国交交渉
だれが実権を握ってるのか
夜陰に紛れ全軍は打ち合わせ通りそれぞれのポジションに移動を開始する
兵員輸送には都バスを使った。大量の人員輸送が可能なのが強み。燃料高いけど
一方王宮では王様がお仕事を開始する翌日昼過ぎ
なるべく憂鬱そうに頭を抱えながらフラフラ(やりすぎ)と
接見の間に着席する
「ふん、馬鹿王め」と見下す目がよくわかるよダクーミ
「これは初めましてアスタージナス王様・・」と全権大使3人が頭を下げる
「うむ、大義であった」
「さて、ご存じの通りアスタージナス国と我が国はいままで一切の国交が有りません
是非この機会に両国の発展の為手を取り合おうではありませんか」と大使が語る
「だが、こちらにシグナス国と国交を結ぶ利点はあるのかな?」とダクーミ
「はは、是非国交を結びその先に軍事同盟を結べば他国の脅威が減少します」
「国情をさらすのは恥だが我が国はいま謎の魔物達の大発生により国力はひっ迫してる」
とダクーミは国家機密をばらす
「なにを仰いますか。我が国は知ってます」と大使
「南の海上貿易は復活し、我が国に隣接するエラール高原の魔物達も根絶したとか」
「まあ、そうだが」とダクーミ
目を輝かせ「国力が回復した今こそ我が国と同盟を結ぶべきです」
「見え透いたことを・・・力にすがりたいだけだろう」とダクーミは察した
「それにはお互いの条件を突きあわせることが肝要と思うぞ」
「それは当然、我らは全権大使。そちらの条件を伺う為に参ったのです」
「その前にそちらの公式な条件を聞こう」とダクーミ・・値踏みしてるのだろう
「は、国交樹立の条件と為に国王の第一王女を姫に迎えていただきます」
「しかし、国情をさらすようでなんだが今は王子がひとりもおらんのだ」
「はっ、その際には王かダクーミ様にお願いします」
「ふむ、条件の一つは分かった検討しよう。で他の条件は?」
「はっ今は閉ざされている国境門を開いて頂き通商の自由をいただきたく」
「でシグナス国に特産はあるのか?」
「はっ豊かな農村地帯が広がり農作物は余るほどあります」
「食糧供給か・・・それも悪く無いが・・・」
「ここだけの秘密ですが・・」と言い渋る大使
「なにかあるのだな」と身を乗り出すダクーミ
「我が国の某所には魔剣製作に欠かせない魔鉱石が取れるのです」
「魔鉱石で製錬した武器は通常に作る魔剣とくらべ数倍の威力が付与されます」
「そんな物があるのなら他国と軍事同盟など必要無かろう?」ダクーミは馬鹿ではない
「ですが・・・武器だけでは他国からの侵略に対抗できない時もございます」
「ご存じのとおり魔力には属性があり相性があります」
「それは存じてる、でそれがどうした」
「結界を破れる武器はこの世に存在しません」
「それも知っている、だからなんなのだ」
「またまたご冗談を・・・」
「其方達はなにがいいたいのだ?」とそらとぼけるダクーミ
「アスタージナス国は結界を破れる武器を開発できたのでしょう?」
「はて、なんのことやら」とダクーミ
「こちらは全てを曝してるのです。今更おやめくださいダクーミ様」
「その新兵器でなにをするつもりじゃ?」とダクーミ
「こちらから他国侵略の意図はありません。我が国王は平和を尊ぶ平和王です」
「で、こちらの新兵器を使うなと言うのだな」
「はは、今我が国には対抗出来る手段がありません。どうかご慈悲を賜りたく」
と全権大使は土下座する
