計画の行方
いよいよ恒星間移動計画が実現しつつ・・
「で、どうであった?成功した事はみればわかるが」ダニア
「成功しましたが・・・」ブラン
「ん?なにかあったか」
「はい、とんでもない事になりました」ブラン
「不測の事態なのだな」ブラン
「とにかくこちらを見て下さい」ブラン
「ん、新型布団隔壁と結界魔法は破壊されてない様だが?」ダニア
「は、今回は計算通り魔石全爆縮に耐えてくれました」ブラン
「だから無事帰ってこれたのだろう?」ダニア
「問題は隔壁の中です」ブラン
「今は隔壁の中に超電磁パルスを照射してるので内部を保てていますが・・」
ブラン
「内部でなにかが起きてるのだな」ダニア
「は、事象の特異点が出来てしまいました」ブラン
「ば、ばかな・・・ブ、ブラックホール?」ダニア
「超マイクロブラックホールです」ブラン
「とんでもない事・・・で、どうするのだこの先」ダニア
「は、どうやら永久恒星間移動エンジンが完成してしまった様です」ブラン
「危険では無いのか?」ダニア
「多分、今電磁パルスビームを停止すると本船を飲み込んで異次元空間に
蒸発してしまいますが、前回とおなじ1/兆しか現宇宙に熱量を放出しないと
予想します」ブラン
「まあ、この実検地点が全滅する程度だな」ダニア
「もしかすると冥王星が消える程度の範囲かと」ブラン
「それは分かった、でどうする?」ブラン
「は、このまま通常のコイル推進器でもう一度1000億㎞ほど離れて
追加の実検を私だけで行います、一刻の猶予もありません、明日の実検は
私が発狂したので中止とかなんとかとりつくろって下さい、多分一月ほどは
戻ってこれません、失敗したら二度と戻ってこれません」
ダニアの後ろでステルスゴーストスタージナスが全てを聞いてるなどは
思ってもいない二人
「わかったスタージナス様には何としてもとり繕う、早くここから立ち去れ
お客様達に危害を及ぼしてはならん、すぐに行け」ダニア
「は、もしかしたら今生の別れです・・・ブラン
「早く行け!」ダニアが突き放す
ブランは去って行った・・・・
夕食の時間、食堂に呼ばれたスタージナス一行
「さ、召し上がって下さい、今日は特別にレーションではなく
ロボコックに腕をふるってもらいました」ダニア
「凄いな、こんな料理が船の中で食べられるとは・・・」大人しく食べるジパン
「うむ、贅沢は敵だがたまにはいいな」相づちを打つスタージナス
何事もなかったように料理に喜ぶ一行
「それで明日なのですが・・・」ダニア
「うん、なにかあったのだろうな、こんな料理が出てくるところをみると」
スタージナス
「いえ、あのその、別に明日の件でこの料理を出した訳では・・」ダニア
「で?なにがあつた?」スタージナス
「は、実は肝心のブランが体調を崩しまして一月ほど入院しなくては
なりません」ダニア
「それは大変だな早速見舞いに行かなければ」ジパン
「いえ、なんでも未知の宇宙インフルエンザの疑いとかで絶対隔離です
病原菌が判明するまで集中治療室で面会謝絶です」ダニア
「上手いいいわけじゃなぁ・・・」スタージナス脳内で関心する
「ということは明日以降の実検はどうするのだ?」スタージナス
「は、延期か中止か・・・我々はここで地道な各種実検は行いますが
スタージナス様のお手を煩わすような新しい実検は出来なくなりました」ダニア
「つまり、とっとと帰れという訳だな」スタージナス
「いえ、何日滞在してもらぅてもなんの問題ありません」大汗ダニア
「どうする?ジパン?」
「そうですね、何にも発展しない実検に立ち会うのも時間の無駄と思います」
ジパン
「確かに我々もそうヒマでは無いしな・・・」スタージナス
「だがな、はいそうですかと引き返したらまさにガキの使いじゃよ」スタージナス
「なにか、なんでもいい大王に報告できる成果を見せないと全て打ち切りに
なるやもしれんぞ、これは警告じゃ」スタージナス
「しかも、ここには100近い実検コロニーを運んできたのだろ?
