旅の果てに
ジパンでの出来事
最終目的地ジパン
タランからの報告によるとどうやらジパンも一枚岩ではないらしい
シン国との密貿易で莫大な利益を上げたサツマとチョウシュウの反政府活動が
激化している。口々に「ジョウイ・トウバク」と
前世の歴史を知るアスタージナス、今後ジパンの行く末は大体理解してる
前世と同じなら今のジパン王は失脚する運命なのだ。
しかしエミコは熱く語る
「今のサツマとチョウシュウには大義名分がありませんただの反政府主義なだけ
主義主張などはないのです。そんな領に国をまかせられません」
確かに大アスタージナスがそうであったように前世の歴史は決して現世とは
つながっていない。つまり運命はまだ決まっていないはずなのだ
「しかし、主な密貿易相手だったシン国やダイワン国との繋がりは切れてしまった」
スタージナス
「御意」エミコ
「逆に現在ではジパン政府と我が大アスタージナスとの貿易量は日増しに増えてます
こちらは全て合法的貿易です」
「つまり我が大アスタージナスは自然にジパン政府側に立ってしまってる訳だな」
スタージナス
「はい、私がジパン政府との橋渡しをさせていただきました」エミコ
「うむ、と言う事はサツマもチョウシュウも我々を敵視してるに違いない」
「私個人の意見ではたたきのめして欲しいのですが・・・」エミコ
「申しておろう?我が国は他国の政治に関与しないと」スタージナス
「個人的な意見ですので」エミコ
「しかし、我が国はジパン政府を無視出来ません」アスタージナス
「む、大王がそのような事を言うのは珍しい」スタージナス
「まだ誰にも言ってはいませんが聖水に関して我が国が関与せざるを得ない
事態となってるのです」アスタージナス
「国家の根本に関わる事か?」スタージナス
「いえ、世界の存亡に関わります」アスタージナス
「せ、世界だと?」
「世界です。この件はどこの国よりも早く大アスタージナスが独占しなければ
世界の平和と秩序が乱れてしまうのです」
「それは国家機密なのだな?」スタージナス
「この件は私とウラアール、イーシャ、ゴブータ以外には漏らしてません」
正に前世の「核」に匹敵する最終兵器に関する事なのだ。
「今回はジパン政府を完全支援します。サツマとチョウシュウには残念ながら
首謀者を処刑させて頂きます、容赦出来ない理由があるのです。
「しかし我が国の方針は世界の平和と貿易富国のはず」スタージナス
「ジパンに関してはそれが通用しません」アスタージナス
「シン国の復興事業とジパン国の調査を同時に進めました」タラン
「ジパン政府との全面対決のためすでに召喚魔獣の効果にサツマとチョウシュウは
気がついています」
「魔砂と聖水の相乗効果についてもかなり研究成果を上げてる模様です」タラン
「シン国戦で登場した敵キングドラゴンについてもサツマの技術供与があった
模様です。これ以上野心目的のみの召喚魔獣生産は容認出来ません。」
「密輸ルートの遮断はそのためでもあったのか・・・」スタージナス
「困った事にジパンには今以上のポテンシャルがあるのです」
「それを危惧してるという訳か」スタージナス
「今回は相手を待つのでは無く先制攻撃で徹底的に封じます」
「しかし大王、今回は聖水クラスター爆弾は通用しません」エミコ
「分かっています今回の敵兵は全て「サムライ」と言う事を」
「サムライは主の為に命を投げ出しますが決して洗脳はされてません」エミコ
「私も前世の記憶で理解しています「忠義と洗脳」は全く別物と」
「これはやっかいだな」スタージナス
「しかし、サムライには「潔さ」も存在してるのです」エミコ
「ん、?どういうことじゃ?」スタージナス
「主の首を取ってしまえばほとんどの場合戦闘は終了すると言う事です」
「なるほど、それで大王は初めに首謀者の処刑は必須と言ったのだな」
「はい、その通り、説明が足りなくてスイマセンでした」アスタージナス
