テイロン島にて
立ち寄った島
「さて、つぎの目的地はどこだ?」
秘書のダーリャに質問する
「今の所王命は伺ってませんが順路から考えインデア国はどうでしょう」
とダーリャは答える
インデアはイングリントの植民地。長年イングリントの支配を受けていた
イングリントが我が大アスタージナス国の傘下となったので
自動的にインデアも支配下同然となったが実際の所はイングリントが
実権を握ってる。植民地と言っても民を困窮させたり搾取してる
訳ではなくイングリントの海軍力で他国からの干渉を防ぐ意味で
インデア自身は歓迎してる。
まあ、我が国が親善大使として訪れても歓迎してくれるだろう。
港湾都市の「オモカッタ」は珍しい香辛料や東の国からあつまる
絹製品、布生地、米、大豆、砂糖など重要物資の中継地点として
おおにに賑わっている・
「うむ、オモカッタに着けばまた忙しい毎日だのう・・・」
「あと何日かかるのか?」
「は、航海長の話によると順調にいけば3~4日だそうです」
「うーむ、わが艦はちと船足が速すぎるな」
「いえ、それでも安全を考慮して十分に速度を落としてるの事
全速力なら2日で到着するそうです。どうします急がせますか?」
我が疲れてることを知っていてダーリャが意地悪を言ってくる
「其方、最近性格が変わってきたのぅ」
「は、スタージナス様に鍛えられました」
「は?我はなにも鍛えたつもりはないが?」
「いえ、スタージナス様は頭なでなでしてくれません」
「はあ?それがどうしたのじゃ」
「我が国では女子が働いた時はご褒美を授けるのが慣行です」
「其方はサウジアラビブを捨て大アスタージナス国民になったので有ろう?」
「は、身は大アスタージナスに捧げましたが心はサウジアラビブなのです」
「それは駄目だ身も心も大アスタージナスに捧げよ」
「ですからご褒美を頂かなければ心を捧げられないのです」
「理屈はそうなのかもしれんが・・意地悪になったのとは違うだろう」
「こうして意地悪言えば関心頂けるではないですか、現に今も」
うーむ女子の心はまったく理解出来ない。適当にあしらっておくか
「分かった、苦しゅうない近こうよれ」
「ははっ」
「こっこれ近こう寄りすぎじゃ・・」
ベターと張り付かれてしまった。こっこやつ・・
しょうがないので「頭なでなで」してやった
「ありがとうございます。お情けをいただきこれで我はスタージナス様の・・」
「これこれ、勘違いするでないぞ」
「いえ、頭なでなでは我が国では神聖な殿方との契り・・」
「うそをつくでない、そんな慣例は世界中さがしてもありえん」
「ばれちゃった」と舌をだして悪びれないダーリャ
どうも我はこの小娘に手玉にとられてるような気がしてきた。
他の秘書3人も獲物を狙う目になってきた
「これはいかん」
突進される前に話題を変えるスタージナス
「で、話をもどす」
襲いかかるべく前のめりになるも出足をくじかれた3秘書が
「おっとっと」と前につんのめる
機先を制してやつたわい。
社長室は神聖な職場。これ以上みだらな空気は部下に示しがつかない
「オモカッタに到着すれば繁忙を極めるは必定。
それ相当の根回しの期間が必要である。闇雲に急ぐばかりが仕事ではない」
「まずはこれよりタランとヘッテに先行してもらい情報収拾しつつ
王様に拝謁し各種打ち合わせと許認可が必要である。」
「ははっ」
「で、あと1週間ほど最寄りの港に停泊し準備期間とする」
「は、了解しました」
「では、どこに停泊しましょう?」
「だから其方達は一人前あつかいされないのだ」
「は?」
「タランや大王、ウラアールがもし我の秘書なら我が言い出す前に
この話を助言するだろうし。助言する以上は候補地をいくつか見つけておる」
「そ、そんな、相手は神様と仏様です・・・」
だれが仏様じゃ
「言われた事を言われた通りにするのなら秘書はいらないって事じゃ」
「分かりました、それでは我々は秘書を解任頂きいまから愛人に・・・」
「これ、話の方向が違う!いい加減にせい。」
「失礼しました」4人は全く悪びれてない
「其方達と話していたら一向に先に進まん」
秘書の1人アズハールが地図を持ってきてテーブルに広げる
はっきりいえば4人の中で一番の美貌、幼さばかりのダーリャには
全く色気を感じないがアズハールの仕草には色香がにじみ出てて
地図を広げる指先ですら妖艶なのだ・・・目のやり場に困る
自国では戒律により「ヒジャブ」着用が命令されていたが
正式に大アスタージナス国民になった4人今素顔を晒してる
美貌を衆目にさらしてる事に全く気がついていない
よくも宗教を政治と分離してる我が国の国民になったものよ
勝手にスタージナスだけドキドキしながらも話は進む・・
「ここは・・」とウルード
