隕石の行き先
隕石に到着
「よし、命知らずども出陣じゃ」スタージナス
「はは、」今回は命掛けだがやはりジパン、タラン、ヤコブ、ヘッテが志願して
くれた。ありがたい事
「残念だが今回の移動魔方陣では⒉人と荷物運搬がやっと後から3人は来てくれ
「行くぞジパン」
「はい」ジパン
地球内なら立ちくらみがする程度であっというまに移動完了だが今回は違う
「異次元空間で4分も我慢する必要があるのですね」ジパン
「其方も我もグニャグニャじゃ」時空が歪む体が歪む・・不思議な空間
「今時間は4分しか進まないが基地にかえったら時間は5時間進んでいるはず」
スタージナス
「つまり我らは往復で10時間のタイムマシンに乗ってるのですね」ジパン
「うむ、往復8分で10時間を買ってるようなものじゃ」スタージナス
「言われてみても全く理解不能です」ジパン
「うむ分かったところで何の役にもたたんな」スタージナス
「そろそろ到着じゃ現世界に戻るぞ・・」スタージナス
漆黒の宇宙空間にスタージナス達は降り立った
「この宇宙服は快適そのものですな」ジパン
「無駄話はいい、さっさと荷物を魔方陣の外に運べ次が来るぞ」
「は、もちろん話ながらでも手は休めてません」ジパン
第二陣3人が到着した
「さ、すぐに坑道システムを作動させ地下に居住モジュールを設置する
次から次と魔方陣が光り、荷揚げ作業が忙しい。しかし途中からロボットが
作業してくれるのでその間に居住モジュール設置を急ぐ
「やはりアイズランドと違い警戒システムは発動しないな
魔方陣が光りダニアとブランが勝手にやってきた
「ばかもん来るなと言ったろう」スタージナス
「しかし、我々がいないと設備関係の制御は出来ません」ブラン
「ありがたいが何時死ぬのか分からない危険な作戦だぞ?いいのか?」
スタージナス
「はい、覚悟はしてます。どうか我ら2人をお役立てください」ダニア
「わかった、覚悟があるのなら仕方が無い、実は頼りにしている」スタージナス
「しかし長期滞在するかもしれないのにレーションとは情けないですな」ジパン
「贅沢を言うでない魔方陣が小さいのだから必要最低限の荷物しか運べないのだ」
「それはわかっていますが・・・ああウラアールの手料理が恋しい」ジパン
「馬鹿者今朝ウラアールに作ってもらって食べたばかりじゃろ」スタージナス
「それはそうですが・・・」ぐずるジパン
「さて一段落したら探索じゃ」スタージナス
「どこに罠やトリガーが隠されているのか分かりません慎重にお願いします」タラン
「小型起震車による地質調査は可能なのか?」スタージナス
「大丈夫かどうかやってみないと分かりません」ダニア
「全ての行動がドキドキもんなんだな・・」スタージナス
「とにかく地質調査をしなければ前に進めませんやるしかありません」タラン
「ズズズズズ」起震車が稼働するデーターがパソコンに入っていく
即座に3Dマッピングされ大隕石の内部が判明した。
「やはり中心部には巨大な魔石コアがあります、しかしあのような大きさどこで?」
ダニア
「あ、あれは私が精錬しました」ブラン
「大型魔石を超高熱で分解して融合させると精錬出来るのです」ブラン
「な、なんと!魔石を大きく出来るのか」ダニア
「大きくするだけではなく濃密圧縮化が出来ます」ブラン
「多分最終工程でロベルト様が聖水吸着魔法を込めたのでしょう」ブラン
「改めて聞くがその超巨大魔石はいくつ精製したのだ?」スタージナス
「申し訳ありません私が試作したのは一つだけ。その後モンガルにてどのくらい
生産したのかは私には分かりません」ブラン
「超高熱とは魔核融合炉の温度が必要なのだな」タラン
「お察しの通りです、高性能魔核融合炉が無ければ全てが始まりません」ブラン
「この隕石全体で180の隠しバーニャ(推進装置)が確認されました」ヘッテ
「地下150mの所に制御室があります」タラン
「さてどうするか・・・」スタージナス
「基本的に氷の塊なので装置を暖めて氷を溶かせば自由自在に浮き沈みが可能です」
ダニア
「成る程氷は便利なんだな」ジパン
「変なところに関心してる場合ではない、この装置類をどうするか」スタージナス
「多分ですが今装置を止めなければ次のステップに進み爆発的速度で地球に突進
するでしょう」ダニア
「これは本当に命を捧げる機会が来た様じゃ」スタージナス
「なんとか方策を練りましょう」ヘホコ
「しかし、ゴーストでもだめロボットでもダメとなると人間が直に操作するしか
