続、俗物神
果たして神様どこにいく
「け、けしからん!」
「神様、お静かに!」
「ばか、いくらなんでもそれぐらいはわきまえてる、これは思念通信じゃ」
「よかった、非常識神様でも最低ラインは守ってくれたんですね」
「なんじゃ、それ。我は全知全能の神である。非常識などとは無縁じゃ」
「で、一体なにを怒ってるんですか」
「この映画がけしからんと言ってるのだ、神様は皆に平等じゃ特定の宗教に
加担など絶対にしない」
「ああ、今ご覧になってる作品にケチつけてるんですね」
「ケチとは失礼な、我は真実を語ってるにすぎん」
「ですが、これは映画といって言わば大衆演芸、ウソも偽りもアリアリ
神様の言う所の俗物のかたまりなんですから」
「なに?映画と言うのはウソを平然と大衆にばらまく物なのか!けしからん」
「神様、人間が作る物なんて所詮独断と偏見なのです、多くの民衆はそんな事
初めっから承知で楽しんでるのです。ウソが駄目となると何も生まれないのです」
神様が今激怒してるのは15,000年前の地球滅亡時より発掘された
膨大なアーカイブ、火星にてタクマの努力により大切に保存されていた
さすがに古くさいのでリメイクされて現代風にアレンジされてはいるが
「当時の作品をリスペクトする意味で忠実に再現してます」とのことで
昔の考え方であっても尊重されている。オリジナル遵守という大王の意見による
で問題の映画はモーゼが海をかき分けて信者達が渡るという歴史的スペクタクル
まあ、当時の映画にありがちな一方的な制作側の偏見アリアリな訳で・・・
「全てを受け入れなければ神様とは言えませんよ。そして今後に活かすかが
問題かと」ゴブヨ
「うむ、確かに其方の意見もっともじゃ、スマンつい激高してしまった」
「最近神様丸くなってますます素敵なちょい悪じいさんですよ」ゴブヨ
「それって褒めてるのか?」
「勿論です、最上級の褒め言葉と受け止めて下さい」
「しかし、多勢で大画面を見るというのと言うのは悪く無いな」神様
「はい、現代風にアレンジされていて見易さとエンタメ盛り沢山ですからね」
「人間の言うところのファンタジーって奴だな」神様
「はい、お屋敷にも大画面のシアター完備されてるのにわざわざ映画館で
見るのもオツでしょ」ゴブヨ
「うむ、見てるのは同じなのに大観衆の息遣いというか一体感がたまらんな」
「ですが、私みたいな幼女に映画館のはしごはキツイです」ゴブヨ
「今日はつきあってくれると申したではないか」
「せめて合間に食事ぐらいはとりましょう」
「そうか、それはうっかりあまりにも夢中になりすぎたな。スマン食事しよう」
「おかしいですわ、神様のデーターバンクにはこのような映像全てある筈なのに」
「ばかもん、どのくらいあると思ってるのじゃ全部など見切れんわ」
「それにな、我が見たのは堅苦しいやつばかり、まさか映画というのが
こんなに大衆演芸物とは知らなかったからな。あくまでも事務的に内容を確認した
作品ばかり、でフィルターを掛けて残った作品は「ゴミ」という馬鹿さ加減
つまりは我自身がまだまだ人間への理解が足りてないと痛感したのじゃよ」
「ははは、つまり映画の楽しさを今初めて知れたと」
「全知全能の我でも人間、つまり俗物の快楽などは理解出来なかったからな」
「これは先が思いやられます。一事が万事ですわ」
「休養期間は限られてるのじゃ、今は吸収する時期じゃ」
「とかなんとかいって全部たかり、放蕩の限り、よく罰が当たらないものです」
「ばかもの、人類をいや地球を宇宙を救ったのは我じゃこれぐらいなんだ」
「それ、もう耳にタコできてます」
「ばかもの、スタージナスとやらの会社の株価みてみよ。我のお陰で
