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それって異世界転生とちゃうちゃう!  作者: kou2199
宇宙開拓編
129/179

大目付

ブランにひっかき回されます

「なぜここにスタージナス様が居座ってるのか、大体察しはついてますが・・」

ダニア


「分かっているのなら余計な詮索も必要なかろう、とにかく当分居候する」

スタージナス


「しかし、国家に機密があるようにアナハイムにも社外秘というのがあります」ダニア

「我は顧問、給料をアナハイムからもらってるのだ社外秘などはいらないぞ」

スタージナス


「ふ、まあいいでしょう、こちらはやましいことは一切してませんし」ブラン

「しかし顧問と名乗るのに給料が月20枚ではただ働き同然ですね」ダニア

「ま、とってつけた役職だからな」スタージナス

「しかも、われは東インド会社の総帥、座ってるだけでも金貨ざっくざく

アナハイムからの給料なんてはじめから当てにしてない。昼飯代になれば結構」

スタージナス


「バカ殿然に語ってますが本当は給料すべて慈善団体に寄付されてますね」ダニア

「馬鹿者、我がもらった給料どう使おうと我の勝手じゃ、下らん詮索するな!」


「ここだけの話だが慈善団体という物ほど偽善団体もないのじゃ。だから我は

自身で基金を設立し、金の流れを全てチェックしてる、自分でやらないと

気が済まない、結局は自己中の我が儘オヤジなんだがな。」スタージナス


「素晴らしいです、敬服します、尊敬します」一同


「馬鹿者、我の話などはどうでもいいこと、仕事せい」照れ照れスタージナス


「で、話が遠回りしてしまったが、コロニーの製作の方はどうなのじゃ?」


「はい、順調です、宇宙空間は巨大な工場と同じ作業効率が素晴らしいです」ブラン

「新組み立て方式をご覧下さい」ダニア


「どれどれ」スタージナス


「3Dプリンターから出来上がっていく部品はタグ化が施され超小型バーニャが

取り付けられ、全てが自動制御されます、面白いですよご覧下さい」ダニア


「おおおおっ小さい部品が勝手に集まって組み上がっていく~」興奮スタージナス

「はい、ロベルト式魔石コア資源収集システムの応用です」ブラン


「出来上がった部品が更に集結して大きなブロックになったぞ」スタージナス

「おお、勝手に外壁にとりついていく」


「ぬおっ作業開始から僅か2日で外殻装備全てが完了した?」スタージナス

「はい、外殻が組み上がった状態でこんどは内部構造部品を搬入していきます


「おおおっコロニー自身が横移動して部品群がある場所に行ってるぞ」

「まるで宇宙空間にベルトコンベアーがあるようでしょ」ブラン

「こっこれはどこかで見た風景・・・身近にあったな」スタージナス

「おっ思い出した「回転寿司」!!!」スタージナス


「御意、巨大な巻き寿司の完成です」ブラン


「本当に宇宙空間が工場そのものじゃな」スタージナス


「こちらにどうぞ」少し離れたコロニー最終組立工程所に案内される

「こちらは内装設備もほぼ組上がったコロニーです最終的に移動用バーニャを

取り付けて指定ポイントまで移動します」ブラン


「ですが移動バーニャでは効率も燃料費も時間もバカになりません」ブラン

「わかっておる其方が開発した近距離移動用時空移動装置だな」スタージナス

「残念ながらコスト的にはまだ及んでいませんが時間の大幅節約にはなります」ダニア

「うむ、現行では移動バーニャの2倍増しのコストか・・」スタージナス

「数ヶ月かかる時間が1秒掛からないのだから速度的には素晴らしいのだがな」

スタージナス


「もう一段突き抜けた新方法の開発が急がれます、現在のコストでは恒星間移動

などは夢の夢です・・・」悔しがるブラン


「あわてる必要はない地道が一番なのだ」スタージナス


「恒星間移動計画とは全くべつのアプローチなのですが・・・」ブラン

「なにか言いたいことがあるみたいだな」スタージナス


「実検用アナハイム自費コロニーの外殻に粒子加速機をコイル状に巻き付けて

実検したのですが・・」ブラン


「む、フレミングの法則か?」スタージナス

「よく、ご存じですね」ダニア