方法はない」
「非人道的とは存じますが召喚人間に頼めませんか?」タラン
「しかし、召喚人間で操作できる保証もない」スタージナス
「お忘れですか?私は召喚人間です」タラン
「ならぬ、そなたはクリスティーナの夫、断じて娘を不幸にさせない」スタージナス
「考えてください、全人類が救われるのなら我が命など安い物」タラン
「なんとか方法は他にないのかブラン」スタージナス
「一つおたずねしたいのですがUSAには布団束縛術があるとか?」ブラン
「たしかにある、自爆する輩を布団蒸しにして爆発の影響を及ばさない魔法じゃ」
スタージナス
「しかし布団魔法ごときで超巨大魔石の自爆を防げるのか?」ジパン
「たしか、ロベルトとの最終決戦時に凶悪増幅された敵兵の自爆をかろうじて
防げたが・・・」ヘホコ
「世界一の魔力量を誇る大王の全魔力を投じて布団魔法を唱えればあるいは」ブラン
「なんとか科学的に効果を実証出来ないのか?」スタージナス
「魔力量の大きさはご自身でしか分かりません。一か八かです」ブラン
「論じてる暇はない今すぐ大王をここに呼び実行しなくては手遅れになるな」
決断したスタージナス
大王が到着した
「事情はお聞きしました、やってみる価値はありそうですね」アスタージナス
「頼むクリスティーナ地球を全人類を救ってくれ」
全員がその場に平伏して「なにとぞお力をお貸し下さい大王様」
「魔法詠唱後私は倒れますので介抱よろしくたのみます」
「は、お任せ下さい」タラン
「しかし、万一失敗したときを考え私とタラン以外は月にお戻り下さい」
「なにをいいますか、万一失敗したら結局は全滅、皆ここで大王を見守ります」
全員の決意は固い
「そうですか、一蓮托生軍の再来ですね」アスタージナス
「おお、なつかしいな・・・」スタージナス
「あの時とは随分メンバー代わってるが心意気は同じ」スタージナス
「まさか私の幼少時2番目か3番目に覚えた魔法が全人類の行く末を決める魔法に
なるとは・・・」アスタージナス
「さ、時間がありません」ブラン
「行きますよ!覚悟はいいですね!」
大王は両手を前にだし手のひらを全開にして巨大魔方陣を出現させる
「シャアアアア」
魔方陣が回り出す通常の3倍の3倍の3倍の3倍の・・・・・
「おおっ魔方陣が3重になった・・人間業とは思えません」ヘホコ
「布団が吹っ飛んだ~」詠唱を叫ぶ大王
「ズドドドドドド」
隕石の氷塊などはなかったごとくに布団が超巨大魔石めがけて突進していく
「グワーン」
完全に布団蒸しにされた超巨大魔石
「グムヌムム・・・」まるで生き物の様に断末魔?
「ばかな、命などない魔石が苦しんでいる?」ブラン
次第に光りを発しその光が魔石の中心に集約されていく
「自爆が来るぞ、みな身構えろ」スタージナス
「どちらにしても布団が破れたら我々はおしまいです」悠然と構えるジパン
「ズドドドド」ついに魔石が自爆する
「・・・・・・・・・・・・・」
まばゆい閃光に皆が気を失う、時空が歪んだのかもしれない
「おい、ジパン起きろ」スタージナスがジパンを起こす
同時に気がついた皆が当たりをキョロキョロする
「いかん、大王の意識がない」ジパン
「大丈夫ですすぐに縮小化してそのまま月基地で治療を施しますから」タラン
「で、我々はどうやら生きてるみたいだが魔石はどうなった?」
「やりました、スタージナス様なんとか布団が爆発を防いだ様です」ブラン
そこには粉々になった魔石の粉だけが残っていた。布団は消えて無くなってる
「全システムの稼働が停止しました、そして我らの管理下に置かれました」ダニア
「これで人類は救われた?」
「いえ、油断出来ませんいくつの聖水隕石が作られてるのか不明です」
「今回は緊急でしたので大王に頼みましたがこのブラン必ずや同じ布団魔法
完成させてみせます。ヒントは得ましたので」ブラン
「私とブランとヘホコはここで火星移動のシステムを組み上げますが残りの方は
大王を助けてください」ブラン
「うむ、そうしよう、後は頼んだぞ」スタージナス
スタージナス達は大王が心配なのですぐに帰っていった
「ダニア様、皆様を帰したのは秘密の相談があったからです」ブラン
「うむ、我も気がついた科学者にとっては興味深い現象が起きたな」ダニア
「は、お気づきでしたか」ブラン
「確かに爆発後我らは時空を飛び越えた・・・」ダニア
「まだ実証してみないと分かりませんが移動魔法の速度を遙かに凌駕する