「つまり、事実上の降伏、従属あつかいでいいという訳か?」
「ははーっ、国交樹立と軍事同盟は表だっての建前で本音は命乞いです」
これは大変なことになったとぼけーとしたふりのアスタージナスは仰天した
「ふむ、悪くはない条件だな・・・」とダクーミはご満悦する
「いろいろ我が国の条件を言うつもりだったがまさかそこまでの
覚悟があるとは思わなんだ。少し驚いている」
さすかのダクーミもいずれは侵略してくれようとは思っていたが
こんなに事が上手く運ぶとは思ってもいなかったのだ・・・
「今日のところは引き上げて我が王に詳細を報告します。どうか前向きにご検討下さい」
「うむ、全権大使の任、まことに大儀であった」とダクーミ
それは余がいうべきことだろうとアスタージナスは激怒したが眉一つ動かさない
と同時に我が主のとてつもなさも理解した。悪用されたら全世界が滅んでしまう
「神か?我が主は神の使者なのか?・・・」とアスタージナスは思いはじめていた
その後の宴は、「体調が優れぬ」と固辞してアスタージナスは王間に下がった
その情けない姿に国状を知った全件大使「噂通りだな」とダクーミの力を確信した
「我が国の命運はダクーミ様にかかってる」と宴の場で媚びへつらうのだった
氷結と縮小魔法で引き出しに隠して置いた影武者を元に戻し命令を下し
天蓋付きベットの横にある隠し扉を開けて移動の間かからアスタージナスは
クリスティーナ領に戻った。すでに作戦は始まってる一刻の猶予もない。
「かくかくしかじか」とアスタージナスは主に報告し2人はステルスワイバーンで
目標地点に向かったのだ
目標地点に着く前に上空を旋回し伏兵の有無を確認した
魔力探知が可能な中級以上の魔物はいないようだいたらちょっと厄介だった
作戦開始地点の10㎞ほど手前の公道から少し離れた所に
兵を乗せた都バスが待機していた。昨日の深夜の内にここで待機している
「ご主人様おまちしてました・・・して首尾は?」とセバス
「やはり国境門のすぐ手前に伏兵どもがいました」
「では、いまのうちに退治してはいかがですか?」
「それは得策ではありません。国境でまつシグナス国の兵士達に実情を知らせなくては
意味が無いのです」
「はっ、了解しました」
「敵もシグナス国兵達に我らが逆賊であると見せたいのです。それを逆手にとれるか
今回の作戦の成否はそこにあります」あと3
日間ここで待機です
バスの中に食ほか必要物資は積み込んである・・
3日後の午後全権大使ご一行の姿が見えてきた・・・
通りすぎてしばらくまちいよいよ攻撃開始
「ブオオオオ」と兵士達が乗り込む都バスが飛ばす!
あっという間に追いつきご一行は立ち止まり迎撃態勢をとる
護衛騎士10人別の馬車に乗っていた兵士20名全て召喚人間と思われる
100M手前でバスは止まり兵士達が飛び降りるその数30、人数では五分だ
「全権大使と知っての所業か」と護衛騎士が叫ぶ
「その大使ども国境をまたぐことまかりならん」とクリスティーナ軍兵士長は返す
「ピー」と護衛騎士がホイッスルを吹く
だーーっと一斉に伏兵と魔物が立ち上がる
「こんなこともあるかと待ち構えていたのだ」
500M程先の国境門ではシグナス国の兵士とアスタージナス国の門兵も動き出す
時間がない・・・
アスタージナス兵士(ダクーミ兵とクリスティーナ軍は入り乱れての攻防が始まってる
しかし伏兵と魔物がいるはずなのに動きがない?
