イラブ国にて
スタージナスの希望とはかけ離れて行きます
これはすごい・・
新しく出来た「ズエス運河」を通過するとそこはアラビブ海
なんたる利便さ普通の商船なら一ヶ月近い短縮、これは革命的
海上貿易のあり方が変わりつつある。
あんなに遠いと思ったリビトの町に2日も掛ければ行けるようになった
せっかくなのでリビトに寄港しアラビブ王に拝謁した
「ダーリャ息災であったか?」
「はい、父上毎日が幸せでございます」
「スタージナス様、それにしても今度の船は凄いですな」
「は、我が国の全てをつぎ込んだ最新鋭艦です」
「大アスタージナス国恐ろしいものだ・・」
「いえ、我が国は軍で世界を制しません貿易で世界を富ませます」
「それは素晴らしい、我が国も一緒に仕事したいものです」
「は、友好国として末永く共存していきましょう」
「それでこそ我が娘を差し上げた甲斐がありますな」
いや、まだもらってませんけど・・・とスタージナスは思ったが黙っておいた。
今回は特になにごともなく一泊しただけで出航となった。
「それにしてもこの船は全く揺れませんね」
「うむ、船の大きさが揺れを少なくしてるが新しい球状船首なる
技術が導入されてるのもおおきい」
「帆がないのにものすごい速度なのも驚きました」
「それも我が国の科学力の成果じゃ」
「毎日新鮮な材料の食事なのも驚きです」
「それも我が国の冷凍庫や縮小技術の成果じゃ」
「なにからなにまで驚きですがお部屋も素晴らしいです」
「うむ其方らはすいーとるーむという一番高級な部屋を使ってるからな」
「もっと荒々しいゴツゴツした旅を予想してましたのにこんなに
快適だなんて本当ににスタージナス様に付いてきてよかったです」
「いや、全ては我がアスタージナス王のお陰なのじゃ」
スタージナス自身「こんなの放浪の旅じゃない」と不満なのだ
しかし全て国の費用である以上我慢?するしかない
尚、余談だがいままでスタージナスが稼いだ資金は全て東インド会社の運用の為に出資し
スタージナスが社長兼筆頭株主となってる、つまり社はスタージナスの思うがまま
更に今回もアラビブ王から「お祝い金」と称して金貨一万枚を賜った
会社運営資金に当分困ることはなかろう、しかし社員を食べさせ国の要望を満たす為
スタージナスの責任はますます重くなっている。
スタージナスはダーリャと共に「操舵室」いや「艦橋司令室」を見学した
ずらっと見た事も無い計器と画面があちこちにあり数人が監視してるだけ
フルオート化された艦橋内はこの世のものとは思えない・・
王立魔法院研究所での最先端技術開発が加速度的な証だろう。
本来社長であり艦長でもあるスタージナスは真ん中の艦長席に着座して
部下に命令を送る立場なのに本人はその方面では全く現実を直視出来ていない
「こんな物があったら世界制覇も夢ではないな・・・」
野心を持たない我が娘をこころから敬服せざるを得ない。
突然警報が鳴り響く・・・
「自動警戒システム作動、ソナーに敵性クラーケン発見。数1
自動迎撃システム作動、短魚雷発射」
すごい!てか物騒!勝手に魚雷なるものが発射されてしまった
「敵クラーケンは問答無用で破壊するシステムなのです」と
監視していた副艦長は説明する
「今回新しく導入された短魚雷は射程は短いですが低コストで量産されたので
大量に装備されています。ご安心下さい」
今までみたいな一発撃つだけで財布の確認・・の必要がなくなったそうだ
「ドーン」遙か先に水柱があがる
完全武装の豪華客船・・なんともいえんのう
司令室視察を終え客船部を見てみるか
「スタージナス様、こっちこっち」手招きするダーリャ
船室部の屋上にはプールとビーチパラソルにデッキチェア・・
給仕が飲み物を優雅に運んでる。なんたる豪華さ
「オホホホホホ」ダーリャはご満悦
妙な笑い方しおって水着が眩しすぎるわ
夜には「接客訓練」と称して夕食パーティーに招かれる
お客様を完璧に接待する訓練だとかで我々は気がついた点を
指摘するも基本お客様扱い。至れり尽くせり
「オホホホホホ」ダーリャの高笑いがうるさい
「其方は覚悟をきめて付いてきたのではないのか?」
「勿論でございます。身も心もスタージナス様に捧げてます」
こんな贅沢ばかりだと脳がくさるわ・・スタージナスはうんざりしてる
王時代のスタージナスは贅沢を嫌い質素でシンプルな食事を好んでいたのだ
実際毎日宮廷料理では身が持たないのも事実だろう。
内戦、王位譲渡前後からスタージナスは自らを厳しく改め肉体を改造し
いまやビルドアップされた体はそこら辺の護衛騎士よりも余程筋骨逞しい体になってる
本人は全く気がつかないが「ちょい悪オヤジ」度を更に昇華させていたのだ
翌日巡洋船の後部の商業区画を視察する
客船とはうってかわって完全「ビジネスエリア」
各部の従業員がテキパキと商品を管理してる。全ての商品が縮小化されてるので
商品総数はおどろく量。区画ごとに商品が別れていて在庫管理が
効果的に行われている。見本市に向けてシュミレーションを行ってるのだとか
次の寄港地は「テヘロン」に決まった。あと3日で到着予定、訓練に余念が無い
勿論今回はイラブ王国へ事前に親書を送り根回しは完了してる
寄港2日前にタラン達が先に行って受け入れの準備をしてもらう予定だ
ついでに「諜報」も。
我も社長室の応接ソファに腰掛けダーリャ以下秘書と打ち合わせを行う
「さてダーリャ、物見遊山はここまで。今日からは仕事じゃ」
「わかってます、秘書としてスタージナス様にお仕えするのが本来ですので」
「うむ、期待してるぞ」
他の秘書3人も「キっ」としてる
「さて、見本市当日のスケジュールだが」
「はっ、午前中はテントの設営機材搬入などの準備です」
「来客は午後からなのだな?」
「は、イラブ王、テヘロン市長そのほかのVIPと昼食をとって頂きます」
「うむ、その際は正装なのかビジネススタイルなのか?」
「は、今回はビジネススタイルを浸透させる目的もあります
スーツにネクタイという新しい試みを世界にアピールしていただきます」
「来客は驚くだろうな」
「驚かせるのが我々の仕事です。国力を見せる場ですから」
「警備はどうなっている?」
「はっ会場内には結界魔法を展開します」
「今回は新しい試みで入場チケットを発行しその者のみ
会場内に入場出来るシステムとします。
今回の結界魔法は外部から覗き見出来ない色付き結界です
お金を払ってでも見たくなる見本市を目指します」
「あと会場内外の警備として新たに魔物警官も配備します
イラブ王には了解をいただいています」
「期間はどのくらいなのか?」
「は、イラブ王からは1週間の許可を得ましたが人気の可否で延長も
有り得ると考えてます」
「来客の接待はどうなっている?」
「はっ初日は関係者のみを招待し見本市運営のノウハウを得る予定です」
「次の日から一般客を受け入れます。」
「飲食関係の休憩スペースも用意しますし、商談コーナーも設置します」
「うむ、すべて準備万端というわけだな」
「は、初日の開催宣言を社長のスタージナス様お願いします」
「うむ、心得ておる。まかせよ」
「ということで報告はこれで全てです」
「ほめてください、あたまなでて下さい」
せっかく少し見直したのに最後でパーだな
「其方達は秘書なのだろう?仕事は出来て当然なのだ。甘えるでない」
「ふー-んだ」とあっかんべーするダーリャ
ガキか!