「しかし、敵も影武者ぐらいは用意しておろう?」スタージナス
「は、いま諜報部がその件を調査しているところです」タラン
シン国からジパンはすぐ、2日でジパン近海に到着した
「明日はわざとカンモン海峡を強行通過してチョウシュウ領の動きを見ます
アスタージナス
見本市開催地は「エド」だが「オオサカとキョウト」でもミニ見本市を開催予定
そのためには「セトナイカイ」を通必要があり「カンモン海峡」は避けて通れない
「カンモン海峡」に差し掛かる遙か手前で一隻の小舟が船団に近づいてきた
「もしや自爆攻撃では?」警戒するウオッチャー
「いえ、ジパンは自爆攻撃はしてこないはず」エミコ
「お、白旗を揚げている。これは親善大使?」
この大船団に堂々と1人の男が乗り込んできた
「おー、これがシン国を滅ぼした黒船達か!壮観じゃのう・・」クセのある英語だ
「ほー、我が国の公用語が使えるのか?」スタージナス
大アスタージナス国内では最も汎用性が高い英語が公用語となっている
「すでにジパンは英語が公用語じゃきに」胡散臭い男が語る
「して何用ですか?」アスタージナス
「おお、これはお姫様、失礼大王様綺麗すぎて眩しいのう」
「お世辞は結構です用件をお願いします」
「わしはサツマとチョウシュウをまとめた男、貴国の本音を聞きに来た」
「その前に名を名乗りなさい」イーシャ
「おおっスマンのう、わしの名は「リョウマ」じゃき、よろしくな」
「本音とはどういうことですか?」アスタージナス
「ハッキリ言わせてもらう、貴国は我が国を侵略に来たのか商売に来たのか
どっちなのかハッキリききたいのじゃ」
「建前は商売です、本音は世界の救出です」アスタージナス
「は?なんだその世界救出とは?」いぶしがるリョウマ
「詳しくは話せませんが我々には使命があるのです」アスタージナス
「では、聞こう貴国の味方は?そして敵は?」
「現段階では政府側支持です」アスタージナス
「では我らとは敵なのだな」リョウマ
その時不意を突いてチョウシュウ領から野戦砲が我が艦隊に発砲してきた
「ドドドーン」
「こ、これはスマンのう、わしが調停してる間は射かけない約束だったのだが」
「サツマとチョウシュウを信じられない理由です」アスタージナス
「いや、これは血気盛んな若者達の暴走に違いない」リョウマ
しかし、旧式の野戦砲では結界魔法を破れない。虚しく砲弾を消費するだけ
ものの五分で空母から発進したF-3ステルス戦闘機のピンポイント空爆で
野戦砲20門は全滅してしまった。
「若い者達が多数犠牲となりました。無益だと思いませんか?」アスタージナス
「しっかし、全く見えんかった・・」違い過ぎる戦力に驚愕するリョウマ
「我が軍の敵情視察だったのでしょう?」イーシャ
つづいてオスプレイが支城のヤマグチ城に強襲を掛ける
ジパン式の天守閣は護衛艦からのハープーン一発で吹き飛んでしまった
「早く首謀者に伝えて降伏をしなさい、国(領)が滅びますよ」アスタージナス
「お主らは全面戦争する気なのか?」リョウマ
「残念ながら仕掛けて来たのはそちら、コチラには大義名分があります」
「ぐ、確かに大義名分を尊ぶは我がジパンとて同じ事」
戦闘開始わずか1時間であえなくチョウシュウは全面降伏となった
犠牲者はチョウシュウ側の300人、貴重な若きサムライが犠牲となった
「首謀者の首を差し出せばこれ以上はなにもしません」スタージナス
上陸した大アスタージナス軍が構えた橋頭堡に白旗を掲げた使者が来た
「私が今回の騒動の首謀者「タカスギ」です。私の首でご容赦ください」
「なんと潔いこと・・」アスタージナスは敬服する
前世で高杉晋作は幕末の英雄・・いくらなんでも斬首は忍びない
助ける方法はないものか・・・
「首をはねる前に問い正す、本当に其方の命令なのか?」
「部下の不始末は指揮官の責任、言い訳はしませぬ」タカスギ