ステルス・ワイバーンに乗った王とクリスティーナが上空から
氷結魔法と「ふとんがふっとんだ」ですべてを封じたからだ
「なぜ伏兵がこない?」と動揺する護衛兵が押され始める
さらに上空から王と私が護衛兵達も次々と拘束し戦はほんの数分で終わった
こちらの被害は0だった
ついに3人だけになってしまった全権大使が馬車から降ろされる
「これは何事でしょう?このような事は断じて許されません」
と大使は声を震わせて抗議する
王が語りだす
「私は先日の会議の場にいましたがこのままではシグナス国が滅ぶと思ったのです」
「何故?交渉は全て順調だったはずです」
「いいえ、このままではダクーミに利用されるだけです」とアスタージナス王は語る
「それは一体なぜですか?」と全権大使
「秘密兵器があるといいながら実際には見せませんでした」
「それはそうですが私たちはダクーミ様を信じてます」
「今この場でその新兵器がダクーミではなく我が手にあるとしたらなんとする?」
2人は顔を見合わせて
「もし、本当なら交渉相手は王様となるでしょう」
「うむ、言質はとったぞ。その言葉に偽りはないな?」
その時門兵とシグナス国護衛兵が息を切らせながらも武器を構えて到着した
「騒ぐでない!」とアスタージナス王が恫喝する
「我は王である、刃を向けるとは其方達は逆賊か侵略者か?」
あわてて武器をしまう門兵と護衛兵達、なにがなんだか分からないのだろう
「それでは、今から新兵器の威力を示す。主よ頼みます」
ぎょっとする全権大使と門兵と護衛兵と布団蒸しの兵達
「あんな幼女が主だと?」
「はい、」とクリスティーナは西の国境に杖を向けて魔法を発動させる控え目に
「ズドドドーン」空気を切りさく轟音と共に西国境門の上を光束が通り抜ける
結界魔法が存在する国境ではありえない驚愕の事実だった。
「ばっばかな・・・こんな幼女が新兵器だと・・・?」腰を抜かす全権大使
「これを見てどうおもった?」
「ははっこれからはアスタージナス王との交渉を優先させていただきます」
「でダクーミはどうするのだ?」
「あのような痴れ者今後いっさい相手しません」
「うむ、それでよい。さ手を貸そう」
土下座していた全権大使のひとりに手を貸す
その刹那
袖の中に隠し持っていた必殺の王家暗殺魔剣の刃が王めがけて飛び出した
いや飛び出さなかった飛び出す前にその使者は即死魔法により絶命したからだ
横にいたジルベッタが予め馬車から降りてきた使者に仕掛けていたからだ
同時に後ろに控えていたヨハンとエメルが残りの使者⒉人の首をはねる
更に拘束されていた魔物、兵士すべてが自爆をしかける
が、爆発は広がらない・・・布団蒸しが爆発を広げないからだ
全ての犠牲はまったく王とクリスティーナ達に届かなかったのだ
「主よ申した通りです。情けで助けたらこちらも吹っ飛んでいたでしょう」
「はい、王様肝に銘じて心に留めます」
「だから主は、部下は呼び捨てにしなければなりません。ご注意ください」と王が傅く
「あ、アスタージナス分かりました」
なにがなんだか分からない門兵と護衛兵
「見ていてまだわからないのか?」とジルベッタが恫喝する
「この者達は全権大使などではない」
「え、まさか」と護衛兵
「この者達はダクーミ配下の召喚人間どもだ」
「帰途のさい、宿泊施設で入れ替わったのだ分からんか?」
「何食わぬ顔でシグナス国に潜入し侵略の手引きのつもりだったのだろう」
「では、本当の全権大使殿たちは?」
「安心せい、我らの手ですでに安全を確保しているすぐに連れてくる」
私はすぐステルスワイバーンに乗り込み打ち合わせポイントに向かう
ほんの30分ほどで3人を乗せて戻ってきた
国境門の休憩所で待機していた全員が向かい入れる
「我らは夕食時に睡眠薬をもられ昏倒したのですがなぜか助けられました」
「全てをシグナス国にご報告ください。ささお戻りを」と王
「分かりました即座に報告します」と全権大使と護衛兵はもどる・・
国境門をきつく閉じたあとに門兵がいいだす
「我らもアスタージナス王に更なる絶対服従を誓います」
「駄目だ、我が主に服従せよ」と厳命する
