反撃の狼煙
ついに悪魔の手が・・・
「これは作戦を前倒しで実行せねばなるな・・・」ダクーミは焦る
ヴァイス!支度せい!「ははっ」ヴァイスがいる・・・
「クリスティーナが告発する前に王権を一刻も早く我が手に掴まらなければならぬ」
恐るべきアスタージナス王暗殺計画の発動・・・
「王様緊急事態です」と側近
「何事であるか?」
度重なる王子王女の不幸にアスタージナス国王は今で言う所の精神不安定
鬱状態に陥っていたのだ家族を愛しなによりも子供達を愛した彼にとって
手足をもがれるような状態に精神はボロボロだったのだ
かって「太陽王」と言われ万民に愛された面影は無くなってただただ
年齢以上に深い皺の数が深刻さを一層物語っていた・・・
だが、そんな国王であっても絶対に避けられない事がある
国家の一大危機である魔物、海獣退治の任である
強大にして邪悪なる海の魔物達・・・特に「クラーケン」を倒すことが
出来るのは国王ひとりしか存在しない。
クラーケンは最大最強の海獣、神出鬼没にしてずる賢い
国王の魔力をもってしても打ち倒すのはギリギリなのだ
しかも討伐方法とは・・・・
数隻の艦隊にて海上を捜索して出没したら一隻にわざと襲撃させ
クラーケンが絡まってるスキを狙って船もろとも人員ごと王の破壊魔法で
退治するしか方法がない。多大な犠牲を必要とする痛みを伴った方法以外に
解決方法が存在しない。
理由は分からないがここ数年クラーケンの出現率が右肩上がりなのだが
疲弊しきったアスタージナス国にはもはや満足出来る船舶も人員もいない
先日もやっとで討伐を果たしたばかりなのに・・・
「もう現れたか・・・」
「王様なにとぞご出陣の号令を!」
ダクーミが急かす・・・
「うむ、判っておる。落ち込んでる暇はないのだ」と気力を振り絞る
「全軍でこれにあたるべし挙兵せよ!」
「ははっ」
っと勇ましいが実際の戦力は軍用船4隻に王専用軍艦一隻、これだけなのだ
補給艦は2隻あるが全く戦力にはならない、毎回確実に一隻は犠牲になる
造船をいそいではいるがまったく間に合っていない。「ジリ貧」極めり
それでも王たる者動じてはいられない「皇国の興廃この一戦にあり」などと
勇ましい・・
「お姫様」
「なんでしょう」
「敵が動き出しました」とセバスチャン
「さきほど海獣討伐のお触れがだされました」
「いよいよ動き出しましたね」
私とセバスはかねてから疲弊しきった海上戦で国王の身を脅かす事が
あるにちがいないと作戦を練っていたのだ。
「以前と違う」
いままではすべて相手の動きを察知できず後手後手に回っていた
が、今回は敵の動きを予め予想して準備することが出来た
戦は戦う前の準備で勝敗のほとんどが決してしまうのだ
この事態を想定してこっちも大魔法の準備と訓練に日夜明け暮れてたのだ
まさに「かかってきなさい」
しかし、・・・多分今回もダクーミは尻尾は出さないだろう
狡猾なダクーミは自らの手を絶対に汚さない。状況証拠すら残さないのだ
それでも国王の命を守らなければならない。国家存亡の危機なのだから
真ん中に王専用軍艦 四方に囮軍船が囲む
「さてどこから襲ってくるのだろうか・・・・」
「王様申し上げます」「なんであるか?」
たった今造船所より新艦の造船が間に合い戦列に加わるとの報がありました」
手旗信号とか狼煙とかで情報得たのだろう
「ほう、それは心強い事よ。開戦までに間に合うといいのだが」
「は、今度の新造船は画期的な軍艦で「動力?」なる物を使い通常船の3倍の
速度がでるそうです」
「それは豪気な、期待しておるぞ」
「あ、見えてまいりました」
「な、なんだあれは!!!」
「すでに半分沈んでいるではないか」
「しかも甲板が一切無い、あんなので戦えるのか?」
「まるでイルカいや巨大なマッコウクジラ?」
「なっなに!!!!」
ポコンとお腹の真ん中付近の小さな蓋が開いたと思ったら
「うわーーー、これは神様の雷か?」
轟音とともに「プシャー」と天高く舞い上がった丸太の様な物が
進路を曲げて今度は水平に飛翔して行く煙を噴きながら
猛スピードで突き進んだかと思ったら突然何かがパアッと開き
減速した丸太が静かに海中に没したのだ・・・
「なにがなんだかわからない海兵たちがポカーンを口を開けてる
10秒ぐらい沈黙が続いたかと思ったら「ズドーーン」と轟音と共に
巨大な水柱が立ち上がったのだ。水柱だけではないクラーケンの
手足も木っ端微塵に吹き飛んでる・・・
続けてその丸太は5発発射されて四方へと飛翔し同じ様な水柱をあげ
クラーケン達の断末魔の叫びだけが残る・・・全滅したみたいだ
その半分沈み掛けたクジラみたいな物は本当に沈んでしまって
どこへともなく立ち去っていった・・・
なにがなんだかわからない
「終わったのか?」王はぽつりとささやく
と同時に戦勝の雄叫びが広がる「エイエイオー」
なにもしなかったのに大勝利??????