「其方は戦っても勝てぬと思っていたのでは無いのか?」
「シン国を滅亡させた軍事力に我がチョウシュウごときがかなうはずもなく」
さすがにタカスギは聡明。
「我が国に与すれば助命するが?」アスタージナス
「大王、それは逆効果です」エミコ
「敵に与する位なら我が命など捨てまする」タカスギ
しまったサムライはプライドが命、尊厳を傷つけられる位なら喜んで自決する
「失礼しました。それでは貴方達と我が国はどうすれば和解出来ますか?」
「恐れながら、貴国の方針が分かりませぬ」
「方針とは?」
「ジパンの侵略が目的なのか商売が目的なのかです」タカスギ
「天地天命に誓います侵略目的ではありません」アスタージナス
「でも政府に加担して我らを滅ぼすと公言してますが?」タカスギ
「我らの目には其方達は逆賊、反政府組織としてしか見えないからです」
「それは、違います。我らには先を見据えたビジョンがあります」リョウマ
「しかし、武力をもって政府と対峙し国を乱すは愚行としか言えません」イーシャ
「我らには目的があるからです」タカスギ
「聞きましょう、それによって我が国の方針を決めます」
「貴国はシン国を滅ぼしましたがすでにシン国は滅びる運命でした」リョウマ
「民は飢え、官僚は腐敗し、指導者は私利私欲に走りイングリントとフランクに
破れたあともなんら対策をしませんでした。あのような愚国にジパンがなっては
いけないのです」リョウマ
「しかし、今のジパン王は聡明で先見の明があり慈悲深いと聞きましたが」
「王たる資質にはそれだけでは足りないのです」タカスギ
「わかりませんが?」アスタージナス
「わかりませんか?大王様の様な決断力がわが王には欠如してるのです」
「しかし、ジパン国は我らの意見を常に尊重してくれています」
「それならばなぜ我が国の戦略物資をもっと押し出さないのでしょう?」
「我が領は密貿易で益をあげてますが政府はそもそも儲けようと考えてません」
「現状維持、保守的、封建主義では世界に取り残されるのです」リョウマ
「我がこの艦隊に乗り込む前に発案したものですご覧下さい」リョウマ
おおおおおっこれが前世で龍馬を龍馬したあの「船中八策」か!
「なんとか現政府と折り合いをつけてくれませんか?」アスタージナス
「しかし、先日行われた第二次チョウシュウ征伐で政府とチョウシュウの溝は
決定的なのです」エミコ
「残念ながら今のままではタカスギ殿の首を頂きそのままチョウシュウを
政府に差し出すしかありません。なんとか打開出来ませんか?」アスタージナス
「貴国とジパンの国力差ならば容易く侵略出来るのになぜ歩み寄るのでしょう」
タカスギが不思議がる
「武力で人心は掴めません。民が飢えてはならないのです富国こそが我が宿命」
「その言葉に偽りはありませんな?」
心動かされたリョウマとタカスギ
「なんと広き心か!」使者の1人が号泣する
「我はサイゴウと申す、すべて聞き申した」
サツマの最高指揮官サイゴウが使者に扮しその場に居たのだ。
☆
船団はオオサカに到着した。キョウからジパン王が出迎えてくれた
しかしジパン王が「ぎょっ」とする。なんと仇敵の3人も一緒だったからだ
「ま、まさか大アスタージナス国に裏切られた・・・」
「もはやこれまで。」脇差しを取り出し自決を覚悟するジパン王
「お待ち下さい、話を聞いて下さい」エミコが叫ぶ
「そ、其方まで我を裏切ったか・・」痛恨のジパン王
「我らは戦争にきたわけではないぜよ」リョウマ
「し、しかし現に大艦隊で攻めにきてるではないか」ジパン王
「お願いです話を聞いて下さい」アスタージナス
「この調子で我が国の王は頭固いのですよ」頭ボリボリするサイゴウ
「うぬら反逆者が何を申すか!」鼻息あらいジパン王
「まあ、まあとにかく落ち着いてくだされ」スタージナス
「本来ならサツマとチョウシュウを征伐しジパン国の安定を図るつもりでしたが