こっ、こやつもよく見ると色香が凄まじい・・・
先ほど機先を制してしまったが流れに身をまかせるべきだったかも知れん
勝手にスタージナスは意識しだして社長室を桃色に変えてる
一番不謹慎なのはスタージナス本人だ
「近くに島がありますね・・」とウルードは続ける
「港の様な物も存在してますね」とスアード
「うむ、程よい大きさの島じゃな・・ここで1週間ほどのんびり・・
あ、いや情報収集と準備をするか・・」
「わーい」
隙を突かれて4人に抱きつかれてしまった。
「これはしたり」
「これ、抱きついてはいかん、絶対にいかん」
顔を真っ赤にして照れるスタージナス・・実はうれしいのだ
なにやら中二のようなドギマギ感に戸惑うスタージナス達は
社長室をでて昼食に向かう
「さて、今日の試食はなにかの」実はこれも毎日の楽しみ
「今日は先日フランク州より入荷しました大豆を元に研究され
ようやく実現できました味噌なるものの試食をしていただきます」
目の前に「味噌ラーメン」なる物が運ばれてくる
「ズズズズズ」ラーメンは音をたてて食べてよい品
元王のスタージナスも遠慮無くすする
「ぬぬぬ、なんじゃこの味・・クリーミーでまったりとして」
「ラーメンなるものは何度も食したが今回のはまた格別じゃの」
「は、私自身は醤油ラーメンの方を好みますが個人の好みの違いですね」
タランはすでに醤油ラーメンなるものも食しているらしい
うーん諜報部はいつも先回りのようだ
「しかし醤油と大豆なるものは貴重と聞いたが?」
「ここ数ヶ月でフランク州から大量に入荷して一般的になりつつあります」
「うむ大アスタージナス国ならではの流通の恩恵だな」
「御意、国境が廃され関税がなくなり法律が一体化され国は
大いに富んでます」現世で言うところのEU経済圏みたいなものだろう
昼食が済み部長会議へと進む
「さて、これからの進路だが・・」とスタージナス
「ウルード地図をここへ」
「はっ」とウルードがテーブルに地図を広げる
「とりあえずこの島にしばらく停泊する。タランとヘッテは今まで通り
先行してオモカッタの情報とインデア国との根回しを頼む」
「はは、承りました」
「ヤコブはこの島に行き寄港の手配を」
「はっ」
翌朝、名も無き島いや、現地民は「テイロン」という島に寄港した
人口2300の漁だけしか産業のない漁港町
だがたまにイングリントの戦列艦とか商船が補給に立ち寄ることがあり
港はかなり整備されている。大型船が寄港できる規模
それにしても超大型船舶2隻には町民が目を回してる
「こ、これはなんたる大きさ・・」
町長が挨拶に来る「ど、どうか命だけは・・」
それ、挨拶じゃない命乞いだよ
「お顔を上げよ。我らはイングリントとも友好にしておる
侵略などはぜぬから安心せい・・」
「し、しかし我がインデアを支配するイングリント国を支配した
大アスタージナス国です・・我が島など指先ひとつで簡単に・・」
困った物だ・・
「いやいや、今回は補給のために立ち寄った1週間程お世話になるだけだ」
安心した町長のアヤン今度は安堵のへたりこみ
このヘタレが・・
「わが島をお救い頂き感謝の念に堪えませぬ」
だからなんにもしないっての・・
「それではささやかながら今夜は宴に招待したく・・」
「つつしんでお受け致しましょう」
インデアも戒律が厳しい国と聞いたが・・・なんじゃこの接待は
うら若き女どもが我にべたーーーーーーと付き添いおって
「これは接待を越えてる気がするが・・」
「はい、スタージナス様は現在正室はおろか側室も迎えていないとか
お近づきのお印と、もしお気に入り召されましたらお持ち帰りも・・」と手モミ
アヤンはにやりと語る。どうしても町の安全を確保したいらしい。いじらしい
夜の宴だからと秘書4人は残して来たがこの場にいたら修羅場だったに違いない
どうも我は最近「モテ期」なのか「女難の相」なのか・・
だが我は未だにフロレッツェアへの未練を捨てられない許せ皆
夜とぎの申し出を頑なに固辞し船に戻ったスタージナス
「キリ」とした表情で待ち構えていた4秘書
「おかえりなさいませ」
随分早く帰って来たので誘惑はされなかつたに違いないと
安堵してるようにも見える・
面倒くさい・・・
寝所にもどり魔法結界とドアに厳重に鍵とくさりを掛けておく
絶対に今日のような時は寝込みを襲われるからだ
先日うっかり油断したときはダーリャの乱入を許してえらいめに合った
だが我は指一つ触れはしない。断固としてしない
勝手に添い寝攻撃を仕掛けてくるだけだ。だがそれが一番困る
お陰で朝まで一睡も出来ない事態となる。今後断固として乱入は許さない。
翌朝、朝食会議の席に着くと何人かの部長は昨日落城してしまったのか
ぼけーとしてる。うつけ者が!
