最終決戦(1)
ついに
ダクーミ領・・・今はヴァイス領に改められてる
召喚人間が領主などとんでもないことだが民達はなにもしらない
領の奥の山岳地帯の中腹にV字渓谷を利用した人造湖がある
両側は険しい渓谷、ダムの中心部は水深300Mもある何人たりとも
近寄れない場所のはずだった・・・
今その場所にクリスティーナとセバスが乗り込んだ潜水艇がポンプ探索に
向かっている・・・
「ご主人様・・ポンプは発見しましたが今回は破壊は出来ないでしょう」とセバス
「そうでしょうね、多分攻撃すると反撃魔法が仕掛けられてる可能性もあります
ポンプの場所を確認したあとは繋がってるホースをたどって行く
ホースの先を確認したところで一旦探索を終了し今度は湖畔を調べる
やはり小屋があった、メンテ部品管理と衛兵がつめているのだろう
場所の確認だけでその日は手を出さない・・敵兵の動きを観察する為だ
我々は敵の小屋から200Mほど離れた場所に監視所を設けていた
「統治下のトウチカ」魔法を使い厚さ1M以上のコンクリで作られた
ドーム状の建物だ4人ほどが寝泊まり出来るスペースがあり
無骨な石製の椅子と、テーブル厨房と二段ベットが2つある
王様が施してくれた魔法により消えない魔法建築だ(でも消さないと次作れない)
メンバーは私とセバス、ヨハンとフィフリンテーノ
しばらくは4人で監視生活だ・・・敵の尻尾をつかまないと容易には
攻略できそうもない。敵も今度は万全の構えだろう
監視初日から敵に動きがあった、人員の交代の様だ
小屋からは3人程出てきて中に3人入っていく・・外に出た3人は
カムフラージュされた地面にある扉を開いて帰っていったようだ・・・ひとつ収穫
小屋を吹き飛ばすのは簡単だ結界を突破出来る攻撃魔法を得ているのだが
それでは敵は即座に警戒するに違いない。あの小屋自体囮かもしれない
「それではお願いします」
「はっ」とフィフリンテーノが傅く
今回フィフリンテーノを連れてきたのは彼女しか会得してない魔法が使えるからだ
「では早速」「ボヨヨヨーン」不思議な色の煙が出てきて
1人の少女が出てきた。フィフリンテーノそのものだ。だがよく見ると半透明
こえーよ
フィフリンテーノの特化魔法は「ゴースト」が出せること
「いやフィフリンテーノ少女じゃ不味いの牧場拾い風にお願いします」
「ドロドロドロ」30歳位の山歩きが好きそうなチロリアンに変わった
こえーよ
「さあ、それでは山道で迷ってたまたまあの小屋にたどり着いた様にしてください」
「かしこまりました」とフィフリンテーノはゴーストを操作する
スススス・・足がうごいていない・・・
夕暮れが近い薄暮なので半透明はバレないだろうけど
幽霊が小屋に近づくと四方八方から兵隊が沸いてきた・・
「誰だ!」
「ふっ」と消えるゴースト君・・・兵士達が腰抜かす
「な、なんだ今のは!幽霊か?・・・だからこんな所で伏兵なんて嫌だったんだ」
「早く帰りてー」と口々にいいながら持ち場に戻っていく
なるほど、あそことあそことあそこに隠れてるのね・・ご苦労様
敵兵の位置は分かったけどどうやって全員同時に束縛するかだ
「束縛するのは容易だけと問題は定期交代の時間が伏兵と小屋兵でずれていること
定時連絡が密だということね」
おおよそ1時間位で誰かが交代してる
一時間で作戦を終了せねばならないのか・・・
「王様に頼んで全員召喚人間と交換されてはどうでしょう」とヨハン
「多分合い言葉とかがありこちらが送り込んだ召喚人間とばれるでしょうね」
「敵も馬鹿ではないですね」
「でも、その手は使えるかも知れません」とクリスティーナ
次の日アスタージナスを乗せてステルス・ワイバーンで戻ってくる
茂み伝いに伏兵の背後に回り込み王が氷結魔法を使い2人を凍らせる
「コテッ」背後をつかれた兵士2人はなんにも気がつかづに凍ってしまった
1人を引きずりだしてアスタージナスが今度はその兵士ソックリの顔と衣装の
召喚人間を作り出した。コピーが完了した召喚人間は持ち場に戻り
コピーされた兵士はさらにアスタージナスの縮小魔法で
小さくされて私が運ぶ。持ち場に倒れていた兵士を解凍し召喚人間と2人が
伏兵任務をつづける・・氷結魔法された者は時間経過が分からない
となりに相棒がいたら何にも怪しまない。一瞬目眩を感じた程度だろう
「氷結と縮小された兵隊さんゴメンナサイあなたが意識を戻すことは多分ないの
永久保存されるこのトーチカに置いていくから。誰の目にも触れることはないでしょう
1000年後とかもしかしたら誰かが起こしてくれるかもしれないから
その時までじっとまっててね・・・」
「主はやさしいのかやさしくないのか・・」とアスタージナスは呆れる
さて、交代時間に東砦に戻っていった兵士貴重な情報をもたらしてくれた
坑道を通る為の魔石が必要だったが2人の内ひとりが持っていれば良い事
偶然今回は相棒が持つ番だったので怪しまれなかったこと合い言葉はない事
詰め所勤務の兵隊は総勢30人がローテーションで伏兵と小屋番を
勤めていること3ヶ月交代で総員入れ替えていること次の入れ替えは
26日後だと言うこと。全て持たせたスマホでやりとりした
写メで施設全体を画像で送ってもらいプラントの規模を把握した
さて仕組みが分かったので次からは魔石を持たない兵士を次々と
コピーし3日程で全ての兵士を召喚人間に入れ替えた。プラントの
結界解除の方法も判明した。いよいよ決行の日だ・・・
だが、なんか不安がある
罠はもうないのか?実は呼び込まれてるのではないのか?