「以前粒子加速機の話ブランから聞いたときにあるいはと感じていた」スタージナス

「偶然なのですが、粒子加速機を推進させる為にコイルに魔力を流したところ

超強力の魔法粒子がコロニー中心部に発生し巨大な推進力となりました」ダニア


「してその速度とは?」スタージナス

「は、まだ最大速度は計算中ですが光速の90%以上に加速出来ます」ダニア

「しかし、時空は歪まないので物理の法則はそのままなんです」ブラン


「太陽系を移動するだけのコロニーなら十分な速度だろう」スタージナス

「素晴らしいのはコスト、今までの燃料型推進エンジンの1/100万の燃費です

ダニア


「恒星間移動計画夢物語とは違い是非実用化したい技術じゃな」スタージナス


「恐ろしいのはコロニー全体が粒子砲になるというところ」ダニア

「うむ、巨大な大砲になるのだな、我もすぐにそれは想像した」スタージナス

「徐々に加速するのなら有益な推進システムですが一度にエネルギーを解放したら

とてつもない最終兵器になります」ブラン


「なんとかそれは封印したいものじゃな」


「ですが先日の冥王星基地でも痛感したように想定外の敵が出現したときの

備えという意味ではコロニー砲、研究しない訳にはいきません」ダニア


「どうか、この件は大王に相談の上国家機密で開発を進める方向がよいかと」ダニア

「わかった報告はしておこう」スタージナス

「人間は耐えられませんが超大型探査機の射出にも応用出来ます」ブラン


「おおっそれは有望だな、太陽系内外への探査需要はこれからもうなぎ登り

コスト削減にもなるし益ははかりしれない」スタージナス


「同様の仕組みで小型化をはかり魔石コア射出機として使えば資源採取に有益です」

ブラン


「それはすぐに実用化するべきだ」スタージナス

「は、早急に開発します」ダニア


「国からしたら時期尚早、ブランにしてみれば本筋の粒子加速機ですが

コロニーコイル式採用により更に粒子のサイズUPが計れました」ダニア


「どういう意味じゃ?」スタージナス


「は、粒子を大きくすることでより低コストで長距離時空移動が可能になります」

ダニア


「ほう、いよいよ恒星間移動が現実味を帯びてきたのか?」スタージナス


「うーん、どうでしょう山頂がゴールと仮定したら今の段階は3合目位かと」ダニア

「なにしろ先ほどのコイル型射出機の方がコストは数万分の一ですからね」ダニア

「金食い虫は相変わらずか・・・」スタージナス


「どこかで革新技術がブレイクしないと難しいです」ダニア

「科学と言うのは天才による突然の閃きとその後の地道な研究開発だからな」

スタージナス


「はい、突然革新技術が来て今までの固定観念ががらっと変わりますからね」ダニア


「シロウト意見で参考にならないかもしれないが、何か魔法との組み合わせで

打破出来ない物かな?」スタージナス


「はい、研究室もありとあらゆる可能性を探ってますが今の所はなんとも」ダニア


「話は変わりますが」ダニア

「別の話があるのか?」スタージナス


「はい、これは大王の発想なんですが」

「大王も大発明家だからな、ブランよりもよほど実用的だし」スタージナス

「そ、そんなぁ」ウラン


「で?」スタージナス

「は、現在も将来的にも続々あつまる鉱物資源の活用法です」ダニア

「ほう、たしか大王の申すには地球や火星、コロニー開発で必要な鉱物資源

全てをまかなっても数万倍の資源が集まる予定だとか」スタージナス


「はい、鉱物資源は将来を見ていくら余剰があっても足りないとは思いますが」ダニア

「折角いまはだぶついてるので有効活用しようと大王の意見です」ダニア


「うむ、して活用法とは?」スタージナス

「ダイソン球の開発です」ダニア


「ダイソン球とはなんぞや?」スタージナス

「は、太陽の周辺を太陽光パネルで覆い効率的にエネルギーを抽出する方法です」

ダニア


「ば、ばかな、そんな事が可能なのか?」スタージナス

「理論的や技術的になにも問題有りません」ダニア

「とはいっても太陽系内の鉱物全てをダイソン球に費やしても太陽から5%位

しかエネルギー抽出出来ません、今回の計画では0.01%位しか採取出来ません」

ダニア


「しかし、実際はとんでもないエネルギー量なんだろ?」