「う、おほん!」
はっと我に返り真剣になる部長達
まあ、それも仕方が無いだろう航海にでて2週間そろそろ人肌恋しくなる頃
多少はしかたがない。
「と、言うことで1週間ほどこちらに停泊するがタランとヘッテが
もどる3日後までは各自交代で休暇を与える。費用はある程度こちらでもつ」
部長達が色めき立つ「部下に休みを与える事が出来ます。感謝します」
町民2千ちょっとの町になにがあると高をくくってたが
実際はイングリントが立寄る港・・それ相応のお金落としの場はあるのだ
後日経理処理に経理担当部長は頭を悩ます事になる。
「砂浜にいきた~い」ダーリャが早速おねだり
「これこれ我々は物見遊山に来たわけではない」
「おかしいですわ?1週間のんびりしたいとスタージナス様は言ってました」
「我は社長ぞ、秘書達と避暑などに行けるか・・」
「わーオヤジギャグだ」とキャッキャされてしまう
「う、おほん、それは我が娘の影響なのだ」
「へー大王様にそんな面があるんですね」
「ウチの娘達は政務の時は化け物染みてるが素顔は冗談好きのかわいい娘なのだ」
「こんど大王さまにも可愛がってもらいたいです」と4人
意外と気が合うやもしれんな・・
「で、連れて行ってくれないのですか?」
「仕方が無い護衛と一緒ならほんの少し」
わーいと手を引かれビーチに駆り出されてしまった
今回われの専属護衛ヤコブとヘッテは別任務なので
新たにS級女性兵士エミコとハンナが任に付いた
⒉人が着任の挨拶に来るどちらも18歳で王立魔法院を卒業したエリートだ
これまた恐ろしいほどの美貌でもある。おそろしい・・
「今回栄えあるスタージナス様に志願し任に就きます事お許しください」
「うむ、許す」
本船に着任してる女性兵士は30人程、全てS級兵士だが全員が今回の
護衛任務募集に志願し選抜テストを勝ち抜いて赴任にこぎ着けたそうだ
スタージナスは最後まで知らなかったがアスタージナス王が
なぜ30人もS級女性兵士を着任させたのか・・・王なりの配慮
つまり護衛兵になることはその意味。30人は全て覚悟の志願兵。
「我が社長に尽くす為参りました命を賭してお守り致します」
大仰しいことよ
「はて、エミコとは珍しい名じゃな?」
艶やかな黒髪、茶色の瞳を輝かせエミコは答える
「は、我ははるか遠方のジパンから留学目的で参りました
しかし大アスタージナス国の素晴らしさに驚き一生を捧げる決心を
してます。」大アスタージナス国民権を取得したらしい
「ほう、ジバン国出身とな、いろいろ尋ねたき事があるが
それは後でよい、今日はよろしく頼む」
「いえ、我ら2人はヤコブ様とヘッテ様の部下として一生護衛を致します」
「一生です。」とハンナも応じる
なに強調してるのだ?
