてわたくし達の出番です。
「それでは、審査員の方々点数をお願いいたします」
わたくし達が得点を出せば司会者は読み上げていきます。
「10点、10点、10点、9点!!合計39点!!春眠様と同点!」
そして出た結果は春眠様と同点!
ふぁ~。同点ですか!!これは2人の同点優勝のかで決まりですかね~?!
それにしても今度はユジンが、辛口審査ですね~。
キシルといい、ユジンといい身内には厳しいんですね…。
「それでは、審査員の方々に点数の理由を聞いて見ましょう。キシル様お願いいたします」
「株の大きさ、実の美しさ全て問題ないと判断した……」
「ありがとうこざいます。次はキヌさん」
「ちょうちん草の実の白子個体、こちらも、こんなに早くお目にかかる日がくるとは思いませんでした。お見事です」
「ありがとうこざいます。次はセリお嬢様お願いいたします」
「まっ白で綺麗な実に驚きました」
「ありがとうこざいます。次はユジン様お願いいたします」
「はい。株と実は素晴らしかったです。ですが目新しさと言う点では、やはり先に発表された、春眠様のちょうちん草と被る感じがあり、衝撃がありませんでした。その点が、私が、1点引いた理由です」
「確かに、やや春眠さんの出品されたちょうちん草に似てしまいましたね。先に発表出来なかったのが残念です。運も実力の内と言う事ですね…。ユジンさん」
(う~ん。運も実力の内ですか?!ユジンも、また身内手厳しですね。う~ん~身内だから厳しいのかな??それにしても、ファイはどうしたんでょう?
もしかして、予選敗退ですかー?)
そうして、ファイの姿を見ないまま審査は最後まで進みます。
いよいよ、これが最後のちょうちん草の審査です。
「お待たせいたしました。これが最後の審査となります。竜宮出身、精霊ファイの登場です!」
ふぁ!!ここで、まさかのファイの登場ですかー?!
わたくしは、驚きましたが、ファイが本戦まで残ってて安心しましたよ。