情報の価値
下準備が続きます
ステルス魔法は度々は使えない今回はワイバーンは使わずに井戸移動で
深夜の内に城下町拠点のグフタス家に移動した同伴はセバスのみ
朝になりグフタスの荷馬車にのり城内デパート専用門をくぐり城内に入る
途中門番が荷馬車を改める、いつものグフタスとセバス(変装済)しか同乗
していない事を確認して入場は許された・・
タランが発光した「行商許可証」をセバスも持ってるので許可証提示で
易々と城内への出入りが可能なのだ
グフタスの店舗の店番にセバスが立ちなにくわぬ顔で平然と
タランとグフタスはステルス中のクリスティーナが開けた魔法登録部屋に入った
まだ10月の繁忙期前なので魔法登録所付近は閑散としてる
「さ、直ちに主従登録行いましょう。」
タランとたっての願いによるグフタスにも主従契約を行った
グフタスの部下2人とも主従契約を結ぶことになるがそれは後の話
後方支援体勢とクリスティーナの配下が確実に増えてる。給金は大変だが・・
忙しいので部屋の中を確認する暇はないが執務机と本棚、宝箱だけだった
筈の部屋が大分物が増えている・・・レベルが上がってるのだろう
なにかとても懐かしい気がしたが今は時間が無い。
さっと部屋をでてデパートの商人控え室に戻ったのだった
「このまま午前中はここで控えて頂き午後に帰宅します不自由ですがここでお待ちください」
と言い残してグフタスは商売に戻り、セバスとタランはどこかに出かけていった
少しでも情報収集なのだろう。
って放置プレーかよ!
控え室はフリースペースなので商人たちが休憩や雑談に戻ってくる
「本当にこっち見えてないのかなぁ」ドッキどきだよ・・・
「継承問題どうなるのかな・・・」
「側室様が2人ともお隠れになった」
「これで王族は王様を含めて残り4人だけたよ・・・どうなってしまうのか」
「海上貿易が復活して王国が少し持ち直してきてる」
「ダクーミ様におすがるしかない」
などと商人たちが噂話&情報交換をしている
「西でなにやら動きがあったらしい」
ん?これは耳寄り情報?と耳がダンボに・・
「理由はわからないがシグナス国がアスタージナス国に交渉を求めてきてるらしい」
「ほう、それはなんでだ?」
「どうやら我が国と反対方向に位置するある国からいろいろと脅威を受けていて
我が国の軍事力にすがりたいらしい」
「えっ・・我が国の軍事力って言われても最近は疲弊しきって助ける所ではないはずだ」
「そうそう、詳しい事は分からないがシグナスは我々を過大評価してるそうだ」
「ふーん、なんか興味深いけどなんでだろうね」とクリスティーナは首を捻る
「ひとずての話だが・・なんでも先日シグナス国をまたがる強烈ななにかが
発せられたらしい」
「ふんふん、それで」っとクリスティーナは他人事然に聞き耳立てる
「調査団が調べると人的被害なかった物のアスタージナス国との国境を守る城壁の
一部が破壊されてたらしい。アスタージナス国とは国交がないので国を超えて調査は
出来なかったが一直線上に見えた遙か先の砦から煙りが上がっていてよく見ると
壊滅的に見えたそうだ」
へっ?それってもしかして・・・クリスティーナは慌てる
「どうやらアスタージナス国が新兵器のテスト中に暴発したとの噂だ」
「本来城壁への攻撃など侵略行為と見なし宣戦布告もじさないのが普通だが・・」
「シグナス国にはそんな攻撃兵器は存在しない」
「だろうな」
「戦争になってもとても勝てないのだから次の一手はどうすると思う?」
「そりゃ仲良くなって自国の安全を守るのが得策だろうよ」
「で、シグナス国はアスタージナス国と国交を結んでさらに軍事同盟を得たいわけだ」
「それは賢明な措置。シグナス国の国王ややり手だな」
「わたし、とんでもない事またしでかしちゃったのかも知れない・・・」
透明人間中のクリスティーナはどっと汗が出る・・・
「でも、」これ、上手く利用出来ないものだろうか・・・
お家紛争中のダクーミにこの話が来たらどう対処するか・・・
クリスティーナは考える・・・
身に覚えのない話なので無視するか王国乗っ取りの為に利用するか・・・
「決まっている」
ずる賢いダクーミは絶対に転んでもただ起きない、自分の功績として
最大限利用するだろうしシグナス国まで平らげようと思うに違いない
と、同時に国家規模の攻撃魔法を得たクリスティーナに困惑することだろう
「逆手にとれないかな・・・」
だが今その問題は後回しだ
控え室から誰もいなくなった。営業時間終了が近いのだろう
セバスとタランが戻ってきてグフタスもお店の後片付けが終わった様だ
「いやー今日もお茶引きでした(売上げ0)」とグフタスが苦笑い
王宮デパートは繁忙期以外は売り上げが少ないが
高価な装備品とか装飾品、武器防具は町人では買えない
営業時間が長ければいい商売ではないので午前中営業なのだ
さ帰りましょう・・・荷馬車に乗りカッポカッポ帰宅した
深夜になりタランを連れて練習場に戻った
あれ?・・・なんかお家が改築されてる?