うなぎ登りじゃ。これも全て我が協力してあげたからじゃ」
「あー確かにアナハイム社も天井知らずの株価ですね」
資本主義というのはあくまでリアル、人類の存亡がかかった事件であっても
「株価」という商品価値で反映されてしまうのだ。ま人間らしい
「実はな、過去に戻る前に両社の株をなある筋に買わせておいたのじゃ」
「あっきれた!精神体の神様が株でもうけてどうするんですか!」
「こうなると予想していたからじゃ(ウソ)どうじゃ全知全能すごいだろ」
「あー実はその話タラン様から真相伺ってます。ホムンクルスになる
直前に神様周辺で重力波の動きが有ったこと、つまり過去に戻って誰かを
そそのかして株買わせた事。パラドックスで宇宙吹き飛ばすつもりですか?」
「ははは、大丈夫じゃ、未だに一度たりとも宇宙は吹き飛んでおらん」
「一度でも吹き飛んではなりません」ゴブヨ
「ともかく、我が儲けたこのお金で今までのツケは全部完済すればよかろう」
「そんな汚れたお金・・・」
「汚れていようがなかろうが金は金じゃ」
「つか、それ犯罪です」
「人間が勝手に決めた犯罪など笑止千万」
「本当に都合がいいんだから」
「本当に我が悪なら金などいくらでも湧き出せるのじゃ」
「湧き出させてるじゃないですか」
「こんな額ならカワイイ物よ」
といいつつも大王からの報奨金たんまり出てるのでお金に困ることはない
「とにかく、メシじゃ、腹減ったぞ」神様
「精神体だったころはそんな俗っぽいこともなかったのですけどね」
「ばかもの、腹が減るからこそ人間ははたらくのじゃ、摂理じゃよ」
「で、なに食べますか?」
「うん、真黒ナルドがいい」
「こんどはジャンクフードですか」
「言ったろ今は吸収するとき、何事も経験じゃ」
「うん、美味い美味い・・」
「神様味覚おかしいですわ・・これそんなに美味しいですか?」
「どうやら基準になる物差しがないからなんでも美味く感じるのだろう」
「確かにお屋敷で脳がとろけるご馳走ばかりなのでたまにはハンバーガーも
美味しく感じますけどね」
「だろ?我も最近は屋敷での食事に不満があるのじゃ」
「一流のコックさんが腕ふるってるのに罰当たりな」
「いや、上質で上品なのは理解出来るがなんというか・・」
「わかります、しゃちほこばってばかりも疲れるんですよね」
「そう、それじゃそれ。かぶりつくというのもオツなんじゃ」
「贅沢病です」
「ふー食った食った、余は満足じゃ」
「で、次はなにするんですか?」
「さあ、次じゃ今度はSFなるものが見たい」
「言っときますがSFといっても15000年前の概念ですからね
今の科学では実現してるものばかりでSFと言えるのかどうか」
「なぜ、現代地球でエンタメしないのじゃ?」
「それは野暮というもの」
「うーんわからんな」
「エンタメって実は歴史の積み重ね地道な進化の積み重ねなんですよ
残念ながらアーカイブ作品の色つけやリメイクは出来ても新しい物を
作れるほど熟達してません。悲しいですね」ゴブヨ
「難しいものなんじゃな」神様
「一旦失われた技術や文化をとりもどすのって想像以上に大変なんです」
「うわーなんじゃこれ」
こんどはSF映画にケチつける神様
「こんなライトセーバーとやらからブワンブワン音が出るわけがない!」
「赤が悪で青が正義なんて不公平じゃ」ライトセーバーに文句言ってる
「科学的な目のつけどころなど意味ありません」ゴブヨ
「なにが星ウォーズじゃ、今の技術の方が遙かに進んでるわ!」
「ですから昔の作品のリメイクだと言ってます」
「う、うむ、そうであったな・・しかしこの死星とかいう兵器は凄まじいな
星一つをレーザービームで吹き飛ばすとはなんたる高出力、人智を超えてる」