このまま何もしないで放置か?ブランが居なくてもなにか出来る筈じゃ」
引かないスタージナス、というかタランから報告を受けてるからだが
「本音を言うとダニアもブランと違うなにかを開発してると情報を掴んでいる
どうじゃ?見せてくれないか?ほんの少しでいいから」スタージナス
「う・・・・どこでそんな根も葉もない情報を得たのでしょう」ダニア
「いや、火のない所に煙は立たない」スタージナス
「其方は電磁パルス分野ではブランを凌駕してると噂だが?」スタージナス
「げ・・・」黙り込むダニア
「南極基地での無念から地道に開発してるのだろう?」スタージナス
「し、しかし余りにも地味かつ成果の薄い実検ばかりで、スタージナス様が
わざわざ視察するよな内容ではありません」ダニア
「判断するのは我じゃ、とにかく見せてみろ」スタージナス
「わかりました、準備がありますので明日56号実検コロニーでお会いしましょう」
ダニア
翌日
「ようこそ、いらっしゃいませ我が56実検コロニーへ」ダニアが向かえる
「で、そのじみーーーな実検とやらはなにするのだ?」スタージナス
「は、本日は電磁パルスビームによる魔石濃縮、圧縮の実検です」
「ほう、今までも遠心分離機とかで可能だと聞いたが?」スタージナス
「効率とコストが桁違いです」ダニア
「とにかくこちらのモニターをご覧下さい」ダニア
「布団隔壁と結界魔法の複合球の内部です」ダニア
「中心にはこれから濃縮、圧縮するコアが中心軸から照射されてる
電磁パルスビームと隔壁球を回転させてる遠心力で安定しています」
「隔壁球の中は№36聖水で満たされています」ダニア
「この間の報告で聞いた話だとこのままでは臨界を迎え魔石コアは爆発
するのだろ?」スタージナス
「いえ、今回はそこまで高温にしません、微妙にバランスを維持しながら
魔石コアを成長させていきます」ダニア
「この技術は電磁パルスビームの調整と遠心力を連動させての詳細なコントロールが
要求されます、勿論人間の力では不可能全てAIの力です」ダニア
「しかし魔石コアちっとも大きくならんな?」ジパン
「いえ、あれで成長してます、濃縮化と圧縮化が行われています」ダニア
「たしかにこれは見た目が同じだから飽きるな・・・」スタージナス
「しかし、科学者にとっては革新的技術なのです」ダニア
「目標値完成しました、これで10m級の魔石を10cmに圧縮出来ました」
ダニア
「今までのコストの1/1000です」ダニア
「能力1万倍の魔石を1/1000の値段で出来たのだな?」スタージナス
「まあ、原価計算は複雑ですがざっとそんなもんでしょう」ダニア
「全エネルギーを放出出来たら10万光年の時空を飛べる?」スタージナス
「え、・・・・」口ごもるダニア
「いや、違うな一回で10万光年を何度でもだろ?」スタージナス
「・・・・・・・」答えないダニア
「まあ、答えたくないのなら別に問わない、とにかく其方がブランを
後ろでサポートしてるのだけは良く分かった。いいものを見せてもらった
ありがとう」スタージナス
「申し訳ありません、とにかく我々は全人類の為、それ以外では動いていません」
ダニア
「うむ、大義であった我は地球に戻る、あとはよきにはからえ」スタージナス
地球に戻り5人組は大王に報告する前に会議を行った
「タラン、今回も諜報助かった」労を労うスタージナス
「まさかここまで実検が進んでいるとは思ってませんでした」タラン
「うーむ、この報告書をそのまま大王に見せたら卒倒するな」スタージナス
「御意」タラン
「実用化一歩手前だな、しかもその結果は我々の予想を遙かに凌駕する」ジパン
「こんなことが人類に許されるのでしょうか?」タラン