タランとグフタスが増えたので7人が寝泊まり出来る規模に家が改築されたのだ
っていっても離れにプレハブの勉強部屋?見たいのが2つ増えただけ
「部屋割りどうするんだろうね」と思わず心配するクリスティーナだった
「和室はぜったいに譲れません」とヨハン
「おのれ、我が命が聞けぬか!」とジルベッタやばい本気モードだよ
「我が主はクリスティーナ様だけです。ジルベッタ様の命令は聞けません」
「では、クリスティーナの命令ならいいのだな?」とジルベッタ
もう、そんな下らない事で揉めないで欲しい、喧嘩をやめて・・
「我が人生でこれほど心安らぐ空間は初めてなのです。それを強引に・・」
なんかヨハン涙ぐんでますけど・・・
「ぬう、そこまで申すなら男と男の勝負しかあるまい」とジルベッタ
なんか一騎打ちの気配になってきたよ
「クリスティーナ、勝負方法を用意せい!ただし絶対に公平なルールでだ」
そりゃそうだろうね剣技ではヨハン負ける筈ないし魔法なら王子の圧勝というか瞬殺だろう
うーーん
「将棋だね」
「なんだそのショウギとは?」
「うん、ゲームの一種で相手の王様を奪えば勝ちなんだよ」
「それは、面白い王様をとるだと。我にふさわしいではないか」
っと私は自分の部屋にもどり将棋盤と駒を用意した
簡単なルールを説明し、一応私が審判ということになって先手をきめ
勝負開始!
こう見えても前世俺は「アマ二段逃げる算段」と自称していたほど
将棋好きだったんだよね
迷人戦は開始され初心者らしい攻防のあげくジルベッタが圧倒的に押したが
王手に気がつかず別の手を指してしまいヨハンの逆転勝利となった
「う、ヨハンそれ待った、いきなり王様を取るとは卑怯ではないか!」
顔を真っ赤にして怒るジルベッタ
「いけません、兄上、上に立つ物勝負は受け入れなければなりません」
「負けて騒ぐのは見苦しゅうございましてよ」
「ぬぬぬ・・、そこまで言うので有れば今度は其方と勝負だ!」
あれっ普段冷静沈着な王子ってこんなに勝負にこだわってたんだ・・・
うーん先日の討伐部隊全滅は兄上の暴走から始まった事・・反省してないね
「それでは一番だけ受けましょう私が勝ったら潔くヨハンに和室は譲って頂きます」
「とはいっても平手では勝負になりませんハンデを付けましょう」
「其方我を誰と心得る栄えあるアスタージナス王国の第一王子であるぞ、みくびるでない」
うーん王の権威をかざしても将棋は勝てないと思うけどね
「わかりました」こてっ、44手で後手クリスティーナ様の勝ち
「ぐぬぬぬ・・・もう一番だ」こてっ
「大分分かって来たもう一番」こてこてっ
こりない王子様でした
結局ジルベッタとタランは離れの勉強部屋で決定した
至れり尽くせりだった王宮生活とは考えられないようなとほほ
未練たらたらのジルベッタの和室強奪野望はくすぶってるみたいだけどね。
実はその日から将棋が我ら一蓮托生隊の静かなブームとなったのでした
なせ「和室」がもてる?