「はい、地球が太陽から受けてる総エネルギー量は1/22億ですので

1/10000のエネルギーを採取出来るというのは途方もない量です


「地球に今降り注いでいる太陽の光は1%もエネルギー変換されてないと聞いた

実用化されたらとんでもない事になるな」スタージナス


「もしかしたらダイソン球がブランの研究を推し進める原動力になるかも

しれません」ダニア


「で、そのダイソン球は何時出来る?」スタージナス

「はい、実は全自動システムすでに実検は完了してていつでもOKです」ダニア


「つまりはウラアール大臣の稟議次第と?」スタージナス

「さすがスタージナス様と会話すると話がすすみますね」ダニア


「ウラアールどうなのじゃ?」スタージナス

「はい、なにしろ大王の発明につきすぐにでもOKと言いたいのですが・・」

ウラアール


「まあ、許可なんて出来ようもないわな、コロニー計画が途中だし」スタージナス


「よくお判りで」ウラアール


「ということでダニア諦めてくれ」スタージナス


「分かりました、今回は国は計画から降りると言うことで了解です」ダニア

「嫌みなやつじゃな!国が手を引いてもアナハイム社でやるぞと言いたげな」

スタージナス


「はい、我が社は半官半民なれど当然民間部分では国の干渉を受けません」ダニア

「ここまでアナハイムを大きくしてやったのはだれのお陰だと思っている?」

スタージナス


「はい、アナハイムの社員達です」ダニア

「な、なに~」


「もともとは国で面倒みれないから一方的に民間に払い下げてお金知らん状態に

突き放しておいて利益が出たら今度は一方的に半官半民に変更させられ

一方的に社員を10万に増員され、利益のどこに国絡んでますか?」ダニア


「ぐ、」反論できないスタージナス


「しかし、実際ほとんどお金を出してるのは国と国連です」アスタージナス

「別に揉める気はありませんが我が社にしてみれば国や国連はあくまでもお客様

注文を受けてそれに応えるだけの関係でございます、あくまで建前上ではです」ダニア


「そのお国が今回は予算だせないと言う訳ですから「了解しました」と言う以外に

ありません」ダニア


「筋は通ってますし反論出来ません」アスタージナス

「確かに我はすこし目線が上すぎた許せダニア」スタージナス


「財政が困難なのは承知してます、今回は我が社にお任せ下さい」ダニア

「いや、駄目です」ウラアール


「ん、なぜじゃ?」スタージナス

「エネルギー政策は国主導で無ければ民間でいくらでも価格操作されます

これは由々しき事態断固として許可出来ません」ウラアール


「さすがお詳しい・・・」ほくそえむダニア


「またウラアールとダニアでたぬきのばかし合いしてるな」ジパンは直感する


「金は出さないが口は出すでは我が儘にしかきこえんぞ」スタージナス

「ではどうしましょう」ダニア、実際はなにか作戦を秘めてる風


「とっくにダニアは理解してるのでしょう?」ウラアール


「しかし、ウラアール様からの言質がとれないと意味がありませんから」ダニア


「んん?2人は何を言いたいのか我には全く理解出来ないぞ」ジパン


「おおかたアナハイム電力会社の創立って話なんじゃろ?」スタージナス

「というか2人とも初めから打ち合わせていただろう?台本作って」スタージナス

「とんでもございません、・・・」あわてるダニア本質を突かれてる


「教えてくださ~い」ジパン


「つまり民間の電力会社が電力を作り供給するがその全てを国が買い取り

価格操作を阻みつつ国は金出さないって作戦だな」スタージナス


「しかも用意周到に全てをダニアが企画しておいて皆に議論させて大義名分を得る」

スタージナス


「茶番の茶番ですね」アスタージナス


「いや、国政などは議題に上がる段階で解決策が無ければならんのだ

つまりダニアは政治家として実に優れているしネゴ上手、大天才じゃよ」スタージナス


「いえいえ、時代は宇宙になりますます財政が厳しいのは理解してます」ダニア

「つまり、金を出して全てを民間が整えて国が一番美味しいところを頂く?」ジパン


「馬鹿者、それでは国が詐欺師みたいな言い方、指導と言いなさい指導と」

スタージナス


