出陣式
ついにカルク君入手・・・実は恐るべきアイテム
遠征出発2日前に大広間で出陣壮行会が行われた
パーティ形式なので一見社交会というか舞踏会?よくしらんが
異世界転生物アニメでよくみる風景だ。まずは飲食で和やかにって事だろう
ホテルとかでやるバイキング会食と同じ感じ。
打ち合わせ通り俺は第一王子にエスコートされながら颯爽と登場だ
「おおおお」と周辺がざわめき左右に開いて傅くソソと進み
一番奥の上座に座る、王様夫妻はすでに着席してる。
「さあ、いよいよ出陣です今日は十分に鋭気を養ってく下さい。」
ダクーミの音頭で宴が始まった、楽士達が優美な音を奏で始めた
さささっと幾人かの貴族?みたいのの挨拶詣でが始まった
「ついにジルベッタ様の初陣ですな、大成果心より期待してます」
「ジルベッタ様が向かえば魔物達などたちどころに霧散間違いなしでしょう」
いさましい激励とともにうっとおしいほどの賞賛絶賛の嵐
げー、こいつらこびへつらってなんとか取り入ろう魂胆まる見えだよ
おっ気がついたら見習い騎士ヨハンとエメルが俺の後ろに立ってる
「王より姫様の護衛任務を賜りました、どうかよろしく願います」
これは心強いかも、「こちらこそどうぞよろしく」「ははっ」
今回の遠征部隊の内容は以下の通り
遠征隊最高指揮官:ジルベッタ第一王子(少将)、護衛騎士3人&執事
指揮補佐官及び騎士団隊長:ドルムート(中佐)騎士団10名
兵士長:アルバッハ(少佐)兵士40名
軍事顧問(ダクーミの配下達)ツワルト以下5名、指揮権一切なし
後方支援、補給部隊10名
そして俺、待遇は「見学扱い」戦闘に参加、口出し、一切無用
つまりなにがあっても見てるだけ、危険があったら即撤退が厳命された
護衛騎士2名と執事の随行が認められてる
今回王より特別に「撤退魔法」が込められたペンダントが授与されてる
魔石に振れて発動すれば主従登録者全てが即王宮に転送されるとか
ダクーミが俺に近づいて傅く
「お姫様、今回の遠征はご見学されるだけですので一切危険はございません
どうぞお気軽にご参加ください」
無理矢理参加をねじ込んでおいて何も無い訳ねーだろ
と俺は思ったが「とても楽しみにしています」とそっけなく答えた。
宴が進んだ所でダクーミが舞台真ん中で発する
「それでは皆さん今回の遠征について簡単ながらご説明いたします」
ざっと巻いてあった畳2枚分くらいの作戦地図を広げた、指揮官が集まる
「ご存じの事とは思いますが今年も魔物達が多数沸きだし近隣の集落
行商人を襲い被害が報告されています。直轄地の安全確保は王家のお勤めです
今回は王子の初陣ですので西側地区を担当して頂きます」
「うむ、」とジルベッタが頷く
「西側に広がるエラール高原に多くの魔物が生息、根城にしてる模様です
ご存じかと思いますがエラール高原までの所要時間は馬車で4日程の行程
広大な高原ですので魔物の主発見討伐までは一ヶ月位は予定してください
その間随時援物資の補給を行います。ルート確保と保持が作戦維持の要でしょう」
事細やかに説明を行うダクーミ
こいつ戦略知ってるなぁ・・軍師クラスだろうな、と俺は思った
「あいにく私は東側の魔物討伐隊長を拝命したので同行できませんが
どうぞ作戦の詳細は顧問のツワルトにおたずね下さい」
なるほど、自分は関係無いよとアリバイ工作ね・・・
つか顧問とやらのツワルトに巧みに誘導されなければいいが・・
「こっこいつの目がヤバイ」作戦会議で弁を振るうダクーミだったが
本能でクリスティーナの眼光を警戒したのだった
「ふっ、たがが8歳幼女に馬鹿馬鹿しい」とダクーミは心のなかで否定したが
なんともいえないオーラを発すクリスティーナに脅威を禁じ得なかった。
お互いの敵認定をよそに作戦会議は終了した
ダクーミの作戦立案に誰ひとりとして意義を唱える者はいなかった。
☆
アスタージナス王国
北は険しい山岳地帯近隣諸国との国境門はない
人を襲うことはまずないが「ドラゴン」系の大魔獣が生息し
人間が立ち寄ることを拒んでいる、神聖で崇拝されてる地域
東側はどこまでも続く平野だが国境付近では強力な魔物が出現し
東側との交易を大いに脅かしてる。ハッキリ言ってダクーミ領とダクーミの
手腕が無ければ王国の貿易は立ちゆかない。国王がダクーミに一目置くのも
当然なのだ。
南側には海が広がり海上貿易が盛んなのだが海賊や海獣の出現が悩ましい
国王自ら討伐隊を指揮して魔物討伐するが年を通して出没するため
いつ出陣するのか判らない。莫大な国費を要し財政を常にひっ迫させてる
で、西側、西にはさして結びつきのある国もなく街道も整備されてない
牧歌的で穏やかな丘陵地帯がどこまでも続く、魔物も比較的大人しく
王子や近隣領主が討伐の任につく場合が多い。成人した第一王子の
初陣の場として申し分ない。
遠征前日身支度をしつつ俺は魔法登録所で今回も騎士達と主従契約をした
今回は王命なのでお手当は国負担だが命を預けるのだ特別手当として
金貨20枚ずつをプライベートで支給した。
おっ見渡すといままでは椅子一つが真ん中にあっただけだが
部屋の中がちょっと変わった
執務机が置かれなにやら本棚と蓋付きの木箱というか宝物入れ?
