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ブラックダークネスの男

作者: 犬二号

舞台設定……会社の事務所


「黒田」が必死の形相でキーボードを叩いている。


上司の「白井」がその背後に立ち、打ち込まれた文章を読んでいる。


白井「……」


黒田「よし……。これで……!」


白井「黒田クーン」


黒田「く……この」


白井「黒田クーン」


黒田「……なんですか……白井サン?」


白井「君今なにしてんの?」


黒田「見て……分かりませんか?仕事ですよ……!」


白井「仕事かー。僕には遊んでるようにみえるんだけど?」


黒田「仕事ですよ!小説書いてるんじゃないですか!」


白井「でもキミ小説家じゃないよねー?」


黒田「いずれなります……!僕はいま……小説に燃えてるんです!」


白井「そっかー。いいことだねー。でもさー。今就業時間なんだよねー」


黒田「そんな!?この会社はお昼休憩の時間に小説書くのも許してくれないんですか!?なんてブラック企業だ!」


白井「時計見て」


黒田「え?あ、15時12分」


白井「休憩時間さあ。2時間以上前に終わってるんだよ」


黒田「集中しすぎて全然気付かなかった」


白井「珍しく真面目にやってると思ったら」


黒田「いやあ。それほどでも」


白井「褒めてない。……まあ、ぶっちゃけね。僕はノルマさえクリアしてくれれば何してもいいと思ってるけどさ」


黒田「え!?何してもいいんですか!?」


白井「ノルマクリアしてればね」


黒田「ありがとうございます!白井部長!」


白井「おい」


黒田「しゃあ!続き書くぞお!」


白井「ノルマー!」


黒田「……え?」


白井「クビ切られたいのかキミは!?」


黒田「そ、それは困ります!」


白井「だったらちゃんと仕事をして……。趣味はその後に……」


黒田「ここの机が一番執筆作業捗るんですよ!?」


白井「クビだァー!」


(言ってから息が荒くなる。少し深呼吸して冷静になる白井)


白井「ごめん言いすぎた」


黒田「そうですかね」


白井「言い過ぎだったよ。キミみたいな不良社員でも今辞められたら困るんだ」


黒田「じゃあ小説書いてもいいですね!」


白井「いや。それは。一応ここ会社だから。最低限の仕事はしてよ。明日はちゃんと営業行ってきて」


黒田「でも部長!ボクはあんなデカくて先端がクルクル回るだけのクセにこれさえあればどんな機械も動かせますなんてインチキ製品の営業なんかしたくありません!」


白井「モーターだよ!」


黒田「え?モーターって片手に収まる大きさじゃないんですか?」


白井「ミニ四駆じゃないんだから。産業用モーターは大きいの!もう、今日はいいから。明日は絶対営業行ってきてね。キミでもいないと会社が回らないんだ。先月だけで17人辞めてるんだから」


黒田「ウチの部署はもうボクと部長だけですしねー」


白井「そうなんだよー。全然笑えないんだよねー。前のパワハラ部長がパワハラを苦に辞めていったのはちょっと面白かったけどさー」


黒田「部長。いくら部長になりたいからってパワハラはダメですよ」


白井「僕じゃないよ!出世したいからって上司にパワハラしないよ!前の部長は本部長にパワハラ受けてたの!その本部長もクビになったじゃん!」


黒田「でも結果白井さんは白井部長になったじゃないですか」


白井「いや……まあ……。そうね」


黒田「つまりボクは部長補佐」


白井「不本意ながらそうなる」


黒田「部長は辞めないんですか?」


白井「3ヶ月後に辞める予定」


黒田「おっ!そうなったらボクが部長ですね!」


白井「あー。そうなったらすぐに会社潰れそうだねー」


(電話がなる)


黒田「あ、電話だ。ガチャ」


白井「電話取るのだけは早いんだよなあ」


黒田「お電話ありがとうございます。格式会社ブラックダークネスの黒田です」


白井「そりゃみんな辞めるわな。名は体を表しちゃってるもんな」


黒田「え?はい。黒田闇夫はボクですが」


白井「コイツだけ残った理由が分かった気がする」


黒田「え?ええ!?ほ、本当ですか!?や、やった!ありがとうございます!」


白井「ど、どうしたんだ黒田クン!?」


黒田「いいニュースです。部長」


白井「いいニュース!?新規の注文でもきたのかい!?」


黒田「ボクの小説、受賞してました!」


白井「いや、そっちかい!」

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