「選抜テストに合格した段階で覚悟してます」と2人はさらに強調する
「ふん12~3の小娘達に負ける筈ありません」と顔に書いてある
「其方たちは護衛兵ではないのか?」
「はい、24時間身も心も捧げる護衛任務です」
とんでもない事を言い出す。
それにしても2人ともものすごいオーラを発してる
これは色気とかではない「剣気」だ。超一流剣士の証だろう
もう我はクラクラしてきた・・
「そなたの剣は見たことの無い剣だな」
「は、これは日本刀と申します、我がジパンの特産品です」
「ほー、それはすごい。少し剣技を見せてみよ」
「はっそれでは」
「ビュンビュンビュン」
なにか空気が切れる音はするが剣が見えない・・・
「カチン」と鞘に刀が収まって初めて右手が見えた
悪党どもは一瞬で三枚おろしに違いない。恐ろしい
「僭越ながら我も」とハンナが槍を振るう
「シュシュシュ」
槍先が見えない・・一流の槍使いはけっして槍を回さない
最短距離で無駄なく敵を仕留めるには突きの速さが命
身の丈しかない槍が遙か先に届いている。
体を極限までしならせないとこうはならない。まだ間合いの外だと
油断した敵はあっという間に突き殺されてしまうだろう
これは恐ろしい物をみてしまった
4人の秘書どもはあっけにとられ「ポカーン」
美貌、色香だけではなく剣技の実力・・・
これは強力なライバルが出現したと焦りの色を隠せない
「ふん、わらわはサウジアラビブ王からのお墨付きじゃ
其方達とは家柄も格も違うのじゃ」と威張るダーリャ
「お言葉ですが」とエミコ
「私めも家柄で言えば王家の娘、遜色ございませんが」
「実は私めもイングリント王の娘でございます」とハンナ
な、なんなんだこの状況・・・
つまり我を狙う国がヒットマンを次々と寄越してるのか?
しかしそれでは家柄も後ろ盾もない3人がかわいそうすぎる
落胆するアズハールとウルートとスアード・・・・
「わ、我は家柄などは気にしない。しかも隠居の身じゃ政治がしたければ
他所にいくがいい。家柄や身分をひけらかす者は無用じゃ今後は控えい」
3人は落胆し3人は喜ぶ
「ともかくビーチとやらに出かけようではないか」
場の気まずさを察知し気を遣ってみる
ふう、疲れる・・・
季節は春の筈なのにこの島は常夏なのだろう赤道直下なのだ
ぎらぎらと太陽が降り注ぎとにかく暑い。湿気はないので爽やかではある
港のすぐとなりが海水浴場だった
「社長こっちこっち」と秘書4人が手招く
ううう、水着が眩しすぎて目のやり場がない
後ろから付き従う護衛兵、防具は着けているが軽装
剣と槍はカプセル化しているのだろう見た目は丸腰だ
周囲に気を配る姿は凄腕特有のものだ
「スイカ割やる~」とダーリヤがねだるので
ばかばかしいと思いながら許可する
「バーン」明後日の方向をたたくダーリャ達4人
「それでは」とエミコが前にでる、やるき満々だ
目隠しをされてクルクル回され、さあ開始
「スタスタスタ」とエミコは迷うことなくスイカに進み
手にしていた棒を放り投げたその瞬間
「シュ」と日本刀が一閃
まるで見えてるかのごとくスイカは8枚にスライスされてしまった
「2個はスタージナス様の分です」
すごい各人1個と我に2個、瞬時に気を遣ってる・・何者?