時空移動が起きたと思います」ブラン
「もし、人類がこの現象をコントロール出来たら?」ヘホコ
「物理の常識を覆す光速を越える移動方法の確立です」ブラン
「しかもタイムスリップしない」ダニア
「つまり光速で移動すると内部の人間は一瞬の時間しか感じなくても宇宙船の外では
時間が経過してしまう現象ですね」ヘホコ
「そうだ、どんなに頑張っても10光年先の星に行き往復したら地球上では
20年が経過してしまう」ダニア
「もしかしたらそれを打破出来る?」ヘホコ
「その可能性がたった今、目の前で起きたのです」ブラン
「布団魔法でかなり相殺されてしまいましたが全エネルギーが解放されたら
どのくらい移動したのか想像もつきません」ブラン
「うむ、火星移動へのシステム作りをしながらその件も3人で研究しよう」ダニア
「おおっ!みてください」ヘホコが絶叫する
「なにごと」ダニア
「粉々になった魔石粉が再び結晶化し始めてます、生きてるのでしょうか?」ヘホコ
「いや、周りの聖水を取り込んで自己修復してるのだろう」ダニア
「危険では?」ヘホコ
「いえ、多分付与された魔法は吹き飛んでいるはず、あれは純真無垢の魔石のはず」
ブラン
「これまた興味深い化学現象を目撃してるのだな」ダニア
「元の大きさを超えました」ヘホコ
「どのくらい成長するのだ?」ダニア
「全ての聖水を食らう?」ヘホコ
「ばかなこの隕石全てが魔石になるのか?」ダニア
「いえ、今すぐ魔砂を投入すれば可能でしょうが、ある一定の段階で止まるはず」
ブラン
「成長止まりましたブラン様の予想通りでした」ヘホコ
「ヘホコ様我はダニア様とヘホコ様の部下ですどうか「様」付けはおやめ下さい」
「いえ、この世界は実力が全て無能のヘホコが上司などあり得ませんブラン様と
これからはお呼びします、断固として」ヘホコ
「と言う事だ,頼んだぞブランさ・ま」ダニア
「お戯れを・・」真っ赤に照れるブラン
「とにかく緊急事態は去ったし今日はここまでにして一休みしよう」ダニア
「しかし、次の隕石出現が心配で落ち着いていられません」ブラン
「大増産した宇宙望遠鏡が必ず異変を探知してくれるはず、今日は休もう」ダニア
住居モジュールの食堂に戻りレーションをつまみに日本酒を傾ける
「実はな、我もヘホコもダクーミから生まれた召喚人間、そなたと同じ境遇なのだ」
「ま、まさか存じませんでした。」ブラン
初めて飲む酒に戸惑いながらブランは話を聞く
「ある事件で敵側だった我らは大王の布団魔法に束縛されるも助けられたのじゃ」
ダニア
「あの布団魔法の威力は身をもって知っている」大爆笑の3人
「それを考えたら私はゴブータ様に眠らされただけ、幸運でした」大爆笑3人
「不思議じゃな元々は敵だったのに今は大王に尽くす3人」
「民のため人類のため地球の為尽くす大王に心酔するは当然かと」ヘホコ
「我らは本当の意味での主を得たのだ幸せものなのだよ」ダニア
「どうだブラン?初めて飲む酒は?」ダニアは酒豪
「なんというか先ほどの時空超えの感覚と似てますな」ブラン
「お主は骨の髄まで科学者じゃな」大爆笑3人
科学バカオタクとして通じ合う3人酒が進む
「さて今後だがどうする?」ダニア
「は、とにかく大王のいいつけどおりこの隕石を火星に運ぶのが第一使命」ヘホコ
「そんなことは当たり前、聞きたいのは他の件だよ」ダニア
「再結晶化された魔石をどうするかと、他隕石発見後の対処法ですね」ブラン
「お主ヒントが見えたと申してたな?布団魔法の改善策思いついたか?」ダニア
「は、というか魔法って個人だけの詠唱でしか発動しないのかと思いました」ブラン
「ん、意味が分からんな」ダニア
「つまり複数の詠唱者で同じ魔法を合同で唱えれば倍増しないかと」ブラン
「む、それは気がつかなかった・・魔法は個の力と思っていた」ダニア
「個の力は大王に劣っていても複数で唱えれば同等以上もありうるかと」ブラン
「早速大王に打診してみよう」ダニア
「それはいいとして、時空移転の件だが」ダニア
「大魔石に移動系の魔法を付与することが出来れば爆発を得なくても可能かも」ブラン
「それは普通の魔方陣を介しての移動魔法と同じでは?」ヘホコ
「すでに緊急避難用の移動魔法を付与した魔石は実用されてる」ダニア
「小粒ほどの魔石で緊急避難が可能ならば超大魔石ならば?」ブラン
「む、・・・」ダニア
「人類の発展は魔石の大型化とともに有るのは事実です」ブラン