30程転がっているこびと人形を見ながらクリスティーナは
ネガティブな気持ちを隠せなかった。
作戦決行
不安をもちながらもぐずぐずしてたら兵員総入れ替えで元の木阿弥だ
私達5人はトーチカ内で夕食をとり翌日の決行を決めた
伸るか反るか。もう後戻りは出来ない・・・
翌日長期滞在した二度と戻らないトーチカに別れを告げ、堂々と小屋に近づいた
全員がこちらの手の者扉の鍵をあけ地下の坑道に案内され手漕ぎトロッコで移動した
かなり長い坑道をぬけ東砦にたどり着いた事前に調査した通り全て予定通り
22人ほどいた兵士の内結界解除用の3人を残し順番にトロッコで小屋に
戻るように指示した。その間に主要設備に爆弾魔石をセットしてゆく
前回みたいな過剰爆発は自分達が危ういので今回は必要最低限の爆発量に調整した
小一時間程で全て完了今回は一時間後爆破にセットして置いたので余裕で
逃げられそうだ・・・
「さ、ご主人様逃げましょう」とセバス
「わかりました。行きましょう」
何から何まで上手く行きすぎ。怖いくらいだ・・だがこれで成功なら問題無い
残り全員でトロッコにのり小屋に戻る
だが・・・
坑道の半分位に差し掛かった所で突然なにかの目眩を感じた・・・
「うううううう」
気がついたら全員地下牢にいた・・・今度は手枷足枷されている
全ての魔法が封じられてる仕掛けなのはすぐにわかる・・
しまった。やはりわなだったのだ・・・
こつこつこつ・・・⒉人の足音が近づく
地下牢の扉が開きダクーミとヴァイスが得意そうにささやく・・・
「お嬢さん、おいたはいけませんな・・・」とダクーミ
「散々困らせてくれたな、クリスティーナ!お前はここで処刑されるのだ」
「だが、最後に話を聞いてあげよう」
「なぜ、わかったのだ・・」とアスタージナス
「バシーン」ヴァイスが痛恨の一撃をアスタージナスに食らわす
「お前には聞いていない、そもそもなぜお前がここにいるのだ?」
顔を半分腫らせたアスタージナスが言う
「ダクーミ。お前の悪巧みはすべて露呈してる。今から許しを乞えば許すぞ」
「ずしーん」ヴァイスは腫れてない逆側にパンチをいれる
「お前、自分の立場わかってるのか?命乞いをするのはお前だろう」とダクーミ
「其方は実の弟ではないか・・・」とアスタージナス
「実の弟がなんだというのだ。お前は俺の全てを奪っただから俺も奪うのだ」
隙をみていたセバスが渾身の力で鎖を切りにかかる・・・
「駄目なんだよセバス君」とヴァイス
「この間は私に随分な事をしてくれたね。その鎖は絶対に切れないんだよ」
「まずは君にお礼しないとね」とヴァイスは痛烈な蹴りをめがけて食らわす
「ボン」ヴァイスの蹴りはセバスの腹を貫く「ぐぐぐぐぐ・・・」
「あまり時間が無いのでこれ位にしてあげるよ」と強烈なパンチを食らわせ
セバスの頭は吹っ飛んだ
「あっけないね君の執事君は」と悪魔の笑いでクリスティーナに問う
そして上から下までなめるように視姦したあとひひひと歪んだ笑いをする
「アスタージナス!お前の最高傑作からあの世にいってもらう苦しめもがけ」
「ぺっ」と唾をダクーミにはきかけ私は高笑いした
「この時この瞬間の為に私は生まれてきたの」
「何を言ってるクリスティーナ???」
「まだ分からないの?あなたをこの場に引き込む為の罠だったことを」
「あっ、しまった」とダクーミは踵を返すが遅い
次の瞬間
「ドガーン」と大爆発が起きた!
そこに居る全員が吹き飛ぶ大爆発だったのだ・・・
同時に東砦全体が大音響ととも大爆発しプラントは消し飛んだ
ダクーミは爆弾を解除しなかったのだろうか?
決戦はつづく