まあ、今回の仕事を終えれば2週間ほどはのんびり出来る予定だ
国の為ここは精一杯仕事しよう。
寄港まであと1日、先行していたタランとヘッテが一旦戻ってきた
「どうだったタラン」
「はっイラブ国は大旨我が国に友好的と感じました」
「それはなにより」
「ですが・・・」
「ん?」
「王を快く思わない反対勢力もいるようです」
「つまり今回の見本市を妨害する勢力って事か?」
「御意」
「今回の見本市は我が国の沽券がかかっている」
「は、何人たりとも邪魔はさせません」
「其方たちが頼みだ。よろしく頼む」
「入場ゲートに敵対勢力識別装置と敵召喚人間排除装置を付けます」
「あと王立魔法院付属研究所が新たに開発した金属探知機と
赤外線探知機、魔石探知機もワンパッケージになったゲートを使います
「うむ、敵召喚人間は自爆するから容赦出来ぬな」
「とにかく大勢が集まるので警備が大切です」
「引き続き情報収集よろしく頼む」
「はっ」
翌日早朝予定通りイラブ国の首都テヘロンに到着テヘロンは港湾都市。
大型船も乗り付けられる港が整備されていた
「ズズズズズ」
タグボートを使ってないのに超大型船が横滑りして接岸する風景に
港湾作業員がまず最初に度肝を抜かれた
「ななな、船が横に動いてる・・・」
新開発の360度首振り可能のメイン・4連スクリューと艦首に設置されてる
バウスラスターの威力で完全横スライドが可能になっている
接岸が終わると今度は船腹の大ゲートが開きそのまま跳ね橋の様に
港と船を渡る橋となった。海面が上下しても自動調整される仕組み
すると中から「フォークリフト」なる運搬車が「コンテナ」なる物を
港に荷を運び入れていく・・・
なんたることか「クレーン」なるものも動き出し大きな荷を降ろし始める
今までこの様な作業は日雇いや奴隷をつかい人海戦術で行っていた
あまりにもの違いに港湾作業員は目をクルクル回す・・・
統一化された「コンテナ」は3段重ねされるので場所を取らない
見本市が行われる前からすでに見本市は始まってるのだ
「伝票」なるもので荷の置き場所は全て計画的に管理されてる
どこに何を置いた?なんて非効率がない。
テキパキと会場設営が進んでるかと思ったら
突然「パアァ」と半円状の巨大ドームが出現し中の様子が見えなくなった
「通用門」なるものがVIP用1カ所一般来客用4カ所荷物用2カ所設置された
受付用テントが建並び「チケットやパンフレット」なるものを販売し始める
全ての設置作業は午前中に終了した、なんたる速さか・・
作業が終わるとフォークリフトなるものは船に戻りゲート橋は閉ざされた
予定通り午後にVIPが馬車でゾロゾロ到着し昼食会が会場内で行われる
メニューは勿論「カレーライス」
我が開会の挨拶を行うが会場に漂う香ばしい臭りに
来客者はまったくコッチの話を聞いてない
意地悪して少々長めのスピーチをしてやった
あまり阿漕な真似をすると心証を悪くするので「意地悪は計画的に」
「カンパーイ」
まず最初にスタージナスが一口食べ「毒味」を済ませて安心させると・・
「ガツガツガツ」お預けを食ったVIPが品良くお行儀よくかぶりつく
人心地ついたのかイラブ王がまず初めに質問を始める
「それにしても変わった会場ですな?」
「はい、皆様の安全を確保する為結界魔法を使ってます」
「結界なるものは知っているが色つきは初めてじゃな」
「はい、今回は見本市、しかも入場料をとりますので外部から
見えては不公平になりますので」
「ゲートなるものはなんじゃ?」
「はい、このような大人数が集まる場所では警備が一番大切
ゲートを通るさい曲者などを選別しています」
「なるほど、それは重要じゃな」
「して、今食べた物は初めて食するが一体なんじゃ?」
「はっ、カレーライスなる物で我が国の戦略商品です」
「レトルトパックなるもので長期保存が可能です」
「なっなんと、あの味が何時でも食べれると?」
「はい、今回の見本市でも販売する予定です」
「売り切れる前に購入しておくように」とイラブ王は側近に命ずる
「ご安心下さい、王様とお近づきの印に献上品に含まれております」
「おおっ手回しのいいことよのう、何事も万事かくあるべき」
「さて、今回は武器なるものも見学出来るとの話だが・・」
「はっ我が国の科学の粋を集めた画期的な武器、防具を用意してます」
「恥ずかしい話じゃが最近人民を惑わす邪教が横行し治安が乱れ気味
なのじゃ。国が不安定になれば民百姓は窮するというのに」
「ご心痛お察しします。出来る限りの協力はさせて頂きます」
イラブ王が民に慕われ民に尽くす王なのは調査済
「だが・・・」
「最新の武器はそれなりの値段だと聞く・・・」
「今の我が国には余力がないのだ・・」
「ご心配なく、我が優秀なる研究員の地質学者が申するには
この地は石油なるものが大量に埋蔵されてる可能性が大とのこと
ほんの数日調査させていただければ判明します」
アスタージナス王によると絶対に埋蔵されてるらしい
「ほう」と身を乗り出すイラブ王
「調査の結果が良好でしたら我が国のプラントを無償で供与します
そして精製、運搬も無償提供させていただきます
勿論適正価格で購入させていただきますが投資分は優先的に
販売して頂く契約だけはして頂きます」
「武器、防具、そのた今回の見本市でお気に召した商品はお近づきの印で
予想される石油の販売量に応じ適正価格で相殺販売させて頂きます
「つまり生産が軌道に乗り安定出荷できるまでタダという事です」
「なななな、なんと、それでは其方達の利益はないではないか」
「いえ、友好関係というのが最大の利益です」
「すでにサウジアラビブでも同様の契約を結びましたご安心下さい」
「うむ、実は我が国の調査団がサウジアラビブを視察して
あらましは聞いている・・・なんとか我が国もとは思っていたのだ」
「だが聞く所によるとあまりにもこちらの利ばかりなので
にわかに信じられなかったのじゃ。まさか噂が本当だったとは」
突然イラブ王は土下座して
「どうか我が国を助けてください・・」VIP全員が続く
「なにとぞ・・」
まいったなぁ・・これは予想外すぎる
「どうかお顔をお上げ下さい。我々は貴国とは公平、対等な関係を望んでいます
貴国の発展は我が国の発展でもあるのです」
今度は我の手を握りオイオイと泣き出すイラブ王
「なんと慈悲深い・・・そなたは神じゃ」
「困ります我はあくまでも国の使い。我にはなんの権限もありません」
「またまたご謙遜を・・貴殿が前アスタージナス王であることは存じてます
わずか数年で周辺32カ国をまとめ上げ民を救い善政を敷き飢えを無くし
道を都市を港を整備しその行いは神降臨と慕われてる方」
うーん、困ったものよ。現アスタージナス王と勘違いしてる・・
「なにはともあれまだ見本市は開催されてません。全てはその後で・・」
「で、あったな」と立ち上がる王