昨日この3人とじっくり話し合った結果ジパン国を戦火の渦に巻き込まない術を
得たのです」アスタージナス
「術ですか?」ジパン王
「彼ら3人は戦争による無益な争いこそが国を滅ぼすと理解してくれたのです」
「確かに余も戦争は好まぬ、しないですむ戦争ならば大歓迎じゃ」
「話をきいていて分かりました。サツマとチョウシュウは政府となにひとつ
協議などしてませんね?」
「当たり前である、たかが一つの地方領と中央政府が話し合いなどするわけがない」
「それは間違いです。どんな意見でもお互いに協議し最善を尽くすが政治です」
「しかし、我が国は貴国ほどの民度が高まっていない、一々意見など聞いては
政が一歩もすすまん」
「ですが、そんなジパン王の考えが地方の不満をくすぶらせてこの事態を招いた
とお考えいただけませんか?」
「国が乱れるは我の才がないからに他ならない、全ては我の責任」
「そうではありません。王は何もかも背負い込みすぎてるのです」サイゴウ
「む、」図星を突かれたジパン王
「他国の干渉で協議の場を強制されるは我には恥としてしか感じない」ジパン王
「お待ち下さい。我が国とジパンは「他国」と言われる様な関係だったのですか?」
アスタージナスは本気で悲しむ
「それは、失言ゆるされよ、しかし屈辱に違いはないのだ」ジパン王
「第三者の目の方が正しい見方を出来る場合もあるのですよ」アスタージナス
「この期に及んでまだ理解出来ないのですか?」リョウマが一喝する
「な、なにを!この素浪人風情が!無礼であろう!」ジパン王
「いえ、リョウマ様の言うとおりでございます、優れた意見に身分は関係ないです」
アスタージナス
「王様、ハッキリ言って大アスタージナスが本気になれば我が国などは一瞬で
吹き飛ぶがじゃ。昨日チョウシュウとの戦闘でわしは痛感したぜよ」リョウマ
昨日の戦争を詳しく報告するリョウマ
「ま、まさかそんな戦法があるのか・・・」おそれおののくジパン王
「大アスタージナスの戦争は異次元ぜよ。」
「勘違いしないで下さい我が国はジパン国に刃を向けません。未来永劫です」
「我が国が介入するのが不快なのは承知の上であえてお願いしてるのです」
アスタージナスが熱く語る。
「我らサツマとチョウシュウ、そしてトサも大アスタージナスに恭順します
あとはジパン王の決断だけです」
「かねてから大アスタージナスに下り傘下入りすのは我が国の望みだったが・・」
「まさかサツマとチョウシュウ、そしてトサまでもが恭順すろとは予想外」
「是非手を取り合って国を再建しましょう」サイゴウ
「つまり我が首を差し出せば全てが丸く収まるのだな?」
「とんでもない事そのような事は無用にて」アスタージナス
「しかし、我がいては近代国家は構築出来ぬ。無能な我では国を支えられない」
「今は国民の民度が足りませんがいずれは議会制民主主義を構築します
全国民に選挙権を与え当選した者が王となるのです」リョウマ
「ジパン王には引き続き「みこし」となって民を支えて頂きたいのです」タカスギ
「優れた人材による協議にて国を進めていきます」サイゴウ
「うむ、すべてよきにはからえ」
こうして無血にて「大政奉還」が成されたのだ
前世ではすでに高杉晋作は病に倒れ近日中に龍馬は暗殺される事になるが
現世では違っていた。タカスギは近代装備を誇る大アスタージナスの最新医療にて
結核は完治し。リョウマは豪華船にてVIP扱い。船外に一歩も出なかった
というか強制的に止められた。「わしの命ごときで」と煙たがるリョウマ
一旦権力は「テンノウ」メイジが握ったがあくまでも象徴。国政は
サツマ、チョウシュウ、トサ、そしてジパン元王が行うことになった
乱れに乱れていたオオサカとキョウの街に活気がよみがえってきた
退廃した閉塞感から民が解放され大喜び。
当然見本市も大活況を呈した
しかし、例に漏れずジパンも貧しい
