冥王星へ
作戦開始です
朝が来た、いよいよ冥王星に向けて出発だ
「改めて聞くがこの宇宙船が時空を越えたあとは通常推進時の慣性が残るのみ
なのだな」スタージナス
「御意、時空超えして超高速の慣性が残っていたら制御出来ません」ブラン
「よし、分かったそれでは出発しよう」
「は、それではスタージナス様ボタンを押して下さい」
「なにかの開会セレモニーでもあるまいになんで毎度我なのだ?」
「人間には適材適所というのがあるのですスタージナス様がその立場なのです」ダニア
「しょうがないなぁ・・まあよい。押すぞ」「ブシュ」
押したボタンが戻る前に時空移動完了
「つきました冥王星まであと1000Kmの距離です、逆噴射掛けて停止します」
「なんとも時空移動ってのはあっけないな」スタージナス
「理論的には銀河の果てまで行っても今回と同じ感覚のはずです」ブラン
「しかし旅費は全人類のお金を全て集めても足りないというオチなんだろ?」
スタージナス
「はははは、まあ、その、その通りなんですけどもね」ブラン
「まあ、今回は大義であった、それでは作戦実行しよう」スタージナス
「その前に帰路の準備が必要です、溶けた魔石を補修して帰りの粒子を溶かします」
「どのくらい時間かかるのじゃ?」スタージナス
「はい、約2時間程度かと」ブラン
「全自動化と時間短縮が今後の課題じゃな」スタージナス
「はい、今回は初めての本格的な移動でしたのでノウハウを蓄積してます」ダニア
「よし、その間につめの作戦会議を行おう」スタージナス
「ブランの言うとおりなら基地の全停止システムがあるのだな?」スタージナス
「はい、私の設計そのままで建造されてれば私以外には気がつかない筈です」ブラン
「で、具体的にどうやのだ?」ダニア
「は、基地外周を守る城郭ですが1カ所だけ警戒システムに気ずかれずに通れる
隠し通路があります、まずはそこから内部に侵入します」ブラン
「突き当たりまで進み右に曲がり3区画進み左に7区画進み突き当たりの階段を
5階分昇り通路に出ての突き当たりを右にまがり6区画進み十字路を左に4区画進み
右側の壁に全停止ボタンが隠されています。
そこの入力機にパスワードを入れて認証されれば完了です」ブラン
「で、パスワードはなんと入力するのだ」スタージナス
「すいません、そのパスワードは私以外が入力しても生体認証により作動しません」
ブラン
「なるほど其方以外では絶対に気づかれない訳だ」ダニア
「ふざけた迷路をつくりおって」あきれるスタージナス
「おお、気づかれましたか?」ブラン
「多分ジパン以外は全員きがついてるわ」スタージナス
「え、え?なんですか通路の通り方になにか秘密でも隠されてるのですか?」ジパン
「まあ、特には意味もないのだろう、作戦には関係無いこと、話を進めるぞ」
「問題は全システムが停止すると文字通り全てが止まります」ブラン
「つまり生命維持装置も止まる?」ダニア
「はい、何者かが私になりすますか私を脅して作動させても用意がなければ
そのまま窒息死です」
「つまり皆殺し、じゃな」にやりと笑うスタージナス
「おもしろいでしょ?」茶目っ気たっぷりのブラン
「瞬間的に内部の空気が抜ける仕組みです」ブラン
「了解した、宇宙服を着用すれば済む事だ」スタージナス
「しかし、縮小体を保管するシステムも停止するのでちょっと心配です」ブラン
「部分的に再稼働することは出来ないのか?」スタージナス
「勿論可能ですが再起動には1時間ぐらいかかります」ブラン
「これは内部に侵入したあと別働隊にて縮小体を保護する必要があるな」ダニア
「しかし縮小体は50億、1/1000に縮小されてるとしても途方もない
量です。」ヘッテ
「大丈夫です、予め事態を想定してましたので限定域専用SBをいくつか
用意しました」ブラン
「おおっ手回しがいいな」ジパン
「私が設計した設備かつ解除システムですからね」ブラン
「しかし別同隊はすこし危険だな」スタージナス