「それでは案内していただけますか?」
「はっ、喜んで」
じっくりと会場を回るイラブ王その後ろをVIPがゾロゾロ
感触が良かったのが
「カレーライス」
「戦車」
「輸送機」今回は1/10縮尺模型
「バス、トラック」
「ユンボやブルトーザーなどの建設機械」
「魔石と魔石モーター」
「石油精製プラント」これも模型
「鉄筋コンクリート」
「聖水、聖水酒」
予想通りインフラ関係と武器関係だった
国政のため吃緊の課題なのだろう。
イラブ側の特産品として
「絨毯」
「金宝飾」
「絹製品」
「医療品、医薬品」
などを紹介してくれた
なによりも驚いたのが我が国でまだ開発されていない
聖水からの「ポーション精製術」これは我が王と相談して
今すぐにでも欲しい技術・・
即日で数々の売買契約書にお互いがサインする運びとなった
定期輸送船便の契約も結んだ。国交と軍事同盟のための使者交流も決定した
大成果の初日だった
翌日イラブ王の広報活動もあったためか
一般入場券を求める人々がチケット販売所に朝から長蛇の列が
できていた・・いくらなんでも想定外
今日は大変な1日になりそうだ・・
一般客ゲートが開き続々と人々が入場していく
今回のゲートはわざと「L」字型になっている
カクッと90度曲がると誰にも気づかれずに不審者が消えていく
なにしろ大勢がドッと入場するのだ人が消滅しても気がつかない
普通の客は前方に広がる未来空間にしか関心がない
今回フードコートには「カレーライス」以外にも
「うどん」
「ハンバーガー」
「フライドポテト」
「たい焼き、今川焼き」
「みたらしダンゴ」
「焼き鳥」
「お好み焼き」
「クレープ」
そして目玉の「ラーメン」も準備した
どれもジャンクフードなのでカレー以外は王様には遠慮いただいた
どれも原価無視の赤字販売。一般庶民に手頃に食べてもらう為だ
後でその話を聞いたイラブ王、地団駄踏んだとか
一般客は見本市そのものよりもフードコートに驚愕した
今までそんな概念はほとんど無い、祭りとかで屋台が出る程度
それでもケバブ位しかない時代
予想外の大反響に初日はホンの数時間で売り切れてしまった
やばい、数ヶ月分は在庫してると思ってたのにこの国だけで
全て売り切れてしまうかも・・
肝心の見本市では商人達の目が輝く
どれも見たことの無い魅力的な商品ばかり
特に魔法属性が付与された剣や槍、フルプレートなどに注目が集まる
紙や印刷、名刺にも注目が集まった
魔石をつかった便利商品に商人達は目を輝かせる
洗濯機、掃除機、空調機、魔石を入れるだけで全ての製品が
動くことに商人は目をクルクル・・
とにかく国単位の高価な商品以外にも一般庶民にも
十分購入可能な小物類まで驚きの見本市だったのだ
すでに商談コーナーに商人が群がる。対応に大わらわの商品部社員達
まさかこれほどの大活況になるとは・・
全ては今後のノウハウになるな・・・
残念アスタージナス王一押しの「ラーメン」は先進過ぎて
あまり好評は得られなかった。
突然
通用ゲートの全てが閉ざされ城内に警報が鳴る
なにごと?
「只今敵襲を受けました、お客様はどうかご心配なくその場で待機願います」
と城内アナウンス
どうやら場外のチケット売り場と我が巡洋船が攻撃を受けているらしい
我も応援に・・と思ったら警護兵が止める「社長が動いてはなりません」
攻撃は空から始まっていた
巡洋船の早期警戒システムが敵ワイバーンの強襲を遙か手前で察知していた
「敵ワイバーン総数17自爆攻撃が予想されます自動排除システム作動」
「諸元入力完了」
「煙突VLSよりシースパロー6発射」
「ブシャアア」と噴煙をあげるシースパロー有効射程40Km
つづけて54口径127㎜単装速射砲が「キュイーン」と甲板から持ち上がり
照準をを敵ワイバーンに合わせる、有効射程距離24Km
6匹のワイバーンは視界に入る前に撃墜された
「ドンドンドン」127mm速射砲が有効射程距離に達すると火を噴く
7匹撃墜
続けて艦橋前部にカムフラージュされていた箱がカパっと左右に開き
高性能20mm機関砲/CIWSが残りのワイバーンに照準を合わせる
有効射程距離1、5Km
「ヴヴヴヴ・・」
血しぶきを上げて残りのワイバーンが墜ちていく。上空敵対勢力沈黙
一方地上では
邪教狂信者達が竹槍を持って敷地に殺到する・・・
排除は簡単だが犠牲者は最低限にしたい。
S級兵士がワイバーンに乗り込みつぎつぎと氷結魔法と布団拘束で
鎮圧を試みる。しかし敵勢力は数千とても対応仕切れない・・
「グモーーン」コンテナの中で待機していた魔物兵最大の
ゴーレムが始動する。今回は反撃はしない盾になるだけ
自爆攻撃を防ぐ目的
ゴーレムとゴーレムの間をスライムがドロドロと溶けて
壁を作る。竹槍などの攻撃は全く効かない
「うわ、なんだこのネバネバは槍で突いても絡みつくだけだ」
ガーコイルが精神魔法で邪教狂信者の洗脳を解いていく
「ババババ」食らった民達は呆然と立ちすくみ
「ん、おらたちなにしてるんだ」と我に返る
やはり操られていたのだ・・・どこかに首謀者がいるに違いない
隠密魔法で姿をくらましていたタランが首謀者を探る
ヘッテも別の場所で同様に首謀者の動きを探る
タランの持つ魔力探知機が反応した
「あの山のどこかだ」予想通り見晴らしのいい場所で高見の見物
情勢が怪しくなったら逃げるつもりに違いない。逃がしはしない
発見した。タランはレーダー照準器を首謀者にロックオンする
連動して巡洋船の煙突ミサイルが火を噴く
「プシャアアア」ミサイルはあっという間にタランの上空を通り過ぎ
目標の100M手前で何かを解き放つ!「布団だ」
「うわああ」あわれ首謀者は布団蒸し・・・
「やれやれここからではあそこに行くのに小一時間はかかる、生きてるかな」
布団蒸しは想像以上に過酷、息が出来ないし蒸し地獄、脱水症状を引き起こす
「ささお乗り下さい」とヘッテがワイバーンを出してくれたので乗り込み現場に向かう
10分もしないで現場に到着
あわれ布団蒸しの首謀者がゴロゴロもがいてる
「あーあまりもがくと死ぬよ?」とヘッテがいう
すでに首謀者の顔面は真っ赤蒸し上がってるようだ
「これを放て、我になにをするのじゃ」
「いやいや、其方はちょっと危険すぎる自爆されても困るし」
「く、曲者!お前達はなにものだ!」
「あれ?君、昨日王様の後ろに控えていたよね」
「しっしらん」
「びびびび」タランは有無を言わせず自白魔法を掛ける
訓練を受けた者や諜報員には効かないが一般人や下級貴族には十分効果がある
「お前の名は?」
「・・・・ア、アッサム・・・」
「召喚人間か?」
「いかにも・・・」
「目的は?」
「教祖様の命を受けて民を煽動するのがわれの役目・・・」
「教祖の名は」
「うううううううっ・・・・・・」
「ドカーン」自爆してしまった。勿論被害はない