「水神伝説」その後のアスタージナス王国の伝説となった一幕
「今見聞きした事は王命にて口外禁止とする」
王の威厳を保つ為当然だろう
「上手くいったね」
「それにしてもお姫様これは一体・・・」
「セバス様これはセンスイカンと申すものです」とヨハンが得意げに語る
「して、どびだした丸太は?」とセバスが聞く
「アレはアスロックという新型の武器だそうです」これまた自慢げにエメル
この日の為にセバスを除く我ら3人は訓練につぐ訓練を重ねてきたのだ
魔法名は「奇っ怪な機械」そう前世からおさらばしてコッチに来る間に
闇の中で暇つぶしに考えたオヤジギャグだ。
「超大魔法」10000P獲得5000P消費詠唱間隔意外と短い7日
国家クラスの大魔法なのだが汎用性がとてつもなく広い
「奇っ怪な機械」と詠唱すると自分のレベル次第だが頭に描いた
工作機械、潜水艦、軍艦、戦車、そしてRX-78なんでもござれ
っても今の段階で作れたのはほとんどはりぼての潜水艦と戦車だけ
見た目潜水艦だけど実際は2M位しか潜れない。こう見えても俺は
前世ではミリタリーおたく一歩てまえだったのだ。男のロマンといいなさい
で、完全な潜水艦はレベルが足りなくて作れなかったが
見た目重視の「それみたいな」は作れた訳だ。
その代わり武器には拘る・・ってもアスロック(対潜魚雷)10発だけしか
搭載できなかったんだけどね。将来はトマホーク積めたらいいね。物騒なお姫様
しかしその威力は絶大結局クラーケン6匹を木っ端微塵に吹き飛ばした
「間に合ってよかった」
造船だけは練習場ですぐ出来たのだが練習場は海ではない
支える為の木枠を3人で作りなんとか支え、移動式人型標的を使い
訓練に訓練を重ねたのだ乗務員3人なのでとにかく大変だった
ぶっつけ本番に近かったが練習場での訓練が物を言った
海上で運転するのもなんとか出来た。ミリタリオタクの俺が操縦したからだ
で?どうやってホーミングさせた?もちろん人力だよ
カルク君のカーナビ使ってみると地図上に青く光点が光る「敵の位置を知らす機能だ」
それが6つ見えたので全てクラーケンだと判った。
アスロックを発射させると赤い点が光った、その赤い点を指でなぞって
青い点に重ね「爆発」と叫ぶと爆発してくれたのだ・・これも練習場で訓練の成果だよ
ちなみに弾頭は「どうだ鉄だ」と「時短で地団駄」を重ねた100P魔石を
弾頭一つ当たり10個入れた。海中での爆発威力は地上のそれより
はるかに大きいはず。きっと2~3000Pクラスの爆発だったに違いない
いくらクラーケンでもばらばら必至だよ
100P魔石を大量に王宮デパートで仕入れてくれたセバスのおかげだ
借金どれくらいになってるのか想像するのも怖いけど・・・
とにかく全部大変だったんだからね!完全8歳幼女化してる・・・
「はあ、」セバスはなにがなんだか判らないが頷くしかなかった
ちなみに「奇っ怪な機械」は主従契約搭乗者全員が降車すると消滅する仕組みだ
こうしてなにはともあれ国家存亡の危機と国王暗殺の危機はさった
ちなみにクラーケン6匹はダクーミ渾身の魔法、必勝を願い能力限界までの
召喚魔物だったのだ。もう当分魔物は作れない・・・
なんたるこどだ・・・余が敗北だと?ありえん計画が白紙になってしまった
余裕タップリに見えるダクーミだったが実際は追い込まれつつあったのだ。
王の仕業とは考えられない。
と言うことは・・・脱走したクリスティーナの仕業?
「なぜだ・・・あの様な小娘が」
気がつくとクリスティーナ自身国王、ダクーミに準ずる程の魔力を
保持する大マジックキャスターへと成長していたのだ。
クリスティーナ・・・どこにいってしまうのか
もう作者の手に負えなくなりつつあります