「ですね、敵ロボットがどの位居るのか全く不明ですから」ダニア
「システムダウン前に縮小体を保護しないと停止出来ないとは矛盾だな」ジパン
「私が作った電磁パルス銃を使えば遠距離から敵ロボットを警戒させることなく
捕縛、機能停止させられます」ダニア
「お、アイズランドで使うはずだった電磁パルス銃だな?」スタージナス
「はい、あのときは出力が全く不足しててへの役にも立ちませんでしたが
そのご改良を重ね今度は絶対の自信があります」ダニア
「今度のはスマホ上でロックオンした敵ロボットなら曲がりくねった通路からでも
発射して倒すことが出来ます」ダニア
「それは凄いな」ジパン
「はい、弾丸をバーニャ制御することで上下左右自由自在に曲げることが出来ます」
ダニア
「なんかそれ気味悪いな」スタージナス
「科学の勝利です」ダニア
「迷路みたいな基地施設では絶大な効果を発揮するはずです」ダニア
「うむ、狙われたら最後じゃな」スタージナス
「鉄のドア程度なら貫通して目標を捉えます」ダニア
「面白いのは同じターゲットに複数発射するとドアとかで防がれても次弾が
同じ場所を進むのでいくら障害があってもいずれは目標に到達します。」ダニア
「それはしつこいな」呆れるスタージナス
「つまりスマホ上でロックオンされた目標物に何発発射すればいいのか自動的に
電磁パルス銃が同期して勝手に発射弾数を調整するのです」ダニア
「なんだかわけわからんな」スタージナス
「まあ、狙撃手は特になんにも考えなくても勝手にシステムが判断してくれる
というわけです」ダニア
「しかし弾丸には限度があるだろう?」スタージナス
「ですが縮小解除連動マガジンでの装弾数は15000発、問題はほぼないはずです」
「こんな小さい弾倉で15000発も発射出来るのか・・・すごすぎじゃ」
スタージナス
「ブランばかりが発明家ではありませんからね」ダニア
「ドラマとかだと味方の銃はいくら撃ってもタマがつきないのと同じですな」ジパン
「ははは、まあそんなところです」ダニア
「そして、今回の目玉、消える魔球、いえ本当に消えるステルス技術です」ダニア
「なんだそれ?」
「はい、南極基地での死闘で多くの若い命が散ったのを教訓に完全防弾システムを
開発しました」ダニア
「おおおおっそんな事が可能なのか?」驚愕のスタージナス
「はい、従来のステルスはあくまでも不可視化だけでした、実弾を受ければ
当然被弾します」ダニア
「当たり前だろうが」スタージナス
「しかし私の発明したステルスポンチョは絶対に当たりません」ダニア
「結界魔法で敵弾を弾くのだな?」スタージナス
「半分正解です」ダニア
「消える魔球は魔送球だけではないのです」ダニア
「はあ?なにいってるかわからんが」スタージナス
「実際、南極基地での戦闘時には結界魔法付きのステルスポンチョだったのです」
ダニア
「なるほど、防弾性は高いがドラゴンのブレスは一発しか防げなかった」
スタージナス
「御意、残念ながら結界魔法といえども万全ではありませんでした」ダニア
「しかし、あのときはまさかドラゴンが警備してるとは想像もしてなかった
どうすることもできなかったのだ」スタージナス
「あの時の教訓を得て二段階の防御システムを開発しました」ダニア
「うむ、早く説明せい!どうも科学者はまわりくどくてイライラする」スタージナス
「申し訳ありません」平伏するダニア
「ああ、じれったい謝ってる暇があったらはよ説明せい」イライラスタージナス
「今回は瞬間縮小&解除装置を組み入れました」ダニア
「???」ジパン
「つまり結界魔法で防げない敵の攻撃を自動的に感知し命中する1/100秒前に
自らを縮小します、敵弾通過後1/100秒後に元にもどるのです」ダニア
「なんだか分からんが凄いな」スタージナス
「すでにわが研究室で何万回にも及ぶテストが終了してます、絶対に安全です」
ダニア
「うむ、地上戦も格段に進歩してるという訳だな」スタージナス