「許されるも許されないもブランの暴走は誰も止められない」スタージナス
「しかし、どんなにこの先恒星間移動が可能になろうと必要性がないのは事実」
スタージナス
「ですがこの先移動コストが低減していけばいつかは資源採取目的でも
採算が合う様になりますね」タラン
「しかし、他の星まで行って人類が資源採取など神への冒涜ではないか?」
ジパン
「もしかしたら知的生命体への侵略行為にもなりかねない」スタージナス
「ふと思ったのだが新たに発見された50億の民と30億の民だが・・・
もしかしたら異星人ではないのか?」スタージナス
「ば、ばかな言葉が通じるのはおかしいしDNAが完全一致してます」タラン
「というか・・・」スタージナス
「どうされましたか?」ジパン
「いや、この話は大王達がいる場でみんなで話し合おう」スタージナス
「とにかくここにいる皆で報告書をマイルド仕立てにしないと」ジパン
☆
「ま、まさか・・・」ブラン
「これは正に事象の特異点」駆けつけてきたダニアも驚く
「しかも超マイクロサイズです」ブラン
「この、マイクロブラックホールに移動地点を付与した粒子魔石を
電磁パルス砲で打ち込むと目的地にワープすのだな?」ダニア
「は、隔壁の強度がどのくらい持つのか今の所不明ですが、このサイズの
マイクロブラックホールなら耐えるみたいです」ブラン
「うむ、実検に際して地球に近づかせてはならん、現地点よりも遠くに進路を
とるように」ダニア
「は、今なら失敗しても通常のコイル推進で時間さえ掛ければ帰還出来ます」
ブラン
「うむ、このまま実検を数度繰り返し隔壁の強度増加方法を研究する」ダニア
「万一隔壁が壊れたら我らも時空の彼方か焼土地獄のどちらかですね」ブラン
「よし、つぎは1/10光年跳躍するぞ」ダニア
「粒子魔石射出!」ブラン
「成功です、ついに我々人類は1/10光年の彼方に到達しました」ブラン
「ダニア様の開発した電磁パルスビームが隔壁を守ってくれてます」ブラン
「なんでも吸い込む筈のブラックホールがなぜ強力な電磁界で安定してるのか
全く解明不能じゃ」ダニア
「理屈はともかく人類でコントロール可能な時空移動システムが構築出来ました」
喜ぶブラン
「電磁パルスの維持システム以外ではコストが掛からないのは凄すぎる」ダニア
「安全性の確立さえすれば、実用化は目前と思います」ブラン
「スタージナス様に感謝せよ」ダニア
「え?」ブラン
「全て承知の上で我らを泳がしてくれてるのだ」ダニア
「やはり、そうでしたか・・」ブラン
「当然じゃ、多分いまごろ報告書作成に苦心してるところだろう」ダニア
「はい、分かりました必ず近い将来に完成品を大王に献上いたします」ブラン
「うむ、我も全力でサポートする」ダニア
「さて・・・」ダニア
「なにか懸念ですか?」ブラン
「大義名分、コンセンサスじゃよ」ダニア
「大義名分ですか?」ブラン
「どんなに素晴らしい恒星間移動エンジンが完成しても必然性がない」ダニア
「隣の星、そして銀河の果てまで行ってみたいと思いませんか?」ブラン
「99.9%の民はそんな事よりも今日の晩飯の方が大事だ」ダニア
「ところでウラアール様の宿題、一兆円での恒星間移動は可能になったか?」
ダニア
「勿論でございます、このままコスト減が進めば数億円で可能レベルです」
ブラン
「そうか・・・ついにそこまで来たか」ダニア
「ならば我が大義名分かならず作って見せよう」ダニア
「は、政治はダニア様にお任せします」ブラン
「よし、一旦実検エリアに戻り補給とメンテじゃ」ダニア
「はっ」ブラン
☆
「ということで報告書の通りブランは安全かつ慎重に実検を行っていた」
スタージナス
「で、実用化への道は開けてるのですか?」アスタージナス
