2人の娘達
セイラとミライの大活躍
「ねーえミライ、今度のアトラクションの件だけど」セイラ
「うん、大好評のロボシュミレーションを上回るなにかが必要ね」ミライ
サイド7のアナハイム社専用コロニーは今や「遊園地」として
全人類の憩いの場。特に超リアルなロボシュミュレーターは押すな押すなの
大盛況、常時2時間待ちの長蛇の列「なんとかして~」利用者の悲鳴が上がる
「実際は重力スタビライザーのお陰で実戦ですらあり得ないG体験に
なってるんですけどね」クスっと笑うミライ
「大体からしてあんなガチャガチャしてるロボットが接近戦なんて
実戦ではありえません、不合理すぎます」社員A
「あのシュミレーターの影響で宇宙防衛軍入隊希望者が殺到しています
でも実際にパイロットになってG体験出来なくてガッカリしてるとか」ミライ
「本末転倒の好例ですね」セイラ
「実戦では不要なGなど重力スタビライザーで相殺するに限りますから」ミライ
「まあ、夢を売るのが我々の商売ですから」セイラ
「で、今度はなにをしますか?」社員B
「そうね、今度は殿方ではなく女性が宇宙でなにが出来るか?
というテーマはないものかしら」セイラ
「女性ですか・・・なかなか冒険に女性は難しいですね」社員C
「やはりイーシャ様達のような女性剣士かしら」ミライ
「ただの女性剣士ではなくてなにか壮大なファンタジー欲しいですね」B
「やはり巨大ロボ剣士ですかね」C
「うーん安直ですが体感するという意味では効果絶大でしょうね」ミライ
「なにかがたりません」セイラ
「これだけ思念アプリが普及してるんですからロボットの操縦も思念で
出来ないかしら?」ミライ
「む、それはいいかもですね」セイラ
「ま、まさか脳に直結して思い通りに操作できロボですか?」
「いえ、体感と言う意味でしたら5体全てを動かすとその通りに動く方が
より実感出来ますね」ミライ
「ですがそれだとコクピットの中で滑稽な踊りですわ」セイラ
「やはり、脳内で直感的にロボットの手足が動くほうが実戦的ですね」A
「できるだけ感覚を持つ様にして例えば右腕を失ったら「失った」と
体感出来る微弱な痛みを与えるとか」セイラ
「そこまでいくとアトラクションの域を超えてますね」C
「よく、自由に空を飛べる夢とかみますよね。それを体験出来たら・・・」
「怪獣になって火を噴く体験とかも面白そうかも」B
「ドラゴンの疑似体験して世界中を火の海にするもよし」A
「VRMMORPGですね」セイラ
「アトラクションというよりも全世界配信式にすれば巨大な利益です」B
「そのアイデアは以前ある方から聞き及んでます」セイラ
まさか母上が大王とは言えない。しかしそのアイデアは大王の知る前世にすでに
あった、二番煎じはいかがなものか・・・セイラは思う
「すこし考えます」セイラ
確かにこの世界にはまだオンラインゲームの概念はない・・しかし・・
「オリジナルでなければ意味が無い」セイラはこの案を却下することにした。
「し、しかしそんなゲームいまだ地球上に存在してません、誰の特許ですか?」A
不思議がる社員達
「とにかく、その件はもう少し煮詰める必要があるということです」セイラ
しかし疑似人間というアイデアは究極には人類が「人体」を必要としない時代が
来る事を予見させる・・セイラは少し自分の考えに恐怖した
「もし、もしかして人間の脳をチップ化出来たら人類は永遠の命を得る・・」
セイラ
アナハイムがするべき事はアトラクションでの子供だましではなく
人類究極の夢「永遠の命」ではないのか?セイラは考える
「いきなりは不可能ですから部分的に実現してフィードバックするのなら
アトラクション化は有益だと思います」ミライはこのアイデアを惜しがる
「そうですね、とにかく世間の反応を見てみなければ判りませんからね」セイラ
「では、このプロジェクト立ち上げますね」A
「リアル疑似体験は当たる可能性大だと思います」ミライ
「不死身への研究になりますしね」セイラは心に秘めた
2人は仕事を終え寮にもどる
一軒家方式で平屋2LDKモジュール、家賃15万円(内、社で10万補助)
リビングとダイニングキッチンが10畳程度、ユニットバス完備、トイレは別
2人の個室は6畳程度、ごく一般的な⒉人用社員寮
集合住宅方式でないのは一応2人は幹部クラスの待遇を受けてる
ガランとしたリビング
