王都潜入
脱出出来ても前途多難です
今王都に戻ってきた
最後の移動場所は最も貧民が住む南門付近の古井戸付近だ
西門付近は兵隊も多く敵対勢力も多いとのセバスのアドバイスで
わざわざ南門までぐるっと回り込んでから「井戸に移動」魔法を使った
「お姫様達はここでしばらく待機下さい、知り合いの家に交渉してきます」
10分も待たずに「ささお姫様こちらにどうぞ」と案内される
見知らぬ所に案内される・・・7階建てぐらいだろうか
いかにも中世ヨーロッパ調の集合住宅に私は案内された
「こちらの4階でございます」部屋に通されると1人の中年風おやじがいた
「セバス様からすべては伺いました、どうかごゆるりと我が家と思って使用下さい」
と深く男は傅いて服従を示す
「私は普段からセバス様に昵懇にさせていただいてます商人でございます」
あれーーーどこかでみたことあると思ったら・・・
「あの王宮デパートの手モミモミ商人さん?」
「覚えていただいて光栄です、私はグフタスと申します」
「お姫様には日頃からご贔屓いただき誠にありがとうございます」
「これ、グフタスお姫様はお疲れだ、話はそこまでにしてとりあえず寝所に案内せい」
「はは、かしこまりました」すっとグフタスは立ち上がり隣のベットルームを案内された
「大変恐縮とは存じますが部屋数が足りませんお姫様とエメル様でお使い下さい」
「お気遣い無用です、万事お任せ致します」
その日は久々に命の安全を保証された安堵感から泥のように寝たのだった
翌日グフタスの召使いメイドが紹介され身の廻りの世話を焼いてくれることになった
この世界にきて初めての街生活だ、何時襲われるかの危機感はぬぐえないが
王宮にない自由感で一杯な気分だ
メイド達が庶民が着る普段着を着せてくれた、そんなに貧相でもないが
上品な王族衣装とは比べるべくもない。
護衛は絶対に必要だが市井で剣や槍構えてゾロゾロは目立ちすぎる
というわけで今回も私のカプセル武器を貸与することにした
普段はカプセル化しておきいざとなったら使うのだ
「とはいってもお姫様極力外出はお控え下さい」「はーい」
「でもね・・・」「なんでしょう?」
「魔法の訓練はつづけたいの・・・」
セバスは慌てて人差し指を口に「シイー」と口止めを促す
「セバス、我らはもう一蓮托生です隠し事は無用、生きるか死ぬかです」
「はは、確かに、かしこまりました」とセバスは傅く
「はっ我らもすでに帰る家はございません事件解決までどこまでも一緒です」
と騎士2人が声を揃える
とんでもない事に付き合わせてしまった。本当に申し訳無い・・
「それでは私が探りを入れてる間は練習場で訓練してください」
門をくぐり抜けるのは危険だからこっそり移動魔法を使おう・・・また深夜行動かぁ
夜をまって移動1日訓練して深夜に帰宅するというローテーションで決まった。
翌深夜「ボワーン」練習場に一番近い集落の古井戸に移動した
「これは予想以上に真っ暗ですね」空を見上げると今日は曇り空
月明かりさえない田舎町は本当に真っ暗なのだ
前世、俺は旅行先の片田舎で本当に外灯一つない暗闇を経験したことがある
冗談抜きで一寸先が見えない経験は今も忘れられない。今が正にそんな状態だ
「しまった、行灯を持ってくるべきでした、準備不足申し訳ありません」とヨハン
「いえいえ、それはお互い様です気になさらないで」
おもむろにカルク君を取り出す自照してるのでほのかに明るいが懐中電灯の
代わりにはとてもならない。
わたしは、つつつーと魔法一覧をなぞり
「タイマー付きの松明」を選んでタップした
「シュボボーン」と松明現る、一応攻撃魔法系ではある
「さあ、参りましょう」と練習場へと向かう徒歩なので小一時間掛かった
なんか馬車とか自動車みたいな生産魔法できないかなぁ・・・
暗いトンネルを過ぎ練習場に到着したまだ午前3時ごろだろうか
「ほおっこれが王族御用達の魔法練習場ですか・・・」
気軽についてきた騎士2人だが実際は秘密を知った以上多言したら
どうなるか十分覚悟の上の同行なのだ。もう生きるも死ぬも一緒
「ねーえ、セバス?」
「はっ」
「以前、練習場に通ってたときの馬車の御者って秘密もらさないの?」
「は、あれは御者人間で魔石は執事である私が預かってます」
「じゃ、馬車出してくれたらこんな長い道歩く必要ないのでは?」
「残念ですが馬車は魔法で出せません、馬車がなければ御者人間も使えません」
「さらに馬車は王族専用でないと御者人間使えません」
ふーん、全然駄目だねそれは
タイマー付きの松明なので消えてしまってる
「なんにもみえないね」休憩所の中はさらに暗い
「ひとまず休憩所で明るくなるまで一休みしましょう」
エメルが「これ食べましょう」クッキー持参してた。気が利くね!