「うむ、その日は近いだろう」スタージナス
「おかしいですわ、こんな手ぬるい実検で先に進めるとは思えないのですけど」
鋭くつっこむアスタージナス
「ま、今回は100回以上実検をするみたいだから徐々にだろう」スタージナス
「宇宙観測員の報告ではダニア実験域で度々重力場の異変が起きてるとか」
ウラアール
「それは当然でしょう、報告書の通り数々の実検を行ってるのですから」タラン
「うーむ、タランたるものがこんな月並みの報告書とは少しガッカリです」イーシャ
「なにもなければなにも報告などは出来ようはずもありません」タラン
「ま、なんにしても予算をクリア出来なければなにやっても無駄ですけどね」
手厳しいウラアール
「ま、ウラアールの提示した予算では当分実用化は無理だと思う」スタージナス
な、3兆円位なんとかしてあげられないのか?」スタージナス
「それは出来ませんこれは約束事、守るのが約束」ウラアール
「すこし手厳しすぎる・・・いままで我が国はどれほどダニアに助けられたか」
スタージナス
「それはそれ、これはこれです。これはダニアとの約束です変更は出来ません」
ウラアール
「では我が東インド会社で出資するのならいいのだな?」スタージナス
「何度も言ってますがこれは国家プロジェクトでもあるのです、民間がそう
やすやすと介入する類の物ではありませんから」ウラアール
「介入と出資は全然違うぞ、我々の会社はあくまでもスポンサー、投資だ
投資することを国が介入するのか?それは違反では無いのか?」
スタージナス
「し、しかし3兆円なんて都合つくのですか?」ウラアール
「我が社を舐めるでない、規模こそアナハイム社に抜かれたが年商は数十兆
内部留保の額は・・・ちょっと明かすわけにはいかないが3兆円など
端金じゃ」スタージナス
「大王どうしますか?」ウラアール
「駄目です、この研究は軍事にも深く関わってます、民間介入は許せません」
アスタージナス
「なぜじゃ?我は研究に資金を出すのでは無く会社に投資するのだ・・・
国が許可しなくても株式を買い付けてでも出資するぞ」
「う、その手があったか・・・」困惑するゴブータ
「なぜそこまでダニアとブランの邪魔をするのだ?理由があるのか?」
「1兆円以下でないと採算が取れないからです」アスタージナス
「わからん奴じゃな!研究開発に多額の資金を投じてもその後の量産効果で
コストなどすぐに回収出来るとなぜわからんのだ!これは我の感覚だ、絶対に
儲かる話、というか未曾有の益に違いない我が保証する。」スタージナス
「わかりました、それでは今回の実検が終了してからダニアともう一度
話し合いましょう。もちろん前向きにです」アスタージナス
「うむ、それでいい、それでいいのだ」スタージナス
「具体的に恒星間移動が出来るとどのような益がもたされるのでしょう?」
ウラアール
「まずなによりも資源じゃ、この先人類が発展していけば必ず太陽系内の
資源では不足する時が来る、資源調達の道しるべは絶対に必要」
「更に言うと人類の分散化は種の保存のための本能、これは人類の本能なのだ」
「しかし人類110億程度でそれほどの規模が果たして必要なのでしょうか?」
ウラアール
「皆に質問じゃ」スタージナス
「旧アスタージナス国の歴史、というかジパンでもシンでもなぜ300年以上
前に遡れないのだ?」スタージナス
「え?なんですかそれ今の議題と関係あるのでしょうか?」アスタージナス
「我はずっと考えていた、なぜ我々人類の歴史は300年しかないのかと」
スタージナス
「なぜでしょうね?」ウラアール
「我々自体がそもそも他所の星から来たのではないのか?」
本章おわり
次章で全てがあきらかに・・・??