「御意、ですから別働隊も安心して作戦遂行出来る筈です」ダニア
「まあ、それでも不測の事態は起きるだろう」スタージナス
「帰還システム準備完了しました。」ブラン
「よし、作戦開始じゃ」スタージナス
全員冥王星基地強襲用ステルス揚陸機に乗り込み移動を開始する
「手はず通りブランとジパンは全システム停止を頼む」スタージナス
「はっ」
「残り全員は基地内部に侵入したあと各個に散り縮小体の保管場所を全力で
探す、多分早期警戒システムが発動するのは2分後と予想する。その前に縮小体に
SBを施す。」スタージナス
「早期警戒システム発動10秒前に全停止出来る筈ですのでそれまでに
なんとしてもSB完了させてください」ブラン
「うむ、ダニアの予想では地下5階のアイズランド基地ではメインコンピュターが
設置してあった中央区画に保管されてる可能性が高いのだな?」スタージナス
「はい、50億もの縮小体、基地で一番広い場所でなければ保管不可能です」ダニア
「よし、中央区画なら全速力で走り1分で到達出来よう」スタージナス
「今回は私が製作しランドセルバーニアを使用ください」ダニア
「うむ背中に背負って空中を飛べる装置だな」スタージナス
「は、重力下でも無重力下でも自由自在に高速移動可能です」ダニア
「うむ、昨日コロニーで訓練した通りに操作すればいいのだな」スタージナス
「おもちゃシュミレータの過酷さに比べたら楽勝でしたな」ジパン
「は、重力スタビライザーを最大に効かせてるので遠心力も加速も感じません」ダニア
「すごいな早速おもちゃロボットの技術をフィードバックか・・」スタージナス
「御意」ダニア
「しかも念じるだけで操作できるのも画期的」スタージナス
「はい、今回は無料お試し期間につき課金されませんご安心ください」ダニア
「馬鹿者、命がけで作戦して課金されたらかなわんわ」大笑いのスタージナス
「移動中でもヘッドモニターに敵性ロボットのロックオンがされていきますので
皆様は電磁パルスマシンガンを引き金の限り撃ちまくってください」ダニア
「勝手に撃ってるようで実は全弾制御されてるのだな」スタージナス
「はい、全弾敵ロボットの捕縛以外には使用されません」ダニア
強襲機が冥王星に着陸した、基地の100㎞手前、これ以上は察知される
「うむ、ここまでは予定通り、でここから縦穴を掘り横穴作業じゃな」スタージナス
「アイズランドでの地獄を思い出しましたぁ」ジパン
「しかし、今回は敵探知機に感知されない新型ロボットを開発したので
すでに事前に縦穴、を掘り終えて横穴掘り始めてます。我々は地下の仮基地に
移動して完成を待つだけ、今回は重労働はありません」ダニア
「我が命がけで重労働したノウハウが活かされて少しは報われたわい」スタージナス
「重労働したのは我も同じです」ジパン
「あら、女の私も力の限り協力しましたわ」イーシャ
「うむ、皆ご苦労だった、しかしあのときにブランが居てくれたらどれほど
楽だったか・・・」悲しむスタージナス
「当時は出来る限りの事をしたまでです、仕方がありません」キラン
とりあえず全員居住モジュールに入り宇宙服を脱いでヤレヤレ・・・
「で、坑道は何時完成するのだ?」スタージナス
「はい、あと1~2時間で完成です」ダニア
「風呂入る暇も無いな」スタージナス
「時空を越えてまで移動してきたのに作戦に時間掛けたら意味がありません」ブラン
「当たり前じゃ、サクッと終えるぞ」スタージナス
「ともかく腹ごしらえじゃ」スタージナス
「うげ、これ不味いです~」ジパン
「馬鹿者、レーションじゃ当たり前だろうが、軍人さんのありがたさを
身をもって味わえ!」スタージナス
「これから命がけのミッションなのに力が抜けますね」イーシャ
一同大爆笑
しかし命がけの作戦の前には必ずジパンとスタージナスが
掛け合い漫才を行って皆の緊張をほぐすのだ。皆それが分かってる
「坑道完成2時間前にここに着く様に予定組んだのはダニアだろ?
