富国政策
どんどん進みます
「ねーえ、ウラアール」
「はっ今度は海ですね」
もはやウラアールはノスト○ダムス、予言者だよ
後から聞いた話によると私が言い出しそうなリストを
つねに10位は予想して研究していたらしい。
「ねーえ」と言う発音のニュアンスでどの案件か分かるそうだ
とんでもない側近がいたもんだ。
「ねーえ」と言えばお茶
「ねーえ」と言えば世間話
「ねーえ」といえばおねだり
「ねーえ」と言えば新しい政策
完全に妖怪だよ。ベム君
試しにお茶が飲みたくなったので
「ねーえ」と言ってみたら本当にお茶が出てきた。
「ねーえ」の研究成果はおいといて
話をもどす
ようやく聖水酒事業も軌道に乗り出し
魔鉱石武器、防具の生産が開始され
順調に国家財政も潤ってきたがもう一手が欲しい。
「魔動力装置も大分コストが下がって来ましたので
海上輸送に応用できるかもしれないと
私も思ってました」とウラアール
「そうなの輸送船となれば1000馬力クラスの
動力が必要ですから」
「王様ご指示の製鉄所が完成し
鉄生産が順調にのびてます」
「今の所バス、輸送トラックを優先的に
生産してますが今度は造船ですね」
とウラアールは私が頼んでもいない成果報告を
次々と発表する。
これもすべて東のジルベッタ領で
炭鉱が発見されたのが大きい
石炭自体は昔から存在はしられていたけど
利用方法がわからないのでほとんど無視されてたが
炭鉱自体は比較的簡単に発見された、
ゆくゆくは蒸気機関車とか火力発電所も
作りたいが環境破壊が問題だ
製鉄所みたいにどうしても火力が必要な設備は
やむを得ないが出来ればクリーンエネルギーの
魔石動力を推し進めたい。魔石は高コストなのが課題だ
実は王立魔法院付属研究所を立ち上げ
へっぽこ元兵士・・あ、いやいくらなんでも
それは失礼だろう、元兵士のダニア、ヘホコ、ロムロ
3人に研究所所長、部長として迎え研究コース希望学生達と
王立魔法院で研究してもらっている
最優先は魔動力関連の省エネ化の推進・・
せめて1000馬力モーターを一日/大銀貨1枚程度で
稼働出来る様にして欲しい・・
そこまで省エネ出来れば前世の燃料コストと同等に出来る
今まで便利に使っていた魔石だが魔物が
ほとんど沸かなくなったので魔石供給が激減したという
皮肉も生じてしまった。
魔石の需要は飛躍的に高まってるのに供給は
海上貿易に頼り切ってる現状
海上貿易の充実は国家存亡のため吃緊課題なのだ
魔石を作る事できないかなぁ・・
錬金術と同じ位難易度たかそうだけど
魔石作成はヘホコに依頼した。
長期の研究が必要だし実現困難だろう
と、思っていたらヘホコが重要な情報を
もたらしてくれた
「ダクーミ様の研究により一度効力を失った魔石を
再利用出来る方法があります」
なっなんと、それは朗報すぎ!再利用出来れば
ランニングコストを激減出来る
後は再チャージのコストを減らすだけ・・
ヘホコに引き続き研究をたのんだ
半年後、大型輸送船と護衛用巡洋艦が一隻づつ進水した
スクリューの概念を鍛冶職人と船職人に合同で依頼し
実用化にこぎ着けたのが大きい
私はスクリューの概念は前世のネットとかで知っていたが
実際の仕組みなんて判るはずも無い
だが腕利きの職人は私のいい加減な概念を具現化してくれた
今風で言えば5万トン級の輸送船と1万トン級の護衛艦
多分この世界では前代未聞、史上最大規模の船舶だろう
科学力を見せつけるのは他国からの侵略を防ぐ抑止力になりうる
なんといっても、可変式スクリューとバウスラスター付き
だからね!軍事おたくの知識が役に立ったよ
あ、軍艦の装備についても「奇っ怪な機械」で
一度イージス艦級を見本として作り実現可能な範囲で
職人に作らせた・・わたしのレベルはすでに100を越え
イージス艦クラスの軍艦も魔法で作り出せる
最先端には程遠いハリボテだけどね
スマホGPS連動のレーダーと魔主砲、対艦、対潜ミサイルは
本物だよ。ほとんど海獣相手でしょうけど。
本物のレーダーとソナーも近日中に完成、実装予定だ。
最低でも輸送船10席護衛艦3隻程度は必要だろう
だけどすでに聖水酒と武器、防具で得た収入はなんちゃって
護衛艦一隻の建造で吹っ飛んでる・・