「それでアナハイム社にはメリットあるのですか?」アスタージナス


「当然です莫大な利益を上げられます、製品開発における特許は全て独占ですから」

ダニア


「ぐ、それも困るなぁ」スタージナス

「しかし、それだけは譲れませんから」ダニア


「なんとか国も少しは金だせないのか?」スタージナス


「しかし国家予算以上の投資額となるコロニー事業、採算が取れるまでは

予算ひっ迫はどうにもなりません」ウラアール


「コロニー計画完成を3年から5年に引延ばせば予算捻出出来ませんか」

アスタージナス


「私の試算ではすでに運用を始めてるコロニー、予想外の移民申し込みで

採算面では大幅黒字を計上しはじめてますが?」ダニア


「確かに・・・わかりました今までの事業を全て洗い直して何としてもダイソン球計画

予算を捻出します」ウラアール


「運用実績まで用意しおって・・・ますます確信犯じゃわい」スタージナス


研究室に戻ったダニアとブラン大喜び

「なにからなにまでダニア様の思い通りに計画がすすみましたね」ブラン

「この日の為に綿密に計画を練った甲斐があった」ダニア

「一番大きいのはダイソン球計画を前倒し出来たところ、これは恒星間移動計画に

とって大前進です」ブラン


「うむ、魔石コア製作や粒子加速機、電力や魔力の需要は今の数万倍、いやそれ以上

ダイソン球以外ではまったく目処がたたなかったからな」ダニア


「しかもまたしてもブランが暴走しおって自費でダイソン球作り始めたのを

後付けでの許可申請作戦、どれほど微妙だったか・・ほとほと疲れた」ダニア


「もともとは大王の発明ですから大義名分はすでにたってます」ブラン

「馬鹿者、実際は大王の提案以前に勝手に作っておったではないか!」ダニア

「先に付けようが後につけようが同じ事です」ブラン


「其方の暴走をこれからもどれほど尻拭いさせられるか・・・頭痛い」ダニア

「まあ、予算でたから料金振り込んでおいたぞ」ダニア

「え、そんなぁ、頂けません」ブラン

「馬鹿者、会社の仕事は会社の仕事じゃ、異論は認めない」ダニア


「で、どうなのだ?進捗状況は」ダニア


「はあ、もう90%完成してます、今から着工しましたでは言い訳着かないですね」

ブラン


「他人事みたいにいうな!、なんとしても時系列を合わせないと大変じゃ」ダニア


「というか付帯設備の調整だけで、実際はすでに予定通りの電力来てます」ブラン

「これは、・・・明日しれっと大王に報告せねばならぬ、どうやって言い訳するか」

頭いたいダニア


「値段も決まってないのにこれだけの電力を民間企業が有していたら謀反の疑い

掛けられても不思議ではない、これは困った・・・」ダニア


「あ、すでに3Dプリンタのアップグレードや生産ロボットの大増産に

電力使ってますので」ブラン


「馬鹿者、国の許可全く得てないわ、やばすぎるだろうが」ダニア


「はあ、?しかし我は科学者で政治の話は全くわかりませぬ」ブラン


「其方のしてることは悪用したら国家転覆規模の大謀反なのがわからんか!」

ダニア


「しかし、我は国家の為アナハイムのためにしか働いていません、心配無用です」

ブラン



「駄目だこりゃ」あきれるダニア


「分かりませぬな、自分のお金で発電して国に怒られる理由が・・・」ブラン


「もう其方に何言っても無駄、後は我がなんとかする、そのまま進めよ」ダニア

実はダニア、暴走ブランが大好き、国にとって間違ったことはしていない

単に純真無垢なのだ、そのままで居て欲しいとも思うダニアだった


次の日


「かねてからのダイソン球計画無事完成しました、ありがとうございます」ダニア

「はぁ?其方寝言言ってないか?寝言は寝てから言う様に」スタージナス


「昨日、会議で決めた事が今日完成って・・・」うなるウラアール


「はあ、ウラアール様ともあろう方がなにを仰いますか」ダニア

「いえ、ウラアールでなくても私ですら納得出来ません説明お願いします」

アスタージナス


「分かりませぬか?このダニア言い出した段階ですでに目処は立てての具申です」

ダニア


「昨日はそんな事言ってませんでしたわ」イーシャも不思議がる

「つ、つまり私の意を遙か前からブランが読み取り、行動してたのです」ダニア