「シンジ様とダニア様とブラン様が本気になればこれ位の兵器平気で作れます」
「む、今「駄洒落」とやらを申したか?」
「ピンと来たのはそこなんですね」
「ふ、目のつけどころが人間とは違うからな、我は全知全能の神」
「なんか、スベってる気もしますが・・」
とかなんとかいいつつ最後死星が木っ端微塵に吹き飛んだ
瞬間は大観衆にまじって思わす「拍手喝采」
「さんざんケチつけて結局楽しんでいたのですね」
「ふん、我は全知全能の神じゃこれぐらいで興奮などせぬ」
「その手の中の汗はなんですか?」
「いやあ、館内暑すぎじゃ」
「はいはい、素直じゃない神様」
「映画、いいな!」
「でしょ?ウソいつわりと割り切れば楽しめるんですよ」ゴブヨ
「我の能力ならば2時間であろうと瞬間的に把握出来るのだがやはり
2時間の映画は2時間見ないとダメってわかった」神
「当たり前のことなんですが神様には新鮮なんですね」
「うむ、能率的や効率的ばかりが全てではない訳か・・」
「元々がエンタメなんて時間の無駄使いなんですけど人間はそういう生き物」
「確かに人間以外では理解できぬな、わざわざ金払ってまでな・・・」
「うむ、今日も其方のお陰で大いに勉強になった、感謝する」
「神様遊びすぎてもう飽きたのでは?」
「いやいや、まだまだやってみたいこと一杯じゃ」
「でも今日は疲れました、もう屋敷に帰りましょう」
「おお、気がついたらこんな時間か」
「じゃ、何時もの様にひとっ飛びで(^^)」
シンジ達に情報抜かれるから「どこでもゲート」は絶対に使わない2人
「いや、今日は地下鉄に乗って帰る」
「酔狂ですね・・・今時地下鉄ですか」
「うむ、近頃はゲートのお陰で地下鉄利用客すくないそうな」
「はい、わざわざ乗る人は余程暇人が鉄オタと相場が決まってます」
「なぜ廃線にしないのだ?」
「公共設備は採算だけではないのです、ゲートが故障したらどうしますか?」
「確かに古いインフラも大事にせねばならんな、うん勉強になった」
「つかゴブヨの理論は分かるがガラガラすぎ乗客は我ら2人だけじゃ」
「いえ、隣の車両にカップルが乗ってます」
「あれはイチャイチャしたくて乗ったんだろうな」
「いいじゃないですか若さの特権ですよ」
「だが、我も幸せじゃゴブヨのような幼女が一緒してくれてな」
「まあ、傍からは孫とおじいちゃんでしょうからね」
「我は上機嫌じゃあのカップルを赤い糸で結んでおいてやったぞ」
「神様、余計なことは控えてくださいね、そんな御慈悲はいりませんから」
「なんでじゃ?いいことをしたのに」
「神様が介入してはなりません」
「やってしまった事は仕方が無いのだ」
「もう、地下鉄なんかに乗って人間に触れたのがいけませんでした」
「まあまあ、今後気を付けるから機嫌直せ」
「ふう、ゲートなら一瞬なのに地下鉄だと30分か、実に無駄じゃ」
「神様が望んだのでしょ?我が儘ですねぇ」
「言っただけでちゃんと楽しんだよ」
「神様って文句が出れば出るほど実はご満悦なんですね」
「ふん」図星
「さてこのネオ新宿とやらもまたいい街じゃな、なんとなくハイカラじゃ」
「そんな大正時代みたいな言葉どこで覚えたのですか?15000年前ですよ」
「我は全知全能の神で有る知らぬ事など無い」
「頭でっかちで実体験が伴わない全能ですけどね」
「ごほん、だから今のウチに補ってるのじゃ」
「脳筋じゃなくて神様の場合は筋脳、筋肉までが全部脳ですね」
「お、なんか筋肉が脳って漫画あったな・・確か「寄生某」」
「はいはい」
「折角だから今日は外でなんか食べたい、我がおごるから」
「っても神様は一体なにがお好みなのか・・」