「やはり王宮にまで召喚人間が及んでるようですね」
「よくある逆恨みの類だろう」とタラン
「王の縁者を探っていけば答えは見つかりそうですね」とヘッテ
「さて、全てを知るのは容易かもしれんが我が国の益となる
部分を探らなければ仇となる場合もある」とタラン
「さすがタラン様・・・」
「とりあえず暴動は鎮圧した。報告をしなければ」
「只今、全ての警報は解除しますお客様は安心して帰宅ください」
やれやれと待機していた一般客が帰り始める
予定してた5時よりも早めの閉門。
巡洋船に戻り関係部署の部長が集まり会議を始める
「本日の売り上げと入場者数の報告書です」と経理部長
パラパラとページをめくり確認しておく
「販売実績を元に明日の品揃えを調整するように」グフタス
各人メモを取っている
「次に本日の敵性勢力排除実績ですが・・」情報部タラン
一般客に紛れ込んだ敵性人間30を拘束
敵性召喚人間120を消却
危険物所持者30を尋問20を拘束10は解放
危険魔石所持者45を拘束
「予想以上に大規模だな・・・」
「敵対勢力は想像以上に強大です」とタラン
「いくらなんでもVIPに敵勢力はいなだろうとの考えは甘かった。
もしあのときアッサムに自爆されてたら我もあぶなかった」スタージナス
「それが・・VIPゲートにも召喚人間探知装置は作動させてたのですが」
「な、なんと・・・それをかいくぐって来たと申すか」
「敵は想像以上の手段を持ってるようです」
「敵にも諜報員はいるようだな」
「こちらの手段をある程度把握してるのやも」
「しかし、多くの敵は排除出来た。完璧な情報ではないのであろう」
「御意」「もしかしたら偶然通過できたのやも」
「ふむ、装置もまだ完璧ではないのやもしれんな」
「研究が必要かも知れません」
「とにかく内部に潜入出来た召喚人間が強襲を計画したのは間違いない」
「商船ごときがワイバーンを撃墜出来るとは敵も想定外だったのだろう」
「敵はワイバーンを17匹も用意できる財力を有してる訳ですね」
「うむ、そこが問題よ・・根は深いのかもしれん」
「どこまで我らが関わるべきかも考えねばな・・・」
やはり我が社長とは波長が合う・・タランはほくそえむ
「とにかく敵の動きがまだ読めぬ。警戒を密にして
とにかく民に被害が出ないように万全の注意を払うように」
その時伝令がスタージナスに告げる
「イラブ王がお見えです」
「なに、すぐに通すように」
会議室に案内されたイラブ王がその場で土下座する
「この度の不始末誠に申し訳無く。我が命と引き替えにご容赦いただきたく」
痛恨の表情で土下座しながらわびるイラブ王
「何を仰いますか王様、軽々しくそのような事を言ってはなりません」
「し、しかし大アスタージナス国に刃を向けたとあれば我が国などは
アリとゾウみたいなもの。余の命で民が救われるのならいくらでも差し出します」
「とんでもない事です、さお顔をお上げ下さい」
「我が国とイラブ国とは対等、公平な関係だと何度も申し上げています」
「し、しかし・・取り返しの付かないことを・・」
「いえ、今回の事件はイラブ王の失脚を狙っての事、敵の策に乗るは愚の骨頂です」
「そう申されても・・」
「今は我らと手をとり事件解決に全力を尽くすのが王の勤めですぞ」
「たしかに其方のいえ、スタージナス様の言うとおりでございます」
「まずは皆で食事をとりましょう腹が減っては戦は出来ません」
その場に食事が用意され談笑が始まる
「はて、これは面妖な・・・」
みたこともない料理にイラブ王はおどろく
「ここに来る間に得た魚という食材です」
「今回は我が大アスタージナス王が最も好むスシなる料理です」
「ほほー」
「これは材料の新鮮さは勿論職人の技による部分が大きいのです」
「わが王の話によるとS級料理人が5年も修行した成果だそうです」
「今回我が国に5人しかいない職人のうち⒉人を連れてきました」
「秘伝中の秘伝、極秘中の極秘、門外不出の料理です」
「そっそのような貴重な料理を・・・」
「すべて我が王の意、友好の証にございます」
「それでおたずねしたき事が・・」
「覚悟してまいりました」イラブは続ける
「我が国の恥を曝す事なのですが」
「ここで聞いたことは全員が口外しません安心下さい」
信用出来る部下しかこの場に置かない
王の口から語られた事はやはり予想通りの展開だった
王位継承に破れた次男が新興宗教を起こし民を煽動してること
国は割れ内戦状態に有ること
民の大部分は王を支持してること
しかし実際は王の命を狙ってる訳ではなく
新興宗教を認めさせる運動であること
なるほど・・タランは合点がいった
「今回は我らが邪魔に写った様ですね」タラン
「我が弟ハーシムには余をたぶらかす外国勢力に見えたのかも知れません」
「その弟君の新興宗教をお認めなる気はお有りですか?」
「民が幸せになるのならそれは構わない」
「しかし弟は民をだまし兵隊にまでして煽動する危険人物」
「国を憂う気持ちはあるみたいですが・・」とスタージナス
これ以上国状に関与するのは得策ではなさそうだ・・
「今回は我々が引き上げれば解決できそうですね」
「いえ、ここで決着つけなければ国は先細りいずれは他国に
滅ぼされる事でしょう」
「もう少しハーシム様を探る必要がありそうです」タラン
「はっ?なぜでしょう」
「資金力がありすぎです、ワイバーンを17匹も用意出来るには
相当の資金がなければ不可能です」
「つまり?」
「ハーシム様が警戒した通り外国勢力の介入かと」とタラン
ハーシム自らが外国から支援を受けてるので逆を警戒したのだろう
全員がぎょっとする・・・
「なるほどそこまでは我でも読めなかった」とスタージナス
「資金源を洗い出し絶てれば運動力も弱まるな・・」スタージナス
「御意」
「しかし余には全く見当がつきません」
「今申されました他国に支配されるという懸念はどこから?」
「うむ、我がイラブは長年隣国イクラと宗教観で揉めてる
だが過去一度たりとも軍事衝突などはしたことがない
いわば腐れ縁と申すか・・・」
「しかし、イラブの国力が弱まればつけいられる可能性はあると?」
「仰る通りですが・・・」
「なにか?」
「現イクラ女王の婿は我が兄者なのです」
「やはり根が深そうですね」
「ふーむ・・・」
場が沈黙する・・
「とにかく明日も見本市を開催します厳戒態勢は崩さずに」と
スタージナスが決断した。
「しかしイラブ王も食えん男よ」
イラブ王が帰った後スタージナスはタランに語る
「たしかに・・」とタラン
「初めは自らの命を差し出して国を守るとか言って起きながら
我らが手を引こうとしたらそれは困るとき来た。」
「実際は協力を求めるための言質をとりにきましたな」
「こっちの人間はみなしたたかよな」
「でもご隠居様もそれを承知で協力することにしましたね」
「うむ、石油とやらは独占されては困る戦略物資。我が手を引けば