遊びつかれたのか秘書4人「おなかすいた~」やはりガキ
海水浴場とはいってもろくに売店はないようだ
船からレトルトカレーを準備させ皆で食する
すると・・・
手モミ町長が近づいてくる。無粋な奴じゃ
「どうでしょう海水浴場は?」
「うむ、海は綺麗だし静かで心地よい・・だが・・」
「なにかご不満でも?」
「あきんどの立場から言わせてもらうと訪れる客にたいして
サービスが足りてない」
ニカっと笑った町長が「とぎは夜するもので・・・ひるまからは」
「これ、そのたぐいのサービスではない」
「へっ?ほかになにか?」
「我も今思ったのだがここには満足な昼食所がないではなか」
「は?砂浜に来る者は砂浜が目的では?」
「いや、そうではない。砂浜に来る目的は遊ぶことじゃ」
6人の女子がうんうんと頷く
「遊びに来た以上腹も減れば喉も渇く」
「ほほう・・」意味が分かってきた町長
「テントなどを設け簡易食を提供すれば少々割高でもきっと売れる」
「しかし我が島にはこれといった食材もなく・・」
「今から我が船に付いて参れ」
「は?」と町長
「参考になるやもしれんから我が船に付いて参れと言うのじゃ」
「ははっ」
案内された町長は腰を抜かす
「こっこのような船の構造は初めてでございます」
「今はそれはどうでもいいのじゃ」と町長の腕を引くスタージナス
丁度次の見本市に向けてグフタスがフードコートをシュミレートしていた
「社長ようこそ、今日はなにか?」とグフタス
「いや、この島の町長にフードコートを見学させてやってくれ」
「はっ」とグフタスは町長を案内する
早速町長視点で気がつく
「このイカ焼きなるものは我が島でも実現可能ですな」
「しかしイカは臭いがきついので好き嫌いがでる」とグフタス
「このカレーライスなるもの、我が島の米とは違いますが
応用がきくかもしれません」と町長
「うむ、その地方地方でアレンジするのは悪い事ではなかろう」
とスタージナスは肯定する
「折角の漁港なのだから独自に開発するのもいいだろう」
とスタージナスは続ける
それにしても驚いたのはここで「マグロ」が獲れること
これは我が国にとって利が大きい。早速町長と交渉する
「其方達のマグロ漁は如何にして行うのじゃ」
「はは、それはちょつと秘伝なのですが人海戦術に変わり有りません」
「うむ、別に秘伝を教えろと言う訳ではないそれは大事なこと」
「では、他になにを聞きたいのでしょう?」
「うむ、我が国の提案を受け入れてくれればこの町は数倍の規模になろう」
「え、まさか・・」
「こちらの条件はただ一つ。獲れたマグロを他所よりも高く買い取る」
「漁獲量を増やせる漁船の提供と加工工場の無償提供。住居建設の無償提供じゃ」
「ばっばかな。それでは我が方だけの利しかありません」
「いや、そうではない其方達が物の価値を知らないだけじゃ」
「このままでは不法に買い叩かれ民は窮するばかりなのだ」
「しかし我らは漁とたまに訪れるイングリント船のお相手出来れば
十分に食べて行けます」
「いや、見たところこの島の女は春を捧げるだけの人に媚びるだけの島
それでは健全とは言えない。民は幸せになる権利があるのだ」
「しかし、春捧げは重要な商売なのですぐには変えられません」
「いや、民は額に汗して働いて得る幸せが一番なのだ」
「春捧げも額に汗しますが・・・」
「う、おほん」
「本音をいうとだな・・・」
「はい、」
「我が国はマグロが欲しいのじゃ!」
「言うことを聞かぬならば・・覚悟があるのだな?」
ちこっと脅かしてみる
「へへへへっお、お命ばかりは・・・」平伏す町長
「悪い様にはせぬ其方は我の言うことを聞いておればいいのだ」
「へへっ全てお任せいたします」
「うむ、それでよい」
「でだな、」
「はい、」
「話を戻して海水浴場経営だが」
「はい、」
「暫くは我らに任せよ。商品の開発、仕入れ、建物、経理全て請け負う」
「そして利益は全て町長に渡す。使い道は好きにせい」
「更に漁港の再開発、工場の建設、新型船の造船、全て我らが請け負う」
「漁法を明かす必要はない秘伝は守るが良い」
「その間今まで通り春捧げの商売も許す。これでどうじゃ?」
どうじゃと言われても今の町長には従うしかない
下手したら首と胴が二つに離れてしまうのだ。
その日我は大王に定時連絡を入れる
「な、なんと!」興奮の声をあげるアスタージナス
やはり食らいついてきた、予想通りじゃ
「我が国は全力でテイロン島をサポートします。イングリントにも
根回ししておきます。今すぐ其所に滞在し研究、開発を願います
「しかし我らはあと3日で次の地にて見本市を開かねば・・・」
「私がインデア国とオモカッタに親書を送ります延期してください」