全て皆の体調を考えての工程管理、わかってるぞ」スタージナス
「ありがとうございます」ダニア
「全ての準備が整いました、作戦開始です」タラン
☆
城郭外周にとりついた11人+ロボット2体
「ここが唯一内部に入れる扉です」ブラン
ブランが手のひらを付けると扉が5cm程奥に引っ込み続いて引き戸状に開いた
「さ、急ぎましょう」ブラン
外壁の厚さは5m程、基地内部に入る扉を再びブランが操作し開かせる
「ここから内部に侵入すると2分後に警戒システムが発動し隔壁が閉ざされ
各ブロック間に閉じ込められます」ブラン
「うむ、アイズランドと全く同じ仕組みじゃな」スタージナス
「ロボットは別行動しますがスタージナス様達は打ち合わせ通り各個に作戦
開始してください、私とジパン様はシステム停止に全力を尽くします」ブラン
「よし、それでは皆生きて再会じゃ!」スタージナスが合図を送る
「おおっ」
「ドドドドドド」各自狂ったように電磁パルスマシンガンを撃ちながら
各個に移動を開始する、目的地は縮小体保存庫
「す、すごい、引き金を引きつづければ勝手に敵のロボット達が固まっていく」
自動飛行するランドセルバーニャ、スタージナス達は加速感も横Gも感じない
「モニターに表示されてる敵ロボットがみるみる固まっていくその数150以上」
「あと30秒しかない、急げ」
中央管理室の扉は8カ所、予定通り7人が到着扉を爆破し内部に入る
「うわ、なんだこの数!・・・」しかしやるしかない
電磁パルス銃の下部に取り付けられているグレネードランチャを発射する
「ポン」弾は100m飛びぱあっと開く、連続してスタージナスは発射する
「ポンポンポン」
開いたビニールがまるで意思でも有る様に連結しピンと横に張り巡らされていく
7カ所の扉から他の皆も同じ行動を行っている。
人型アンドロイドが背負っていた聖水タンクと連結させSBが発動する
「ギュウウウ・・・・」
「あと10秒だ、システム落ちるぞ!」アスタージナス
「バッ」一瞬で全てが闇となる、瞬間にヘッドディスプレーが赤外線暗視に切り替わる
「生命維持ステム全てがダウンしたな、SB、間に合った」安堵するスタージナス
駆け寄ってくるタラン「1秒差で間に合いました」
「我らの作戦はいつもギリギリじゃなあ」スタージナス
「ずしんずしん」何かの気配がする・・
「む、この気配はなんじゃ?」スタージナス
「分かりませんが、もしかしてゴーレム?」タラン
「ゴーレムは魔物でも呼吸は必要無いな」スタージナス
「しかし、我らの装備ではゴーレムに対抗できません」タラン
「ステルスポンチョで発見されないはずだが」スタージナス
すでに2人は思念通信で話し合っている、声を発したら危ない
「しかし、この部屋にきたらSBを破壊されるやも」タラン
「いや、基地の安全を守るのが役目なら縮小体を駄目にするはずはない」
「むしろ危ないのはブラン達かも知れません」ダニアも思念通信に参加してきた
「うむ、今ジパンに状況を教えた、まだ足音が近づいてないらしい」スタージナス
「ゴーレムをなんとかしないと再起動は危険過ぎます」タラン
「イーシャ聞こえるか?其方の護衛兵の仕事が出来たぞ」スタージナス
「はい、今ゴーレムを倒せるのは我らだけでしょう」キラン
「うむ、頼む、我もそちらに行き助太刀する」スタージナス
やはりゴーレムはブラン達に向かっていたしかし足は遅い
「ずしんずしん」
