悪魔に魂を売った男
第二章開始です
ま反応ありませんが気にしないでボチボチです
ダクーミがアスタージナスに憎悪を燃やし始めたのは
アスタージナス6歳ダクーミ5歳の時。
なにをやってもダクーミは飲み込みが早くて頭の回転が速い
「神童」「天才」「神降臨」まわりは騒ぐ。
「愚か者達にはわかるまいて」5歳にして彼は全ての者を見下してたのだ
実の父親で先代アスタージナスの能力ですらとっくに見限っていた
「なぜこんな簡単な事が皆は理解出来ないのか」自分以外の無能者たちに
落胆するも表面上はおくびにもださない。
幼い頃から「出る杭は打たれる」を理解していたのだ
「なにをやっても兄上に遅れを取ることは無かった
なのに母上からの寵愛の全ては兄上に向かったのだ
どんなイタズラやおいたをしても兄上には笑って済ませてくれるが
私には一切気を許してくれなかった、私は母上に愛されたくてこれほど頑張ってるのに」
アスタージナスには人望とカリスマを持ち陽気な性格が周辺を和ました
味方を作る才に長けていた。それは持って生まれた天性としかいいようがない。
眩しいばかりの太陽。
ダクーミは陰湿だった、賢すぎて気味悪がられた。何時しかダクーミには
負のオーラが漂っていた。魔法には個性が大きく反映される心の鏡なのだ
陰圧MAXのダクーミ、いつしか邪悪な魔法ばかりが宿っていったのだ。
子供院に入っても王立院に入っても心の友達は出来なかった
負のオーラが負の人間達を引き寄せていく。友達ではなく服従関係だ
狂信者達が取巻き始めやがて宗教に近い悪魔的な崇拝集団となっていく。
それでも王立院に通ってた時には彼にも青年らしい純粋さがあった
ある日彼は恋をした。名はフロレンツェア、純粋無垢、大人しくてつつましい
この世の者とは思えない聖母的微笑みに彼は一瞬で恋に落ちた
だがまだ学生の身分いくら王家の第二王子という肩書きを持ってしても
彼女を権力で奪い取るのは卑怯だと感じたのだ。正々堂々1人の男として
見てもらいたかった。
いまから思えば恥ずかしい程の純愛を貫いたのだ・・・卒業したら思いの丈をぶつけよう
男子たる者それで砕けたらあきらめよう。彼は心に決めていた。
突然、先代アスタージナス王が急病に倒れ余命数ヶ月と診断された
王族すべてが集まり後継者指名となった。兄上が指名された。それはいい、我慢出来る
しかしその場で兄上は父上に懇願した「かねてから心に決めていたフロレッツェアを
嫁にもらうことをお許し下さい」「うむ、許す」
まっ、まさか、そんな・・・突然後頭部を殴られた様な衝撃が走った
「なにからなにまで兄上は私から奪って行く」
激しい憎悪に燃えたダクーミは心に誓った「何時の日かお前を目茶苦茶にしてやる」
そのためにはまずこの国の実権を握ることだ・・・
王が決まったので残りの王子、王女達は他領地へと下る
領主候補が女性しかいなかった領にダクーミは婿入りしそのまま領主となった
ダクーミ領ができ上がった瞬間だ。王の実弟でもあるダクーミには魔物討伐大臣の
命がすぐに下った。日本で言えば総理大臣みたいな重職だった。
ダクーミはその地位を最大限利用することに全てを費やした。全ては復讐の為に・・
手始めに領内の魔物を増やし通商妨害と利権を我が物にした、表向きは魔物討伐と偽り
魔物を養殖して我が意のままに操れる様に改造した。悪魔魔法により王族以外であっても
魔法を使える禁忌の召喚人間。ツワルト、余が作り出した最高傑作だ
その他にも数十人の手駒を増やした用が済んだら都合良く消えてもらう捨て駒だ。
東地域の魔物出現に国は疲弊した。さらに彼は手を打つ。海上貿易も邪魔してやろうと
邪悪で強力な海獣たちを次々と送り込み通商妨害した。
国王みずから討伐隊を従えこれに励んだが著しく財政はひっ迫するばかり・・
彼には国家などどうでも良い事、平民の命や困窮などアリ一匹程の価値も感じてない
彼には自分以外の人間は利用する価値があるかないかの関係でしかないのだ。