手探りでお菓子をもらいボリボリと食べる
「こんどはロウソクとかも必要ですね」とヨハン
ヨハンが真っ暗闇の休憩所をガサゴソと探してくれた
多少のロウソクを棚引き出しの中から見つけ出してきた。マッチは見つからない
「どうだ鉄だ」「時短で地団駄」の1/2000レベルを詠唱し
ロウソクに火を付けると部屋の中が大分明るくなった。
「新聞紙」を唱え裏に必要品を箇条書きで書き留める
「サインペンいーさ」と詠唱して生産魔法のサインペンを使う。
意外と必需品多いかも・・・ロウソクにマッチにお菓子に弁当に
仮眠用に寝具も必要かも夜になるまで帰れないのだから仮眠は必要だろう
となると夕食の材料とかも持ち込む必要あるな
おっとうっかりしたここで新聞紙を出してメモ書き留めても外に出ると
消滅するんだった・・・不便だが暗記するしかない
わいわいがやがや、あーでもないこーでもないと談笑してるとやっとで夜明けだ
さって朝練しますかぁ(^^)
でも、その前に小腹空いた・・・ここには裏門ないのでおでん出せない・・
と、急に思いついた。休憩所からでて適当なスペースを見繕い
杖を使って今思いついたばかりの新魔法を詠唱した
「「住まいにいます」」※大魔法
「ばりばりばり」煙がボワーン
おおおおっなんか家が出てきたいえーい(小反応も無発動)
なんと立派な戸建て住宅が出てきた!主従分だから4LDKだよ!
「お姫様こっこれは・・・」おそれおののくヨハンとエメル
「新しい我が家だよ、なかはいってみましょう」うっきー
だが残念、詠唱間隔30年かあ、外では余程場所選ばないと建てられないね
中に入るとなんと全ての設備が整っていた全部日本風なのだ、私の脳内記憶日本だからね
居間に洋間に和室に床の間・・・・なによりも感動的なのがバスルームぅ
キッチンもシステムキッチンだぁこれは効率的
信じられない・・・冷蔵庫にテレビにタンスに食器にフライパンに
これもしかしておれの実家???ぶわっと涙が出てきた
もしかして俺の部屋もある?どどどと2階に上がって奥の部屋・・
バーンと開けるとソックリそのまま残ってたぁ確か18で都内に上京するまで
使っていた部屋だ・・・なにもかも一緒ベットの下の「エ○ほ・・」ん、まあ秘密
電気は電気は?使えた~♪信じられない
じゃTVは?非情に残念スイッチは入ったが番組は見れなかった、はいただの箱
つうことは「冷蔵庫」バーン、おおおっ食材がぎっしり詰まってるぅ
炊飯器にお米も調味料もそのままだぁ
これは当分練習場に籠もる必要があるな・・・
「お姫様これはいったいなんですか」とエメル
「いえーい、家だよ」(もちろん無発動)家は攻撃属性がないから
この手のはオヤジギャグでは発動しない、回文が必要なんだよ
「で、エメルと私は2階使うからね、ヨハンは和室使ってね」
「はあ、ワシツですか・・・」けげんそうに和室を見つめるヨハン
とにかく練習場での食事と休憩問題は解決した、ご飯たいてあげるからね!
食パンもあったのでトーストを作ってあげてコーヒーを煎れてあげた
簡単なサラダを作りみんなで食卓を囲んだ
はじめて見るトーストとコーヒーにぶったまげてた2人だがおでん同様
すぐに慣れて舌鼓~♪
さって朝練だね
いままで使っていた魔法の精度を高める訓練と新魔法の習得と改善
やることは多いのだ
唖然と数々の魔法を目のあたりにした2人、これはヤバイものを見てしまったと
後悔してるのかも知れない
「ねーえ、お二人さん?」
「は、はい、なんでしょう」
「訓練みてるだけでは退屈でしょう、魔剣と魔槍貸しますから訓練します?」
「おおっよろしくお願いします」二人の目が輝いた
二人の訓練も半端無い、「これで見習いなの?」と疑いたくなる剣技なのだ
トーシローの私が見ても惚れ惚れする流れるような二人の剣技
まるで舞ってるようだ。つか二人だけの世界????ふふーん、そうだつたんだ
頑張ってねお二人さん。
三人ともとても充実した時間を過ごしお昼の時間
「私にも手伝わせて下さい、と3人がかりでお昼作り」
野菜の刻みは慣れてるエメルさくさくと下ごしらえが進む
さて、今日のお昼は・・・食たかった食いたかった食いたかった♪
カレーライスしかないでしょう!ごはんは時間に合わせてセットしてある
なんとカレー・ルーもあった・・ヒデキ○ンゲキ!