スタージナスはゴーレムの行く手を阻み時間稼ぎを図る
「うすのろ、コッチじゃ」大声で誘うスタージナス
「ブウン」ゴーレムの腕がしなりスタージナスめがけて拳が舞う
間一髪避けるスタージナス、しかし満足な武器をもたないので反撃が出来ない
「こっちが相手よ!このうすのろ」キラン達が誘う
「ジェットストリームアタック!」恥ずかしいかけ声(笑)
キランの上にマヤが乗りその上にネハが乗ってゴーレムに突進する
キラン達は自由自在に武器を呼べる魔法使い
ゴーレムが真ん中のマヤめがけて拳を振るう・・・
「あ、危ない~」スタージナスが叫ぶ
しかし間一髪マヤは後方に飛び下がり拳をかわしてる
すると上段にいたネハがジャンプしゴーレムの真上から超巨大の剣を振るう
「とりゃあああああ」
ネハのどこにそんな力があるのか分からないがとてつもない底力!
カッコいい、美人戦闘剣士!
同時に下段にいたキランが巨大な長刀を出しゴーレムの足元を払う
「ちぇすとおおおおお」
あのジルベッタの魔剣ですらはじき返したゴーレムの装甲なのに
キランの長刀は容易に膝を両断した
その刹那
上段から振り下ろしたネハの剣がゴーレムの装甲を切りさき
ゴーレムは真っ二つに割れた・・・
「とりゃあ」後ろにのいたはずのマヤが同時に布団魔法でゴーレムを束縛する
最後のあがき自爆攻撃を予想したからだ。
「ずがーーん」
あわれゴーレムは布団蒸しのなかで自爆、勿論外部に被害は出ない
「おおおおおっ素晴らしい、戦法名はダサイが攻撃自体は連携がとれてて
最高じゃ」へんな解説をするスタージナス、助太刀まったく不要だった
「確かにヘッテが認めた通りの腕前じゃ」拍手喝采のスタージナス
「喜ぶのはまだ早いです、あと3体出現しました」ダニア
「とお、やあ、うらああ」しかしキラン達はあっという間に3体を
やっつけてしまった。
「汗も出ませんでしたわ」キラン
「其方達がこれほど頼もしいとは思わなんだ」感激のスタージナス
「実際はイーシャが加速魔法で支援してくれたお陰です」ネハ
「ほう、加速魔法とな?」スタージナス
「振り下ろした剣が敵に当たる寸前に倍の速度になる魔法です」ネハ
「3人で戦ってる様にみえても実際は4人が一体となり戦ってるのです」マヤ
「さすが妖怪人間恐ろしいわい」スタージナス
「全く酷い言われ方ですわ」イーシャ
同時にシステムが再起動した
「おおっ照明と空気が戻った」タラン
「もう大丈夫ですSBを解除して司令室に集まり下さい」ブランの思念通信
「おっブランも思念通信出来る様になったのか?」スタージナス
「いえ、我のは限定思念通信ですが同期装置を開発して皆様に加われる様に
なりました」ブラン
「ふむ、詳しい話は後で聞こう、とにかく司令室に急ぐ」スタージナス
「まずはまさか宇宙空間でロボット以外の護衛がいるはずないと
勘違いした私をお許しください、イーシャ様がいなかったら大変な事に
なっていました」深々と平伏するダニア
「いや、其方のせいではない、頭を上げよ、問題は不測の事態に如何に
臨機応変で臨めるかだけじゃ」スタージナス
「もう、危険は去りましたので簡単ながら宴を用意しました」ブラン
「そなたの隠しギミック炸裂じゃな」スタージナス
「はい、全ては私の設計、あちこちに私しか作動しない仕組みが用意してあります」
「つまり、火星基地にも月面基地にもコロニーにも誰も知らない仕組みがあるのだな」