ガシャンガシャンと思い思いの家具類を思念でセットする
「今日は標準セットAなのね」セイラ
「毎回毎回模様替えも疲れるからセット物の方が受けると思うわ」ミライ
社員寮は毎日が将来の住宅販売のためのノウハウ、データー取りの現場でもある
リビングには平均的なソファとテーブル家具類がセットされた
「お食事はどうされますか?」メイドロボットが2人に尋ねる
標準的な住宅に必ず一体のメイド型アンドロイドが付属する
「いつもの定額セットBでお願いします」セイラ
定額セットとは毎月定額の料金で料理を提供してくれるサービス
2人はすでにお金持ち(笑)だが社員寮ではサンプル取りなので贅沢出来ない
贅沢するつもりもない。
独身女性用の定額、月5万円(朝、夕飯)セット、カロリーコントロールされて
ヘルシーでリーズナブルというかほぼ最低ランクコース
給料から天引きなので月末に金欠でカゥプ麺でしのぐ・・なんて悲劇もない
セイラ達は定額セットBで契約してるがその他にもガッツリ系肉食男子向け
セットA(月7万円)とかダイエット向けセットCとか10クラスの
定額セットが用意されてる、全社員的には今の所ガッツリAが人気みたいだ
もちろん「今日は少し贅沢したい」時はオプション追加も可能
自炊したいときのセットも当然用意されてるが独身者が大多数のアナハイム社では
あまり需要がない、しかし大家族向けには将来有望だろう。
「アナハイム社からサンプル提供なので実質タダですからね」セイラ
「会社と寮の往復だけですとお金つかう暇有りませんね」ミライ
研究バカの自主社畜の2人には会社での研究以外に趣味は勿論オシャレも
必要無い。研究こそが恋人なのだ・・・
TVをつける2人のお気に入りは通販
「なにしろ、社から10万円/月以上必ず通販購入しなければなりませんからね」
セイラ
通販システム構築のためのノウハウ蓄積のため社員は全員月10万円
TVorネット購入することが義務、もちろん月10万円クーポンが支給される。
2人が買うのはもっぱら研究用のグッズばかり・・オシャレ無縁
「○○測定器・・うわ、今日は安い!予算オーバーだけど自費で買おっと」セイラ
「あ、この卓上遠心分離機、最新!ポチっ」ミライ
じじくさい・・・
大王から久々に電話が掛かってきた、顔をみられるのがおっくうなので
TV電話は拒否、音声のみ。
「あら、おかあさん久しぶり」セイラ
「なにが久しぶりよ、全く連絡よこさないで!」アスタージナス
「だって別に連絡する要件もないし・・」ミライ
「貴方達はいったい会社でなにしてるの?」アスタージナス
「ごめん、それはおかあさんには言えないの、特に普通の立場じゃないし」セイラ
「わかったわ、とにかく元気してる?ごはんちゃんと食べてる?」
「宮廷料理の贅沢から解放されてごきげんです」ミライ
「なんて罰当たりな・・」
「とにかく私達は元気でやってますからおかあさんも無理しないでね」2人
ガチャ
2人には世界の大王であるアスタージナスの娘であることがプレッシャー過ぎる
同じ事なんて絶対に出来ないが自分達の生きる道をようやくみつけたので
いまは邪魔されたくない気持ちで一杯なのだった。
「そのためには何が何でも新しいアトラクション成功させなくちゃ」
意気込む2人
「さ、明日のためにお風呂入ってすぐ寝ましょう」とっとと寝る2人
全自動洗濯システムは洗濯機に衣類を放り込むだけで自動的に洗濯、乾燥
折りたたみも行ってくれて衣類ごとにタンスにしまってくれる。
衣類事に透明IDタグ処理が施されてる。変な話だが衣類泥棒がいても
即座に防犯システムが作動し犯人は即座に御用となる。
もっとも洗濯物を干す事もないし玄関が他人には見えないモジュールなので
犯罪を犯すことは不可能。
翌朝早めに起きた二人はさっと朝食を済ませ1時間前に出社
「おはようございます」元気にあいさつする2人
総合企画室に所属する120人は完全独立研究所、アナハイム本社敷地内だが
別棟に5階立ての建物、研究内容は完全社外秘厳重なセキュリティをパスしないと
研究所に入室出来ない。
いつも2人は誰よりも早く出社してみなを出迎える
2人は部下3人とともに新アトラクションを専門に研究してる。
挨拶と朝礼を済ませすぐ全員研究室にこもる
「とにかく成果が欲しい」セイラ
「焦ってもいいものは出来ないわ」ミライ
二人にとっては至福の時間があっというまに過ぎていく