「たしかに」ダニア
「結晶化、高密化、圧縮化、再生化が飛躍的にすすんだ現状、いよいよ人類は
次のステップへと駆け上がる時期なのでしょう」ブラン
「神の領域に達する行為ではないのか?」ダニア
「いえ、これこそが真理、究極でございます」ブラン
「先ほど触れましたがもし本当に再生中の魔石に魔砂を追加したらこの隕石は
すべて魔石になっていたとの事ですが。」ヘホコ
「うむ、巨大魔石製作のヒントにもなったな」ダニア
「問題は巨大魔石が出来たら一体なにが可能になるかということ」ヘホコ
「想像もつきませんがとんでもない事が可能になるでしょうね」ブラン
「それにしても人類にとって分岐点となる事件が今日は盛りだくさんすぎた」ダニア
酔っていてもこのオタク3人は科学でいっぱい・・・
☆
「た、大変です起きて下さい」ヘホコが叫ぶ
どうやら昨日は酒盛り中に皆泥酔してその場に寝ていた様だ
「悪いが頭がガンガンしてる叫ばないでくれ」ダニア
「しかし、大事件なのです」ヘホコ
ばっと飛び起きるダニアとブラン
「第二の隕石が見つかったのか?」ダニア
「いえ、それはまだです」ヘホコ
制御盤に向かったブランも絶叫する
「ば、馬鹿な!地球が目の前だぁ」ブラン
「いかん、このままでは地球に激突する、全バーニアを逆噴射して防げ」
「慣性力が働いていて全バーニャを逆噴射してもとても間に合いません」
「なんのために今まで努力していたのか・・・全人類は滅亡する運命なのか」
「駄目です大気圏に自由落下始めました、自爆しても間に合いません」
「大王、申し訳ありません我ら3人一生の不覚・・」
「落ちます、墜ちます・・・うわあああああああああああ」
「ああああ」ガバッと飛び起きるダニア
「ゆ、夢か・・・」汗びっしょり
「ふざけるな、まるで映画やドラマの常套手段じゃ」
しかし、またヘホコが叫ぶ
「大変ですダニア様」
「まっまさか正夢?」
半分当たっていたが半分は違っていた
「地球との距離が大幅に縮まってます」ヘホコ
「しまった昨日の現象を検証する事を怠っていた」ダニア
「大丈夫です、まだ地球まではこの速度で5日の距離」冷静にブランが語る
「火星までもあと半日の距離、火星へ篠路変更急ぎましょう」ブラン
二日酔いなどといってられない。3人は全力で制御室でシステムを作る
「プログラム出来ました、チェック願います」ブラン
「時間がない実行させてからバグ拾いする」ダニア
「実行開始」ダニアがボタンを押す
「グワーン」全バーニャが噴煙を上げる
「うわーー」急旋回した隕石の遠心力で3人ふっとばされそうになる
「ものすごい遠心力じゃ」ダニア
しかし一瞬で落ち着く?
「あれ?なんでだ?」
「見て下さい魔石コアが勝手に遠心力を相殺してます」ヘホコ
「そんな命令は与えていないが?」ブラン
「魔石コアが自分で学習してる?」ダニア
まるで魔石コアが自分の意思でもあるかのごとく挙動し始める
「勝手に火星に進路を取り始めました」ヘホコ
「この動きは制御されたものではないのか?」ダニア
「まさかとは思いますが魔石コアがAI化された?」ブラン
「昨日から思っていたのだがコアに命がこもった?」ダニア
「あり得ません」ブラン
「ともかく今は無事火星軌道に乗るまで全力を尽くすのみ」ダニア
綱渡りの連続だったがなんとか火星衛星軌道に隕石を誘導完了した
「やりました、やり遂げました」感極まって号泣するヘホコ
スタージナスからの思念通信がダニアに届いた
「余りにも早くて驚いたが予定通りの行動ご苦労様」呑気に構えるスタージナス
「はい、順調に全てが進みました。安定させたあと帰還します」ダニア
「これでいいのだ、苦労は我らの胸の内にしまっておけばいい」ダニア
「はは、ダニアさまに一生ついていきます」ブラン
「この聖水隕石は火星テラフォーミングにとって大いに貢献してくれるだろう」
ダニア
「感無量です」また大泣きのヘホコ
「其方にそんな一面があったのが我には意外じゃよ」ダニア
「さて、大王達を心配させないための報告書をどうやって作成するか」ダニア
大爆笑の3人
「一旦月面基地に帰還しますが私はここで研究をつづけたいのですが?」ブラン
「我もヘホコも同じ考えだよ、しかし人数がたりないなんとか増員を具申してくる」
ダニア
「これは報告書が大事になってきましたね」ヘホコ
「うむ、一世一代の報告書だ」大爆笑の3人、事件を解決できた安堵感で一杯
地球に到着