スタージナス
「ははは、それは秘密です」ブラン
「しかし、ゴーレムだけはロベルト様のサプライズ(笑)おどろきました」ブラン
「馬鹿者、偶然上手くいったから笑ってられるだけだぞ」スタージナス
「いえ、多分私達が居なくてもスタージナス様ならなんとかしたはず」イーシャ
「うーん、今回は全く対策出来無かったと思う、何しろ武器がなにも用意してない」
スタージナス
「本当なんですか?なにかあったんでしょ?」ジパン
「いや、イーシャ達がダメだったら多分全滅だったろう」スタージナス
「それ、笑ってられるんですか?」ジパン
「現に笑い話だろ?無事解決すればOKなのだ。以下も以上もない」スタージナス
皆、笑っているが目が笑ってない
「し、しかしステルスポンチョでゴーレムには我々は見えてないはず」ジパン
「いや、ゴーレムなどの中級魔物は見えて無くても気配を感じれる」スタージナス
「でも新型縮小防御がありましたし」ダニア
「そうかもしれんが結局反撃出来なければいつかはやられたろう」スタージナス
「わ、話題を変えます」ブラン
「実はPCを解析してなぜ冥王星に50億の縮小体が保存されていたのかが
判明しました」ブラン
「ほう」スタージナス
「月面基地から魔石コアを発射し聖水を吸着させ地球に帰還させてましたが
実は魔石コアに縮小体を乗せ冥王星に運んでいたみたいです」ブラン
「なるほど、最終集積地は冥王星だったのだな」スタージナス
「御意、月面基地に残された縮小体もいずれは魔石コアに乗せられて冥王星に
集められたと思います」ブラン
「しかし100億の縮小体と言うのならあと30億あるはず」スタージナス
「はい、魔石コアがまだ太陽系内で資源を回収してる途中なのでしょう」ブラン
「ということはここに集まってくるまで待たねばならんのか?」スタージナス
「まあアンドロイド2体に任せればいいでしょう」ダニア
「一旦50億を地球に運びましょう、残り30億が集まり次第もう一度派遣
しましょう」ブラン
「しかし、数年前までは8億だった人類が先日28億になり最終的には108億か」
スタージナス
「コロニー、月、火星、そして地球に住むのならまだ足りない位です」
ダニア
「しかし、まだ謎が解決されてない、もともと地球上にいた人類は多く見ても
28億、それ以外の民はどこから来たのか?」スタージナス
「それは一旦50億の縮小体を持ち帰り何人かを解放して聞き取り調査するしか
分からないと思います」ダニア
「アンドロイド2体を連れてきたのは初めからこの事態を想定していたか・・」
スタージナス
「50億の縮小体と聞き多分そうなると踏みました」ダニア
「うむ、其方達と仕事すると話が早くて素晴らしい、ジパンを除いてだが」
スタージナス
「何を仰いますか、われとて今回の事件で分かった事がありますぞ」ジパン
「ほう?」スタージナス
「初めの謎かけは「37564」皆殺しです」ジパン
「馬鹿者そんなことは其方以外初めから理解していたわい」スタージナス
大爆笑の全員あまり上等でない酒を美味しくしてくれた。
「しかしブランが選んだ酒はほんとうに不味いな!」
「はあ、私はその頃飲めませんでした、きっと将来の私が飲むだろうと仕込んだの
ですが、やっぱり美味しく無いですね」ブラン
「馬鹿者、自分へのご褒美はもすこし贅沢するもんだ」スタージナス
大爆笑で宴が進む。
ブランの遊び心が人類を救う