「私がダイソン球について提案したのは一週間前、時系列がおかしいです」

アスタ-ジナス


「時系列などを整合させる必要はありません、要は出来るか出来ないかだけ」ダニア

「つまりブランは予言者で大王の意見が出る前から作っていた?」スタージナス


「はい、ブランは超能力者、未来に行って大王にお伺いを立てたのでしょう」ダニア


「それは苦しすぎる言い訳・・・」とスタージナスは思ったが黙ってる


「私はとんだピエロですね」アスタージナス

「滅相もございません」ダニア


「まあ、いいでしょう、しかしブランの暴走は貴方がしっかり監視して下さいね」

なにもかも察したアスタージナス


大汗のダニア「は、かしこまりました」


「で、ブランの暴走話ついでなのですが」ダニア


「む、まだななにかあるのか?いやそっちが本題か?」スタージナス


「は、実は」汗だくだくのダニア

「生産された電力をすでに各種設備等に勝手に供給し始めてます」ダニア


「ば、ばかなまだ価格すら決めてないのに勝手に供給ですか?」ウラアール

「馬鹿者いくらなんでもそれは国家反逆罪レベルじゃ」スタージナス


「し、しかし昨日まで国は一切お金出してませんし全てブランの自費でした」ダニア

「どんだけお金持ちなんだブランって」ジパン


「特許料収入とかを自分自身ですら資産を把握してないようです」ダニア

「無頓着すぎる」ゴブータ


「しかしブラン自身の試算ではコロニー計画は2年ほど早める事が出来たそうです」

ダニア


「ば、ばかな元々3年計画だったのが一年で完了だと?」ジパン


「つまりブランは国家反逆の意思などありません、常に国を会社をとの考えです」

ダニア必死にかばう


「うーーむ・・・これは事後承諾せざるを得ませんね」ウラアール

「ありがとうございます」ダニア


「あの、・・・更になんですが・・」ダニア

「来たな!本来の話が!」スタージナス


「は、はい、いかにブランが国思いということが分かって頂けたので・・」ダニア

「つまり、恒星間移動計画に電力を使いたいという事か?」スタージナス


「は、実は、あの、その、その通りです」ダニア

「ずいぶん回りくどいこと・・・」アスタージナス


「ここまでお膳立て出来ていたら否定しようがないですわ」ウラアール


「コロニー計画の前倒しによる経費節減はどのくらいかしら?」ウラアール

「は、この報告書をご覧下さい」ダニア


「ば、ばかな、当初予算の1/10だと?」スタージナス


「はい、ブランがあらゆる方面での経費削減に尽くしてくれた結果です」ダニア

「しかしいくら経費が安く済んでも肝心の安全は?」アスタージナス

「はい、ここをご覧頂けたら分かる様に今までの2倍増しです」


「ブランが開発した全コピー3Dプリンターのお陰で同型のコロニーなら

大量に増産可能になりました。


「つまり組み上がった状態で3Dコピーが出来る?」アスタージナス


「御意、生産性が飛躍的に向上してます」ダニア

「しかし、内装はオーダーによって違うので時間かかります」ダニア

「しかし、それでも1年あれば全て完成させられます」ダニア


「しかし、500ものコロニーいかにして所定の位置に運ぶのじゃ?」

スタージナス


「は、ブラン式コイル推進システムによりより超低コストで移動可能です」

ダニア


「コロニー自身が推進エンジンなんだな」スタージナス


「御意、画期的すぎます」ダニア

「しかも爆発的加速ではなく自由に速度を調整出来つつ最高速は光速の90%

移動時間が掛かる以外では恒星間移動も可能な将来性です」ダニア


「一番近い隣の星まで5年で行けるのだな・・・すごい」スタージナス

「いえ、実際は加速と減速が必要なので7~8年かかりますが」ダニア


「どちらにしてもいよいよ実用可能範囲になったわけか・・・」スタージナス


「実際はコロニーごと他恒星に行く理由がありませんけどね」ダニア

「いや、出来ないのとしないでは全然違う」スタージナス


「とにかく50億民の生活拠点の心配がなくなりました、大義でした」

アスタージナス


「しかし、肝心の50億民がよく分からないのだろ?」スタージナス