下手すると昼食の時間もわすれるほど没頭してしまう、部下の3人も
夢中になり、館内アナウンスで終業時間を告げられて初めて時間を知る5人
「あらら、もうこんな時間、残業しすぎるとまた社長に叱られる」セイラ
アナハイム社では基本残業は認められない。ダニアの方針
度々違反するとダニアからキツく叱られてしまうのだ。
自身24時間ぶっつづけて1週間徹夜とかで研究に没頭しすぎて
何度も死線を彷徨った経験から「絶対に残業はさせない」
アナハイム社の鉄則になってる。
「絶対にこのコロニーは一日20時間以下です、こんなに一日が短いはず
ないですから」うそぶくセイラ。
「いえ、それはいくらなんでも・・・」ミライ
数ヶ月後
「当初予定の女性向けとかはちょっと上手く出来ませんでしたが
ヘッドマウントディスプレイ式のVRMMORGPは試作品が完成しました」
社員A
「早速試してみて下さい」ミライ
社員Bがコクピットに乗り込み専用のヘルム(ヘルメット)を装着する
その瞬間
「ギュイーーン」
「おおっこれは凄いです私自身がロボットになった感覚が来ました」B
「空中浮遊感とか各センサー類の一体感はどうですか?」ミライ
「はい、全ての数値が脳内に反映されて感覚で分かります」B
「では模擬戦闘お願いします」セイラ
「うわー凄いです私自身が空を飛び上下左右自由自在、Gをもろに感じます」
「試しに敵に撃たれてみて下さい」セイラ
「ズガーン」
「ぐわあああ・・・右腕が吹っ飛びましたが右腕に激痛を感じその後
右手の感覚が本当に無くなりました」B
「ドドドーン」
「ぐええええ、腹に直撃を受けました・・腹がえぐられますいたたたた・・・」
「実検終了です」ミライ
「プシュウウ」電源が落ちコクピットから降りてくるB
「よかったぁ、生きてます。これスゴスギです痛みがリアルすぎです」B
「どうでしたか?」セイラ
「これは当たると思います。なによりも直感的に操作できるのがすごいです
というかこれは軍事利用で実戦で使えたらものすごいことになりますね」B
「ですね、痛感は必要ないですが火器管制を直感的に操作できるのは
一瞬で生死が決まる戦場では必須でしょう」セイラ
「とにかく試作段階では上々な感じしますので社長に報告します」セイラ
数日後報告を受けたダニアとブランが視察に来た
「なんと恐ろしいものを・・・」ダニアとブランは驚愕する
「これを軍事で応用したら戦が根本的に変わりますね」ブラン
「うむ、無人戦闘機や、ドローンとかに応用が利くだろう」ダニア
「というか宇宙戦艦の運用方法までもが根本的に変わりますね」ブラン
「しかし、すでに宇宙戦艦の運用はAIに任せた方が人為的エラーも少なく
突発的な戦争も起きないレベルに到達してる」ダニア
「それよりもセイラが具申してきた「人類チップ化」の方が恐ろしいな」ダニア
「これは神の領域です」ブラン
「神の領域入りまくりのブランでもそうおもうか・・・」ダニア
「これが実現したら人類は永遠の命を得ますし全ての問題が解決します」ブラン
「うむ、このアイデアは大王に具申しなくてはならないレベルだ」ダニア
「しかし、そんなことが可能なのでしょうか?」セイラ
「既存の技術で90%以上実現出来るだろう」ダニア
「しかし、同時に人類の尊厳問題になるしそもそも人類、いや生物とは
なんぞや?の哲学の領域だろう」ダニア
「私、以前から不思議に思っていたのですがなぜ地球に住む人類は8億人から
増えもせず減りもしないのでしょう?」ミライ
「それは簡単な理屈じゃ、生まれて来る人間と死にゆく人間が同じ数だからだ」
ダニア
「でも、それ偶然でしょうか?」セイラ
「わからない・・・大王の話だと前世とやらでは人類は爆発的に増加の一途
だったらしい、しかし発展した国では減少化も起きていたと」ダニア
ダニアとブラン、セイラにミライ。同時にあることがよぎった
「プログラムされてる?」
「うーむ、わからん」ダニア
「その件は大王に相談してみるが結局結論はでないと思うな」ダニア
「それよりも早期に新アトラクション完成させますね」セイラ
「頼む、完成後イーシャ様にお見せするのが今から楽しみじゃて」ダニア
「宇宙防衛軍総司令がなんと感じるかですね」ミライ
☆
「これはアトラクションの域を超えすぎてます」イーシャは驚愕する
「二人には今すぐ宇宙防衛軍の軍事顧問になっていただきたいのですが」
