かすかな希望
果たして現世の状態はどうなった?
「ザザザザ・・」
「シンジ様、シンジ様」
「む、その声はゴブヨ君か?作戦は上手くいったのですね!」
「ああ、よかったなんとか通信は出来るようで安心しました」ゴブヨ
「ザザザザ・・」
「ザザザ・・ん?どういう事ですか」シンジ
「申し訳ありませんが今回は通信時間が限られています質疑応答してる間が
ありません。どうかこちら側の質問だけに即答願います」ゴブヨ
「む、緊急事態なんだね。分かったで質問とは?」
「はい、率直に伺います。そちらの世界はまだ悪に支配されてませんか?」
「え?別段君が出発した時となんら変わってないけど」
「わかりました、次の質問です」
「ジルベッタ様以下王家一族は生存されてますか?」
「おかしな事を聞くね、まあいい、君が出発したときと王家の変化は全く無い
ジルベッタ様やフィフリンティーノ様スフィルニア様、勿論大王、ウラアール様
全員ご存命だ。史実の通りワルダーニ様は遠い昔に暗殺されたのも君の記憶と
全く変わってないよ」
「ザザザザ・・」
「え?こちらの世界ではまだワルダーニ様は暗殺されてません・・」ゴブヨ
「君の話の限りでは作戦は思うように上手くいってないのだね」
「はい、実はダクーミの計略にかかりウラアール様とクリスティーナ様が
アスタージナス国立刑務所に収監されてしまいました、無限牢獄といい
被害者しか加害者を救えないのですが今回は同時に計略により投獄されて
脱出が不可能になってしまったのです」
「む、・・・無限牢獄の件は私も以前研究したことがある、魔法を詠唱すると
魔量を吸い取られてしまう恐ろしい刑務所、君の魔力多分急激に吸い取られてる
危険だからもう通信はやめなさい」
「多分これが最後の通信です、どうかお達者で。お元気でいて下さい」
「時間が無いから最後の一言」シンジ
「はい」
「必ず私が救ってみせる・・・最愛の妻よ・・・」
「プツン」
「ううううう」さめざめと泣き崩れるゴブヨ
「こら、泣いている暇などないぞ。報告せい」鬼の神
「うう、酷いですわ、最後のお別れに浸る事もダメなんですか」
「おおっ!と言う事は通信は成功したのだな、ご苦労であった」
「ぐすん・・・今のところは現世での変化は何一つ起きてないそうです」
「ワルダーニ以外は王家全員生存ということだな」
「グスン・・でもおかしいですわ」
「なにがじゃ」
「今の時点でワルダーニ様はご存命、確か史実ではジルベッタ様と
クリスティーナ様が行方不明となり王位継承の順位が上がったことで
ダクーミにうとまれて易々と暗殺されたはずです」
「うむ、史実ではワルダーニが暗殺されて恐れおののいたウラアールが
ダクーミに頼り、必殺槍でクリスティーナを葬るつもりが自分だけ無限牢獄に
投獄されてという筋書きだったのだがな」神
「現時点の展開でなぜ史実通りワルダーニ様だけが葬られるのか大義名分が
ありませんね」ゴブヨ
「うむ、今後の展開でなんらかの必然が生じるのだろう」神
「つまり、今の所は流動的で我々の行動次第で何時でも歴史は変わる?」
「ばかもの、そんな議論は以前より何度も申してるわ、いい加減覚よ」
「と言う事はまだまだこちら陣営にも勝機は十分にあるのですね」ゴブヨ
「勝率で言ったら10:1位だろう当然1の方な」神
「神様が神頼りですか・・」
「今そんな冗談に付き合ってる暇は無い」神
「ですが、最後にシンジ様が面白いことを言ってました」
「ほう?」
「必ず救ってみせると」ゴブヨ
「????どうやって?」神
「そんなことわかりません」
「うーーむ、今までシンジは出来ない事は言ったことがないな」神
「ですよね、少なくても何か策があると思います」ゴブヨ