「はい、数人を解放して事情を聞いてますがつじつまがあわない証言が多くて」

イーシャ


「何時の時代生まれなのかどこで生まれたのかが微妙に整合しないのだな」

スタージナス


「余りにも長時間縮小されていたので時差ボケかもしれませんが・・・」ゴブータ


「有る民はまるで未来で生まれたような証言をしてますし、有る民は地名が微妙に

違うのです」アスタージナス


「まるで異世界転生人?」ジパン

「なぜか全ての民に標準語が通じるのです、不思議です」アスタージナス

「うむ、不思議が多いな、だが民が存在してるのは事実、現実は逃げてくれない」

スタージナス


「はい、幸いにして解放民は全て民度が高く再教育は最小限で済みそうです」

アスタージナス


「とにかく民の生活安定が第一」スタージナス


「アナハイムの時と同じに専用のコロニーを作り生活実習の場とします」ウラアール

「うむ、それは妙案、地球で受け入れるのは難しいだろうしな」スタージナス


「実は先日冥王星から連絡があり残りの民20億が到着したそうです」ジパン

「うむ、あと10億じゃな」スタージナス


「しかし低コストの移動システムが完成したので20億だけでも

引き取りにいって問題ありませんが」ダニア


「いや、今はこちらの受け入れ体制が確立していない、あわてる必要はありません」

ゴブータ


「実はすでに表面化しつつありますが」ゴブータ


「新たなる問題か?」スタージナス

「はい、大量の資源隕石のお陰で地球の資源がだぶつき始めてます」ゴブータ

「具体的にいうと各資源の国際協定価格が暴落して資源国が大打撃を受けてます」

タラン


「特にエネルギー関係、石油や天然ガスの大暴落が著しく・・・」タラン

「更には金銀銅、などの貴重資源も大暴落してます」タラン


「環境問題もある地球での資源採取はこのさい取りやめるべきでは?」ダニア

「しかしそれでは民が飢えてしまいます」アスタージナス


「いえ、産業の形態を変えれば民は飢えません」ダニア

「具体的な意見はありますか?」アスタージナス


「は、これは長期的なビジョンになりますが全人類のほとんどを宇宙に住まわせ

地球はある種のリゾート地にするべきかと」ダニア


「とんでもない発想じゃな」スタージナス


「しかし、現に今進めてる政策では100億もの民が宇宙に住む事になります」

ダニア


「なるほど、すでに人類のほとんどが宇宙に依存してる」ウラアール

「地球には今居る8億人で管理させれば飢える事はありません」ダニア

「確かに農業政策だけで8億は生きて行けますね」アスタージナス


「現存する国連加盟国と協議してコロニーに振り分けるのはどうでしょう」ジパン

「まあ、普通に考えてそれしか方法はあるまい」スタージナス

「しかし、資金の8割はUSAとEUが負担してます、振り分けは多く欲しいです」

ウラアール


「まあまあ、そこらへんは調整が必要だが国際貢献なので仕方が無い部分もある」

スタージナス


しかし、実際のコクレン会議では多くの加盟国が「全て大王に従います」と白旗

資金の大部分を負担してもらってることに感謝してくれた


「出来れば我が国はUSAの州にしてほしい」などと要望も出たが却下

しかし多くの資源立国は不安を隠せない・・・

「大王の言われるままに従ったのにこのままでは再び最貧国になってしまう」

南アタリカやオストラリアは懸念を隠せない


「勿論資源立国には最大限の配慮をします、一緒に再建策を考えましょう」

アスタージナスが頭をさげたら反論出来ない


いち早く技術大国にになったシン国とジパン国は諸手を挙げて新政策に大賛成

「コロニーに早く民を移住させたい」と矢の催促「予算がないのなら自国で作ります」

リョウマ王は催促する


「いえ、基本縮小体からの解放民が優先なので地球からの移民は考えてません」

アスタージナス


「しかしシン国とジパン国にもコロニーが振り分けられればそこに住む解放民は

シン国民でありジパン国民に違いないはず」リョウマ


「たしかに言うとおりですね」アスタージナス


「つまり国内で移動なら問題ありませんね」リョウマが理屈を言う

「た、たしかに・・・」イーシャ


「更に言えば承認を取ってコロニー増産は文句ないはず」リョウマ