利するのはサウジアラビブだけと見た」
「なるほど・・・」
「と、すればハーシムに資金援助してるのはサウジアラビブの線も」
「いや、多分それはないな」
「今、我ら大アスタージナスと敵対すると運河が使えなくなる
得るものよりも失う物の方が遙かに大きい」
「なるほど、左様でございますね」タランも納得したようだ
「さて、なぜイクラ国がイラブの邪魔をするのか・・・」
テーブルに地図を開きながらスタージナスは考える
翌日見本市は通常通り開催された
しかし、前日以上にチケットを求めるひとで開門前からごった返す
「只今より入場を開始します」
だーーーっと来場者が急ぐ先はフードコート
昨日お昼前に売り切れ続出でお目当てが食せなく不満だったのだろう
なんと今日はラーメンの出足がいい・・
「やはり分かる人には分かるのか・・」
それの倍以上の列なのがやはり「カレーライス」
ガツガツと食べた後はレトルトパックを10、20と
買い漁っていく・・・用意した1000食と1000パックは
瞬く間に午前中に売り切れる
「昨日の倍用意したのに・・想定外すぎる」とグフタス
「値段が庶民に手が届くというのも当たったのだろう」スタージナス
「実際は米と香辛料が高くて倍以上のコストがかかってますが」グフタス
「米は次に行くインドアという国で大量に獲れるそうですが大王の求める
米とは種類が違うそうです。」
「うむ、今までアスタージナス国で流通していた米はパサパサだったが
カレーライスとやらに使う米はネバネバが違うな」
「その特殊な米は遠い東の最果てジパンという国でしか獲れないとの事です」
「うむ、とりあえず今回の旅の最終目的地でもある」とスタージナス
「その米とやらが手に入らなければカレーのコストもスシも一般化できぬ」
「次に来る補給船に今回評判の良かった品物の量を増やして下さい」グフタス
「うむ、連絡は我の役目、大王に伝えておこう」メモをとるスタージナス
余程の急用がないかぎり思念通信は定時連絡にする取り決めになっている
大王も忙しいのだ下らない連絡ばかりでは政務に支障をきたすからな
王立魔法院付属研究室の研究により氷結・縮小魔法がワンセットになった
対人間使用不可化の代わりに魔法を使えない一般作業員も使える様魔石化した
敵性勢力に使えるS級兵士の魔法と比べ機能限定廉価版という感じ
更に縮小率も研究し1/20まで成功してる。最終目標はマイクロ化
フィルム化に成功すれば物流の大革命となるだろう。
残念ながら縮小できる物は2立方メートル位まで
生産魔物はどんなに大きくても自身で縮小出来るので問題無いが
輸送機や、戦車、船舶などは一旦解体して部品にしなければ縮小出来ない
大型輸送機などは解体、組み立てが大変なので見本市では「模型」出品
実際の販売後は現地で組み立て工場の建設が必要だろう
生鮮野菜や、魚貝類は生きたまま産地から消費地に運べる。
生産魔物は初めから氷結・縮小機能付きになってる
最新の生産魔物は仕事が終わると自動的に縮小して自分で収納箱に戻り
中に収まったら氷結化する便利さ。
「さて、フードコートの売れ行きは大体わかったが
肝心の見本市の反応はどうなのだ?」
「はっ昨日はあまり興味がなった品物も今日になって興味を示すバイヤーが
増えてるようです」あまりにも先進すぎて戸惑ってるのだろう
「やはり魔石、魔石モーターが無限大の可能性を秘めてます」グフタス
「生活環境が劇的に変わるからな」とスタージナス
「さらに我が国へ敵対行動すれば全魔石が止まるというのが素晴らしい
安全装置となってます」タラン
「うむ、そのお陰で武器でもなんでも思い通りに販売出来る」スタージナス
「我が研究所渾身の研究により魔石に特殊な魔法付与インクを染みこませてます
我が国出荷の魔石は絶対に上書き不可能、悪用が出来ません」
「しかし、詐欺行為にならない様商品説明は密にな」
「ははっ」
今日は不審者も少なく外部設備への襲撃もなかった
無事に5時の閉館時間を迎えられた・・
「さすがに初日に大量捕縛、消滅食らったので敵も警戒してるようです」
「しかし油断はならん。期間中は手を抜かないように」
「ははっ」
とは言え期間中に出来たらイラブのもめ事は解決しておきたいものだ・・
夕食を兼ねた部長クラスの報告会議の場においてタランが報告する
「今日一日諜報した結果ですが」
「うむ、報告頼む」
「はっ、まず分かったのが敵への支援国です」
「もう判明したか」
「は、イラブとイクラの国境を監視していたらすぐに不審な動きを発見しました」
「荷馬車が大量にイクラからイラブに入ってきたのに門番が
ろくに荷改めしませんでした。」
「多分門番が洗脳魔法に掛かっているか手の者なのでしょう」
「門番の取り調べは後回しにして荷馬車の行き先を探りました」
「うむ、続けよ」スタージナス
「はっ国境門からすぐ近くにある山に門がありそこに運ばれて行きました」
「門から先は結界が敷かれてました」
「上空をワイバーンで調べようとしましたが色つき結界で中は見えませんでした」
「怪しいな、敵のアジトなのかも知れんな」
「邪教の信者が集まる教会などの可能性もあります」
「荷馬車には人の気配もありましたのでイクラから兵もしくは信者が
不法に移動してるのかも知れません」
「施設の規模が知りたい所だな」
「御意」
「今晩、これから私とヘッテが内部に潜入してきます」
「安全第一に頼む。其方達の代わりは我が国にいないのじゃ」
「心得ています。敵情偵察するだけです、何も手出しはしません」
食事が運ばれてきた
今日の夕食会のメニューは次期見本市に出品予定の品みたいだ
残念だが夕食とて全てが商売絡みなのだ・・疲れるわい
「これは?」
「はっアタリア州では一般的ながら世界的には物珍しいパスタなる物です」
「おおおっこれは美味。しかも色々種類があるな」
「は、従来のパスタに大王考案のレシピを加えました」
「この、トマト?みたいな酸味のあるやつは病みつきになりそうじゃ」
「は、それはナポリタンなる新レシピです」
「このミートソースなるも絶品じゃ」
見渡すと全員が目を輝かせ上品にガツガツ食してる
「今回の見本市のフードコートで販売できぬか?」
「残念ですがまだ研究段階にて数がたりませぬ」グフタス
「これは絶対にあたる、早急に研究、開発、量産するように」
「はは、かしこまりました」
調子に乗って4皿も食べてしまったわい。お腹がパンパンじゃ
その日の深夜
範囲限定結界解除魔石を胸にタランとヘッテが敵アジト?に侵入した
門番君には何時も通り固まってもらつた
詰め所で眠る兵も皆固まってもらった。
「ここは王立魔法院に似た感じがするな」
門を通過するとすぐに長いトンネルがあった。2人は隠密魔法で姿を消し
暗いトンネルを進む。研究所で開発された赤外線暗視ゴーグルのお陰で
夜道も全く支障なく進める。