「ばかじゃな、そんなニーズにピッタリの「居酒屋」があるじゃろう」
「うぶなのか経験豊富なのかさっぱりわかりませんね、でも私は幼女です」
「別に酒のまなければいいのだろう?そんな客も大勢いるぞ」
「ぐわー・・・なんじゃこれ~」焼き鳥にビックリ仰天神様
「くうぅ、これは美味しすぎる」唐揚げに昇天する神様
「この酎ハイとやらは民草の味がするな」
「民草なんて今時言いません、庶民と言って下さい」ゴブヨ
「そんなことはどうでもよい」
「ぷはー、飲んだ、食った・・仕上げじゃ」
「幸せそうでなによりです」
「で、シメの「お茶漬け」サッパリすぎてタマランチじゃあ」
「タマランチ会長なんてどこで覚えたのやら・・無駄な知識ですねぇ」
「うむ、余は大満足じゃ、帰るぞ」
「てか、神様その腹!呆れますねぇ、神様っていつも精進してる筈なのに」
「ばか、今は休暇中と言ったろう、仕事の時はちゃんとするから安心せい」
「一体神様は休暇を終えた後はどうするのかゴブヨには分かりませんわ」
「うむ、初代神と同じで人知れず皆の幸せを遠くで見守るもるつもりじゃ」
「これだけ毒気そそぎ込まれた神様にそんなこと出来るのですか?」
「我とてやるときはやるのだ、見たはずじゃ過去での我の活躍」
「確かにそれはそうですが・・・なんか初代神様とは違う道選びそうで」
「まあ、同じ事してもつまらんからな、今思案中じゃ」
「で?あと何日ですか?私そろそろシンジ様に会いたいのですけど」
「別に我に断る必要など無いぞいつでも会いに行けば良い」
「まさか、神様を1人にするなんて心配です」
「我が暴走すると思ってるのだな」
「ご、ごほん、いえそんな・・・世間知らずの神様が心配なだけです」
「我としてはゴブヨの監視なしで羽伸ばしたいのだがなぁ」
「あら、そんな事いつでも自由にできますよね?」
「だが一応居候の身、主の顔色伺うは当然じゃ」
「あら、そんな殊勝な心がけあったんですね」
「ん」神様
「え?」
「しっ、そしらぬ顔をするのだ、なにか怪しい気配がする」
「え、なにごと?」
「わからんが居酒屋を出てからなにやらつけられてる気がする」
「物乞いの類では?」
「いや、ちがう他のなにかじゃ」
「まさか悪魔の使徒?」
「我の探知能力でも解析できぬ、タダモノではないぞ」
「すべてを失った異教徒の復讐でしょうか?」
「わからんが面白そうだからつきあってやる」
「危険です、いますぐ瞬間移動しましょう」
「ゴブヨ、敵?は凄いぞ」
「なにがですか?」
「我の転移術をすでに封印してる・・・ふふふ相手に不足はないようじゃ」
「走って逃げましょう」
「其方の足では無理だしいま走ったらかえって距離を詰められる」
「叫んで廻りに助けてもらいましょう」
「ばか、見渡してみよ、すでに敵の能力で回りには人間どころか生体反応も
すべて除去されてしまってる、なにやらアンチマジックエリアで魔法も効かぬ」
「神様、ここはシンジ地球です、もともと魔法はほとんど使えません」
「あ、そうであった、だからここに住んだでのであった、ははは」呑気な神様
「この状況でよく笑ってられますね」ゴブヨ
「こうなってしまったら成り行きに任せるよりないだろ?」
「いくらなんでも敵は強大すぎます」
「む、強大か・・・見えて来たぞ!」
ほんわかから急変?
しばらくご無沙汰していましたm(__)m
実はPCが突然異世界転生wしてしまい。ゴミアイテムに・・
ストックしていた部分も異世界に召喚されてしまいました(;´Д`)
もうこのままやめようかとも思いましたが自分自身の趣味みたいなものなので
細々とでも続けて行こうかと・・改めてよろしくお願いします。