「いちいちごもっともで反論できません」アスタージナス

「ま、実際はアナハイムさんに注文ですけどね」元ジパン王


「む、民間企業の仕事には干渉出来ませんね」ウラアール


「民間企業を立ち上げアナハイム社さんとの提携をますます促進したいがじゃ」

本音をいうリョウマ


「特にブラン様という副社長とは仲良くなりたいがじゃ」リョウマ

あきんどとしての嗅覚が働くのだろう、ジパン国もブランの天才ぶりに一目おく


「とにかく解放民の元の国籍を決定し各国に振り分けそれからコロニーを割り当て

ましょう」ウラアール


ところが調査を進めるウチに矛盾が生じだした

最初の20億の民はどうやら過去300年の間に縮小されてしまった民で

時代は違いこそすれ居住地域は判明した。しかし追加の50億の民の記憶が

ハッキリしない。言葉は通じるのに国籍や時代などがハッキリしないのだ

というか記憶操作されてしまってるのかもしれない。


「困りました、これでは国籍を決定できないしコロニーの割り当ても決められません」

ウラアール


「とりあえず全員USAとEUに振り分けるしか方法はあるまい」スタージナス

「いえ、それではシン国やジパン国が納得しないでしょう」アスタージナス


「それでは解放民を受け入れたい国と解放民はどこの国に所属したいのかをすり合わせ

調整するしかあるまい。」スタージナス


「これは当分移民局大忙しですね」ウラアール

「でコロニー製作のほうはどうなのだ?」スタージナス


「は、アナハイム社と関連企業、まシン国とジパン国の企業がほとんどなんですけど

ともかく、フル稼働により250ほど完成しました、残りも半年以内に完成予定です」

ダニア


「予想以上に急ピッチじゃな」スタージナス


「国策によるコロニー完成後も民間利用目的のコロニーを多数生産とか」ウラアール

「はい、使用目的をコクレンに報告すれば基本民間目的も認める事にしました」

アスタージナス


「つまり、生産工場用と農業専用のコロニーがいよいよ実現するのだな」スタージナス

「はい、110億の民を植えさせない為には民間にも協力してもらわねば予算が

足りません」ウラアール


「しかし、民間は所詮営利団体、儲からなければすぐに撤退するぞ」スタージナス

「設けさせる指導を国がすればいいことですから」アスタージナス

「大王にはアイデアがあるのだな?」スタージナス

「なによりも商品価値を高めるには付加価値を付ける必要があります」アスタージナス

「農作物なら特定の品種のみ最適化したコロニーを作れば付加価値がUPします」


「なるほど」

「工業製品で言えばそのコロニーでしか作れない工業製品を生み出せば付加価値UP

します。」アスタージナス


「それは難しそうだな」スタージナス


「いえ、コロニーの最大の利点はなんだと思いますか?」アスタージナス

「はて、なんだろう?」スタージナス


「重力と気象を自由に操れるのです」アスタージナス

「おおっなるほど例えば医療品などは重力によって配合成分を自由に調整出来るな」

スタージナス


「気候を自在に出来れば農作物にとって著しい効率化を図れるな」スタージナス

「日照りも干ばつも洪水もありません」アスタージナス


「コロニーごと特許コロニーとして認可すれば他のコロニーは真似出来ません」

「恐ろしいな、コロニーの回転数を規制するのか?」スタージナス


「電波の振り分けを規制するのと同じですわ」アスタージナス

「そして軍事利用出来る回転数は国が独占します」ウラアール


「これは地球や、月、火星では逆立ちしても出来ないコロニーだけの特権じゃな」

改めてコロニーの利点に気がつくスタージナス


「はじめはなにに利点があるのかサッパリ分かりませんでしたが大王の慧眼に

改めて敬意を表します」ダニア


「しかしブランは私の発想をさらに斜め上に解釈し、とんでもない事になってます」

アスタージナス


「うむ、ブランの頭の中は一体どうなってるのかさっぱり分からん」スタージナス

気がついたら人類は宇宙に依存しつつあります

今回は頑張って(汗)長めになりました。

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