「うむ、分かった。我が船にある機材と機器である程度は港と工場、住居は
建設出来るが足りない物も多い、早急に手配頼めるかな?」
「はい、今お話頂いて大体の不足品は分かりました。次便で運びましょう」
「それにマグロ漁船の仕組みは理解してますのですぐに造船しますが
最低でも一月は掛かります」
これが一を聞いて百を知るの現実だ・・・素晴らしい
「それとそろそろ交代要員も必要かとおもいますが・・」
「そうだな、希望者を募っておく」
「それと多分半年位はそちらに常駐する必要もあるでしょう
その人員も次便で送ります」
「2~3日で手配できるのか?」
「すべてウラアールに丸投げですが彼女が期待を裏切った事は一度もありません」
恐ろしいコンビよのう
ほんの少し休憩するはずがとんでもない展開になってきたものよ
見本市が延期になったので島開発に本腰をいれることにした
重機と魔物作業員などを駆使し護岸工事から進める
次に加工工場を建設、さらに従業員宿舎の建設を行う
我が大魔法建築系は得意なのだ
「ドーン」と工場が建つ
「バーン」と宿舎が建つ
魔法で建物は建つが費用は当然かかる、勿論国任せ、我はしらん
たしか以前アスタージナスがエラールに城郭を作り
国家予算が破綻したとウラアールがぼやいていたな。
地質調査員がこの島の資源について報告してきた
石油は当然とれない
しかし意外とセメントの原材料たる石灰が大量に埋蔵されてた
砂浜に微量の魔砂が発見されたが採算はとても取れないとのこと
米も獲れるが町民の分でかつかつ。
確かにこれでは男は漁師、女は春捧げしか道はないだろう
どうにか救ってあげたいものだ・・
尚、交代要員を募ったが予想に反して誰ひとり申し出がなかった
「私たちは船に乗り込んだ段階で覚悟済です。降りろと言われない
限り身命を賭して身を捧げる所存です」だそうだ
困った事に交代で来た者達も「覚悟済です」と譲らない
結局全員任務に就いてもらうことになった
これで人員は450人補給船の方は100人
客室をつかえばまだ人員受け入れに余裕ある
しかし宿舎用としてもう一隻欲しくもある。
それとは別にテイロン島に常駐する派遣員50名も来た
資源開発や経理、工場運営のスペシャリスト達だ
期間は半年の予定だがこの地に骨を埋める覚悟で来たそうだ
みんなこわいよ~
とりあえずイングリントとも相談の上テイロン島は大アスタージナス国
直轄地扱いになった。島民達も自動的に大アスタージナス国民
直轄地になったことで大アスタージナス国民も将来観光旅行で
気軽に訪れる事が可能になった旅客航空革命も目前に来てる
港の整備とともに飛行場の建設も進めた。実用化された4発プロペラ機
だと首都アスタージナスから12時間、途中サウジアラビブかイラブに
立ち寄らないとちょっとキツイかもしれない。
1週間みっちり働いたので疲れた
「おーい秘書達、ビーチにいくぞ」と誘うと
「うわーい」と喜んでお出かけ
当然護衛兵も一緒
む、だいぶ海水浴場が整備されてきてるよしよし
イングリント商船や戦列艦が頻繁に立ち寄りだしその度に口コミにて
テイロンの改革が広まり出した。噂を聞き他国商船も利便性や休息目的で
立ち寄る機会が増加傾向。当然落とすお金も加速度的に増えていく。
そんな経済効果などには一切関係ない秘書4人今日もウキウキうっきー
スアードが全員に飲み物を持ってきてくれた
格差発言の件からちょっと身を引くそぶりがいじらしい・・
7人で砂浜でくつろいでいる所で手モミ町長がやってきたうっとおしい
「なんじゃ、我はいまプライベート中じゃ、邪魔するでない」
「は、十分に承知してますが・・・」
「なんだ、申して見よ」
「はっ折角ご休息でしたのならもっと静かで見晴らしの良い所はいかがかと」
「ん、そんな所があるのか?」
「はい、あそこに見える無人島は周囲すべてが砂浜でとても綺麗な場所
小舟ですぐですので行き来も簡単です。いかがですか?」
「其方達行ってみるか?」
「はーい」と4人
護衛兵は「油断めされるな」と警戒してる
ま、護衛兵は警戒するのが仕事当然だ
「まあ、目の前の島じゃさほと危険ではなかろう」
キャッキャと腕にしがみつく秘書4人これこれ
「お昼はあちらで食べましょう」と縮小化された食料をはいのうに
背負うウルート。余裕をもって水食料は大目にもった。
小舟で5分の小冒険
ワイワイやってたらすぐに到着
デッキチェアとピーチパラソルをセットしてリゾート気分満喫
女子達はキャッキャと水掛合ってるあれエミコとハンナも
ちゃっかり加わってるし・・・まあ本質は女の子だからな
ピチピチ水着を合法的に鑑賞できるのも悪く無いな
ん?なにか後ろから風が吹き込む??後ろは岡林の筈。なんだこの
冷やっとした風は・・どこかに洞窟でもあるのか?