「しかし、悠長にまってはいられんぞ、一刻の猶予もない状態はかわらん」
「そうそう、通信が出来たらなにか策があると神様仰りましたよね」ゴブヨ
「うむ、少なくても強大な魔力を発信すれば大部分を吸収されつつも
外部に漏れることが判明したということじゃ」
「ですが私の魔力は尽きましたし発動は不可能です」ゴブヨ
「其方は忘れたのか?シンジが作ったLABがここに設置されてると
普段から自慢してるではないか」神
「え?それはあくまでも研究所です。魔力となんの関係が?」
「いや、大いに関係ある」神
「話が全然みえません」
「つまり、今まで人類が発明した科学は全て記録されてると言う事じゃ」
「はあ?」
「いつもは切れ切れなのに今日はわざとらしくボケおってからに」
「ボケてませんよ、本当に分からないのです教えて下さい」
「つまりはダクーミが原案、ダニアが発展させ最後はシンジが魔改造した」
「うんうん」
「あれじゃ!」
「忙しいのにじらしプレーやめて下さい」
「ごほん、」
「あーじれったい」
「魔核融合炉からの魔石コア発電じゃ!」
「む、無理です、不可能です、残念ながら魔石と聖水ありませんから」
「それがあるんじゃよ」神
「どこかに隠していたんですか?」
「実はそんな事もあろうかとゴブヨが無駄な物を開発してる隙に我も
現地で魔石と聖水を1/兆圧縮術でため込んでいたのじゃ
「おかしいですわ、精神体である神様が物質を蓄えるなんて不可能なはず」
「そこは神様の知恵と言う物、現国王アスタージナス16世に数々の
アドバイスと引き換えに魔石と聖水を所望していたのじゃよ」
「其方が夢まくらでシンジと通信してるときにウラアールの身体を
操作して魔石と聖水を1/兆圧縮して体内に保存しておいたのじゃ」
「うわーちゃっかりしすぎ・・・この国、財政難の筈だったのに」
「ナイナイと言っても有る所にはあるものじゃ」世故に通じる神様
「と、言ってもこの時代の魔石などは圧縮も出来ないしとても貴重品
100p魔石3個仕入れるのがやっとだったわい、しかし逆に聖水は無尽蔵
必要量は容易く集まったぞ」
「で、それでなにが出るのですか?魔核融合炉など絶対に不可能ですよね」
「ばかもん、ウラアールがこの無限牢獄から出れるだけで十分じゃ
余裕があればクリスティーナも助けてやりたいが・・」
「そうそう、クリスティーナ様は一体敵なのか味方なのか分かりませんね」
「うむ、だから救って真意を確かめたい気がするのじゃ」
「万が一味方でしたらこれ以上ない大戦力になりますね」ゴブヨ
「うむ、・・・」
「で、話を戻すがこの魔石で作れるのはMSが秘密研究所に設置した
自家発電機の1/100程度、ギリギリ超マイクロブラックホールが出来る
かもしれない程度の微量」神
「しかもチャンスは一度だけ失敗したらもう策はない」
「きびしーですね」
「仮に魔力を得たとしてどうやってウラアール様を救出出来るのでしょう?」
「フィフリンティーノもアスタージナス王も発動可能なゴースト魔法で
疑似クリスティーナを作り、被害者が加害者を救える唯一の方法を試す」
「それもおかしいですわ、ゴースト魔法が通じるのなら王様はとっくに
どちらかを救ってるはず」
「いや、駄目じゃ、それだけではセキュリティチェックを通れない」
「更になにかが必要なんですね」
「だから、我がそのゴーストに相乗魔法を施すのじゃ」
「なるほど、魔法は相性次第で重ねる事が可能でしたね」
「カギは魔自家発電機がつくれるか否かだ」
「成る程魔発電機で電力を魔力にコンバートするんですね」ゴブヨ
「理論は分かってますし設計図もあります、今から作ってみましょう」
一体シンジはどうやってゴブヨ達を救うというのか?