「え、それは・・・私達はアナハイムの人間ですから」二人
「しかし、おもちゃ開発だけではその才脳勿体なさすぎです」イーシャ
「社長の許可しだいですが業務の範囲内でしたらなるべくご協力させて頂きます」
セイラ
「分かりました大王には私から要請しますのでよろしくお願いします」イーシャ
後に二人が開発したシステムはMSとして軍事用語になった
さて、問題の新アトラクション、予想通り押すな押すなの大盛況
「入場者数が2割増えました」嬉しい悲鳴の広報担当
その概念はあらゆる分野に応用されていった。新たなる産業革命人類新時代
実際の工事現場とかの工作機械などにシステムが組み込まれ作業能率が劇的に
向上していった。もはや人間なんだか機械なんだかアンドロイドなんだか区分けが
つかない。
人間が人間の体である必要があるのか?次第と是非が問われる様になっていく
すでに医療自体が画期的なポーションの出現により死亡率が劇的に下がり
人工関節や人工手足、人工臓器の発達によりサイボーグ化が究極に発展している
禁断の「脳」領域に人類がはいりこむのも時間の問題、土壌がすでに出来てる
開発の中心はMSコンビ、いまや部下200人を従える部長、僅か19歳
「私の方が姉なのにMSはおかしいわ」怒るセイラ
「いや、逆はちょっと・・・」苦笑いの部下達
「さて、それでは次の開発ですが」ミライ
「はい、VRヘットディスプレイですが改良を施しました」部下A
「具体的には脳内に組み込みます」部下B
「といっても体内に打ち込むとかではなくて永久塗料のIDタグの応用です」
社員C
「つまり誰も意識することなく自然にVRを組み込める訳です」A
「いったいどういう仕組みなのだ?」ダニア
「は、IDタグ化で1人1人のデーターが個別に管理出来ます」B
「管理という意味がわからんな」ブラン
「つまり個別のID事に記憶や知識、意識をホストコンピュータに蓄積させます」
セイラ
「????」ダニア
「つまり常に人間の脳とホストコンピュータはシンクロしてるのです」ミライ
「wifi技術の応用じゃな」ブラン
「はい、高度にデジタル暗号化されてるので絶対に他人に情報は漏洩しません」
「150桁のID全てを解析する為にはスーパーコンピュータでもほぼ不可能」C
「しかもパスワードは自動的にランダムに数時間で変更されるので
解析出来た頃には別のパスワードに変更されてます」C
「つまり人間は意識する事なく自分のコピーが常時作られている?」ダニア
「簡単にいえばそうです」ミライ
「システムの素晴らしい点は自分の望むポイントまで巻き戻しが出来る点です」
「つまり幼児からやり直すとかが出来る?」ブラン
「技術的には可能ですが倫理が許さないかと」セイラ
「大王もそうですがすでに人間の肉体は不老不死技術が発達してます」セイラ
「しかし脳だけは加齢とともに劣化していく」ダニア
「つまり今後はその脳の劣化を防ぐ事が可能という事です」ミライ
「今後オリジナルの肉体は人間バンクとかで保管することも視野に入れます」
セイラ
「これではブランと我が進める恒星間移動計画の意味すらなくなるな」ダニア
「いえ、それはそれ、これはこれでございます」セイラ
「ダクーミが計画していた究極はそこなのかもしれないな・・・」ダニア
「それは本人にしかわからないことでしょう」ブラン
「神の子はやはり神だったか・・・」つぶやくダニア
「ですがまだまだこれは計画、理想にすぎません」セイラ
「大王の許可がおりればコロニーの移民だけでも即実行可能ですけどね」ミライ
「いや、いくらなんでも時期尚早、この手のは気が遠くなるほどの実証試験を
行わなければ人類滅亡へともつながるやもしれん、簡単に許可できない」ダニア
「ごもっともでございます」セイラ
「ですが・・・アナハイム社の人間にはすでに導入してます」ミライ
「こら、勝手なことをするでない」ブラン
「とりあえず勝手にコピー取りしてるだけですから実害はありません」セイラ
「で、不具合はないのか?」ダニア
「はい、今の所一度も不具合は生じてません、自己診断AIのお陰で
あらゆる不具合を事前に想定し毎日、毎秒、自己改良してます」セイラ
「うーん、しかしなぁ・・・」ブラン
「実は私すでにコピー人間なんですけど・・・」セイラ
「な、なに~」おどろきのダニア
目の前でセイラが自分で首を・・・
「パカ」
引き抜いてしまった!