「次は西だ」
彼はさらに一石三鳥の手口を思いついた
クリスティーナと第一王子を同時に葬ることと
西側を魔物で溢れさせ完全封鎖させる妙案が浮かんだのだ。
これで国は三方ふさがり。かつ多くの王子を屠り満身創痍の王を言葉巧みに誘い
最終的にはこの手で葬ること。
積年の恨みを晴らすときが目前に迫った。彼は歓喜に震えた。
すでに残りの王子たちの生殺与奪権も我が手の中にある。
洗脳魔法を使って傀儡にするもよし命を奪って召喚人間の魔法でコピー人間を
作り上げるのもよし。王の命さえ奪えば全てが思い通りだ。
「我がいとしのフロレンツェアもきっと余を見直してくれるに違いない」
「リント前へ」「はっ」とクリスティーナ召し抱えメイドのリントが傅く
「大義であった、お前の役目は終わった」ダクーミが指を「ピン」とならす
「うぐぐぐぐ」ともだえ苦しんだあげくにリントは消滅してしまった。
リントも彼が産んだ召還人間だったのだ・・・・
幼き頃からクリスティーナのメイドとして覚えめでたくも常に彼女を監視し
逐一変化を報告していたリントがあっけなくこの世から消えた・・
「ツワルト前へ」・・・「はっ」
「お前は今日から別の人間として俺の側に仕えるように」と指をピンと弾くと
「ドロドロドロ」とツワルトの顔は溶け出し別の顔になった
「お前は今日からヴァイスを名乗るように」「ははっ」
「これで討伐隊関係者はすべてこの世から消えた」とダクーミはほくそえんだ
ダクーミ領
アスタージナス王国最大の貿易領、東から来訪の貿易一切を管理し利権の全てを得ていた
彼の住む城内で今リントは消滅しツワルトが別人になった。
「さて、ヴァイス、クリスティーナの様子を見てこい」「ははっ」
「余は王宮にもどる」・・・転送魔法を使いダクーミは王宮へと戻っていった。
ヴァイスは命じられるままに地下牢へと足を運んだ。
王から渡された緊急避難ペンダントは遠征に同行したリントが隙をみて
地下牢へと転送するペンダントとすり替えてしまったのだ。
罠にはまったクリスティーナは騎士とセバスごと地下牢に転送されてしまった
リントはクリスティーナと主従契約は結んでいない。召喚人間なのでもとより
契約は不可能だったのだが・・。
暗い暗い地下牢一番奥にクリスティーナは捕らえられていた、早三ヶ月
大義名分がなく今の所処刑は免れてる。迂闊に手を出したらダクーミ一族全てが
反逆者となりたちまち事件が露呈してしまう。王族に対して何人も刃を向けられない
大義名分がない以上は・・・
分厚い扉の小さな覗き窓を開けてヴァイスはクリスティーナの様子を伺う
「ここを開けなさい」激しい口調で小窓の鉄格子越しにクリスティーナは叫ぶ
「ふふふふ、泣きわめくお姫様はまた格別ですな」とヴァイス
「あなたはだれ?昨日までのツワルトとは違いますね?」とクリスティーナ
「ふふふふ、ツワルトは訳あってこの世の人間ではなくなりました」とヴァイス
「またなにかやったのね」「お姫様はご自分の心配をされたほうがいいかと」
ここの地下牢は一切の魔法を受け付けない結界がはられてる
以前の子供院の様にクリスティーナは「どうだ鉄だ」「時短で地団駄」を
最大魔力で吹っ飛ばそうと実行してみたがこの地下牢では魔法自体の詠唱ができない。
全ての魔法が初めから発動不可能なのだからどうすることも出来ない。
魔剣を振るって扉をこじ開けようと試みたがまるで刃が立たない
なにも出来ないので護衛騎士もセバスも一緒だったのだ。
地下牢とはいえそこは王家のお姫様、最低限の生活は保障されていた
鎖に繋がれて汚物もまきちらして・・という事はない。ただ外に出られない
このまま幽閉され一生を過ごす事になってしまうのだろうか・・
「はっははは」と高笑いしてヴァイスは去って行く・・・
「なんとかしなくては」とクリスティーナは落胆する。
今回はオヤジギャグ一切なし
というかオカルト・・・