「ははっそれではクリスティーナ様に絶対の服従を誓います」
「よきにはからえ」
こうして西問題は解決した
クリスティーナ領に戻った全軍は作戦成功に心から歓喜した
「ご主人様全ては作戦通りでした。おめでとう御座います」
「ありがとう存じます」とクリスティーナ
「ご主人様そのようなときは「うむ」でいいのです」とジルベッタ
あたま固すぎだよジルベッタ様ぁ~とクリスティーナは心で思う
「今回の作戦は全権大使を如何に救うかが鍵でした」とクリスティーナ
「御意、ですがどうして大使の誘拐先が分かったのですか?」
「あの忌まわしい討伐隊全滅事件を一から見直して見たからです」
「ほう?」とアスタージナスとジルベッタは顔を見合わせる
「討伐隊が最初に宿泊したときに村長が挨拶にきました・・・」
「その時に私に対していやらしい訳ではない目線で上から下まで見たのです」
「最初はなぜ・・・と思ったのですがそのまま受け流しました」
「なっなに!許せんそやつを成敗してくれる」と激怒するジルベッタ
「だから、そのような視線ではないと申しました」
「で、それからどうされたのですか?」
「その時は全く気にも止めませんでしたが今思えば転送ペンダントを
確認したのでしょう」
「きっとその日のうちにリントによってすり変えられてしまったのでしょう」
「村長が扉の外からうけとったのでしょう」
「なるほど村長が内通者か・・・」とアスタージナス
「全権大使誘拐も同じように村長が実行すると私は確信しました」とクリスティーナ
「なぜ分かった?別に全権大使をそのまま送り返してもダクーミに不満はなかろう」
と王は言ってから「不満はなかったはずです、と言うべきでした」と頭を下げる
いいってそんなこと・・・
「駄目なんです、ダクーミには新兵器はエサであっても実際は持ってません」
とクリスティーナが返す
「なるほど」とヨハンがなにやら合点がいったようだ
「全権大使も自分の思いのままにする理由があった・・」とエメルが言う
「それは私が今言おうとしたのだ」とヨハン
なんですかその阿吽の呼吸・・・2人の世界は後でおねがいします。
と言う訳で大使を救わなければこの作戦は失敗でした
続ける
「それで20人ほどの兵を村長宅の付近で伏せて見張ってたら荷馬車が到着し
麻袋に入れられた荷物を運び込んできたそうです」
「作戦通りと判断した副長のドワンの機転で村長宅を強襲し無事救出したのです」
「そのまま安全な場所で待機してもらい、私が迎えにいきました」
「つまり国境門にいた護衛兵に新兵器をみせたのも全権大使に信じてもらうためですね」
「そのとおりです王子さ・・・あ、いえジルベッタ」
「それにしても良くニセ全権大使と見破ったな・・いえ見破りましたね」と王
「もういい加減にしてください、話がすすみません。以前の通りでお願いします」
とんでもないと全員が首を大きく振る「ご主人様はご主人様ですから」皆うんうん
「だってそうでしょう?ダクーミは我々が強襲してくるのは想定内の筈ですから」
「味方が全滅したとしても王か私を暗殺できれば大成功なのです
まさかあの場に王様がいるとは想定外だったでしょうけど」
「王がいなくても私に傅き隙をみて抹殺できればダクーミには大勝利です」
「怖かったのは暗殺に失敗した残りの2人が即座に自爆する事でした」
「はい、打ち合わせ通りに即座に首をはねる準備はしてました」とヨハンとエメル
眉ひとつ動かさず敵の首をはねるエメル・・・とんでもない美少女がいたもんだ
こっちの視線を感じたのか「迷っていたら皆の身が危険ですから」とさらり
やってみると分かるが槍で首をはねるのは剣よりも難しい。刃渡りが少ないし
間合いも違う、力もはいりづらい。槍は本来突くのが目的だが今回は突きでは駄目だ
首を確実にはねないと自爆されるからだ。
とにもかくにも今回も大勝利・・シグナス国への利権も失ったダクーミ
現場で状況を報告出来た者は1人もいない。氷結魔法で捕らえた兵士達は
永遠に解凍されることがないからだ。布団蒸し兵士達は全員爆死してる
さあ、いよいよ最終局面の東方面攻防戦だ
その日は全員でつかの間の余韻に浸ったのだった
首ちょんぱ・・・