「うわあああああ」腰をぬかすブラン
隣の部屋から二人目のセイラが入ってくる
「いかがでしょう、私のコピーの出来映え」セイラ
「まったく会話とか動きに問題なかったはずです」」ミライ
「こ、こわすぎる~」立ち上がれないブラン
「ご覧の通り私の意思をもつコピー人間、厳密にはアンドロイドですが
同時に何人でも運用可能です」2人のセイラが語る
「オリジナルの私がコピー人間を操作することも自律運転し
あとで報告したり情報を共有することも可能です」セイラ
「分身の術か・・・」ダニア
「分身の術はイーシャ様達しか出来ない専売特許だったのに」つぶやくダニア
「いえ、わたしは会ったことありませんがヴァイスなる召喚人間も13人
コピーがいたとか、情報を共有しつつも個性もあったそうで」ミライ
「実はヴァイスという存在が我らの研究の始まりでした」セイラ
「うーむ、召喚人間とかクローン人間はすでに有る技術だが自身の完全コピーは
人類初じゃろうな」ダニア
「すでにそれらの垣根は存在しません」ミライ
「だがやはり現状では許可出来ない、まずは法整備が必要、研究だけはつづける
ように、そしてセイラ、これ以上コピー人間増すでない、気味が悪すぎる」ダニア
「わかりました」セイラ
「続きまして新開発した宇宙ヨットの説明です」セイラ
「太陽風を利用した推進エンジンが有ると聞いたことがあるが?」ダニア
「はい、今となっては全く実用に耐えない遅さですがヨットとして趣味や
レースなどスポーツとして使えます」セイラ
「富裕層の余暇とかに使えそうだな」ダニア
「カギは新開発の超薄型、高密度結界帆です」ミライ
「ほう、帆を結界魔法でコーティングしてるのだな?」ブラン
「はい、お陰で軽量かつ頑丈、従来型よりも速度が出ます」ミライ
「肝心なのは一切の推進剤を使わない点、ヨットですからね」セイラ
「うむ、趣味やスポーツで需要ありそうだな」ブラン
「シュミレータでご体験下さい」セイラ
「どれどれ」乗り込むダニア
「おおおっ以外と帆の調整に力がいるな・・グイグイ引っ張られる」
「はい、手足を巧みに操作しないと真っ直ぐ進みません」ミライ
「上級者になると慣性を上手く利用して逆方向にもジグザグに進めます」セイラ
「なるほど、ヨットのセーリング技術と全く同じ仕組みなんだな」ダニア
「はい、太陽風の量は刻一刻と変化しますのでヨットと全く同じ技術が必要です」
「これは結構体力が必要・・・まさにスポーツじゃ」楽しむダニア
「力量差がでるからレースが出来るな」ブラン
「シングル、ダブル、複数と階級別も可能です」ミライ
「全自動コントローラーを使えば快適なクルージングも可能、富裕層向けですね」
ミライ
「例えば現在移動魔法つかえば火星まで1分ですがこのクルーザー使えば
2週間かかります、時間がかかる事が逆に贅沢な場合もありますから」セイラ
「うむ、これは幅広い層に需要が見込めるな」ダニア
「地球や月やコロニーから電子ビームを照射して推力をアシスト出来ます」
セイラ
「それはズルではないか」ブラン
「初心者がいきなり広大な宇宙空間にでて自分だけの操作で航海なんて
普通できません、体験はしつつも安全でなくてはなりませんから」セイラ
「なるほど、冒険は必要だが危険は避けるべきじゃな」ダニア
「しかし、これも法整備が必要案件だな無秩序に初心者が航海などしたら
大変な事になる」ダニア
「絶対に法整備と許可制は必要と思います」セイラ
「当面はコロニー内でシュミレータで遊んでもらう予定です」セイラ
「全くダニア様と我の恒星間移動計画とは真逆なアプローチで驚いた」ブラン
「速さ追求だけがテクノロジーの全てではありませんから」ミライ