見たいのが追加されてたのだ壁には黒板みたいのが掛かってる
お、そこには保有ポイント預金残高主従者の名前が
書いてあった。つまり各種表示ボードね。
よく見ると「レベル:35」と表示されてる
「ねーえ、セバス」
「はっ」
「レベルってなに?」
「はっ見てのとおりお姫様の現在レベル値です」
35って俺の実年齢じゃん・・・と心の叫びは置いといて
「最高レベルはいくつなの?」
「は、詳しくは存じませんが100あたりが最高かと」
「で、お姫様がレベル30を越えたのでステージUPされたのでしょう」
「王立院卒業時に普通はレベル30が与えられるのです」
「今回の遠征では見学者扱いのお姫様でもとうぜん配分はありますので
お戻りの際にはさらにレベルUPされる事でしょう」
ほっほー・・・それいいね
「セバスはレベルいくつなの?」
「はっ私は75です」
げっ、すごいじゃんセバスったら・・って今まで一度も戦闘とか訓練とか
してないから実力わかんない
「お姫様の本当の危機の際には及ばずながらご助力致します」
おっ頼もしいね!
ちなみに総合レベル値なので騎士見習いでレベルは30未満と思われる
ヨハンとエメルに剣技でかなわないのは当然、代わりに魔法は俺の方が上だし
レベルUPすれば各種パラメーターが表示されるかもだね。
各種装着装備でもレベル補正されてるらしい。
話戻す
「本棚はなににつかうのでしょう?今は一冊も置いてないけど」
「はっ、今後覚えられた魔法を魔本に書き写せば詠唱が楽になります
もちろん他の者には文字が見えません」
「魔本はどうやって作るの?」
「はっ、おまかせ下さい魔本作成の黒石は私が預かってます」
「ポン」と煙とともに一冊の魔本が出てきた黒板のマイナス預金が増えた・・・
って金貨100枚かよ、ボッタクリだろうが!うかつに増やせん。
「魔本一冊で20の魔法が登録されます、戦闘時の詠唱時間短縮になります」
セバスが続ける
「レベルUPされたので携帯カプセル入れの容量が20個分になりました」
おおっそれは便利だ。結構カプセル増えたしね
「この宝箱はなにかしら?」
「はっ、お姫様が今までに獲得したアイテムが入ってます」
開けてみるとなかに3つアイテムがあった
大小の黒石となんかの器具だ
「これはなにに使うの?」
「は、石の方はそこに魔法を込めれば詠唱なしで使えます
小さいほうは10P分大きい方は100P分の魔法が込められます
満タンになるまで複数の魔法を込められますが使い切ると消滅します」
上手く使えば手榴弾ぽく使えるね魔物狩りの時に獲得した模様だが
さしてレアアイテムでもないのでアラートが出なかったのだろう。
「もう一つのは?」
「はっ、これは六分儀ですね、現在位置を調べる道具です無限使用可能です」
なるほど、迷子になったら使えそうだ
「お姫様が作られましたカルクとやらに落としてみて下さい」
と言うので「カルク」君にかるーく六分儀を落としてみた・・・
あれっすいこまれちゃった!
「表示部分をお確かめ下さい」とセバス
おおおっなんか地図が表示されて現在位置が点滅してるっ!
ってこれGPS、いやカーナビだよ!カルク君実はアプリ入れるとドンドン
機能が上がるマジ「タブレット」?今後が楽しみだぁ
あ、もしかして・・と今獲得した魔本も落としてみると
「スーッ」とカルク君に吸い込まれた
で見ると魔法一覧が表示されてる!選んでポンで発動するのだろう
ますます便利!確かに一生モンだわこれ。
カプセル入れの容量が増えたのでカルク君も収納出来る様になった
「お手持ちの杖は対象物にかざす事で命中率上がりますし上にかざすと
全方位、もしくは指定範囲に魔法が発動するようになってます」
天を一回しすれば全方位、左右に振ればその範囲ってことらしい
こりゃ便利になったもんだ。時間が少しあったので練習場で
各種効果の確認はしておいた。使い方ほぼブラジル判った。
バチバチバチと視線が交差しました。