やけに長いトンネルも王立魔法院そっくりだ・・・多分仕組みも同じなのかも
つまり中で魔法の研究や開発、訓練、演習が可能なのだろう
やはり思ったとおりトンネルを抜けると広大な敷地が開けた
パッと見ただけで軍事施設、訓練所、兵舎、そして教会と居住区も見えた
小規模ながら魔物生産プラントもあった・・・
「いくらなんでも大規模すぎる・・」
「これだけの施設が露呈しないわけがないはず・・」
「王宮内部にも相当数の協力者がいるに違いない」
もしかしたらダクーミかヴァイスがイクラ国かイラブ国に
魔物生産技術と魔法訓練方法と施設を供与していたのかもしれない。
由々しき問題だ
「こんな最果ての地にまで悪魔の手を伸ばしていたのか?」
気づかれない様に施設の見取り図をメモしていく2人
「所住区がある以上数万単位の信者が寝泊まりしてるはず・・」
兵士も数千以上はいそうだ。
魔法の訓練もしている様子・・これは厄介かもしれない。
どの程度の魔法を使えるのか訓練風景も偵察したい・・
「我はここでもう一日偵察する。其方は報告に戻れ」タランはヘッテに命ずる
「は、それでは、くれぐれもお気をつけ下さい」とヘッテ
「うむ、今回は偵察するだけ一切工作活動はせぬ安心せよ」
ヘッテは戻っていった。帰り際門兵たちを解除しながら。
一日偵察を行っているタランが衝撃的な風景を目にした・・・
「うっやはり魔物は改造されていない・・・」
大アスタージナス国の魔物は人間を食料としない改造が施されている
ダクーミ式で生産された魔物は・・
「これはあまりにもおぞましすぎる・・・何も知らない信者がこんな事に」
手を出さない約束だがあまりにも凄惨な光景に怒りがこみ上げる
「ハーシムは救世主などでは断じてない。生かしておけない・・」
ダクーミかヴァイスの影響を受けてるとしたら支配した地域は
悲惨な運命がまちうけてる・・
解せん・・・今まで宗教対立はあったものの軍事衝突はなかった
イクラがなせこのような無茶の片棒を担ぐのか・・
「い、いかん!もしかして・・・」タランは自分の推測に自ら愕然とした
翌日、帰りをまつヘッテとスタージナスの元にタランは戻ってこなかった
「なにかあったな」スタージナス
「捕らえられたか追加の調査が必要なのかどちらかでしょう」とヘッテ
「タランは敵に捕らえられる様なヘマはしない。追加調査だろう」
楽観するスタージナス
見本市開催の予定期限は後3日、果たして動きはあるのか?
さて今日もお昼になった昼飯は何じゃ?どうせモルモットだろうがな・・
「さ、本日はこれを試食してください」
「な、なんじゃこら~」ジーパンはいてこい!
「これが食べ物か?」
「は、これも大王が開発を急かしてる戦略品だそうです」
「うまくすれば世界の昼食文化が激変するはずとのこと」
「こっこれがかぁ?」
「ともあれ食べてみて下さい」
「とは、もうしてもどうやってこの包みを剥がすのじゃ?」
「は、包みに番号と矢印が記されています。順番に剥がして下さい」
「なになに・・・(1)を引き。左右のビニールなるを引っ張る(2)・・」
「こっこれは面妖な!」
中にあった黒い「紙みたいなの」と「米」が合わさった・・・
食してみると、その黒紙がパリッパリで実に口当たりがよい
「おおおおっ中に仕込んであるものは一体何じゃ?」
「はっ中身のものは具と申します」
「その具なるものはいろいろ変えることで様々な味を楽しめるのです」
「して、この商品の名はなんと申す」
「は、おにぎりと申します」
「これは確かに革命的じゃな、忙しい昼時にさっと食せるし
手が汚れない。食器もなにもいらない、まさに画期的じゃ」
「更に画期的なのは機械にて大量生産出来る事です」
「でも今回の見本市には間に合わないのじゃな?」
「は、やはりネックは米でございます。あまりにも入荷量が少なすぎです」
「現状ではとても庶民が食せる値段で作れません」
「米とやらは作れないのか?」
「どうやら風土と水の違いでおいしい米の出来が左右されるとか」
「米はどこででも生産できますがカレーやスシ、おにぎりを作るのには
どうしても特別な品種が必要でジパンでしか生産出来ないそうです」
うーむ全ての鍵は最終目的地「ジパン」次第か・・・
後に大アスタージナス王執念の研究の結果
有る割合で薄めた聖水と高温多湿を実現出来るビニールハウス内での
アスタージナス米の生産にこぎつけている・・ずっと後の話。
昼食を終えて一旦巡洋船の社長室にもどり大王に定時連絡を行う
「その後どうなってますか?」
「うむ、今の所タランの情報待ちだし敵は動いていない」
「最終日の打ち上げパーティが危険でしょうね」
「うむ、同意見じゃ。イラブ王が来るしな」
「イラブ国内にイクラの軍事拠点が存在するそうですね」
「多分挙兵時に国境の結界を内側から破る作戦とみた」
「対策はされていますか?」
「うむ、其方の真似をして今回は敵の裏をかくつもりじゃ」
「それは心強いですね」とアスタージナスは喜ぶ
「ともかくタランの情報が来なければ動けない」
「わかりました吉報をお待ちしてます」
「あとご要望のありました追加物資を輸送船にて向かわせてます」
「うむ、助かる」
「今回1/20縮小術が完成しましたし10万トン輸送船2隻を向かわせます」
「一隻はそちらで購入した特産品を積んで帰国させて下さい
もう一隻はそのまま補給船としてお使い下さい」
放浪の旅なのに補給船付きとは恐れいったわい・・・
その日の深夜タランが戻ってきた
「ご隠居、時がありません今すぐ行動を・・・」
「まて、まずは報告が先じゃ」
「報告は後でします今はこのリストに有る物をすぐに手配ください」
「分かったタランがそこまで言うには理由があるのだろう
其方の言うとおり今回は動こう」
「は、ありがたき事。どうかよろしくお願いします」
艦内に非常警報が鳴り響く・・
直ちに部長招集、会議室に全員集まる
「今は時間がありません作成したリストの通り各人行動して下さい」
「社長たる我の命令だ。質問疑問は後で受ける今は社員一丸となり行動してくれ」
「ははっ」全員が即時動き出す
裏方仕事がおおいグフタスはのんびり構えていたがリストを見て青ざめる
「うわ、俺が一番忙しいぞこれは・・」そのまま倉庫に駆けだした
さてスタージナスも忙しい寝ている暇はない
その足でイラブ国王に面会に行く「透明ゴースト」が
王宮内にも敵が忍び込んでいる現況では正面からの面会は危ない
透明ゴーストに範囲限定結界解除魔石を持たせ王宮に忍びこませる
寝所で眠るイラブ王に話しかける
「イラブ王様、イラブ王様」
「む、なにごと・・・」
「静かにお聞き下さい。国家の一大事です」
「む、その声はスタージナス殿・・目的は我の命でしょうか?」
「もし王の命が目的ならこんな回りくどいことはしませぬ」
「確かに・・大スタージナス国ならどのような手段でも我が国はかなわない」
