作戦会議
あーでもないこーでもない
翌朝・・・全員二日酔いに頭を抱えながら
小会議室で参謀が集まり作戦会議を始めた議長はジルベッタ
「その前に」とアスタージナスは語る
「ヨハン、其方の居城である和室とやら余に譲れ」
げっとヨハンは青ざめる、恐れ多いのではなく和室を譲りたくないからだ
「お、王様。そればかりはお許し下さい・・」とテーブルにひれ伏す
「なぜじゃ。王命である」そんな無茶言うのは王様ではなかろう。おこちゃまだろう
「和室は私のお城であり国ですどうかご容赦を」
「我にも絶対に譲らない不届き者にございます」とジルベッタは歯ぎしりする
「王命に従えぬのなら成敗してくれよう・・」駄目だよ王様。目が笑ってるよ
「この様な場合ここでは一騎打ちにて勝負を決める決まりです」とクリスティーナ
「ほほー面白い受けてやろう。王に刃向かう者へ示しをつけてやろう」
「して、その勝負方法とは?」
「は、全てはショウギにて勝負を決し、なにが有ってもそれは覆せません」
「面白い受けてたつ。用意せい!」っていまこれから会議始まるんですけど?
「一国の攻防を決めるのにそれ以上の会議などないわ!はよせい」
なんだよ王様。権威は振りかざさないって昨日宣言したばかりなのにもう威張ってる
男は勝負となったらどうにもならないみたいだ
と渋々クリスティーナは将棋盤を用意しルールの説明をした
「ヨハンの腕前はクリスティーナに次ぐ強さです油断めされるな」とジルベッタ
なにせ今まで50回以上和室争奪戦を行い一度もヨハンに勝ったことがないのだ
こっそりクリスティーナがヨハンに指南してるからだ。和室攻防の為ヨハンが
懇願してきたからだが。ヨハンは剣技同様素晴らしい素質がある。
「さてハンデを決めましょう」とクリスティーナ
「余は国王である敵からの手加減など断じて受けぬ!」言うと思った
「以上36手にて後手ヨハンの勝ちです」とクリスティーナは告げる
「なっばばかな余が敵国に負けるとは・・・信じられない。もう一番じゃ」
多分そうなるとは思ったがここは非情に
「王様に二言はないと宣言したはずです。ここにいる皆聞いてます」
「ぐぬぬぬ・・・覚えておれヨハン」とやむなく引き下がる王様
「それで、ヨハンへの褒美はいかがしますか?」とクリスティーナ
「褒美の約束などしておらん」と王様
「あれ?王様は強引に相手の国を略奪しようとして負けたのに賠償なしですか?」
「ぐぬぬぬ・・報奨金でいいか?」とアスタージナス
「いえ、そのようなご褒美は恐れ多く・・」とヨハン
「余の気がすまぬ、なんなりと申せ」
「では、剣を賜りたく・・」
「分かった今は無理だが必ず用意しよう。だが勝ち逃げは許さん再戦が条件じゃ」
「ははっ、おおせの通りに」
とその場は収まったが王様破産しなければいいけど・・・
みんな暇じゃないんだよこんな事に小一時間使っちゃった
「では、ジルベッタつづけよ」と何事も無かった様に王様
空気が変わった王も真剣なまなざしになる
「さて、今後の優先すべき作戦ですが2つ有ります」ジルベッタはつづける
「一つはシグナス国との交渉です」
「このままではダクーミに利用されるどころかシグナス国をも奪わわれてしまいます
時間がないのを自分のせいと自覚してるのかアスタージナスは話を遮らない
「なんとしても阻止しつつ逆手にとりダクーミを窮地に追い込まなければなりません」
全員が頷く
「で、私の立案ですが。王宮内では王様もご参加頂きますが・・・」
「うむ、言いたいことは分かるつづけよ」とアスタージナス
「はっまことに申し訳御座いませんが王様には今まで通りの対応を頂き
相手の手に乗り油断させます」とジルベッタは続ける
「全権団が帰途につく途中。王様以下王族全員で説得しダクーミの所業を
訴えると言うのが我の作戦案です」
「いえ、多分それでは敵の罠にはまることでしょう・・」とクリスティーナ
「何を申すクリスティーナ。これ以外に手立てはない」とジルベッタ
