海獣討伐
ドカーン
油と魔石・・・欲しい,欲しい
貿易量をなんとしても増やしたい
とかなんとか思っていた時に
千載一遇、絶好の機会が訪れた
海上貿易国加盟国合同での海獣征伐が
実施される事になったのだ
現在加盟国は5カ国
アスタージナス、イグジナス、アタリア、コルト、コロッモ
上手くするとアタリアの軍事力
コルトの油
コロッモの魔石
アスタージナス国が不足してる物が全部手に入る!
「ランランラン、リンリンランランりゅ○えん・・・」心うっきうき
海上貿易協定加盟5カ国とは?
前世の世界地図で言えば地中海貿易と似ている
内海を挟んで5カ国がグルッと取り囲んでいる
他にも国はあるが未加盟の国は小国ばかり
この五カ国が定期的に合同で海獣討伐を
行ってるのだが前アスタージナスは「国力がない」
との理由で軍艦1隻程度しか派遣してなかった・・・
足元見られる原因だよね
ここ数年海獣の出没が劇的に減り海上貿易が栄えたのだが
去年から突然増え始め各国が頭を悩ませはじめた
加盟国の中で一番の軍事力はアタリアなのだが
石油等の天然資源の宝庫なのはコルト国
魔石生産で秀でてるのはコロッモ
どの国とも海上貿易協定は結んでいるが国交はない
国際取引相場が定められてる魔石の取引価格は変動しないが
石油は今の所コルトだけしか産油していない
コルトの重要な戦略物資との理由もあるが
結局アスタージナスの足元をみて「ボッタクリ」価格なのだ
この機会になんとか仲良くなりたいものだ・・・
特にコルトとコロッモ・・・
そのためにはなめまくられてた軍事力を誇示せねば
今回は我が国の最新鋭艦2隻と私が魔法でだした
イージス艦もどき一隻の3隻を派遣した
というかこれで全海軍力なんだけどね
ちなみに2隻目はやっと先日完成したばかり
国家財政は火の車です。
合流地点に各国の軍艦が勢揃いした・・・・
んっこれが軍艦なの?しょぼくない?
他4国の軍艦???って50mクラスの
帆走船ばかり船腹に20~30程度の
大砲を撃つ蓋がある
あーこれはマジ中世ヨーロッパ大航海時代そのものね
各国の派遣軍艦数
アタリア5隻、イグジナス2隻、コルトとコロッモ1隻
今ここで海戦したら2分足らずで
全艦轟沈させる自信あるね
例年と全くちがう軍艦出現に他国の
水兵たちは目を白黒右往左往、艦長は腰抜かして、
砲兵は泡吹いてる、ばけももを見てる感じなのだろう
全く場違いの鋼鉄製最先端戦闘艦が3隻も
いたらそらだれでも腰抜かすだろうて
その夜
例年連合艦隊の旗艦となってるアタリア最大の戦列船船上にて
各国艦長、参謀が集結して作戦会議・・
というか親善パーティを行った
艦長クラスはほとんどが国の重鎮なのだろう
豪華に装飾された軍服、勲章の数を見せつけてる
討伐任務ということで私も軍服なのだが淑女然と
そそっと上品に着飾り決して周囲に負けていない
「王様に恥はかかせません」
全部ウラアールの指示なんだけどね!
群がる群がる・・・みんな私に群がる
わたし女王様でしてよ・・オホホホホ
優雅なたたずまいで余裕しゃくしゃく
内心ひやひや・・「粗相ないよね」大丈夫、私!