「こっこれはなんという食べ物でしょう」二人はもう目を白黒
ふふーん「これはカレーライスっていうんだよ」
3人同時に口にパク
「おおおおおおっ」また涙が溢れてくる、日本の味だよぉぉ
別の意味で二人も号泣?してる
「お姫様、いままでにこれほど美味な物を食した事がありません」大げさねぇ
「わたしお姫様に一生ついて行きます」とエメル。いやそれはヨハンに言ってね
お昼が済んでお茶飲んで午後の練習
大充実な午後の練習でした。
さて夕ご飯おかずなににしようかな・・・つか俺男だったかから基本レシピしらん
シチューでは代わり映えしないしなぁ
「夕ご飯は私にお任せ下さい」とエメルが張り切る、どうやら生家の料理を
振る舞ってくれるみたいだ
「出来上がりました」おおっこれはなんだ?ボルシチ?
「どっひゃー、美味しい」さすが生まれてから女性だったことはあるエメルちゃん
剣技は男勝りだけど料理の腕前も別世界だね。専属料理長に任命してあげよう
こんどはエメルが号泣してる、遠くなってしまった故郷を思ってるのだろう
なんとか事件を解決して帰してあげたい・・・こっちももらい泣きだよ
早めの夕ご飯を済ませ入浴タイムを済ませ帰宅までの仮眠とることにする
ああああっソファベット寝心地最高すぎる・・・
エメルが使う部屋は妹が使ってた部屋。きっと女の子女の子してる
ビックリ仰天してることだろう。ヨハンは和室で寝れるかな、うふ
っってちょっとまて「うふ」ってなんだよ~やばい8歳幼女に洗脳されてきてる~
部屋にあったPCの電源入れてみる、おおっ立ち上がった
ネットは出来なかったがPC内のアプリケーションは使えた
プリントアウトも出来るが当然持ち出しできない、惜しいなぁ
だが大発見、PCで作成したメモ書きとか表計算、ペイントは手持ちの
カルク君にBluetooth経由で送れるのだ!!!使い方次第で便利かも
深夜2時セットしておいた目覚まし時計で起きた3人は帰宅の途についた眠ーい
しっかりヨハンは布団敷いて寝間着着て寝たそうだ、似合わねー
早朝に帰宅し二度寝したらセバスが戻っていた
「どうでしたか?」
「はっ、お姫様、かなりの収穫ありました」
今回は変装してグフタスの手伝いという名目で城内にはいり
同じ商人仲間のタランという人物に接触、詳細といままでの経過を説明し
全面協力してもらえることになったそうだ
「ウラアール様は王宮刑務所に転送されたそうです」
「多分そうだと思ってました、どうして無茶したのかしら」とクリスティーナ
「まだ詳細は不明ですがダクーミの悪魔魔法に洗脳されたのでしょう」
「ダクーミの魔法は、話をしてるだけでどんどん洗脳されてしまう恐るべき魔法です」
「恐ろしいですわね」
「でウラアール様をお救いできる手立てはあるのかしら」
えっとセバスはぎょっとする「お姫様のお命を狙ったのですよ」
「でもウラアール様はなんにもご存じないはずダクーミに利用されただけですわ」
「姫様、必要以上の情けは身を滅ぼすだけです」
「ダクーミは人の情けにつけこむ悪魔です、決して隙をみせてはなりません」
「それはそうとウラアール様はお兄様の仇とか申してましたが」
「はい、我々が幽閉されてる間にワルダーニ様が暗殺されました」
「えっまさか・・・」
「何度も申し上げますが相手は悪魔です。おのが利の為邪魔者は平気で消し去る輩です」
「人間とおもってはなりません。情けは相手の利になるだけです」
そうかもしれないけどウラアールだけは助けてあげたい・・・
「第一王子の行方は不明ですがクリスティーナ様の脱走に焦ってるのはずです
もしかするとさらに強引に事を進めるかも知れません」
「強引にすすめるってどういうことですか?」と私
「ダクーミの目的がまだハッキリとしませんが王様暗殺が最終目的かも知れません」
「な、そんなばかな・・・、そんな事したら国が滅んでしまいます」
「もしかしたら国家転覆が本来の目的やも知れません」
「おかしいですわ、ダクーミは有能な大臣として国家を支えてると思ってますが?」
「そこがダクーミの悪魔的なところなんです。国家に貢献してると見せかけて
裏でどのような悪事を働いているのかわかりません、印象操作も彼の魔法の
ひとつなのだと思います」
「おっ恐ろしい、すでに私ですら洗脳魔法に犯されてると?」
「は、賢明なお姫様ですらダクーミの術中にはまってます、国民のほとんどが
彼の味方でしょう。我々は孤立無援なのです」
あまりにもの敵の大きさとこちらの無力さに愕然とした
クリスティーナ自身にも微妙な変化が起きてます
お涙頂戴を文章化するのは難しいです。