後ろを振り向き視線を送ると確かに洞窟が有った
こんな周囲50Mも無い無人島だすぐ行き当たりだろうと
ちょっと冒険してみるか。
「社長なんですか!うら若き乙女が水着なのに見てくれないのですか」
ダーリャがプンプン、してうら若き乙女、乙女はどこにいるだ?
「いやなに後ろに洞窟らしき物を発見してな」
「面白そうですね探検しましょう」とプチエロ水着のアズハールがねだる
「社長これは敵の陰謀かも知れません」とハンナ。敵ってだれ?
「まあ、多分すぐ行き止まりだろうて皆で行ってみよう」
「念のためです」とウルートははいのうを背負う
ゾロゾロ7人は洞窟に向かう
「こっこれは・・・」
「なんだ10Mもしないで行き当たりじゃ」
中は小ホールみたいになってるが最近誰も訪れてないのが分かる
全員が中に入った
その日は島中に警報が鳴り響き大騒ぎとなった
「社長以下4秘書と護衛兵2人が戻ってこない」
タランとヘッテは青ざめた「なにか有ったに違いない」
即全員から事情聴取を行う
町長が重要な情報を語る
「わたしが砂浜からすぐ近くある無人島を紹介しました」
捜索隊が向かう。デッキチェアとピーチパラソルがそのままだった
しかし狭い無人島をくまなく探るが何も見つからない
「町長、ここに祠とか洞窟の類はないのか?」
「はっ私が知る限りではそんなものは無いはずですが・・・」
「其方の陰謀ではないのか?ここに誘導したのでは?」
「滅相もございませんこれだけ町に尽くしていただいた恩人をまさか」
「本当であろうな、もし悪事が露見したら其方だけの命で済まないぞ」
「ほ、本当でございますこの命を賭しても結構です」
「どう見る?ヘッテ?」とタランが尋ねる
「は、今の所町長に悪意があるとは感じませんが」
「しかし社長の身になにかあれば国家の重大な損失だ」
「なーんにもないね」と洞窟を見渡すダーリャ
「うむ、まあ冒険なんてそんなもんだ。戻ろう」とスタージナス
全員洞窟からでる
「あれ?」
「デッキチェアとピーチパラソルがないわ」とスアート
「風でも吹いたか?」とスタージナス
「おなかすいた~」ダーリャ
「お昼にしましょう」ウルード
みんなのんびりムードだ
はいのうから食料を出すウルート
おにぎり、サンドイッチ、紅茶のペットボトル
ワイワイ、キャッキャと食べる
デザートはクッキー
ビーチパラソルが無くなってしまったので砂浜から少し離れ
日陰をみつけみんなでくつろぐ・・
「あれ、船もなくなっておるの」スタージナス
そしてみんなが視界をその先に向ける
「こっこれは一大事!向こう側の海岸がなくなってるぞ」
「もしかしたら洞窟で反対側に抜けてしまったのかもしれません」とハンナ
エミコがだーーっと走り反対側を確認にいく
「おかしいです反対側も陸地が見えません」
「ば、ばかな・・・我々は転送されてしまったのか?」
しかし牢屋に運ばれたとか幽閉されたような感じはしない
島の感じは全く同じなのだ
「とにかく落ち着いて現状確認じゃ」スタージナス
「偵察してきます」とハンナが出かけるエミコは護衛
偵察といっても周囲50Mの小島だ5分も経たずに戻ってくる
「社長、丘の上に建物があり反対側に階段を見つけました」
見上げると確かに建物がある
「敵の罠かもしれません」とエミコ
「しかし今はそこにいくしか方法が無い気がする」スタージナス
罠に警戒し先頭をハンナ殿をエミコの順で階段に向かう
不思議なことに洞窟がなくなっている
警戒しながら階段を上る、と言っても30段もない
丘に上がると建物、教会?なんだこれ
中に入るとコテージ風の素敵な空間が広がる
「わー、素敵~」スアード
どうみても怪しくない。これは使ってくださいという感じだ
「もしかして町長め、気を遣ったか?」
部屋は4つ真ん中がリビング奥にキッチン
なんと外にジャグジーがある
気が利くことに着替えまで用意してあった
皆でジャグジーに入り砂をおとし着替えた
服のサイズが皆ピッタリ。これはできすぎてる
キッチンには新鮮な食材がならんでいて
早速料理上手のウルートとエミコが夕食の準備を始める
「これは観光リゾートの予行演習かなんかか?」
「なんでもいいです楽しみましょうよ」とダーリャが腕を絡ませる、こらこら
なんだか知らないが夜は女子6人がわいわいガヤガヤ
秘書4人とエミコ、ハンナの距離がぐっと近づく。2人はいいお姉さん
「是非王立魔法院に入学してS級兵士になる」とウルートは決心した
「まあ、道のりは長いですが今から勉強すれば十分間に合いますよ」とハンナ
「どうしたらエミコ姉の様に素敵になれるのかしら」とアズハール
「毎日精進することです稽古は休んでは駄目です」とエミコ
いやアズハールの「素敵」とは剣技の事ではないだろうにとスタージナスは思った
「明日から皆で稽古します教えてください」とダーリャが殊勝な事を言い出す
「必ずお姉様達より魅力的になるんだから」ダーリャ
「かかってきなさい」とニコニコしながらエミコとハンナが挑戦状を受ける
完全女子会・・我は空気か?