後に宇宙ヨットはスポーツ目的クルージング事業は観光目的で盛況を得た
「人間とはわからんな、1分で行ける距離をわざわざ2週間掛けてさらに
苦労して航海するのが楽しいなんて」ダニア
「人間というのはそういうものですから」セイラ
「ま、とにかく2人のお陰でアナハイム15万社員の給料が払えてる
感謝しかない」ダニア
「いえいえ、これは単なる余興みたいなもの本格的な物はまだ完成してません」
ミライ
「なにか構想があるのか?」ブラン
「はい、ダニア様が難儀してる恒星間移動計画のコンセンサスについてです」
「ほう、なにか奇策でもあるのか?」ダニア
「恒星間移動は不可逆のタイムマシンなんですよね」セイラ
「いかにも、例えば10光年先に移動すると通常の移動方法なら例え光速で
移動しても往復20年の時間が経過してしまう。」
「ですがほぼ実用化出来た時空移動装置なら10光年往復してもほぼ時間経過が
ゼロなんですよね」ミライ
「その通りだ、確かに10光年移動した段階で旅行者は10年得した事になる」
「早期警戒システムに使えます」セイラ
「な、なに~意味が分からんが?」ブラン
「宇宙で最も爆発的な破滅行為現象はなにか存じてますか?」ミライ
「ガンマ線バーストぐらい天文学者なら誰でもしっている」ダニア
「壊滅的な被害を受けるのに今まで人類は無策でした」セイラ
「当然だろう観測出来たとしてもそれは到達した時にしか分からない」ブラン
「100光年、10光年先に観測システムを設置して地球へ向かう
ガンマ線バーストを観測出来たらなんとしますか?」ミライ
「む、100光年先で観測出来て即座に地球に報告できれば100年の時が
稼げる・・・」
「うおおおおおおっ」とつぜん雄叫びを上げるブラン
「そ、それだぁ・・・大義名分が出来た!」ブラン
「つまり太陽系防衛システムの構築か・・・これはいけるぞ」ダニア
「落ち着いて下さいこの話は観測できたから終わりではありません」セイラ
「な、なに?」ダニア
「破滅的なガンマ線バーストが地球もしくは太陽に向かうとしたら
どのように対策しますか?」セイラ
「うむ、今の所策などないな、移住とかしか方法はなかろう」ブラン
「移住も手ですが、撃退できませんか?」セイラ
「もし三点観測が出来れば規模と到達地点、範囲がわかるな」ダニア
「1/兆秒の精度で到達点に最大の魔石爆縮を行えばガンマ線バーストを
異次元空間に吹き飛ばすことが可能です」セイラ
「ば、ばかな・・・」ブラン
「我が社開発スパコンの解析で「可能」と研究成果が出てます」ミライ
「もっとも驚異的なのはガンマ線バーストですがその他にも脅威は存在します
すべてを観測して地球に報告できれば地球の安全性は飛躍的に上昇します」セイラ
「すべては我の恒星間移動計画次第か・・・」ブラン
「はい、私達2人の案などブラン様のコバンザメです」セイラ
「コバンザメときたか」大爆笑のブラン
「うむ、確たる大義名分を得たいま全人類に恒星間移動計画の是非を問える
時期が来た様だ:」ダニア
「そ、それはどういう意味ですか?」ブラン
「大王は以前から我らの計画は人類に問うべき問題と提議していたのだ
つまり全人類に是非を問う投票を行うべきと」ダニア
「そ、それはあまりにも重大過ぎます・・・」ブラン
「いかにも我がアナハイム社伸るか反るかじゃ」ダニア
「本日只今をもってセイラとミライはアナハイム社専務取締役とする
異論や抗議、拒否権はない」ダニア
「意味が分かりません」2人
「我は会長、ブランは社長、そして副社長が其方達ということじゃ」ダニア
「私達はまだ19歳うら若き乙女ですけど・・」2人
