104話
紹介された冬の神 冬厳様は、白い髪に春眠様と同じ空の様に青い瞳、装飾は控え目ですが、腰には刀を差し『ビシッ』とした着物姿で、とても威厳がある少年です。
冬の神 冬厳様。
ガクサンの元主で厳し方だと聞いてますよ。
失礼の無いようにちゃんと挨拶しないとですね…。
「はじめまして、冬の神 冬厳様、わたくしは、セリと申します。よろしくお願いいたします」
「初めてお目に掛かる。私は冬の神で名を冬厳。こちらこそ、よろしくお願い申し上げる」
そう紳士的に返してくれたので、わたくしもホッとしましたよ。
そして冬厳様は、ユジンの方に向くとユジンに挨拶をします。
「それから、ユジン殿もお久しぶりです」
「冬厳様。お久しぶりです」
2人の挨拶を交わす様を見ると顔見知り見たいですかね?
「あら?2人は知り合いですか?」
「あ、はい。姫様。冬厳様とは以前に陛下と共に、咎人を退治をいたしました」
(ああ…父様が以前にそんな話をしてくれましたね。思いだしましたよ)
「セト殿はここに居ない様ですが。お嬢様は、ちょうちん草の大会を見に来られて良かったですね」
春眠様が笑顔で言います。
「はい。春眠様」
父様は、ずっと~反対でしたからねー☆
「お嬢様、けんちゃんさん、お久しぶりです」
この声は獅子さんですね!!
「獅子にゃ!久しぶりにゃ!」
けんちゃんも獅子さんに、また会えて喜んでますね。
「獅子さん。久しぶりね。冬厳様も獅子も春眠様の応援に?」
「はい。勿論でございます。主様の活躍は私の喜びでございますから!!」
だけど、ここで冬厳様は、否定します。
「いや、私は違う!私は春兄のお目付け役だ!
君には、わからないだろうが、春兄は色々と問題を起こすからな…」
『なんとなくわかりますよ。冬厳様…』とは流石に言えませんねー☆
「そうなんですね~」
ここは無難に聞き流しましょう。
そして、ふと、視線を反らすとふわふわの毛皮の白い子犬がいます。
「かわいい~♡ワ 「わぁぁーーー!!し、失礼いたしました…。お嬢様、大事なお話があるのを思い出したました。ちょっとだけあちらへ!」
(!!!ふぁー!?なに事ですかね??)
春眠様が、いきなり大きな声を出しましたよ?!
その上ユジンまで慌ててます。
「わ、私もです。姫様!あちらでお話いたしましょう」
そして可愛いワンちゃんを『ナデナデ』する前に、何故か春眠様とユジンに強引に隅っこの方に連れて行かれましたよー!
わたくしは2人に事情を聞きます。
「どうしたの??」
春眠様は冬厳様の神器を『チラッ』と見ながら小声でわたくしに言います。
『いいか、嬢ちゃん。あれは狼だ!!』
「はい??」
『あの、白いのはワンちゃんじゃなくて狼さんだ』
ユジンが小声で詳しく説明してくれます。
『そうです。姫様。狼です!!あれは、冬厳様の神器の『流氷丸』。冬厳様は、流氷丸を犬と間違えられるのが一番、嫌いなんです!』
ひぇ~そうだったんですねー!
危うく冬厳様を怒らせてしまうとこでしたね。
(アブナイ アブナイ)
「冬厳の神器に触るのは、いいが褒め言葉は、カッコいい狼さんだぞ!!間違っても、可愛いワンちゃんはダメだかんな!」
春眠様は念を押してわたくしにいいます。
「はーい!!」
春眠様は、身内だから冬厳様の神器の事は知ってるとしても、ユジンは、なんで知ってたのかな?
「ユジンは、冬厳様の神器の事を、どうして知ってたの?」
「あ、はい。以前に陛下から教えて頂ました」
「セトは、以前、冬厳の神器を、可愛子犬って言ったんだよな……まあ、それで、冬厳は怒っちまって…あん時は、大変だったぜ」
ああ~ 父様は、言っちゃたんですかー!!
親子揃って失言するところでしたよ…。
春眠様とユジンのお陰で本当に助かりましたねー☆
そして、みんなの元に戻りましたよ。
その時です。
「おや?!セリさんでは、ありませんか…」
そう、わたくしに声を掛けてくれたのはエンラ様だったのです。
「あっ!エンラ様お久しぶりです。 ……あらら?」
「春眠さん……!!」
「冥府の坊っちゃん…!!」
って!!春眠様とエンラ様、お互いの存在に気が付いて睨み合ってますね…。
春眠様とエンラ様は、ちょうちん草大会の優勝候補同士!!
言わば好敵手!
どうしましょう~!!
ここで喧嘩をするのはやめて下さい~~!!