「まあまて、そのための参謀会議であろう。皆の意見を聞くのじゃ」
おおったまには王様もいいことを言うな
「敵の伏兵がひそんでるかもしれません」と兵士長のアッバスは警戒する
「敵は王様をも貫く魔剣を持ってます王様が危のうございます」と副長のドワン
「屈強の魔物達も行く手を阻むでしょう」とスフィルニア
見覚えのあるジルベッタが少しひるむ
「だがそれはクリスティーナが退治してくれるだろう」とジルベッタ
「いえ、兄上、根本から罠なのです」とクリスティーナ
なにやら良い作戦があるみたいだ・・・
私はトラウマになってる討伐隊全滅劇を最初から思い起こしてる
そう。最初からすべてダクーミの手の平だったのだ・・・
今でもクリスティーナにはあの悪夢がよぎる
あんなに尽くしてくれた騎士団と兵士達・・水着まで披露してくれた女騎士
一致団結の美しさとお国の為め滅私奉公してくれた者達
みんな命を散らしてしまったのだ・・・許せない。ダクーミだけは断じて
と同時に目的の為であれば味方の命もいとわない残酷冷静な悪魔に震撼した
いざとなったら全員で囲み自爆攻撃も平気で命ずるだろう
洗脳された物達は一切躊躇しないはずだ。これ程厄介で恐ろしい事はない
「どおした?クリスティーナ」と王様とジルベッタが顔を覗き込む
うるうると涙を抑えてる私を心配してくれたのだ
「其方と考えは同じだ!けっしてあの日は忘れない」とジルベッタ
「うむ、そもそもがダクーミの策略を許した余の責任だ、皆許してくれ」
皆で黙祷を捧げ、志し半ばで散った英霊達に哀悼の意を表した。
私は相手の裏の裏の裏をかく「トリプルクロス作戦」を静かに語り出す・・・
続いてダクーミ領を含めた東方戦略についても熱い議論を交わした
今度は西砦攻略の手口は使えないだろう。当然罠もあるだろう
万全の備えがあり更に敵地なのだ・・・今の手勢だけではとても難しい
「少なくても千単位の兵士が必要かも知れぬな・・」とアスタージナス
「「いえ、それでは洗脳されてるとは言え罪もなき民百姓の命が・・」
「しかし領地を攻め落とすとなれば戦が必要じゃ」
「敵の魔物工場を破壊出来れば戦力は半減でしょう」とクリスティーナ
「しかし前回の作戦は通じぬと申したばかりであろう?」とジルベッタ
「多分ですがゴーレム・チャンピオン以上の強敵が防衛してると思います」
「さもありなん、ダクーミにとって最後の防波堤だからな」
「今回は人数も増え2方面作戦も可能と存じます」とクリスティーナ
「2方面だと?」アスタージナス
「はい、正面からの攻撃で最強魔物を引き寄せ注意をそらします」
「そのすきにプラントを破壊出来れば魔物の供給はとまります」
「だが、どうやって潜入する?敵は警戒してるぞ」とジルベッタ
「とって置きの秘策がございます」とクリスティーナ
その時カルク君が「ヴーン」と震えた。王様の影武者からの着信だ
「来週シグナス国からの全権大使を向かい入れるとの事、王様お戻り下さい」
「時が来たか・・・」
その後3日掛けて作戦の段取りと訓練を重ね作戦実行に万全を期した
ちょっと行ってくるとアスタージナスは移動魔法で王宮にもどって行った
なのに小一時間で帰ってきたのだ・・早っ
「詳細は聞いてきた・・・ダクーミめ、余を馬鹿にしくさって・・」歯ぎしり
「今は手の内を曝してはなりません」
「うむ、分かっておる余を信じよ」ってか一番王様が信じられないのですが・・
「ふう、王宮は落ち着かん。どこで命を狙わてるかと思うと一時もいられない」
「ですがせめて2日前にはお戻りくださらないと・・」
「分かっておる。だが後3日はあるだろ?その前に勝負じゃ」
とヨハンを追い回す王様。余程悔しかったのだろう
作戦実行日が近づき全員の緊張度が上がっていく
「我は満足してる。一度は失った命じゃ。其方に全て預けるぞ・・・」
「我らも同じにございます。これからはご主人様と言うのをお許しください」
その場にいた全員が「わたしも。我も」と言い出した
ええええええ????この中で最年少で幼女だよ????