「今は時間が惜しゅうございます。どうかお話をお聞き願いたく」
「わかりました。お話ください」
「はっ単刀直入に申します」
「はい、」
「ハーシム様はこの世の人ではないでしょう」
「な、なんと・・・」
「多分ですが召喚人間に入れ替わってるはずです」
「弟が・・・まさか、しかし王家には反逆防止魔法があるはず」
「残念ですがそれはもう破る手段が確立されています」
「大アスタージナス国で開発されてると・・」
「はい、」とスタージナス
「入れ替わった弟君はイラブ国内で共謀者を王宮中枢に浸透させてます」
「しかもほとんどは召喚人間、事があると自爆攻撃を仕掛けてきます」
「な、なんと恐ろしい事・・防ぐ手立てはあるのでしょうか・・」
「は、明日早朝に我が手の者が王宮内に設備点検の名目で工作をします
その許可をいただきたく参上しました」
「それは訳も無いことだ」
「は、ありがたきこと」
「王様にはそのまま見本市最終日に何事もなかったようにご参加いただきます」
「わかりました」
「多分敵はそのすきに挙兵するはずです」
「それでは、我が軍も行動しよう・・」
「いえ、軍は動かさないで下さい。内通者がいるはずですので」
「軍施設、城郭門、王宮、王都、全ての門に、ある、装置を取り付けさせて
頂きたく」
「なにをされるのか分かりませんが国の為になるのでしたら喜んで」
「はっ王様のご理解を頂ければこの作戦は成功したも同じです」
「必ずや我が方の勝利まちがいなしです」
「たのみます。余の命、国の行く末、全て託します」
「万事おまかせください。」
その後詳細を打ち合わせてゴースト・スタージナスは帰っていった
翌朝
「全ての許可をイラブ王から頂いた、これが許可証だ!現地で騒ぐ者がいたら
これを提示すれば王命ということで最優先される」
「はは、」
夜の間に荷造りされていた輸送トラック群団が一斉に各地に向け走り出す
「急げ急げ・・時間との勝負だ」スタージナスが全員に檄をを飛ばす
見本市は通常営業しつつ裏で工作するのだ人手がいくらあっても足りない
アスタージナス王から「非人道的」だと使用をかたく禁じられていたが
今回は時間も人手もたりなすぎ。思念通信で了解をとったうえで
3日間限定で召喚人間100名ほどお手伝いとして使う許可がでた
セバスの悲劇を繰り返さない様に意思、感情を廃した「完全モブ人間」として
とにかく組み立て作業員が極度に不足してるのだ
あと48時間しか時間がない・・
都合の良いことに頼んでおいた輸送船団が到着してくれた
なんにもしらない船員、護衛兵に事情を説明し即時我が軍に合流させた
船員には見本市での接客を頼み護衛兵はそのまま会場警備を頼んだ
「えーーなにもきいてないよ」とは1人も言わない
厳選された王立魔法院S級卒業生しかいないからだ
「ま、一を聞いて五位は理解できる連中ではあるな」
スタージナスは彼らに一定の評価を下した。
慌ただしく閉会式の日となった
正午12時予定通り王による閉会宣言と昼食パーティが開催された
その時
イラブ国各地から戦火の火が上がる・・
いや、あがらなかった
各都市、王宮、王都から同時に謀反の手を上げる手はずだったのだが
召喚人間が門から外に出ようとした刹那
「スウ」と消滅してしまった
慌てた召喚人間は城郭都市内で暴れようと切り替えたが
警備していたS級兵士に次々と布団蒸しにされていく
これはたまらんと王宮内に撤退しようとしたが門をくぐれない
次々を消滅してしまう。
全てを諦めた召喚人間は次々と自爆していくが
事前に王命にて自宅待機を命じられてた一般市民に被害は出なかった
王宮内に潜入していた召喚人間達も次々と捕縛されていく
一定の距離を置かれて束縛魔法を掛けられるので自爆しても巻き添えに
出来ない・・・多くの者があえなく布団蒸し→無駄自爆となった
歴戦の勇士たるS級兵士にはゲルマニア戦で得たノウハウが半端無い
各地方都市でも同じ様に召喚人間は鎮圧されてしまった
一方見本市会場周辺では集まって来た狂信者達一万近くが会場敷地を取り囲む
会場の敷地内に入れるのは東西南北の4つのゲートから
一斉に信者達が竹槍を持って突破してくる・・・だが
「ゲート」をくぐってきた信者がみなキョトンと周囲をみる
「あれ、おらたちなんでここにいるんだぁ?」
急遽新設された4カ所のゲートは洗脳魔法を解除する装置が仕掛けられていたのだ
正確に言うとゲート内に仕組まれた聖水噴霧装置により
聖水を浴びた信者の邪悪部分が綺麗に浄化され洗脳が解けたのだ
2日前に到着した補給船で大量の聖水を持ってこれたお陰
本来はイラブ国でポーションが作れるとの事で研究用に持ってきた聖水
洗脳解除に聖水は効果有りとのタランの報告により
整備員が突貫で4つのゲートを作ったのだ。正に時間との勝負
そんな事は一切しらない信者全員が敷地内に乱入するも目が覚めたように
キョトンとした後なにもせず皆帰っていった。
同時蜂起は国境門でも勃発した
打ち合わせ通りイラブ国内の軍事拠点から召喚人間と魔物達が出陣し
国境の内側から門を開きイクラ軍を誘導する手はずだったのだ
「午後ゴゴゴ・・」予定通り午後一番で国境門が開く・・・
「ザッザッザ」堂々とイクラ軍精鋭部隊が進撃する
いや、しない。
なんと門から召喚人間が外に出れない・・いや出た瞬間に消滅していく
あわてて兵を止めようとするが後から後から押し寄せる軍隊は
簡単に止められない・・召喚人間の半数が一気に消滅してしまった
おかしい、進めるはずの魔物達もどんどん・・
氷結・縮小されてるのだ・・1/20縮小化された魔物達は
まるで「消滅」していくように見える
門を出た瞬間に固まって小さくなった魔物達が「カランカラン」と
積み上がっていく・・押し寄せる群団は容易に止まれない
知能の低い下級魔物達は命じられた行動しか出来ない
ほぼ全ての魔物達は門前の山と化した。
タランからの報告通りほとんどが下級魔物だけ
質の悪い聖水から生産される魔物は質が悪いのだ兵ほとんどがゴブリン
巨大魔物は全くいなかった
その時生き残った召喚人間が何かを門の手前から投げ入れる
魔石からの召喚魔物を発生させたのだ
ワイバーン30にゴーレム100、イクラ軍最後の軍勢
森の中に隠されていた四連装ミサイル搭載車から
11式短距離地対空誘導弾(通称短SAM)
有効射程距離7Kmが発射された、その数16
全弾命中残りワイバーン14!更に急接近
続けて8連装装備のミサイル搭載車から
93式近距離地対空誘導弾(通称近SAM)有効射程5Km
14発が発射される
「シュパーーン」
たちどころに14匹のワイバーンは撃墜されていく友軍被害無し
「グモーーン」突進してくるゴーレム100体に
遠距離からヒトマル君20両の新型徹甲弾が一斉に火を噴く
「ドンドンドン」
命中したゴーレムが木っ端微塵に吹っ飛ぶ!