「わたし今日は社長と添い寝する!」ダーリァ
「いえ、ここは淑女協定を結びましょう、正々堂々抜け駆けなしです」とハンナ
ダーリャを除く皆がうんうんと頷く
「わたしもう添い寝したことあるんだから!」ダーリャが食い下がる
キっと他の5人が睨み付ける(目は笑ってる)確かに一度乱入されたな
「ですからここは淑女協定が必要なんですわ」とエミコ
「ダーリャの部下である他の秘書3人は貴方になにも言えませんから」とハンナ
「念を押しますが私とエミコは社長の護衛、貴方とは対等の立場ですからね」
「それは分かってるわ」ぶすっとふくれるダーリャ
「まあまあ折角の食事がさめる、皆で食べよう」スタージナス
「はーい」と皆の目が輝く。やはり美味し物には目がないのだ
夜になり各人部屋に入り就寝時間だ。女子6人は3部屋で寝る事になった
我はひとり部屋・・バルコニーがあったので外にでて夜空を眺めるとするか
「なんと幻想的な」・・月明かりに照らされる海がキラキラ
しかし見渡す限り陸地は見えない。「帰れないと面倒な事になるな」
横をみると「うっ」隣の部屋にもバルコニーがあり誰かがいた
この世のものとは思えない美しさと色香を漂わせるアズハールが夜空を
見上げてなにかお祈りしていた。
ここは視線を合わさない方がいいだろう。そっと我は部屋に戻った
翌朝スッキリと目覚めて朝食の準備を手伝った
っても我はうろうろしていただけだが・・
なんでも我が起きる前にすでに6人で朝練したそうな、うんうん
朝食をとっているとスアートが
「きっとここは一泊二食付きのコテージかなんかでしょう
ならば帰り道は必ずあると思います」
「そうであるといいな」
ゆっくりを食事を済ませ部屋を丁寧にかたづけて
来たときの洞窟を探してみる
「あった」昨日はなかったところに洞窟が出現していた
戻ってみると捜索隊が何人か元来た島で監視していた
「うわ、社長!」
「うむ、心配ないみな元気じゃ」
「いったいどうしたんですか」
「こっちが聞きたいくらいじゃ」
「なにはともあれ船にお戻りください」
船に戻ると大騒ぎになった
「いったいどこに行っていたのですか」とタラン
あ、町長がお縄になってる。なんでじゃ?
「このまま社長が戻ってこられなければ首をはね飛ばしてました」とヘッテ
「これこれ物騒を言うでない」とスタージナス
「お戻りになって本当によかったです」町長は涙目
「うん、これは其方の仕業ではないのか?」
「滅相もございません私も命は惜しゅうございます」と町長
いったい誰のサプライズなのか??
「喜んでいただけましたか?」
どうやら犯人は漁師組合の組合長だったみたいだ
「あそこは代々つたわる我が漁村の隠し部屋なんでごせいます」と組合長
「元々は新婚のカップルが誰にも邪魔されないように出来た施設です」
「今回お世話になった皆様に心からの感謝の気持ちで部屋を改築して招待しました」
「町長には秘密で」イタズラっぽく笑う組合長。
旅日記6ページ目は落ちも何にも無い平和なお話・・・
とりつく島もない