「ここでは余は王では無い余も今後主と言わせてもらう・・・」
「なにを仰るのですか王様・・恐れ多すぎます」
「いや、当然だろう。我が国の窮地を救ってもらい。我が命さえ救ってくれてるのだ」
「この場おいては其方を主と命ずる。これは王命である」
えーーなんか分かったような理不尽のような・・・
「それで皆が結束して頂けるのであれば謹んでお受けします」
「うむ、それでいいのじゃ。皆も分かったな!」「御意」
王様以上の存在の私っていったい誰?
「ご主人様おめでとうございます」とセバスが涙目だよ・・・
「至上の喜びでございます」とヨハンとエメルも泣いてる
グフタスとタランも当然と傅いている
「もはやこの場所は練習場ではない。今から王命でクリスティーナ領と名乗れ」
その瞬間王家直轄領の1/5程の広さに領線が自動的に引き直され
クリスティーナ領が完成した
「だが今はダクーミがこの国の実権を握っている。王の権利で領主を決めたが
領域も領名も決して明しはしない。今はなにも変化はないだろう。
しかし事件解決の後には論功行賞の一つと考えてくれ」
「主ならきっと余の代わりになって世の為人の為尽力するであろう」
見込まれすぎだってば・・
領主といまは名乗れないので「主、ご主人様」で決まってしまった
その日は歓喜の宴となり大いに盛り上がったのだ
王様、ちょっとハメ外し過ぎ・・・はしたない!上半身裸で踊りだしてるし
「負けませぬぞ」とアッバスとドワンまで裸おどりに加勢するし・・・
次の日王宮での準備のため後ろ髪引かれる様な目で王様は移動して行った
「さて、ご主人様我らも準備しましょう」とジルベッタ
「お兄様まで・・やめてください」
「ご主人様はご主人様です、そう決めたばかりですが?」
こっぱずかしいんですけど・・
「それから我のことを様つけやお兄様、王子様というのは示しが付きません
呼び捨てにしてください。」
でってきないよぉ・・・「ジ・・ジルベッタ」
「はは、なんなりと」と傅くジルベッタ
「ボワン」とアスタージナスが戻ってきた・・いま別れたばかりだろうに
「主、うっかり忘れておったわ」と指パッチン
「ドーン」と召喚兵士が30人程沸いてきた・・・
「訓練には少し時間がたりないかもしれんが頼むぞ主、この者たちは
主の命しか聞かない、パチンと指をならせれば消滅するし爆発もする」
「ぶっ、物騒すぎます。そんなのいりません」
「主よ戦争とは時として非情さも求められる。作戦成功の為には情は命取りなのだ」
「主に唯一欠けてるのは情が濃すぎる所だ。相手につけこまれる」
あらーーそのセリフ、セバスにもいわれたよ
「これをヨハンに授ける」と魔剣を手渡す
「じゃ、後ほどな」
と踵を返して王は帰ってしまった・・
「こっこれは凄すぎます」とヨハンは大騒ぎ
ビュと一払いするだけで青属性特有に刃全体が青光りし切っ先から
稲光が走る「バババババ」10人分の耐力を持つ人型標的10体が
一振りで真っ二つに切りさかれてしまった。
和室・・・・