富国強兵はつねに財政との勝負なんだよね
「ねーえ・・・」
「はっ今度は東ですね」
「イグジナスへの輸出品は主に聖水だけだったようですが・・」
「ダクーミの極秘書類を調べた結果、裏で魔物も輸出
していた模様です」
「魔物輸出は重大な国際法違反です」
「ダクーミは資金稼ぎの為魔物も極秘に輸出してました」
「聖水は2~3日で効果が薄れるので特殊な小瓶輸出も
ダクーミ領の財源になってたようです」
「ダクーミが生前誤魔化していた金額の詳細は・・・」
「ねーえ」だけしか言って無いのに
ウラアールがまくしたてる・・・
「ということで現在イグジナス国とはジルベッタ様の
判断で国交断絶の措置を行っています」
「我が国に輸入されていた食料品などは現在シグナス国との
貿易で十分供給が足りています」
「今の所イグジナスと貿易を再開する価値はありません」
うんうん、分かったよウラアール・・・
「でってもね・・・」
「はっ、確かに聖水酒の生産量は益々高まり各国からの
貿易依頼はひっきりなしです。東のイグジナスへ
輸出すれば我が国の影響力は高まるでしょう」
「場合によってはシグナス国同様軍事同盟に名を借りた
従属関係を得られるやもしれません」
「たしかに王様が平和主義なのは重々承知してます」
「他国と友好関係を結ぶことは決して損にはなりません」
「すべてを比較しましたがやはりイグジナスとの
国交正常化は時期尚早と思います。」
「あわてることはありませんね」
「御意」
「しかし、いずれは関係を回復せざるを得ない状況に
なるかも知れません」
「今後の課題ですね」と私
でも今の会話の中であるヒントを得た
「ねー・・」
「は、国内の緊急防衛のためなら魔物兵は有効かもしれません」
ねーえの「え」まで言わない内に図星をつかれてしまった
「それに・・・」
「は、貴重な労働力としてもつかえそうですね」
そっその通り
国外へ輸出は御法度だが国内で防衛や労働力として
使うのならなんら問題はない。
ゴブリンやオーク、オーガ、ガーコイルは知能があり
訓練すれば立派な兵士や労働力になるだろう
ゴーレムの生産は大変だがもし生産できたら
力仕事に多大な貢献をなすだろう。
もしワイバーンを大量生産出来たら旅客航空産業の革命
となるかもしれない。わずか1~2時間で我が国の端から
端までひとっ飛びの計算だ。
「その方面も研究してみます」とウラアール
あ・・・・・
っという間に私は王立院を卒業して
ストレートで王立魔法院入学・・・・
とはならずにそのまま理事長として就任してしまった
入学する前からS級卒業として入学式が卒業式となった
当然のごとくウラアールも学力優秀により
即日S級卒業。しかも全コースの資格を得てる
なにしろこの2人だけ突出しすぎているのだ
教師を超える生徒は邪魔にしかならない。
前アスタージナスとダクーミの関係が「太陽と月」ならば
今の2人の関係はまばゆい「二連星」なのかもしれない
こまったことに一蓮托生軍だれひとりとして結婚してない
「王様をさしおいて結婚など出来ません」と断固とし
言うことをきかない・・
ウラアールなどは「私の旦那様はアスタージナス王です」
と公言している。百合か?いや私は駄目ですその道は・・
今やアスタージナス国にはバスがトラックがワイバーンが
インフラとなり国内物量の充実度は他国が
羨むほどになっていた
バスとトラックの普及に伴い各重要街道の舗装化も推し進めた
残念ながら「もえる油:石油」が貴重で高価なため
アスファルト化はまだ難しい石畳舗装が主となっている
私は王立魔法院卒業と共に国策として
義務教育制度を推し進めた
議会制民主主義の初めとして
国民投票制を実施し国会議員を選挙で選び
国政に参加させた。
多くの貴族達がこれに反対したが無理にでも
推し進めた。
いずれは領主、師長、町長、村長も選挙で選ぶ予定だ
天井知らずの経済発展に周辺諸国は驚愕した・・・
結界魔法に守られてるとはいえ、いずれは侵略
行為を仕掛けてくるのではないかと・・・
だが、私はもう立ち止まらない、泣かない
セバスに立派な王になると約束したのだから
国民の全てが幸せに暮らせる為にガンバル!
妖怪人間・・・・・