「馬鹿者ブランは17歳じゃ、年齢など関係無い実力がすべてなのだ」ダニア
「経営権を持った以上責任有る副社長としての振る舞いを求めるぞ」ダニア
「そ、そんなあ私達は俗世の事など何一つしりません研究以外はなにもできません」
2人
「いや、そんなことはない、其方達は王家の娘、身についた所作は誤魔化せない
どんなに大王を拒否しても生まれながらの血筋は誤魔化せない」ダニア
「全く自覚がありませんし、そのような事が苦手なので研究畑に身を投じた訳で」
2人
「大丈夫、我は其方達をこの一年見て来たが副社長に価する品位と実力を
備えていると判断した、全く問題無い」ダニア
「とにかく我とブランは今恒星間移動計画を全力で取り組まなければならない
その他の事をしている余裕はないのだ、其方達に後の事は全て任せたい
どうかよろしく頼む、と言っても異論や拒否は認めないので決定事項だが」ダニア
「人事権や経営方針も決めていいのですか?」セイラ
「以前からセイラには経営感覚も並外れたものが有ると確信している
全て任せると言うことは全てなのだよ」ダニア
「付け加えるとミライにはセイラを全ての面で補助できる能力が卓越してる
つまり2人で1人なのだ」ダニア
「分かりました、謹んでお受けいたします」セイラとミライは決心した
数日後大王に新任の挨拶に向かう2人
「本日はアナハイム社の新任専務、副社長2人が大王に拝謁をとの要望で
お迎えしました」側近
「アナハイム社の副社長?ブランではなかったのですか?」アスタージナス
「は、先日ブラン様は社長、ダニア様は会長に就任した模様です」側近
「なるほど、分かりましたそれでは新副社長を通してください」アスタージナス
「はは、」側近
「面を上げなさい新副社長とやら、本日は誠に大義であった」偉ぶる大王
面を上げる2人・・・
「げ、其方達・・・」びっくり腰抜かすアスタージナス
「大王様がうろたえてはなりませぬ」2人
「で、ですが貴方達は何用でそこにいるのです?副社長を出しなさい」大王
「我らは新任の副社長にございます、以後お見知りおきを・・」2人
「冗談ではないのですね・・・いったいアナハイムは何を考えてるのやら
19の小娘が副社長などとだいそれた・・・」怒る大王
「あら、大王は10歳で大アスタージナス国の国王に就任されたと聞いてますが?」
2人
「それは緊急事態のための暫定措置でしたから」大王
「でも以来大王はそのまま現在も大王ですが?」2人
「ですが、私の知る其方達にそのような才覚があるとは知りません」大王
「大王らしくもありません、人材育成にこの人ありとうたわれていた大王が・・」
2人
「大王、アナハイム社の事情は知らないがこうして拝謁してるのだ礼を尽くすべき
じゃろうて」スタージナス
「ごほん、わかりました、本日は大義でした詳細は後に聞きます下がりなさい」
大王
「はは、」下がる2人
「ま、まさかあの子達が・・・」控え室で感無量の涙を流す大王
「全ては2人の努力と報告を受けている、決して大王の娘という肩書きは
使っていない、一点の曇りもない堂々の出世なのだ」スタージナス
「近日中にそのアナハイム社から重大な報告があるそうです」タラン
「以前からダニアが探していた恒星間移動計画のコンセンサスが出来たのでしょう」
大王
「全人類投票に勝てる方策が出来たのですね」大王
「多分今回の副社長就任劇もそれに関連してるのでしょう」タラン
「歯車が回り出すのですね」ウラアール
いよいよ怒濤の最終章へと物語もうごきだす
果たして人類とはなんなのか・・・
あるいみブランよりもやってること凄い2人