王立魔法院研究所で研究を重ねたゴーレム専用の必殺徹甲弾が初めて
ゴーレムの装甲を貫いた瞬間。
対ゴーレムでは貫くだけでは致命傷を与えられない。
装甲を破ったあと内部から爆発する新開発遅延信管が効いた。
我が大アスタージナス国から輸送船で派遣したほぼ全兵力を
投入したお陰で敵軍は壊滅、当方被害無しの完全勝利を得た
短SAMは残弾0→帰投
近SAMの残弾18
ヒトマル20両
兵員輸送トラック4両(100人)
魔物輸送、物資輸送トラック2両(縮小魔物兵1000体)
そのまま全軍は国境門を突破し敵イクラ国へと進軍した
予想通り魔物兵は全滅していたたようだ
タランの隠密魔法で敵魔物生産プラントに侵入しすでにプラント3カ所は
稼働を停止してる。敵援軍はもうこない・・
聖水ポンプの魔石を抜くだけでプラントは止まるので別に破壊工作はいらない。
完全自動化されてるプラントなので召喚人間が原因を調査するのにも
時間が掛かるだろう。
肝心の聖水はどこで輸入されたのか質が落ちる劣化品。碌な魔物を生産出来ない
多分今回の謀反に駆り出されて召喚人間はほとんど壊滅してるはず
イクラ王の魔力程度ではせいぜい5~600位しか召喚出来ない筈
タランの予想通りやすやすと王都を包囲出来た
これも予想通りだが民百姓は全くいない・・・
「ゲルマニアと全く同じ状況だ・・」タランは嘆いた
多分イクラ女王アサーラはすでに召喚人間だろう
婿のイラブ王実兄カーニム様も・・
全て想定内通り王宮に突入すると召喚人間の残数は5~6
全てを引っ捕らえて布団蒸しにする
残るは女王アサーラのみ当然布団蒸し
タランは尋問する
「どうしてイラブを狙った?」
「ふ、知れた事よイラブ征服は我が国の悲願だからじゃ」
「違うだろ!お前は召喚人間、民百姓の命など考えてはない」
「バレてしまえばしょうがない・・・」
「我はヴァイス様と呼応して人類抹殺を狙ってたのじゃ」
「おろかな。ヴァイスはもういない」とタラン
「いえ、そんなはずは・・大アスタージナス国があの地域を
支配したのはヴァイス様が後ろに控えてるからに違いない」
「其方、正気か?」
「ヴァイス様の洗脳魔法は全ての者を狂わせるはず・・」
「残念ながら我が偉大なる大アスタージナス王はそのような小細工に
仰せられる訳が無い。お前は世界を知らなすぎる」
「そんなはずはない我が命のヴァイス様は唯一無二の存在
神をも超越した悪魔なのだ」
「其方も悪魔に魂を売ってしまった一味なのか」
「ヴァイス様が来てくれればお前らなど烏合の衆じゃ」
「ヴァイスは永遠に来ることは無い」タランは冷たく突き放つ
「民はどうしたのだ?どこにいる?」
「お前らには関係無い事」とうそぶくアサーラ
「民は700万はいたはず、魔物達の餌食になったとしても
600万はいるはず。居場所を教えろ」
「教えて欲しくば我が命の安全と交換じゃ」
「お前達はそろいもそろって同じ事しか言わないな」
「余が解除しなければ永遠に民は戻ってこない」
「諦めよ、お前を許すことは出来ない」とタラン
この手の交渉は一切しないと大アスタージナス王からの厳命なのだ
「それではさらばじゃ」とアサーラは自ら自爆して果てた
今回も同じ課題が残されてしまった・・
それにしてもいつアサーラ王は乗っ取られたのか・・
ヴァイスの生き残りがいるのか?
それともヴァイス達を操る「悪魔」とやらが本当に存在するのか・・
なにはともあれ本件はこれで一件落着だろう。
後始末
タランは全てをスタージナスとイラブ王に報告した
「なぜ我が国に展開してたイクラ国の軍事拠点は挙兵しなかったのですか」
とイラブ王が最初に質問する。
「は、挙兵しなった訳ではなく挙兵出来なかったのです」
「ほう」
「今回本当に時間がなく緊急だったのですが敵性召喚人間と魔物を排除する
ゲートを各地に設置しました。」
「門をくぐると召喚人間は消滅し下級魔物は氷結・縮小するゲートですね」
「はい、幸いにして今回の見本市にサンプルとして相当数展示していたので
急遽転用しました」
「地方都市とかの城門に設置するセキュリティ商品として
販売出来たらと思ってました」
「それで各地に輸送トラックが出発していったのですね」とイラブ王
「はい、実はゲルマニア国との戦争で得たノウハウです」
「なるほど」
「同じ装置を敵軍事拠点と国境門にも設置しました」
「なるほどそれで軍事拠点からは挙兵できなかった・・」
「でも敵を欺くためわざとこちらが国境門を開きました」
「なにもしらない敵はのこのこ国境門を通ろうと自滅したのですね」
「はい、これもゲルマニアとの戦闘で得たノウハウです」
「しかし、今回は短期間の勝負でしたから大変だったことでしょう」
「全てはタランの臨機応変のお陰です。」とスタージナス
「いえ、私はスタージナス様の命令で動いただけですので」とタラン
「わたしにもかような信頼出来る部下がいれば・・」と嘆くイラブ王
「ちなみに初日アッサムがイラブ王と一緒にVIPゲートを通過出来た件ですが」
「敵の新技術だったのか?」とスタージナス
「いえ、調査の結果イラブ王の魔力によりアッサムの召喚人間特有の
微魔力を検知出来ませんでしたゲートの精度が不足していました」
「ふむ、改善の余地ありか・・」スタージナス
「まあ、それはともかく今回は我らも裏をかかれてました」
「わが見本市に攻撃を仕掛けてきたのは国境門から
攻め入るための陽動だった様です。」とタラン
「そうでしたか見本市妨害に見せかけた謀反だったのですね」
「謀反に見せかけた見本市妨害だと思っていたのですが・・反対でした」タラン
「それにしても今回は大変お世話になりました」とイラブ王
「いえいえ、このままアサーラ王に征服されたら民は全滅でした」
「しかし、恐ろしい。国の支配が目的ではなく人類抹殺が目的とは」
「まさに狂気としか・・」とスタージナスは嘆く
「悪魔崇拝は邪教の域を超えてます」
「民の為と思いハーシムを黙認してしまったのが失敗でした」とイラブ王
「さて、王様、イクラ国はどうされますか?」
「はい、是非復興させたいのですが民が壊滅してる現状をどうするか」
「隣国のサウジアラビブ国と協議して移民を集うのはどうでしょう」
「我が国もサウジアラビブも発展途上の国。国土の広さに比べて
人口が少なすぎるのです・・果たして移民希望者がいるかどうか」
「我が大アスタージナスがプラント建設などで人員を募集すれば
民が集ってくれるかもしれません。手を打ってみましょう」
「今回の見本市で得たノウハウを還元したいのです」とスタージナス
「それでは貴国にまったく利点はありませんが?」
「とんでもありませんイクラでも巨大な埋蔵量の石油がとれるのです
これは先行投資です。」
「それに見本市でフードコートで提供した食事を餌にすれば
民はついてきてくれる気がします」
「おお、余もカレーライスの為ならイクラに移住してもよいな」
「いけません。王様はこれからイラブ国の復興が第一です」
「うむ、わかっておる」頭カリカリとかくイラブ王
それにしても大変な1週間だった。我はもうクタクタだ
客船で暫くは充電しなくては・・うう、ダーリヤがベタベタ来るだろうが
もう面倒くさい好きにさせる。とにかく疲れた
旅日記5ページ目はこうして埋まった
悪魔勢力はどこまで及んでいるのか・。・・