「かような軍艦はみたことが有りません・・・」
「どうか我が軍にも一隻」目玉飛び出る値段ですけど
「お、お助け下さい命ばかりは~」とはさすがに言わないけど
目が、皆の目が訴えてる・・・
「ふん、きっと見かけ倒しにちがいない・・」
と強がる者もいた
折角の機会なのでコルトとコロッモに話かけてみる
「初めまして、アスタージナスと申します」
「は、若くて聡明でお美しい王女様と噂は聞いておりましたが
実際に尊顔しますと噂以上の美貌と身のこなし、正直驚きました」
とコルト国の艦長、軍事大臣だとか・・
「お世辞がお上手でございますね」
「是非、この機会に我がアスタージナスとよしなに願います」
「はっ女王様直々のお言葉とあらば喜んで」
私:ちょっとオタクの石油ボッタクリすぎじゃない?なんとかしてよ
大臣:安くして欲しければそれなりの物を見せてね
と視線光線を送ってお互いの本音と建前の応酬をした
つづいてコロッモ国との談笑
「近年魔石の大量生産が可能になったそうですね」
ギクっとコロッモ国の艦長(外務大臣)は何か驚いてる
「ようやく我が国も近代化の波が届いてきました」
なんか話をはぐらかしてる??
「とにかく我が国は各国の需要にお応えするべき
増産体制を整えているところです」
「それは心強い事です。どうか今後もよろしくお願いします。」
「は、ご期待に応えるよう努力します」
えっなんか直立不動?そんなにかしこまる事言ったかな?
イグジナスとは特に話すことは無い
今回は国王自ら艦長として乗り込んできてる
イグジナスが近づいてくる・・
「女王様、ご機嫌麗しゅうございます」と一礼
ふん、なにを今更・・・お前と話すことなんてないよ
と脳内で罵声を浴びせたが顔色を変えるわけにはいかない
「両国の発展を心から願っております」
「ははっありがとうございます」
と、いいつつもなにやらイグジナスはへりくだっていない??
なんとか取り入ろうと一方的に使者を送り続けていたのに・・
なにやらその目には違う物が写ってる様にも見えた
「なんでしょうこの違和感」
この場にはいないが「イージス君」に待機中のウラアールに
テレパシーで相談してみた・・
「なるほど、イグジナスになにか策が有るのかも知れませんね」
とウラアールは答える
「ですが我が諜報部の調べでは今の所なにも掴んでません」
「分かりましたありがとう」と私
続いてアタリアとの談笑
こちらも王自ら艦長として乗り込んで来てる
あ、ちなみにどの国でも重鎮が艦長を務める理由は
クラーケン退治の大魔法を使えるからでもあるし
この船上パーティが外交の場でもあるからだ。
「女王様の軍艦は今まで見た事も無い異様さですな」
「大砲の数が少なすぎませんか?本当に軍艦なのでしょうか?」
「いえ、今までとは発想を変えてますので」
「ほほう、それは興味深いですな」
「それにしても鉄の船が浮いてるのには驚きました」
「はい、発想を変えましたので」
「なるほど、軍事機密・・と言う訳ですな」
「お察しください・・」と私
「魔物退治にも軍事秘密とやらでなにもされないのでしょうか?」
「いえ、その時に我が軍の全力をお見せする所存です」
「ほー、それは楽しみ期待しておりますぞ」
多分、大砲も満足に無くただデカいだけの鉄船に
なにが出来る、とたかをくくってるのだろう。
「発想が違うのです」言った通り中世ヨーロッパの帆走船とは
根本から設計思想が違うんだよね・・理解出来ないでしょうけど
なごやか?に船上パーティはとり行われていった
はらの探り合いは終わり翌日いよいよ作戦開始
各国の戦列艦の周囲を10隻ほどグルッと30m級の
デコイ(囮船)が囲む
クラーケンが食いついたらデコイごと撃破する作戦だ
前アスタージナス王がやったことと同じ作戦だよ
レーダーも音深探知もない時代だもん仕方ないよね
我ら護衛艦部隊は陣形から大きく外れ大三角形の陣形で備えた
海獣出没予想地点に艦隊が近づく
「ソナーに感あり」距離10Km深度10M
敵性感知数10!
すでに我が軍は王立魔法院研究所の努力で
ソナーとレーダーを実用化している。
私、軍事オタクですもの概念だけは知ってましてよ
開発、実用化するのは研究所ですけどね。
敵クラーケン総数は10、未曾有宇の数だ
今までだったら討伐隊全滅だったかもしれない。
「諸元入力完了、アスロック発射」
我が軍の誇るイージス艦から必殺の
アスロック10発が放たれる
各目標にマーキングを施し各個撃破なので無駄がない
「プシャアァァ」真上に噴煙と共に打ち上がった
ミサイルが100M程上昇し今度は水平に
高速移動する・・
「ぱあ」
と先端が開き魚雷が放たれパラシュートが開く
静かに海面に吸い込まれた魚雷が今度は
ホーミング機能によりクラーケンに突進し・・・
「ドカーン」
「ブラボー1命中、続けてブラボー2命中」
「敵性目標沈黙、消滅、排除完了!」
って私が勝手に作戦指揮所でわめいるだけ
なんとなくカッコいいじゃん!