「まさか黄金の国ジパンがこれほど飢えていたとは・・」驚くスタージナス
見本市は当然「お救い場」となり無料の炊き出しが行われた
しかしジパン民はその後が違う「ただで施しは受けない」と自発的に労働を提供する
今度は密貿易ではなく正式な貿易としてシン国から大量の物資が輸入されてきた
当然支払いは世界が垂涎の「超高品質聖水」。
しかし、今までシン国に搾取されまくり。国際取引相場も知らなかったのだ
値段表をみて愕然のジパン王「○の数が2つも違うではないか」
「ジパンの聖水は並ぶ者無き高品質、実際は価格設定が今でも低すぎなのです」
回り出したシン国の農業政策も功を奏し大量にジパンに輸出されはじめ
わずか数ヶ月でジパン民の窮状は解消されつつある。
アスタージナス王はなんといってもジパン産のお米に執着。
「今までの取引額の倍を出しますので是非我が国に輸出願います」
「そんなことは大王が命じれば拒絶など出来ません」ジパン王
「いえ、これは開くまでも対等、公平な取引なのです強要は絶対にしません」
「それぐらいは強要してください」ジパン王
「それではジパン民が食べられる範囲で我が国に独占購入権頂きたく」
「ははっ」ジパン王
「しかし、我が国のお米は気候に左右されつつも大量に生産されてます」
「いえ、今の農業では生産性が劣ります。我が国の科学にて数倍にしてみせます
世界の需要を考えたら今の10倍の量が必要なのです」アスタージナス
「しかしなぜ大王はそこまで拘るのでしょう?」
「美味しいお米はジパンでしか生産出来ないからです。聖水のお陰なのです」
大アスタージナスの指導により大規模農園が各地で出来上がり飛躍的に効率が増した
しかも農業改革により「年貢」が撤廃され小作制度が廃止された
搾取されつづけてきた百姓に生きる術を与え暮らしを豊かにした。
全国に学校が制度化され例によって無料給食目当てに親が子を学校に送り出した。
勤勉で我慢強い国民の民度が飛躍的に向上していく。学問を目指すものが
大挙大アスタージナス留学を求めてきた。
アスタージナスの新しい民主主義という概念はジパン国民にまさに
砂に吸い込まれて行く水のごとく浸透していった。わずか一年で近代国家へと
強く歩を進めていく。
「もう、ジパンは大丈夫でしょう」アスタージナスは安堵した
「しかし、なにやら秘密があったはずだが?」
「はい、ジパンに滞在してた一年で全ての研究は極秘裏に終えてます」
「大王の言う所の世界最終兵器が出来たのだな?」
「はい、しかしこの技術は未来永劫封印しました」
「私の命が尽きれば全ては闇の中です」
「しかし、設計図は残るのでは?」
「設計図があっても聖水の用意が出来ないはずです」
「それほど特殊な聖水なのだな?」
「はい、」
「ま、それは聞くまい」
「御父様でも話せません」アスタージナス
「さて、話は違うがこの先はどうするのだ?」スタージナス
「はい、これで旅は全て終わりです祖国に戻りましょう」
「大王、其方はここが祖国ではないのか?」
「いえ、それは前世での話わたしのふるさと、祖国は大アスタージナスです」
「このまま大王はここに残るのかと思っていた」スタージナス
「大好きな御父様の元を離れるなんて出来ませんわ」アスタージナス
「我を大好きだなんて初めて聞いた。」涙が溢れるスタージナス
「親子は口にださなくても意思は伝わるはずですもの」アスタージナス
「あ、ずるい私も・・」スタージナスに飛びつくウラアール
「これこれ、其方が抱きついたら他の者が・・・うわああ」
あっというまに11人に抱きつかれるスタージナス至福の時
「ながかったな」スタージナス
「ながかったです」アスタージナス
「国に帰ったら其方達と婚儀じゃな。覚悟はできてるか?」
「ついにその時がくるのですね」歓喜にむせぶダーリャ
わがスタージナス旅日記の最後のページが埋まった
旅は終わりました