巨大な水柱を上げクラーケンは次々と爆沈していった
発見から爆破までの所用時間1~2分
これで討伐任務完了
何もしなかった何も出来なかった他国の水兵は
腰をぬかし、砲兵は泡を吹いて艦長は冷汗だらだら・・・
たったいま起きた現実を認めたくないかの様に
「はっ」と我に返ったアタリア国艦長・・・・
「これは相手にならん」と同時に
「いち早く軍事同盟を結んで友好関係を築かねば
我が国など簡単に蹂躙されてしまう。」
危機感を深めた・・
と、同時に「あの女王をなんとか排除出来ないか」
「排除不可能なら政略結婚して籠絡出来ないか・・・」
艦長アタリアは次々と策を練る
「なんとか第二王子を婿に出来ないだろうか・・・」
「隙を見て即死魔法でも掛けてみるか・・・」
「いやいや万一失敗したら我が国は消滅してしまう」
脳内をグルグルグルグル
最低でも数日を要すると思ったのに日帰りで完了・・
なんとも拍子抜けだったがアスタージナス以外の国は
それどころではない・・・
なんとかアスタージナス国と仲良くなりたい・・
いや仲良くならねば破滅だろう・・・
「やばい、今まで足元見すぎていた」
「まずは貿易で友好を示さないと・・」
思惑が渦巻いた。
とは言っても実際の我が国の懐事情・・・
虎の子のアスロック10発も使っちゃって
大散財だったよ・・
「我が国の留保金はまたスッカラカンです」
とウラアール
「見栄張りすぎましたね」と私
アスロックは超超高級武器
一発で1000P魔石を弾頭含め10も消費する
100000P(1000億円)が一瞬で消えた
実にしょぼーんだったのだ。
しかし投資効果はすぐに現れた
なんと「もえる油」(石油)頼みもしないのに
1リットル/中銅貨2枚(200円)に大幅値下げしてきた
どんだけぼったくられてたんだよ!
今後ジェット機の開発が可能かもしれない
それよりも先に石油コンビナート、備蓄設備
石油タンカーの開発が急務だろう。
石油タンカーが実用化されれば石油を輸入して
聖水を輸出出来る。一石二鳥実に無駄が無いね
全部概念だけは分かる!後は研究所まかせ(^^)/
魔石も10P、100P魔石が年間数万単位で
輸入出来る運びになった
さすがに1000P魔石は希少なので年100個単位
だったが飛躍的に増えたのは間違いない
なんと奇特なことにこちらの財政を考慮してくれて
魔石購入には「つけ」が効いた。
「お代はいつでも結構です・・」
とコロッモ国
友好と恭順を示す担保って事なのだろう
今後の安定供給も約束してくれた
脅し効果って・・・すごすぎ
後に5カ国は軍事同盟を締結し内海の警戒監視は我が国が請け負った
アスタージナス国の軍門に4カ国が下ったと見るべきだろう
同時にシグナス国とも正式に国交樹立と軍事同盟というか従属が
決まった。大使館を各国王宮内に建設し友好関係を構築した
ちなみに大使館内に移動の間を作り緊急時には各国首脳が
集結できるシステムを作り上げた
軍事同盟、国交樹立により国境門での関税が撤廃され
5国は大いに栄える事となった。
いままで慣例となっていた城郭門での通行税徴収も厳しく
取り締まり、賄賂文化見直しを国民に示した。
それと共にアスタージナスの先端技術が同盟各国に
浸透して同盟国全てが豊かになっていった
気がついたらアスタージナスは周辺5カ国を
平定する大国として名をとどろかせていった。
ズドドーン




